美月転生。~お兄様からは逃げられない~   作:カボチャ自動販売機

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昔のぼくは、どうやってほぼ毎日投稿とかしてたんだろうね……。すごいね、たぶん、暇だったんだね……。


……そんな、第四十九話です。
では、またあとがきで。


第四十九話 急用

「な、なんてことするんですかっ!?CADを!それもセレネ・ゴールドのCADを!な、投げるなんて!?」

 

 

試合が終わってすぐに、突進するような勢いでやってきたあーちゃん先輩によって、ぼくは正座させられ、怒られている。これ以上ないくらい完璧に勝ったのに……。

 

 

「だって、あーちゃん先輩が、CADのこと凄い褒めるから、それなら摩利さんも、ぼくがCADを投げるとは予想もしないだろうって思ったから、投げて動揺させようと思って」

 

「どこの世界にCADを投げる魔法師がいるんですか!故意にそんなことする人いませんよ!考えもしません!」

 

「へへ、ありがとう」

 

「褒めてませんよ!?怒っているんです!」

 

 

「怒ってるあーちゃん先輩も可愛いですね!」

 

「私を褒めなくていいんですよ!?」

 

 

ぼくを怒ることは無理だと判断したのか、あーちゃん先輩のキャパシティがオーバーしてしまったのか、涙目になったあーちゃん先輩は、真由美さんに捕獲され、会長~、と叫びながら、真由美さんによしよしされていた。

どっちも羨ましい。

 

 

「なあ、美月。あれか、あ、あたしのスカートを捲ったのも、動揺させるためか?」

 

「勿論です!」

 

 

震え声で訊ねる摩利さんにぼくは全力の笑顔で答える。

いや、うん、ノリでやったというか、スカート捲りたかったというか、まあ、総合すれば動揺させたかったってことだよね!

 

 

「……くっ、別にスカート捲りはルール違反ではないし……動揺を誘い、視覚を奪う……戦術としては利に叶っている……うう、く、あぁああー!とりあえず殴らせろ!」

 

「何故俺が!?」

 

「お前が見たからだ!」

 

「審判ですからね!?そりゃ見てましたけど!なら、司波達也も同罪では!?」

 

完全に乱心している摩利さんを前にして、焦った様子で達也の名前を口にするはんぞーくん。

あーあ、それは逆効果だよ……。

 

 

「服部先輩、俺は美月の行動を予測して、目を瞑っていましたよ。な、深雪」

 

「ええ、お兄様は目を瞑っておられました。服部先輩、まさか罪のないお兄様を巻き込もうとするなんて……」

 

「服部君、最低ですね」

 

光のない瞳で睨む深雪に同調して、若干いつもの無表情を崩して口許がにやけている市原先輩がはんぞーくんに罵声を浴びせ、それがきっかけとなって、他の女性陣からも冷たい視線が送られる。

 

 

「そ、そんな!?」

 

「問答無用だ!」

 

 

ゴスッと、実際は何の罪もないはんぞーくんの頭に、摩利さんの拳骨が容赦なく叩き込まれた。

 

 

 

 

 

演習室を使える時間には限りがある。

だから、ぼくたちは、ぼくと摩利さんの模擬戦の後の、はんぞーくんの成敗が終わってすぐに生徒会室へと移動した。

 

 

「摩利さーん、約束(や・く・そ・く)忘れてないですよね~」

 

「う、も、勿論、真由美の説得は任せてくれ」

 

 

「そ・れ・だ・け、じゃないですよね~?」

 

 

耳元で囁くように言うと、摩利さんはひきつった顔で、誤魔化そうとするが、そうはいかない。

 

 

「語尾に、にゃんを付ける約束でしたよね~、あ、それにネコミミとネコ尻尾もつけてくれるでしたっけー?いやー楽しみだなー、猫摩利さん」

 

「な、なあ美月、少し相談なんだが――」

 

「だーめ」

 

 

飛びきりの笑顔で摩利さんの言葉を打ち切れば、いよいよ冷や汗を流し始める摩利さん。

ふふーん、ぼくがこんなチャンスを逃すわけないじゃないですかー。たっぷり愛でてあげますよ。

 

