美月転生。~お兄様からは逃げられない~   作:カボチャ自動販売機

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入学編スタート!
やっと原作に入れて、ちょっと感動。


三章 入学編
第三十一話 卒業と合格


合格した。

 

 

超難関校と言われる、国立魔法大学附属第一高校に合格したのだ!

 

 

人生でこれほどまでの達成感を得られたことは、きっと前世でだってないだろう。

なんせ、一高を受験することを決めてから受験日まで、記憶がほとんどないくらいに忙しく地獄のような毎日を送っていたからだ。

 

毎日毎日、締切があり、毎日毎日、勉強のノルマがあり、毎日毎日、修行し、毎日毎日、魔法の練習。

 

 

朝起きて、寺に行って九重八雲(やくもん)先生と修行し、その後は仕事をするか、司波家に行って勉強、合間に魔法の練習、夜は勉強の復習をして、締切が近い仕事に全力を注ぐ、そしてまた朝になり……それを毎日である。

 

死ぬわ!ぼく過労死するわ!

睡眠時間四時間で、ああ良く寝たなーっておかしいでしょ!?深雪(エリクサー)がいなかったら絶対死んでたね!

達也と水波ちゃんは絶対に組ませちゃいけない。あの二人、どこまででも悪魔になるよ。

 

でも、その二人の悪魔と、一人の天使のおかげで、ぼくは今、こうしてここにいるのだろう。

 

 

 

「あっ、なんかまた泣けてきた……」

 

「合格発表の日に散々泣いてただろ……深雪と」

 

「お兄様っ!」

 

 

 

一高の合格発表の日、深雪と抱き合って号泣したのは良い思い出だ。深雪が自分のことのように喜んでくれて嬉しかったし、自分も受験生だと言うのに、ぼくのために献身的に色々やってくれた深雪にはもう、結婚してくださいしか言葉が見つからない。

 

達也にも多大な苦労をかけたし、水波ちゃんにも迷惑をかけた。

ただあの二人は鬼のようにぼくを追い込むので、感謝の気持ちはあるけど、思い出したくない恐怖もそれと同じくらいある。

 

水波ちゃん、たまにドジやるんだけど、締切明日まででしたーとか言いながら三つも仕事持ってくるのはもう止めてね。お姉さん本当に死んじゃうから。涙目でごめんなさいって言われたら許すしかないじゃん!どうにか水波ちゃんに責任を感じさせないために、締切守るしかないじゃん!

……限界のその先って、美少女が沢山いるお花畑だということをぼくはこの時初めて知りました。

 

 

「さて深雪、そろそろ時間だろう」

 

「ええ、それではお兄様、美月、行って参ります。……見ていてくださいね」

 

 

深雪は今年度の総代を務める。

今日の入学式でも答辞をすることになっており、今からリハーサルがあるのだ。

ぼくと達也は深雪に付き添って、入学式の二時間前である今、会場となる講堂の前にいるものの、深雪を見送った今、やることは特にないのだ。

 

 

 

「どうする達也?暇だけど」

 

「適当に書籍サイトで時間を潰しているさ」

 

とりあえず、携帯端末に構内図を表示して、見比べながら歩いているのだけど、いつまでもこうしているわけにはいかない。かといって達也のようにじっと読書なんてぼくには無理なのだ。

 

 

 

「えー、それじゃあぼく暇じゃん!だったら一人で校内を探検してくるよ!」

 

「駄目だ。お前が修学旅行で引き起こした事件を思い出せ」

 

 

中学校の修学旅行で京都と奈良に行ったのだけど、ぼくはそこで迷子になったのである。

どうやらぼくは自分でも気がつかないうちに、迷子対策として最強の精霊の眼の範囲外に出てしまっていたようなのだ。

もはやこれは才能なのではないかと、最近思い始めていたりする。

 

 

「うっ、そんな些細なことまだ覚えてたんだ」

 

「忘れるわけがないだろう。現地について僅か数秒で行方を眩まし、九島家に保護されていたのだからな」

 

