【完】真・ハイスクールD×D夢想 覇天の御使い 作:ユウジン
「ラァアアアアアアアアア!!!!!!!!」
修行を開始してから一週間……段々避けるのは上手くなっていた。て言うかね!避けるの上手くないと死にますって!
そして避けつつも倍化を重ねて……
「いっけぇ!」
氣弾をタンニーンのおっさんに放つ。
「気合いのこもった良い一撃だ!」
と言いつつもタンニーンのおっさんは火炎を吐いて氣弾を逸らした。
「強い一撃だが同時に単調で逸らしやすいのが難点だな」
「ちぃ!」
ヴァーリにもやられたが倍化した氣弾は威力は高いがどうにも直球で飛ぶため逸らしやすいらしい。やはり氣弾を飛ばすよりぶん殴った方が効く……だが皆さんの考えてほしい……こちとら鎧を着てる赤龍帝ですよ?でもね、相手は自分の身の丈を遥かに凌駕する体躯を誇り自前の鎧(ドラゴンの鱗)を持っててパワーだけなら魔王級……はっきり言おう……怖いよ!至近距離とか怖すぎるわい!
「おいおい、悪魔に啖呵を切った男の言葉とは思えんな!」
「ああいうのはノリと勢いと後は牽制のために言うもんだし何より喧嘩を売れるのと怖くないのは別じゃい!」
と一誠は良いながら構えると氣を込める。放出せずに行うのは氣による肉体強化……
「ウラァ!」
ドゴン!っと近くの岩を殴ってタンニーンのおっさんに向けて吹っ飛ばす……
「む?」
それをタンニーンのおっさんは腕を払って弾く……そこに、
「おぉ!」
《Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!》
「猛虎蹴撃!!!!」
蹴り上げと共に放たれる氣の猛虎……ライザーとの決着にも使ったその技はタンニーンのおっさんに襲いかかる。
「ガァアアアアアア!!!!」
「え?」
だがそれをなんとタンニーンのおっさんは一誠の放った猛虎蹴撃を正面から受けて食べたのだ。
「ゲフッ」
「俺の猛虎蹴撃は食いもんじゃねぇえええええええええ!!!!」
食ったよ!と言うか食えるのかあれって! 初めてみた……
「ほんのりイチゴ味だな」
「マジで!?」
「冗談に決まってるだろ。無味無臭だ」
タンニーンのおっさんのジョークは分かりにくい……なんて考えてると、
「やってるな」
「アザゼル?」
「先生くらいつけろ」
アザゼル……先生が現れた……
「ムグムグハグハグ!旨い旨い!」
「それはリアスのだな。こっちはアーシアであれは朱乃ので……」
「そのひとつだけシュウシュウ紫色の煙を発してるのがレイナーレのだろ?」
「ああ」
アザゼルが引きつった笑みを浮かべながらいう。そう、アザゼルは皆が作ってくれた弁当を持って来てくれたのだ。
「それでどうだタンニーン。一誠わよ」
「一つ聞きたいんだが……こいつは本当は何者だ?何度きいても自分は人間としか答えんのだ。悪魔でも天使とかでもましてや堕天使でもない……北欧の神話体型とも違うようだし我らのとは違う何かなのだとは思うが……」
「だからおっさん!俺は人間だっつうの!」
完全にタンニーンのおっさんにいたっては信じてくれなくなってる。
「大変だったんだな。北郷 一誠……人間と嘘をついてまで人間社会に溶け込もうとするとは……だがここではそんな嘘はいらないぞ」
何か凄い気を使われてるぅううううう!!!!凄い勘違いの果てに気を使われてるぅううううう!!!!そんな暗い過去なんてありませんよ!ただ単に修行が鬼畜だっただけです!と言うかアザゼル!なに笑ってんだ!
「ま、そろそろ諦め時ってやつだよ一誠。お前はどう逆立ちしたって人間じゃないのさ」
「諦めるかぁああああああ!!!!」
何で真実をいってるのに諦めんだよ!どう考えたって可笑しいだろ!
