美月転生。~お兄様からは逃げられない~   作:カボチャ自動販売機

34 / 81
サブタイトルに法則性を持たせてみた。


第三十三話 稲妻系金髪美少女降臨

ぼくと達也が入学式の開場である講堂に着いたのは、開式の三分前だった。

達也が精霊の眼(裏技)で見つけてくれなかったら、間違いなく遅刻していた。

そうなれば、ぼくは晴れの姿をお兄様に見てもらえなかった深雪によって大変なことになっていただろう。

 

 

「美月、ここで一旦別れよう」

 

 

この学校はIDカード交付時にクラスが判明する仕組みになっており、座席の指定はないはずなのだけど、新入生の分布には明らかな規則性があった。

つまりは、前半分に一科生、後ろ半分に二科生、エンブレムの有無で綺麗に別れているのだ。

 

 

「了解」

 

 

ぼくは別に達也と一緒でも良いのだけど、あえて逆らうのは良くない。こんなことで一々無益な波風を立てる必要もないのだから。

 

 

達也と別れたぼくは素直に講堂の前半分で、席を探しているのだけど、ギリギリで滑り込んだからか、席が空いていない。

そんな中、とある少女の隣が一席だけ空いていた。

その少女からは圧倒的存在感、気品が溢れており、近づく者を畏怖させるオーラがあった。

長い金髪は地毛であることが疑いようもないほど自然な煌めきを放っており、姿勢良く座るその姿は中世の貴族のようでもあった。

 

一言で言うと、飛びきりの美少女だったのである。

 

 

 

「隣良いかな?」

 

「どうぞ、お気になさらずに」

 

 

こちらを値踏みするように見る紫色の瞳は挑発的で、意思の強さを感じさせる。

きっと何か強い目的を持ってこの学校に入学したのだろう。

声をかけたいところだけど、すぐに入学式が始まってしまった。

壇上に上がっている生徒会役員は皆美少女でここがぼくの楽園になるのだと思うとワクワクする(妄想)

副会長らしい忍者みたいな名前(どんなだったかは忘れたけど)の人が生徒会唯一の男子らしいけど、そういうのいらないんだよね。なんでこの美少女集団の中で堂々としていられるんだろう。男はお呼びじゃないんだよ!帰れ!

 

ぼくのそんな副会長ディスで荒んだ心を癒すように生徒会長挨拶は始まった。

 

真由美さん可愛い。

 

感想はその一言に限る。

正直内容は良く分かってないけど、たぶん皆入学おめでとう的なことだったと思う。

まあ、真由美さん可愛いってことだけ分かれば問題ないでしょ。

 

そして今入学式のメインイベント(ぼく的に)深雪の答辞は始まった。

深雪が壇上に上がっただけでただでさえ静かだった講堂が静まり返る。まるで呼吸さえも忘れてしまったかのように、この空間は深雪という存在に支配されていた。

 

 

「……司波深雪」

 

 

ぼくの隣の美少女もまた、深雪に圧倒された一人なのだろう。強気な瞳には隠しきれない動揺と畏怖があった。たぶん彼女はプライドとか誇りとかそういうものを重要視するタイプだ。ぼく調べによると、そういうタイプは自分より格上だと感じた相手に対して二通り、どちらかの感情を抱くことが多い。

 

一つ目は忌避。

相手を避け、逃げることで自分のプライドを守るのだ。井の中の蛙であることを知りながらも、上位でいることに固執するタイプ。

 

 

 

「……負けはしないわ」

 

 

そして、二つ目は敵視。

目の前に立ちはだかる敵として、越えようとするタイプ。敵視というよりはライバル視、の方が近かったかもしれない。

自分に自信があるからこそ、本当のプライドを持っているからこその思考だと思う。

 

 

 

 

だから、瞳に強い闘志を燃やしながら深雪を睨む彼女のことはとても好きだ。

いや、これだけの美少女を嫌いなわけがないんだけどね?

 

 

 

 

式が終了したらIDカードを窓口で交付して貰わなくてはならない。

このカードで初めてクラスが発表されるわけで、超重要イベントだ。

この学校は一学年八クラス、一クラス二十五人。そして、A~Dは一科生、E~H二科生と決まっている。

つまり、深雪と同じクラスになれる確率は四分の一!深雪はもう新入生代表としてカードを授与されているけど、何組なのかは分からない。

ぼくの深雪レーダーがその姿を発見したけど、今は来賓と生徒会の人垣の中だしね。

 

 

ここで今年一年全ての運を使っても良い!だから!深雪と同じクラスになりたい!

