美月転生。~お兄様からは逃げられない~ 作:カボチャ自動販売機
そのせいで、まだ扱いになれていない上、見直しが不十分なので、今話は、ちょっとミスとか多いかもです。
では、またあとがきで。
第五十話 急展
「セレネ・ゴールドが所属しているクローバー・クリエイティブと、四葉家の繋がりはどれだけ調べようとも、分からないよう巧妙に隠蔽されています。いかにUSNAが優秀であろうとも、それは覆らないでしょう。ですが、今回、それが裏目に出てしまった形です」
ホワイトボードに書かれた『四葉家』の文字から矢印が引かれ、『クローバー・クリエイティブ』を差す。
そしてその矢印の下に、隠蔽と書き加えた。
「トーラス・シルバーの情報もまた、四葉家によって厳重に管理されていますが、トーラス・シルバーは、フォア・リーブス・テクノロジー、という大企業の専属であり、既に確固たる地位を手に入れています。それに、トーラス・シルバーが世に出た時は、四葉家が入念に手を回した後でしたから、こうした事態は起こらなかったのでしょう」
また、四葉家から矢印が引かれて、今度は『トーラス・シルバー』を差す。『トーラス・シルバー』の文字が赤いペンでグルグルと楕円で囲まれ、保護、という文字が上に追加された。
「奥様がセレネ・ゴールドを世に出したのは、達也様と美月様が結婚をする際に、
四葉家の当主である真夜さんは、ぼくと達也の婚約を認めているけど、それはあくまで真夜さんだけであって、四葉家全体に、それが認められたわけではなく、真夜さんは、次のお正月に行われるという、四葉家の有力者が顔を揃える新年の集い『慶春会』で、ぼくの地位と実績を提示し、達也との婚約を認めさせるつもりだったらしい。
ただ、それまではどうしても動かせる人材には限りがあるし、時間もあまりなかった。
そのせいで、他の警戒が少し足りなかったのかもしれない、とのことだった。
「それにしても、今回の件は異例中の異例です。いくらセレネ・ゴールドがUSNAの魔法師であると訴えたところで、それは完全な嘘。……ただ、今回はその嘘が問題なのです」
水波ちゃんに連れていかれたのは、都内になる高級ホテル。そこの会議室のような所で、ぼくは説明を受けていた。
正直、話には全くついていけてないけど。
「セレネ・ゴールドは、美月様なわけですから、当然、日本人であり、USNAの言っていることは言いがかりも良いところなのですが……それを、証明することはできません」
ぼくが、セレネ・ゴールドであることは、真夜さんの意向で秘密になっている。
証明することができないって言うのが、その事に関係していることは、流石のぼくにも分かった。
「セレネ・ゴールドが日本人であることを証明するためには、然るべき場で、つまり、公に、セレネ・ゴールドの正体を明かす必要が出て来てしまうのです」
水波ちゃん曰く、この場合、少なくとも十師族にはセレネ・ゴールドの正体が知られてしまうだろうとのことだった。
十師族は、それぞれ情報収集の手段を持っているから、小さな情報でも漏らしてしまうと、耳に入ってしまう。そして、その十師族から情報が漏洩すれば、セレネ・ゴールドの正体はさらに広まってしまうだろう。
「しかし、美月様を表舞台に出すわけにはいきません。セレネ・ゴールドを欲しがる人間はいくらでもいて、何より、そこから調べられて、四葉家との関係や、魔神のことを知られるとまずいことになるからです」
これは、前にも言われたことだけど、四葉家と関係を持っていることは知られるとまずくて、『魔神』のことを知られるのはもっとまずいらしい。
達也は、魔神の
達也がそこまでするってことは、確かに知られたら色々面倒そうではある。
「別に、堂々とぼくが出なくても、適当な人、例えば達也とかがセレネ・ゴールドです!って名乗り出れば良いんじゃない?ぼくはそれに関して何も言わないわけだから、名乗り出た人が、公にはセレネ・ゴールドってことになるでしょ?」
でも、別にぼくはセレネ・ゴールドには大した思い入れはない。
誰かを適当に祭り上げれば、その人がセレネ・ゴールドってことになって、全ての問題は解決するじゃないだろうか?