「ま、化け物って意味ではヴァーリも大概だったけどな。あいつになにかさせると「アザゼル……やってみたらできたぞ?」とかいって気付くと教えてたはずの堕天使がいつの間にか教えられる方になってんだ」
「あいつも大概だなぁ……」
「ま、その分飽きやすくて大成する前にやめちまうんだけどな」
(もし極めるとこまで極めちまうようなやつだったらどうなってたんだよ……)
「ま、あいつの才能はグラフでかくと魔力がずば抜けてたがお前もヴァーリの近接戦が弱く感じた訳じゃねぇだろ?」
「ああ、少なくとも鈍った勘を戻さないと危ないと感じたよ」
「だろ?」
そう言えばヴァーリで思い出したが……
「なあアザゼル……
それを聞いた瞬間アザゼルは苦い顔をした……
「……
「待ってくれ……
「いや、
「暴走……」
「ヴァーリはその膨大な魔力を犠牲にして暴走を抑える。無論完全に危険性を抑える訳じゃないがな。まあお前なら……氣を代償にすれば暴走を抑えられるかもな……だが問題はもう一つだ。そのもう一つが大きな理由でお前が
「自称人間でも?」
皮肉ぎみに言うとアザゼルが冗談抜きでだと言う。
「その理由がお前が自称でもなんでも人間だからだよ」
「……寿命を削るのか?」
一誠の言葉にアザゼルはうなずく。
「暴走を抑えても体にかかる負担は消せない。使用時は馬鹿みたいに寿命を削っていく。例えヴァーリは50年寿命削ってもあいつは悪魔の血をひいてるから良いだろう……だがお前の50年はどうだ?若いお前でも50年一気に寿命削られたらどうだ?流石に人間である以上寿命も長くたって100年一寸が限界だろ?」
「……そうだな……」
「まあお前が死ぬつもりで使うなら話は別だが安易に使うなよ?ってまだ使えねえんだったな……まあどちらにせよあれは力の爆発だ。回りを滅茶苦茶にして自分すらも滅ぼし掛けてやっと止まる」
何て話をしているとタンニーンが口を挟んだ。
「だが歴代の二天龍は全てそれを先に使った方が勝っている。北郷 一誠も
マジかぁ……ついにそこで種族の差が出たか……まあ流石に50年と例えが出たがもしかしたらそれ以上かもしれないし少ないかもしれない……そんなギャンブルはできないな。発動させた瞬間寿命を使いきってポックリでは役立たず処じゃない。タンニーンのおっさんのいうとおり何か別の力を考えよう。とは言えどうするよ……現段階では全く思い付かんがな……
「それで話は変わるが……一誠」
「ん?」
「お前は朱乃のことが好きか?」
何だ急に……そんなの決まってるじゃないか。
「そりゃ仲間なんだから好きですよ?」
「女としては?」
「そりゃあ綺麗ですし……まあ好意とかは別にしても憧れはする」
「そうか……俺はダチの代わりに見守ってやらなきゃいけないんだがな」
「確かアザゼルの部下だった……」
「部下と言うか……同士だな。ま、その娘だから気になるのさ。余計なお世話かもしれないけどな」
何だかんだでアザゼルは他者の面倒見が良い。今回のコーチ役だってそうだ。案外先生と言う役職はアザゼルにとっては堕天使の総督より天職なのかもしれない。
「ま、お前なら朱乃を任せられるな」
任せる?どういうことだ?
「お前はバカだが愛されるからな。普通だったら修羅場になって血が流れても可笑しくないのを上手く纏めてる。一種の才能だ。信頼を形成してから落としていくってのはな。誰の影響だ?」
「??????」
何を言っているのか全くわからんぞアザゼル……タンニーンのおっさんも成程そう言うことかみたいな感じだしわかってないの俺だけ?
「それより問題は小猫だな……」
「小猫が何か?」
「倒れた……完全なオーバーワークだ。俺が与えたメニューに過剰に取り込んで今朝な……アーシアに治療してもらったが怪我はともかく体力まではそうはいかない」
一誠は目を見開いた……小猫がなに思い悩んでるのはわかっていたが……少し様子を見るか……
「ま、どちらにせよ一旦グレモリー家に一旦連れ戻すように言われたんだ。いくぞ一誠。明日の朝には戻すから借りるぞタンニーン」
「わかった」
連れ戻すように言われた?誰からだ?
「先輩からですか?」
「その母上からだ」
先輩のお母さん……ヴェネラナさんからだった……
「1、2、3……そこでターン!」
グレモリー邸に戻されてすぐに一誠は別館に移動させられ先輩のお母さんの魔力で遠隔操作できるマネキンと社交ダンスをさせられていた。だがダンスも母に仕込まれてたし武術をやってるお陰でステップとかも小慣れてるんだ。
「はいそこまで。完璧ですね」
体力は底をついてますけどね……タンニーンのおっさんとのトレーニングのあとにこれはきつい……だがそれより気になること……
「あの……」
「なんでしょう」
「なぜ俺だけなんですか?」
そう、そこが疑問なんだ。なぜ今回自分だけ呼ばれてダンスの練習?