 

「でも、まあ、ぼくも鬼じゃありません。嫌がる摩利さんを無理矢理、なんて流石にやりませんよ」

 

「そ、そうか、なら――」

 

 

摩利さんは、安心したように、額の汗を拭っているけど……ぼくは鬼じゃないけど、摩利さんはネコ確定なんですよ。

 

 

 

「――ここではね?」

 

 

「……え"?」

 

「だってこれから、風紀委員の仕事とかあるじゃないですか。それを邪魔するのは悪いですし、それが終わってからやりますよ」

 

「さ、さっき、嫌がるあたしを無理矢理なんてしないって言ってなかったか?」

 

「言いましたよ?えっ、摩利さんは仕事に支障が出るから、嫌だったんですよね?まさか、やりたくない、なんてことはないですよねー?だって自分から言い出したんですもんねー?」

 

「うう」

 

 

若干、涙目になっている摩利さんが可愛すぎてヤバイ。

正直、もう可哀想だからネコ摩利さんは許してあげようかな、って気持ちもあったけど、やっぱりやってもらおう。摩利さんはいじめればいじめる程、可愛いということに気がついてしまった。

 

 

「摩利、そろそろ達也くん達を本部に連れていかないと、説明する時間なくなっちゃうわよ?」

 

 

真由美さんが哀れむような目で、摩利さんを見ながら言う。確かに今日は、達也とぼくが模擬戦をしたせいで、もう結構遅い時間だ。一高に完全下校時間的なものがあるのかどうかは分からないが、常識的にあまり遅い時間まで学校にいるのは良くないだろう。

 

 

「あ、真由美さんも摩利さんと一緒にやってくださいね、ネコ」

 

「え!?」

 

 

驚きの声を上げる真由美さん。それはそうだろう。だって別に真由美さんとは何の約束もしていない。

でも、ぼくは真由美さんのネコ化も見たいのだ。

 

 

「ぼく悲しかったなー、まさか、真由美さんがぼくの希望を否定するなんて……」

 

「ち、違うのよ!だって風紀委員なんて危ないじゃない!?」

 

「真由美さんはぼくのこと一番に信じてくれると思っていたのになー……」

 

「ううっ!」

 

 

しょぼーん、としながら真由美さんにチラチラと視線を送る。

真由美さんは青くなったり赤くなったり、百面相をしたあと、「ああ、もう、やる!やるわ!」と、承諾してくれた。

はい、勝ったー!

 

 

 

「それじゃあ摩利さん、さっさと行って仕事終わらせちゃいましょう!」

 

 

愛梨は、既に説明を受けているようだけど、風紀委員、風紀委員会本部の説明をぼくと達也は受けなくてはならない。

愛梨から大体は聞いたけれど、こういうものは形式が大切、やるからにはしっかりやるのが美月さんのスタイルですよ。

 

 

――と、やる気満々だったところに、携帯端末の音が鳴り響いた。ぼくがキャラデザを担当した今期アニメのOPである。

 

 

「で、出て良いぞ!私は待つ!」

 

 

どこか嬉しそうに電話に出ることをすすめる摩利さん。そんなに嫌なのか。どう足掻いても先伸ばしになるだけで、いつかはやることになるのに。

 

そんなことを考えながら、携帯端末を見てみればそこには「水波ちゃん」の文字が。

どうせ仕事の電話だし、正直無視(シカト)したいのだけど、水波ちゃんから散々愚痴られているのだろう達也がジトッと、隣の深雪が蔑むように見てくるので仕方なく出ることにする。

深雪よ、いくらぼくでもそれは傷つくよ……。

 

 

「はいはい、美月さんですよ」

 

『や、やっと出た……!もう何回もかけているんですよ!?本当にいつもいつも無視(シカト)しないで下さい!』

 

ぼくの携帯端末は特殊な設定で、水波ちゃんからの電話は、5回かかってくるまで音が鳴らない仕様になっている。それは余程の緊急事態だということだからだ。

 

