【完】真・ハイスクールD×D夢想 覇天の御使い   作:ユウジン

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冥界での勉強会

冥界には夜があるらしい。魔力で擬似的な月を浮かべてあるのが特徴的な冥界の夜であるがあまり昼間とは変わらない。だが取り合えず夜の時間には夕食がグレモリー邸では振る舞われた。

 

しかし量が凄いな……まあ実家で家族が全員揃うとこれくらいは出てくるが……皆よく食べるからね。

 

一誠も少食とは言いがたいし年頃の男子なので基本的によく食べる方だ。だがそれを上回るのが季衣母さんとその娘……あと凪母さんとその娘もかなり食べる方だ。特に凪母娘は辛いのが好きで見てるだけで目が痛くなってくる物を食べてる。

 

余談だが一誠は辛いのがあんまり……いや、寧ろ嫌いの部類も入る。何かあの味覚が崩壊しそうな刺激を何故食べながら味わう必要があるんだ?しかも言っておくが辛味は味覚ではなく痛覚の一種だ。態々痛い目に遭おうなんて言う気は一切ないんだ。

 

と、昔間違えて凪母さんたちの食べる方の唐辛子ビタビタ麻婆豆腐を食べて大変な目にあった一誠がその時のトラウマを思い出して鬱になっている所にこの屋敷(と言うよりは城)の主であるリアス先輩のお父さんが食事の席に来た。

 

「待たせてすまない。今日は存分に楽しんでくれ」

 

その言葉と共に食事が始まる。テーブルマナーは昔に母からきっちり仕込まれているため一誠は迷わずナイフやフォークを操り食事を進める。その姿優雅で上品に……それでいて鼻につくようなことはない。

 

拝啓お母様……テーブルマナーを教わったときは内心一生日本から出ないんだから覚えなくたって困らないよとか思いましたがまさかの外国どころか冥界に来て役に立ちました。本当の感謝します。

 

因みに他には祐斗は朱乃さんも慣れてるし緊張して震えてるもののギャスパーも綺麗だ。流石生まれが位の高い吸血鬼だったと言うだけはある。

 

アーシアやゼノヴィアにレイナーレも苦戦しつつも及第点だろう。

 

だけど小猫が食べてない。いつもならいの一番に食べ始めてるのに……

 

「北郷一誠くん……いや、一誠くんで良いかな?」

「あ、はい」

 

突然リアス先輩のお父さんに話し掛けられて一誠は返答する。

 

「一刀どのはお元気かな?」

「はい。まああの人は殺したって死にませんよ……俺より長生きしそうな人ですし」

 

と冗談混じりに言って少し笑いを取りながら答える。そして二口目を口に放り込んだ瞬間……これはミスだったとすぐに知ることになる。

 

「あと一誠くん。これから私の事はお義父さんと読んでくれて構わない」

「ムグゥ!」

 

突然の一言に一誠は食い物を喉に詰まらせた。胸をドンドン叩き水を飲む。何ですって?

 

「そ、それはおそれ多いですよ……」

「む?そうかな?」

 

そうだろう……そんなお父さんなんて呼べない……え?微妙に字が違う?そんなことはないと思うけど……

 

「あなた。性急すぎますわ。物事には順序と言うものがあります」

「う、うむ……だが赤と紅なんだ……めでたいではないか」

「浮かれるのはまだ早い……と言うだけですわ」

「……そうだな……私はどうも急ぎすぎるようだ」

 

ヴェネラナさんに言われてリアス先輩のお父さんは肩を落とす。ここの家も母が偉いらしい。

 

「それで私も一誠さんで良いかしら?」

「え?あ、どうぞ」

 

一誠は別に断り理由もない。だけど何か今日の会話がずっと自分に向けられてる気がするのは気のせいか?

 

「しばらくこちらに滞在するのでしょう?」

「はい、アザゼルが戻ってくるまでは無理ですが八月中頃の夏休み一杯はこちらで修行する予定ですが……それがなにか?」

「いいえ、ふふ……それならばグレモリーの歴史やしきたりも教えられますわね。マナーは今のところ全く問題はありませんし」

 

え?そういうのも知ってなきゃいけないの!?いや、まあ…… 先輩と一緒にいるんだからそれくらいは基本知識なのかな……でも違和感があるな……なんだろう。すると、

 

「お父様!お母様!私の先程から黙って聞いていれば私を置いて話を進めるなんて!言っていたではありませんか!この件は私の好きにして良いと!」

「ええ、言いましたよ?ですがリアス。少々あなたは事をなすのが遅すぎます。確かにいきなり深い関係になれとは言いませんし言えないのはわかっています……だけどそれを差し引いても進展が無さすぎるんじゃないかしら?」

「う……」

 

リアス先輩はヴェネラナさんの反撃になにも言えない。何だいったい……

 

「リアス……人間は私たちと比べて短い時の中でしか生きられません。その中で成したいのであれば相応に手早く、そして段取りよく事をしていかなければなりません。私は反対はしませんし男性はある程度年を老いても出来ないわけではありませんがやはり若いうちが良いのはあなただってわかるでしょう?」

「うぅ……」

「それにリアス……例え成れてもそこから教えるより予め教えておいた方があなたの退路を断つ意味でも良いと思うのですが?」

「うぅぅ……」

「リアス……反論はありますか?」

ありません……とリアス先輩は席に座った……

 

「眷属や他の皆様にはお見苦しいところをお見せしました。それで話は戻しますが一誠さんには修行の始まる前に少し悪魔社会について学んでもらおうと思いますが……よろしいですか?」

え!?なんで俺が?いや別に良いよ?あんまりその辺知らないしこれを気に勉強するのも悪くない。でも何か自分の預かり知らぬところで別の計画進んでません?何かリアス先輩とヴェネラナさんの会話も何か引っ掛かるし……

 

「いや別に良いんですけど……何故俺が?」

「あなたは娘の最後の我が儘ですからね、責任を持ちますわ」

 

最後の我が儘?どう言うことですか?と視線でリアス先輩に聞くと顔を赤くして視線を逸らされた……

 

(俺ってどういう立場なんだぁああああああああああああああああ!?)