「既に木場祐斗さんやギャスパーさんは身に付けてます。一番の心配は人間界の一般人の一誠さんでしたが心配いりませんでしたね。まさかダンスまで嗜んでるとは……少し驚いています。でもこれなら社交界にリアスと出ても大丈夫ね」
母があれよこれよと覚えさせてきたもので……まさか冥界で役立つとは……恥を掻かずに済んでますよお母様……って社交界!?
「社交界ですか!?」
先輩のお母さんはしまったと口を抑えた……いや社交界ってこの間の勉強で知ったけど眷属だって事情がないと一緒にいけないんだぜ?因みに事情と言うのは自分の下僕と恋仲だったりとか(実はそういうのは結構多いらしい)そういう関係ならまだしも一誠と先輩はもちろんそんな関係じゃない。
「っと口が滑りましたわね。それより一誠さん。ここは学舎ではないんですからそう言う呼び方はやめた方がよろしいわよ」
むむ……だけどずっと先輩よびだったので呼び方を変えろと言われても……いやでも確かにここでは駒王学園のオカルト研究部部長のリアス・グレモリー先輩じゃなくて冥界の上級悪魔でグレモリー家の次期当主候補のリアス・グレモリー様なんだ……幾ら親しくしてくれてもそれなりの扱いをしなくちゃいけないと言うことか……一誠は盛大に勘違いをしつつ、
「じゃあリアスお嬢様……もしくはリアス様で……」
「……先輩と呼びなさい……」
あれ?何か先輩のお母さんが呆れてない? 何か間違ってた?もっと別の呼び方があるのか?それとも眷属の皆やアーシアが呼ぶように部長と呼ぶべきだったのか?
「よく考えなさい。確かにすぐにそうしろと言うのは酷でしょうけど考えてあげないとあの子に嫌われますよ?」
それは嫌だ……でも全くわからない……なにか望まれてるのはわかったけど……なんだ?
取り合えず話題を変えよう……気になっていたことがあるんだ。
「一つ良いですか?」
「なんでしょう」
「小猫は……大丈夫ですか?」
「元々倒れたのはオーバーワークによる疲労の限界を越えたことですからね。2、3日休めば大丈夫でしょう……彼女は今自分の存在と戦っていますから……難しいでしょうが……自分の中で答えを見つけなければ意味がありません」
「答え……」
一誠の呟きに先輩のお母さんが頷く。
「一誠さんもしておいた方がいいですね……二匹の猫の物語を……」
その口から聞いた物語……二匹の姉妹猫は二匹で毎日を生きていた……毎日必死に生きて力をあわせて生活していた……その二匹に転機が訪れる……ある日とある悪魔に拾われ姉がその悪魔の眷属となったのだ。そしてその妹猫も一緒に屋敷で住めるようになった。やっと平穏に暮らせる……筈だった。
だが姉猫は転生したことで眠っていた力に目覚め力を暴走した。それいつの間にか主すらも上回り主やその眷属たちを殺して姿を消したらしい……
「その力は上級悪魔であっても上位に食い込むほど圧倒的な力を持っており追撃隊すら返り討ちに会うほどでした……そして誰かがいったのです……」
【妹猫も力が暴走しかねないのだから始末した方がいいんじゃないか?】
「そんな……」
妹猫は……小猫は関係ないだろう。そんな理由でなのか……たったそれだけで……
リアス先輩とかに会う前だったら悪魔自体が嫌いになってたかもしれないな……今だったらいろんな悪魔がいるんだと思える部分はある……だがそれでも気持ちのいい話かと言われればそんなわけは断じてない。
「それはサーゼクスが妹には罪はないと説得し我が家で監視すると言う建前で何とかしました……そしてその妹猫をサーゼクスはリアスに託したのです」
それで小猫はリアス先輩の眷属になったのか……何か……悲しいお話だな……
「でもそうなる小猫は転生前は猫の……」
「はい。猫又と呼ばれる妖怪……特にその中でも上位種と呼ばれる猫魈と呼ばれる種族です」
猫魈……昔本でちらっと見た気がするがよくおぼえてない……それより一誠は足早に小猫の部屋に向かった……取り合えず今は症状を見たかったのだ。
そしてノックすると中からリアス先輩の声が帰ってきた。
「一誠……来てたのね」
「まあ……」
中に入れて貰うと小猫が寝ていた……するとなんと小猫の頭には猫耳がピコピコ動いていた……桂花母さんが若い頃につけていた猫耳とはではなく本物だ……こうやってみるとやはり……
「先輩のお母さんから聞きました……」
「そう……」
何がとは聞かれない……すると小猫が目を開けた。