案の定、水波ちゃん、物凄く焦っているしね。

もう半ギレというか、涙目で怒っている水波ちゃんが容易に想像できる。

あの、私泣いてませんが何か?、というような強がりが可愛いのである。だからついつい電話やメールを無視しちゃったりするんだよね。

ぼくは決して仕事をしたくないから電話を無視しているわけじゃない。水波ちゃんが可愛いのが悪いのだ。

 

 

 

「ごめん、ごめん、まだ学校なんだよ」

 

『学校ですね!?迎えに行くので校門の前に立っていて下さい!緊急事態ですから本当にすぐに来て下さいね!』

 

 

ぼくが何かを言う暇もなく、それだけ言って水波ちゃんは電話を切った。

うん、今からぼくには重要な用事があるから、それは無理かな。

 

 

「美月、サボるなよ?」

 

「へ?」

 

 

携帯端末を片手にそう言ってぼくの肩に手を置く達也。どうやら、ぼくが素直に校門へ現れないことを予測した水波ちゃんが、達也にぼくの捕獲を依頼したらしい。

なんということを……っ!

 

 

「先輩方、申し訳ないのですが、一旦美月を校門まで送っていきます。何分、美月は方向音痴で一人で校門まで辿り着くのは、何時間かかるか分かりませんから」

 

「あ、ええ、それは()()分かっているから。お願いしますね」

 

 

真由美さんが苦笑いしながら達也に言えば、摩利さんがぼくの退場を察して小さくガッツポーズをしたのが見えた。くっ、このまま終わると思うなよ、今日の美月さんが駄目でも、第二、第三の美月さんが、必ず摩利さんをネコ化させてやるっ!

 

 

 

 

 

「達也様!ありがとうございます!」

 

「いや気にするな。むしろ、いつも苦労をかけてすまない」

 

 

正門に着くと、そこには水波ちゃんがもう立っていて、後ろに黒い車が止まっていた。

うん、どこから電話してたのか知らないけど早すぎだよね?

 

 

「それより、何があった?随分と忙しないが」

 

「申し訳ありませんが、詳細は追って連絡させて頂きますので!美月様、さっさと乗り込んでください!」

 

 

 

ぼくは水波ちゃんに、急かされるがままに車に乗り込み、水波ちゃんも乗り込むと、すぐに車は発進した。

なんかぼくの扱い雑じゃない?

 

 

「で、何なの?かなり急いでいるみたいだけど」

 

 

達也に事情を説明する暇もない、なんて相当のことだ。急ぎの仕事は無かったはずだし、そんなに切羽詰まるようなことは無かったと思うんだけど。

 

 

「一秒でも早く、美月様を()()する必要がありましたので」

 

「保護?」

 

「ええ、今、美月様は大変な状況に追い込まれています」

 

「え!?なんで!?」

 

 

何故かぼくが知らぬ間にピンチに!?いやいや、ぼく何もしてないよ!?そんな保護されなきゃいけない理由なんて何もないよ!

 

混乱するぼくに水波ちゃんは、はっきりとした口調で確かに言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――USNAが、セレネ・ゴールドはUSNAの魔法師である、と訴え出ました」

 

 

 

え?




――そのころの服部さん――


(´□`川) 服部「……うう、ここは?」


(;゜Д゜) 服部「誰もいない……置いていかれたのか……」


(つд;*) 服部「理不尽に気絶させられたあげく、放置とか……流石に駄目だろ……」





ε=(・д・`*)ハァ… 服部「……はぁ……帰るか」



めげない、逃げない、挫けない。

服部刑部少丞範蔵の苦難は続く。






というわけで、次章から新章『USNA編(仮)』!
こ、このネタを考えてたから投稿が遅くなっちゃったわけですね!(目を逸らしながら)

この展開は誰も予想してなかったんじゃないかな!(ドヤッ)

伏線も張りつつ、回収もして、新キャラ登場させて、盛り上げていきます!

ちなみに、猫コンビにはちゃんと出番があるのでご安心を(笑)

では、また次話で!

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