 

一誠はその晩大いに頭を悩ませて結局答えがわからなかったのは別の話である……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まず悪魔の歴史は……」

「…………」

 

冥界に来て次の日……一誠は悪魔関連についての勉強をしていた。悪魔についてから始まり社交界、歴史や72柱と言われる上級悪魔の家柄(リアス先輩のグレモリーやあのライザーのフェニックスもその一つらしい)にと多くの情報を頭に叩き込んで記憶していく。しかし目の前にいる教師役のメイドさん……教師役のというもがたくさんいるが随分熱が入ってる。

 

母から受け継いだ頭脳は(父も馬鹿ではないと言うか寧ろ良い方だが母には負ける)こう言うところでも役に立つ。冥界に来てから両親に感謝してばかりだ。

 

まあ中身は結構面白い。知らないことばかりだから珍しいってのもあるんだと思う。

 

因みに隣にはミリキャス君もいる。利発そうだし良い子だね。何て思ってると向こうから話しかけられた。普段のリアス先輩はどうなのかとか冥界での生活とか勉強の合間に簡単な息抜きの代わりにしていく。

 

それにしても他の皆はグレモリー領の見学らしい。羨ましい……でもこっちはこっちで楽しいしなぁ……ミリキャス君ってほんと良いこだ。リアス先輩が可愛がるのもわかる気がする。でもこの子何かサーゼクスさんとは別の人にも似てる気がする……しかも知ってる人だ……誰だろう……何て考えてると教師役のメイドから声をかけられた。

 

「若様。悪魔の文字はご存じでしょうか?」

「いえ、全然知りません」

 

そりゃそうだ。まず使わないし……

 

「でしたら一からきっちり教えましょう」

 

あと違和感……何故か教師役の以外にもこの家の使用人から若様って呼ばれる……何故?聞いても何かはぐらかされるし……気になる……

 

何て思いつつ勉強を進めてると、ドアが開けられた。

 

「おばあさま!」

 

ミリキャス君が入ってきたヴェネラナさんに声をかけた。そうなんだよな……サーゼクスさんの息子ってことは同時にヴェネラナさんから見れば孫なんだよ……すごい違和感だけど……

 

「様子はどうかしら?」

「驚くべき速度で知識を吸収していきます」

 

そうメイドさんから言われつつヴェネラナさんは一誠のノートを見た。

 

「サーゼクスから聞いてた通りね、文字は丁寧だし一生懸命……昨日の食事も上品だったし想像以上ね……」

「?」

 

なんの話だかわからないがまあ別に聞く必要もなかろう。だが何故自分だけ勉強なんだ?アーシアとかレイナーレも勉強が必要という点では同じだと思うが……まあいいか、

 

「そう言えばこのあと先輩たちは若手悪魔の懇親会にいくんでしたよね?」

「ええ、貴方もリアスの眷属だったら行けたのだけど……」

「はは……仕方ないですよ」

 

だってポーン全部使っても足りないんだもん。アーシア多分イケるしレイナーレも同じだ。でも二人とも興味ないらしい。ま、そこは緊急事態じゃなければ本人たちの同意があった方がいいと言うのがリアス先輩の談だ。

 

「普通ポーンを複数使えば大概転生が可能なんですけどまあ自称人間だものね」

「正真正銘人間なんですけど……」

 

何かヴェネラナさんからも自称扱い……これはあれか?もう諦めて認めろと……いや!みとめないぞ!俺は人間だ!

 

「でしたらあとで僕がこの屋敷を案内します」

「え?良いの?」

 

ミリキャス君の申し出に一誠が問うと頷かれた。

 

「一誠さまは懇親会に行けませんしならばその間に僕はお相手を勤めさせていただきます」

「そうか……じゃあお願いしようかな」

「はい!」

 

ミリキャス君は嬉しそうに笑った。どうしたんだろうか……

 

「ありがとう。一誠さん」

「え?」

「ミリキャスはグレモリー家の当主候補であると同時に魔王の息子です。それだけにどうしても色眼鏡で見られますから……でも一誠さんはミリキャスをサーゼクスの息子でリアスの甥っ子としか見ません。ミリキャスもそれを感じて案内をしたいと言い出したんでしょう」

 

まあ当然の状況だよな……どうしたってそうなる……ま、俺は悪魔じゃないからその辺りは興味ない。ミリキャス君はミリキャス君だ。それ以上でもそれ以下でもない。

 

とりあえずはこのスタンスで良いんだろう。へりくだる理由もなければかといって威圧する必要もない。

 

「じゃ、勉強を終わらせましょうか」

「はい!」

 

その後リアス先輩達が帰ってきて懇親会に出掛けお留守番の一誠とアーシアレイナーレはミリキャス君の案内でドデカイグレモリー邸を案内してもらった……後で知ったが……結構社交的な性格のミリキャス君だがあそこまでなついてるのを見たのは親族や一部の使用人以外では初めてだと驚かれた。

 

そんなもんかねぇ……




ちゃっかりミリキャスを懐かせる悪魔誑しの一誠でした。ミリキャスも何だかんだで子供ですからね。自分に色眼鏡をつけない人には懐きます。

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