「よう、元気か?……っ倒れた相手が元気なわけないか……」
「何しに来たんですか?」
スッゴい不機嫌でした……まあそれでも一誠は顔色を変えずに続ける。
「心配だから来た……っていうのはダメかな?」
「………………」
小猫は顔を背けた。ぶすっとしたままだけどね……まあ表情があって嬉しいよ?そっちの方が本心ぶつけてくれそうだしさ。
「話は聞いた。オーバーワークはだめだぞ……無茶したらそれこそ本末転倒だ……まあ俺が言うのも変かもしれないけどさ」
「…………なりたい」
「え?」
一誠は何か小猫が呟いたが聞こえず聞き返す。すると今度ははっきり言った。
「強くなりたいんです……祐斗先輩やゼノヴィア先輩……朱乃先輩……そして一誠先輩みたいに……」
「小猫……」
一誠は小猫を見た。
「私はルークなのに……一番よわくなっちゃう……ギャー君も必死に強くなろうとして祐斗先輩はイレギュラーの聖魔剣を使えてゼノヴィア先輩はデュランダル……一誠先輩は伝説のドラゴンでいつも強敵を倒してきた……私が一番役立たずなんです……でも猫魈の力は嫌なんです……使ったら姉様のように……怖いんです……どうしても嫌なんです……」
ルークは……駒のランクで言うと朱乃さんのクィーンの次に高いらしい。
ずっと小猫としてはコンプレックスだったんだ……一誠が自称人間と弄られるなかで小猫の中に確実に壁を感じさせたんだ。自分は悪魔でルークなのに赤龍帝とは言え一誠は人間の筈なのに自分を圧倒的に上回った戦闘能力……そしてその力に踊らされない精神……小猫にとってどちらも喉から手が出るほど欲しいものを一誠は持っていたのだ。一緒に居る時間が長くなればなるほどそう言う思いが膨らんでいった……
悪魔である自分が優れてるとかそう言う風に思ってたんじゃ断じてない。でも自分にはできないことをあっさりやってしまう一誠が凄いと尊敬すると同時に妬ましい気持ちが何処かにあったのもまた事実だ。
気づかないうちに……自分の存在が小猫を追い込んでいたのか……そう一誠は呆然とした。もし自分が眷属だったら少し違ったかもしれない……でも自分は自称でもなんでもやはり人間で……小猫は悪魔だ……そうやっていくと……やはり悔しいのだろうか……でも……これだけは言っておかないといけない。
「小猫……俺だって……自分の力は怖いよ」
「え?」
小猫は一誠を見た。
「これでも必死なんだ……一杯一杯だよ……俺はカッコつけてみたりするけどそれでも怖い……だって痛いの嫌だしさ……苦しいの嫌だしさ……自分の赤龍帝の力だって怖い……キツいのから逃げたい気持ちがない訳じゃないんだよ……でもさ、負けたら皆がどうなるかわからない。色んな想像がつくよな……その想像が現実になる方が俺にとっては怖いんだ……怖くて……震えて……そしてさ……誰かが泣くんだ。俺はそれの方が嫌だから戦ってるんだよ……」
「やっぱり一誠先輩は強いです……」
小猫の言葉に首を振る……
「違う……ただ足掻いてるんだよ……だってもし強かったら君を厳しめに叱咤激励出来たかもしれない……もしくはもっと元気出るようなこと言えたんだと思う。だけど俺は弱いからこういうことしか言えない…………【負けるな】」
たった一言……それだけだった。
「っ!」
「自分に負けるな……恐怖に負けるな……過去の自分に負けるな……未来にも負けるな……転んだって良いよ……折れかけたって良いよ……俺は責めない。何度でも君を助けるから……絶対に負けるな」
「………………」
それだけ言って一誠を背を向けた。
「小猫……俺もさ……負けないために戦ってるんだ。だからきっと君もできるよ」
それだけ言って一誠はリアス先輩に頭を下げて後は任せると屋敷を後にして
修行をオーバーワークして倒れない程度には制御した方がいいかな?でも父のお陰で頑丈だし今のに更に無茶を加えても大丈夫だろう……だって絶対に強くなって……小猫を守れるようになりたいから……
さて次回は修行を終了させてパーティーですね。そしたら黒歌登場です。いやぁ、最初は彼女結構ヤバイ女性でしたね……最近はスッカリ成りを潜めてますが……
そして一誠が怖いと感じるというのは祐斗の時にも言いましたね。とは言え今回は落ち着いて諭すようにですが……【腕っぷしがある=強い】じゃなくて、個人的には【怖くても前に進める=強い】と言う精神的な強さが重要だと考えます。一誠にもそう言う強さを高めてほしいですな。