【完】真・ハイスクールD×D夢想 覇天の御使い 作:ユウジン
新たな発見の日の放課後……一誠たちは廊下を歩いていた。
「しかし教会側が悪魔の陣地になんのようかしらね」
「まあ勝手に入り込んで好き勝手しようとした堕天使もいたけどな」
「う……」
レイナーレは一誠の返しに詰まった……
「教会……ですか……」
だがアーシアの表情は若干暗い……まあそりゃそうだろう。
「大丈夫だ」
「あ……」
一誠は優しくアーシアを撫でて言う。アーシアにはこれだけでも十分元気が出た。
「さて行きますか」
一誠たちはオカルト研究部の扉を潜った。
中にはローブを着た二人の女の子……すると、
「あれ?もしかして一誠くん?」
「え?」
片方の女の子が立ち上がってフードを外した。その下には中々可愛らしい顔がある。
「…………誰だっけ?」
「ひ、ひどい!紫藤 イリナだよ!昔遊んだでしょ!ヒーローごっことかで!」
「え?」
一誠の脳裏の昔遊んでいた男の子の写真がフラッシュバックした……まさか……
「ええ!女の子だったのか!?」
「驚くところそこなの!?」
一誠はビックリしたがずっと男だと思われていたイリナもビックリであった。
「あら二人とも知り合いだったの?」
「前に姉さんが見せたあの写真に写ってた子です」
「お姉さんとお母さんたちは元気なの?」
「あ、うん。まあ……」
言葉を濁した……イリナは一誠の母親が複数人なのを知っているのだ。リアスたちもイリナの聞き方に違和感を感じたのか首をかしげる。
「と、とにかくまさかイリナたちが教会の使者なのか?」
一誠は話題を変えた。
「そうよ、今からその話をするところなんだけど……一誠くんって人間だよね?なんで悪魔と一緒にいるの?」
「色々あんだよ」
本当に色々あってね。
「さぁ、それで教会がなんのようかしら?」
「お初にお目にかかるリアス・グレモリー。私はカトリック教会のゼノヴィアだ」
リアス先輩が聞くとゼノヴィアと名乗った少女はフードを外して布で縛った剣を見せる。
「先日教会から三本の聖剣・エクスカリバーが持ち出された」
「三本?」
一誠が首をかしげた。エクスカリバーは本やゲームでも良く聞く聖剣の名前だ。だが三本って複数ある聖剣なんだろうか……
「エクスカリバーは大昔に砕けてるのよ。その破片を使って作り出したのが七本のエクスカリバー……で良いのよね?」
「ああ、その通りだ」
ゼノヴィアは頷くと刀身を見せた。
「現在教会側が所有するのは私の【
「そして私の【
更に一本正教会が保管しているのが全てらしい。しかし祐斗がすごい鋭い目でその聖剣をみている。
「ん?一本足りなくないか?」
「戦火の中で一本は紛失したらしい」
良いのかそんな扱いで……仮にも聖剣だろう……
「それで犯人は分かったの?」
「
「堕天使側が?」
「正確には既に離反したコカビエルだ」
それを聞いた瞬間リアス先輩やレイナーレが顔をひきつらせた。
「先の大戦を生き残ったもの……ね」
リアス先輩が腕を組んだ。レイナーレはまだ固まったままだ。
「それで?私たちに何をしてほしいのかしら?」
「寧ろなにもしなくて良い。ただ私たちがすることを見逃してもらえば良い」
「随分と勝手なのね。人の領地で好き勝手するわりには……」
「こちらとしても不安因子を入れるわけにはいかないからね」
「遠回しに堕天使と手を組むと言いたいのかしら?」
「聖剣が目障りなのは君たちも同じだろう?」
なんだこのすげぇムカつくぞこいつ……等と一誠は思ったが黙っておこう。
「それに一時的にとはいえ天界側と悪魔が手を組めば今の情勢にヒビを入れかねない」
「…………良いわ。好きにしなさい」
まあ別に無理矢理手を貸したいと言うわけでもない。これは教会の問題だ。下手に首を突っ込むのも面倒だろう。
「それでは失礼する」
「またね一誠くん」
そう言って二人は出てい……こうとしたら足を止めた。
「まさか君は……【魔女】アーシア・アルジェントか?」
「っ!」
アーシア表情は凍りついた。
「え?あの悪魔も治せるって言う元聖女さん?」
イリナが顔を覗き混んできた。
「まさかこんな極東の地で悪魔の世話になっているとわな」
正確に言えば一誠のお世話になっているのだが……まあこの場所だけみたらそう見えるかもしれない……我慢我慢……
「あ、の……その」
アーシアの肩が震える。
「大丈夫よ。これは誰にも言わないから……今のあなたのことを知れば聖女・アーシアの周囲にいた人々がショックを受けるわ」
我慢我慢……素数を数えろ……
「しかし悪魔の手先か……堕ちるところまで堕ちたな。まだ我らの神を信じているのか?」
「そんなわけないでしょうゼノヴィア……」
素数を数えよう……2、3、5、7……
「いや、信仰に背くものでも神への背徳を感じるものがいる。彼女からはそんな気配がする」
「…………忘れられないです……ずっと信じていたんですから……」
そりゃそうだろう……ずっと信じていた……人間そんな簡単に生き方は変えられるもんじゃない。現に今だってアーシアは毎日お祈りをしているんだ。
だがそれを聞いたゼノヴィアは剣を抜
いた。
「そうか、ならば私に斬られるが良い。神の元に断罪してやる。慈悲深き神なら救いの手を差し伸べてくれる筈だ」