「悪かったって。四葉と九島が仲悪いなんて知らなくて」

 

「そうじゃない……お前の魔法のことを知られれば、危ないのはお前なんだぞ、十師族とはなるべく関わりを持たない方が良い」

 

 

もう『七草』の三姉妹と仲良くなってしまっている件についてなんだけど……達也には言っていない。

真由美さんは、ぼくが合格したときに報告して、双子姉妹と摩利さんと一緒にパーティーをしたりしたけど、その時にも婚約者がいる、とかは言ってないので、達也のことは知らないし。

 

 

 

「それから、四葉のことは秘匿するんだ。俺たち以外の誰にも気付かれてはならない」

 

()()()りょーかい」

 

 

なんでも、四葉は最も恐れられていて、最も秘密主義な魔法師の家系だから、家族構成や組織構成は外部にあまり知られておらず、司波家も四葉の関係者であることは秘密にして暮らしているらしいのだ。

真夜さんにもお願いされているし、四葉が恨みを買いすぎてて、危ないらしいから、うっかりバレちゃわないように気を付けないといけない。

 

うん、恨みを買うって、なにしたんだろうね。

真夜さん、ちょっと抜けてるし、知らず識らずの内に、恨まれたりしてるんだろうか。

とりあえず、涙目の真夜たん可愛いってことしか分からない。

 

 

「それにしても、まさか達也が二科生とはね……ぼくのせい?」

 

「いいや。言っただろ、実技は苦手でな、こうなることは想定済み……いや、むしろ良くここに受かったものだと驚いているくらいなんだ」

 

達也はとてつもなく頭が良いし、武術だって凄いけど、()()の魔法はあまり得意ではないらしいのだ。理由は知らないけど、無理矢理()()の魔法を使えるようにした代償なんだとか。

正直、仕事したり、ぼくに勉強教えたり、仕事したりで、達也が勉強をしているところなんて一ミリも見たことがないから、二科生になってしまったのは、ぼくのせいなのではないかと、ちょっと思ったりもしたけど、そんなことはなかったようだ。

この口振りだと、全部わかった上で一高を受験したようだし。

 

 

「ぼくでも()()()で受かったのに?」

 

「……美月、お前は自分を過小評価し過ぎだ。魔法を一年も学んでいない者がこの場にいる、ということの意味を深く考えてみるといい」

 

「地獄の受験生生活しか思い浮かばないから嫌だ」

 

 

苦手、苦手、とは聞いてたけど、魔法を学んで一年のぼくより出来ない、なんてことがあるのだろうか。

座学、魔法の勉強は、達也が範囲を絞ってくれて、そこをやってたけど、実技に至ってはほとんど何もやっていない。精々、試験の方法とCADの使い方を教えてもらった程度だ。なんか、お前ならやる必要もないとか達也が言ってたけど、もしかしてぼく結構すごい?

 

 

「はあ、まあお前が()()()()()今に始まったことではないか」

 

 

()()()()()というのが何を指しているのかは分からないけど、とりあえずバカにされているということは間違いないね。

澄ました顔で、たまたま見つけたベンチに腰かけて、携帯端末を操作している達也に何を言ったところで口では勝てないのを分かっているから訂正しないけどね。

 

 

「むー、暇なんですけど!」

 

 

ただ、達也が携帯端末で書籍に夢中になっていると、当然ぼくは暇になってしまうわけで。

 

 

「寝ていろ。今朝はいつもより早かったのだろう?」

 

「それは思い付かなかった」

 

 

悲しいことに、『暇な時間』というのがあまりにも久しぶりで過ごし方を忘れていた。

 

 

 

「じゃあぼく寝るから、時間になったらちゃんと起こしてよ」

 

 