 

 

ぼくは思い付く限りありとあらゆる神に願いながら窓口の列に並んだ。

すぐにぼくの番がきて、カードを受けとる。すると、丁度隣が、入学式でぼくの隣に座っていた金髪お嬢様(仮称)だった。

これは行くしかないよね!

 

 

「さっきぼく、隣の席だったんだけど覚えてる?」

 

「ええ、随分と熱心に先輩方のお話を聞いているようでしたから、記憶しておりますわ」

 

 

単純に、壇上に上がっている先輩が美少女ばかりで夢中だっただけなのだけど、良い風に誤解されているようだから否定はしない。

確かに熱心に聞いてたよ、うん。

 

 

「クラス、何組だった?」

 

「B組ですわね」

 

「本当に?ぼくもB()()なんだよ!」

 

 

イエーイ、とハイタッチを促すと彼女は戸惑いながらも、応じてくれた。意外とノリは悪くないらしい。

 

一見、威圧的に思えるのは、彼女自身の気質もあるだろうけど、もしかしたら、ちょっと緊張しているからなのかもしれない。口調が固いような気がするし、表情もやや険しい。

 

 

「ぼくは柴田美月。とりあえずは一年間、よろしく」

 

 

名前を名乗りながら、握手をするべく、右手を差し出す。

 

どうやら彼女は本当に緊張していたらしく、ぼくが挨拶すると、些か表情が和らいだ。

もしかしたら彼女も、高校生の少女らしく、友人ができるか不安だったのかもしれない。

 

うん、凄く可愛い。

 

安心しなさい、美月さんが友人として365日何時でも一緒にいてあげるからね!何ならお風呂もベッドも一緒で構わないから!

 

そんなぼくの優しさを感じ取ったのか、彼女もぼくの手を握ると自己紹介をしてくれた。

 

 

 

「私は、一色愛梨。こちらこそよろしくお願いしますね」

 

 

 

交わした握手が妙におかしくて、ぼくらは顔を見合せてくすりと笑った。

 

 

笑顔が可愛くて、鼻血が出そうになったのは内緒だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




121・名無しさん
ぶっちゃけ、そんだけプロフィール隠してるのってなんでだと思う?

122・名無しさん
良く噂されているのは、月柴美って一人じゃなくて、複数人で仕事をしているグループ名だからってやつあるよな

123・名無しさん
>>122確かにあれだけ幅広く、色々やってるしな

124・名無しさん
つか、単純に今年の仕事量ヤバイだろwあれだけのこと一人で、とか完全化物

125・名無しさん
今期アニメ、三作品キャラクター原案、月柴美なんだが

126・名無しさん
それと同時期に月柴美がキャラクターデザイン担当したゲームが二本出ているわけですが

127・名無しさん
ちなみに、『神斬り』の劇場版が現在公開中なわけで

128・名無しさん
……うん、一人だったら軽く三回は死んでるな、この仕事量

129・名無しさん
これは複数人説有力だな

130・名無しさん
俺は学生説を推しているわけだが

131・名無しさん
130>>学生でこの仕事量とか死だろwwどう考えても無理だわ

132・名無しさん
新説、学生のグループというのはどうでしょう!学生だと未成年だし、プロフィール公開していない理由もばっちり!

133・名無しさん
132>>まあ、学生だからプロフィール公開されてないってのはワンチャンだけど、デビューした仕事がビックネームだし、コネがないと無理だろ。新人に任されるような仕事じゃなかったし、そう考えると学生はないと思われる

134・名無しさん
133>>でも女子高生集団とかだったら夢が広がるよな

135・名無しさん
134>>もう集団なのは確定なのなww

136・名無しさん
135>>あれで一人なわけがない(真剣)




つづく

─────


(´・д・`)深雪「あれで一人なんですよね……何かブツブツ呟きながら描いているので、怖いんですけど……邪な視線も感じますし……」






入学編を盛り上げるべく、一色愛梨降臨!
何故彼女が一高に!?という驚きを提供できていれば嬉しいです。
彼女が一高に来た理由も本編で明かされますので、お楽しみに!それまで理由の予想とかして楽しんでください。感想見てニヤニヤしますので(笑)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。