ブッチン!と何かが切れた音が一誠の頭に響いた……だがそれより早く切れたものがいた。
「むっ!」
ゼノヴィアの顔の真横を光の槍が通る……この場でそんなものを投げられるのは一人だけだ……
「レイナーレさん……」
「貴様……堕天使か……」
「それ以上口を開くとその口に槍を突っ込むわよ……」
相当物騒だがこの場の面子の心理を代弁していた。
「どう言うことだリアス・グレモリー……なぜこの場に堕天使までいる。まさか繋がっていたのか」
するとリアス先輩が立ち上がった。
「彼女はレイナーレ……学校では天野 夕麻と名乗ってるわ。確かに堕天使だけど現在は一誠の家族……つまり私の家族でもあるわ。言っておくけど既に彼女はグレゴリとは関係を切ってるわ」
「……ふん。まあいい、どういうつもりだ?」
「人の家族を貶してどういうもなにもないでしょ?」
「レイナーレに同意だな」
一誠は前に出てゼノヴィアと距離を詰める。
「アーシアが欲しかったのは友達だ。それを勝手にズカズカ領分に入り込んで聖女に祭りたてたのはてめぇら教会側だろうが」
「聖女に友人はいらない。必要なのは平等な愛だ」
「んで次は魔女か?助けもしねぇ神なんざクソだね」
一誠の言葉にゼノヴィアとイリナの目が鋭くなった。
「神を愚弄するのか?」
「そっちは人の家族を貶めたんだ。相子ってやつだろ?それとも神の名の元にって言って好き勝手する免罪符代わりの物が貶されっとムカつくか?」
そう一誠がいった瞬間首筋にゼノヴィアのエクスカリバーが突きつけられた。
「表に出ろ……」
「良いね、分かりやすい。で?二人同時に来るか?どっちでも良いぜ」
一誠がそう言うと、
「どっちかは僕が担当するよ……」
「祐斗?」
祐斗は
「何者だ貴様は……」
「君たちの先輩さ……失敗作らしいけどね」
こうして一誠 対 イリナと祐斗 対 ゼノヴィアの戦いが始まったのだった……
「一誠くん。手加減なしだからね」
「はいはい」
一誠は軽く体をほぐして
《Boost!……Explosion!》
「それって
「ああ、最近使えるようになったからイリナは知らなかったよな?」
「ふぅん……でも関係ないよ!アーメン!」
そう言ってイリナは紐みたいに上腕に結んでいたエクスカリバーを日本刀みたいに出した。
「行くよ!」
そう言ってイリナのエクスカリバーは鞭みたいに撓りながら一誠に向かう……だが、
「ふぁ~」
あくびをしながらゆっくり前に進みそれを首を傾げたり体を少し傾けたりしてヒョイヒョイ避けながら間合いを摘めていく。
「え?」
イリナは慌てて速度をあげるが意味はなく一誠はまたあくびをしながら詰めていく。
「スローすぎてあくびが止まらん」
その序でに祐斗とゼノヴィアをみるが祐斗が劣性だ。つうか祐斗の武器は速さ技術なのにあんな重たそうなでかい剣を使ったら祐斗の持ち味なんて皆無だぞ……ほら剣を折られて負けた……仕方ない。ちゃちゃっとおわらせるか。
「じゃあなイリナ。後が支えてるからな」
「え?」
パン!っと強めに側頭部を叩いてイリナを気絶させた。
「ほら良いぞ……」
驚いたような顔をしたがゼノヴィアは剣を構える。あの剣はなにかに当たると強い衝撃を放つらしい……が、
「まあ当たらなければぁ」
そう言って向かってきたゼノヴィアを空かしながら躱す。
「くっ!ちょこまかと!」
「だって当たったらいたそうだし」
しかしイリナのもそうだったけどローブの下の恐らく戦闘服……真っ黒で全身にピッタリしたその形状は凄まじく官能的を通り越して完全に痴女である。清純とは縁遠すぎだ。
「この!」
「オラ!」
大きく振り上げたゼノヴィアに対し一誠は隙ありとばかりに手を掴んで受け止めた。刀身から衝撃を生み出すなら持ち手の方をつかめば問題ない。と言う読みは当たった。
「くっ!」
「せい……のっと!」
そのままゼノヴィアの手を掴んだまま一誠は回転……関節を取りながら合気道の要領でゼノヴィアを投げ飛ばす。
「がっ!」
そのまま地面に落とすと腕の関節を極めてそのまま地面に押し付けた……
「コカビエルってのがどんなやつなのか俺は知らんが……」
一誠は不適な笑みを浮かべた。
「こんな簡単に転がされるやつに勤まるのかい?」
「ぐ……」
ゼノヴィアはぐうの音も出ない。
「一誠。ここまでで良いでしょう」
「……分かりました」
一誠は
「次は消し飛ばすからな……覚悟しろよ」
「………………心得ておこう」
ゼノヴィアはそのまま立ち上がって背を向けた。
「うーん……」
イリナも目が覚めたようだ。まああんまり長く気絶するようにはしていないが……
「いくぞイリナ」
「あ、うん……」
イリナをつれてゼノヴィアは立ち去る。頭のひとつでも下げていけと言いたいがまあこれ以上追いこんでもな……まあ言いたいことはいったし良いだろう……そして、
「……う」
悪寒が襲ってきた……怒りで振りきれてたから良いけど今は落ち着いたら時間差で襲ってきた……ヤバイ……意識が……
「一誠!?」
リアス先輩の驚愕の声を余所に一誠は意識を手放した……因みにこれによって流石に可笑しいと思ったオカルト研究部全員に一誠の女性恐怖症がバレるのだがそれは余談である。