「勿論、それでUSNAの虚言を突っぱねることはできるでしょう。しかし、それでは意味がないのです」
深刻そうな水波ちゃんの声が、ぼくの意見をバッサリ斬った。
「元々、セレネ・ゴールドは『柴田美月』に『付加価値』を付けるためのもの。それを他の人間に与えては、全く意味がない」
そうだった。
元々、セレネ・ゴールドは四葉家にとって有益であることの証明として、魔法関連の『地位』や『実績』が必要だったから、真夜さんにやらされていた、という話だった。
つまり、『ぼく』がセレネ・ゴールドでないと、真夜さん的には全く意味がないのか。
「この状況を回避する手立てはいくつか用意済みですが、どれも短期解決は難しいものばかりです。それに――USNAには既に、セレネ・ゴールドの正体がバレてしまっているのかもしれません」
「それもう詰みだよね!?」
びっくりした!
今までの話とか全く意味ないじゃん!隠せてないじゃん!
「いえ、あくまで可能性の話です。
柴田美月がセレネ・ゴールドである、という事実が完全に知られていることは現段階ではまずないが、何人かに絞り込まれている可能性がある、と奥様はおっしゃっていました。
もし、そうであるなら、すぐにでも美月様にはUSNAの監視がつく……だからその前に接触して、対策をしたかったのです」
それで、今日はとんでもなく急いでいたんだ……。
水波ちゃん用の携帯端末の設定は解除しておくことにしよう。
と言っても、ぼくの携帯端末は、四葉家から渡された特殊なものらしく、通信を傍受される心配はないけど、それはこの状況下では怪しすぎるから、市販の携帯端末に変えられてしまったのだから、既に解除されているのだろうけど。
「さて、今後の予定ですが……美月様には当然、今までと同じように学校生活を送っていただきます。
突飛な行動、の辺りで水波ちゃんがジトッとした視線を向けてくるけど、流石のぼくでもこの状況でやらかしたりしないよ!
相変わらずの信頼の無さが悲しい……。
「まさか、こんなことで役に立つとは思っていませんでしたが、
そして唐突なぼくディス!
そりゃ一人で登下校出来ないけども!そんなアホの娘を見るような目で見ないで!
痛い!視線が痛いよ!
「学校にいる間は、USNAの監視は無くなる可能性が高いですが、登下校時は監視は避けられませんし、万が一襲撃された際に護衛も必要ですから。達也様にはしばらくの間、美月様の護衛を依頼します」
涙目のぼくを完全に
最近、水波ちゃんのぼくの扱いが酷い件について!これは一度、会議するべきじゃないかな!
「では、時間もあまりないですし、注意事項をいくつか説明して、後は監視対策の方法をいくつか――」
この後、水波ちゃんから1時間程、説明を受けて、ぼくはホテルを出た。
USNAの監視が既に付いている可能性を考慮して、一人で、である。
じゃあ、一人で帰れないぼくは、どうするのかと言うと――
「美月」
――達也を召喚する。
達也は、バイクに寄りかかって、携帯端末を操作していた。
たぶん、水波ちゃんに、ぼくと合流できたことを伝えているのだろう。
ささっと端末を操作して、懐に仕舞うと、ヘルメットをぼくに投げて渡して、さっさと自分も用意を始めた。
「
「了解」
バイクに跨がり、フルフェイスのヘルメットを被った達也の後ろに乗り込み、ヘルメットを装着していると、達也が小声でそう伝えてきた。
フルフェイスのヘルメットで、達也の口は見えないし、達也の範囲に引っ掛かっていないなら、この会話を悟られることはないだろう。
「今日は一旦、家に寄っていけ。色々考えることもあるし、紹介したい人がいる」
「ふーん、いいよ」
こうして、ぼくは達也のバイクに乗せてもらって、司波宅へと向かうのであった。
「……今の、達也と……美月?」
その様子を、
――そのころの深雪さん――
(;゜∀゜)深雪「美月は大丈夫なのかしら!?」
オロオロヾ(・ω・`ヾ 三 ノ ´・ω・)ノ 深雪「お兄様から何の連絡もないということは、特に問題は無かったのでしょうけど……」
((((;゜Д゜)))深雪「もし美月に何かあったら……」
(๑ÒωÓ๑)深雪「やはり私も迎えに!」
チョッマッ(;゚△゚)ツ ?「駄目ですよ!?何のために僕たちがここにいると思っているんですか!」
(`Д´)ノ!!深雪「でも、もう、ここでじっと待つだなんて私には出来ないの!」
Σ(;´□`;)エッ ?「そんな!深雪お姉様!まだ、達也さんが出発してから2分も経ってませんよ!」
とある双子と、戦いを繰り広げているのであった。
◆
目撃者とは誰なのか!
あとがきの『?』とは!
説明と謎と伏線の今話でした。
次話から、新キャラも登場、新展開本格スタート!……なんですが、操作になれるまで、更新が遅くなる可能性はあります。
では、また次話で!