ぼくは達也に一方的にお願いすると了承の声も確認せずに、丁度良い位置にあった、達也の膝を枕にしてベンチに寝転がる。

うん、こうして何も考えずに眼を閉じていると、地獄の受験生活の影響なのか、こんなことをしていていいのか、という不安に駆られる。

心地のよい春の日差しと、外特有のほどよい風とどこからかほのかに香る花の香りがぼくを眠りへと誘ってくれているというのに、これでは気持ち良く眠れない。

こんな時は楽しいことか美少女を思い浮かべるべきだし、しばらく会えない薫のことでも考えることにしよう。

 

 

薫は魔法師ではないから、一高は受験しておらず、国際科とかいう頭の良さそうなところに進学した。一緒に学校生活を送れないのは残念ではあるけど、会えないわけでもないし、むしろ会えないことによって、薫がデレることを期待することにした。薫が意外と寂しがり屋なことをぼくは知っている。

 

卒業式の日、薫と佐藤くんが付き合っていると聞かされ、危うく佐藤くんを殺しそうになったことは良い思い出である。薫が止めてくれなかったら危なかったね。まあ、ぼくはまだこの件については認めてないけど!薫に彼氏なんて必要ないんだい!

 

考えていたらムカムカしてきたので、眠くなるまで薫を頭のなかで愛でて、心を癒すことにした。

 

 




今回から後書きでは新しいことに挑戦したいと思います!
美月が中学三年生の冬休みくらいの出来事です。



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1・名無しさん
今話題のイラストレーター、月柴美について語るスレです。


2・名無しさん
前期覇権アニメのキャラデザ担当して、一気に人気出たよな


3・名無しさん
>>2 その前から結構話題になってたぞ?『黒マジ』とか『愛ゼロ』とかのイラストも月柴美だし


4・名無しさん
>>2 確かに認知度が一気に上がったのはそれか


5・名無しさん
>>3 マジか!『愛ゼロ』超好きだわ


6・名無しさん
月柴美はヒロイン描くのが上手い。キャラそれぞれに個性を感じる

7・名無しさん
>>6 それな、キャラの魅力を何倍にもしてるし、何よりキャラへの愛を感じるよな


8・名無しさん
『愛ゼロ』の作者があとがきで、月柴美のイラストを見てから、百倍面白い作品が書けるようになって、一巻の内容をイラスト見てからほとんど書き変えたって言ってる


9・名無しさん
そういや月柴美ってワンダーランドの新アトラクションのキャラデザもしてなかったっけ?


10・名無しさん
>>9それどころが、アトラクションのイメージ画みたいなのも描いてる。というか元々そっちの仕事受けてて
キャラデザはおまけだったらしい。



11・名無しさん
>>10それイラストレーターの仕事じゃねぇーだろww


12・名無しさん
>>11どんな仕事でも受けることで有名だからな、元々ハリウッドで映画化して大ヒットした某海外小説の日本語翻訳版で表紙を担当したのがデビューだし


13・名無しさん
>>12知らんかったわ


14・名無しさん
>>13さらに言えば元々は絵画を描いていて、イラストレーターが副業という説もある


15・名無しさん
なんかデビューから数年で伝説乱立させてるなww


16・名無しさん
最近じゃ月柴美がキャラデザ担当したってだけで売れるもんな

17・名無しさん
>>16先月出たゲーム、月柴美がキャラデザ担当したってだけで買った俺が通りますよ

18・名無しさん
>>17あれ?いつの間に俺は書き込んだんだ?

19・名無しさん
>>17もう一人の僕?


20・名無しさん
お前ら月柴美好きすぎんだろww
俺も買ったけどw

21・名無しさん
>>20おいww

22・名無しさん
ゲームで久しぶりに泣いた


23・名無しさん
>>22それな!


以下、ゲームの内容で盛り上がる。





つづく

───────────────────



(つд;*)深雪「つづく?……ただでさえ出番少ないのに、ここも奪われるんですね……良いですよ、ゲームやってますから……確かにあのゲームは良作だもの」




こんな感じで、しばらくこの後書きが続きます。
入学編は原作とかなり違う感じになると思うので、お楽しみに!


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