俺たちの遊戯王部   作:宗馬

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第2話: 敗北と入部

悠 手札1 LP8000

モンスター ジェットウォリアー/☆5/ATK2100

アクセルシンクロン/☆5/ATK500

ドッペルウォリアー×2/☆1/ATK400

魔法・罠 リバース×1

 

仁 手札2 LP4600

モンスター 無し

魔法・罠 無し

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

仁は内心かなり焦っていた。最高だと思っていた布陣を容易く崩され更にライフの半分近くのダメージをうけたからだ。しかし手札をみる限り手がつきたというわけではない。仁は心を落ち着かせ次の一手をうつ。

 

「俺は手札から魔法カードトレード・インを発動!ギャラクシーアイズを墓地におくり2枚ドロー!っし!銀河の魔導師《ギャラクシーウィザード》を召喚。効果によりレベルを8にする!さらに、魔法カード銀河遠征《ギャラクシーエクスペンディション》発動!フィールドにレベル5以上のギャラクシーと名のついたモンスターがいるのでデッキから銀河眼の光子竜を特殊召喚!」

 

銀河の魔導師/☆8/ATK0

銀河の光子竜/☆8/DEF2500

 

フィールドに2体のモンスターが並び立つ。まるで仁の危機を理解したかのようにデッキがまわりはじめる。

 

「ふむ。あの状況からもう態勢を立て直してきたか。ならばこちらもいかせてもらおう!アクセルシンクロンの効果発動!」

 

悠がそう叫ぶとそれに答えるかのようにアクセルシンクロンが光の輪と化す。

 

「このカードは相手ターン中にこのカードを含む自分のモンスターでシンクロ召喚をすることが出来る。」

「相手ターン中にシンクロ召喚!?」

 

仁が驚きの声をあげるが悠は止まらない。

 

「レベル5のジェットウォリアーにレベル5のアクセルシンクロンをチューニング!」

 

ジェットウォリアーが5つの星となり、5つの光の輪と1つになる。

 

「アクセルシンクロ!!スターダストウォリアー!!」

 

スターダストウォリアー/☆10/ATK3000

 

その名の通り星屑の光をふらしながらあらわれたモンスターは美しいながらもウォリアーという名に恥じぬ力強い姿をしていた。仁はその姿にしばらく呆気にとられていたがはっと我にかえる。まだ彼のターンは終了していないのだ。

 

『相手ターン中にシンクロ召喚は驚いたけど、流れはまだこっちにある。一気に攻める!』

 

彼のフィールドにはレベル8のモンスターが2体。それならばやることは決まっている。

 

「俺はレベル8の銀河眼の光子竜と銀河の魔導師でオーバーレイ!」

 

2体のモンスターが光の渦に飲み込まれ、1つの光となって降り注ぐ。

 

「エクシーズ召喚!あらわれろ、No.62 銀河眼の光子竜皇《ギャラクシーアイズプライムフォトンドラゴン》!」

 

銀河眼の光子竜皇/★8/ATK4000

 

銀河眼の光子竜よりも一回り大きく、強い光を放つ竜があらわれる。このモンスターこそデッキの中で仁が最も信頼するカードだ。

 

「それが君のエースモンスターか。ならばこの瞬間、スターダストウォリアーの効果発動!相手モンスターが特殊召喚された時このカードをリリースしてその召喚を無効にして破壊する!」

「なっ…!」

 

形成逆転かと思った瞬間、光の竜は跡形もなく消えてしまった。これで仁のフィールドはがら空きになり、手札はこの状況では意味のないオネスト1枚だけだった。

 

「俺は…ターンエンド…」

 

仁LP4600 手札1枚

モンスター 無し

魔法・罠 無し

 

「私のターン、ドロー! 楽しかったがこのターンで終わりのようだ。バトル!スターダストウォリアーでダイレクトアタック!そしてこの瞬間、手札のラッシュウォリアーの効果発動!このカードを墓地に送りスターダストウォリアーの攻撃力を2倍にする!」

 

スターダストウォリアーATK3000→6000

 

「攻撃力6000…!」

 

ラッシュウォリアーの力を得たスターダストウォリアーの拳が迫ってくるが仁には防ぐ方法はない。そしてその一撃は彼のライフを0にするには十分だった。

 

仁LP4600→0

 

「負け、た…」

 

デュエルディスクのライフが0を刻み、仁の負けが決定する。

 

「お疲れ様です 2人ともナイスファイトでした!」

 

拓海と優紀が2人に話しかける。

 

「途中から俺たち空気だったけどな。」

 

すいません拓海くん。それは作者の文章力のせいです。

 

「ああ、私も楽しんでデュエルすることができた。今日は引きも良かったしな。」

「んなこと言ったら部長いっつも引きいいじゃないスか…」

「ん?そうか?」

「あの引きは反則レベルですよ」

 

楽しそうに話す3人とは対照的に仁は1人浮かない顔をしていた。本気で勝てると思っていたからこそこの敗北はいつも以上に悔しく、勝てると思っていた自分が恥ずかしくなった。

 

「仁君、悔しいか?」

「うっ、それは…」

 

直球すぎる質問に思わず仁は言葉を濁す。

 

「当たり前じゃないですか あんだけ大見栄きって負けたんですから…」

 

仁はぎゅっと拳を握りしめる。

 

「つーかさー、負けるってそんな格好悪いことなの?」

 

拓海がここで会話に入る。

 

「え……?」

 

その言葉に思わず仁は呆気にとられた。

 

「ここにいるみんな負けたことが無い人なんていませんよ。みんな負けると、次こそは勝ちたいと思って頑張っています。大事なことは負けてもそこで折れずに立ち上がることじゃ無いですか?」

 

優紀の言葉は確かに的を射ていた。今でこそ実力差がある仁と涼だが昔は涼のほうがデュエルでは弱かったのだ。その涼が今の実力をつけたのは負けたら次は努力し、頑張ることを続けたからだろう。

そう考えると心なしか気が晴れてきた。

 

「そう、だな。こんなとこで腐ってる場合じゃないな!」

「お、元気になったみたいだな。ところで…お前結局どうすんの?」

「あ」

 

作者も思わず忘れるところだったが仁は第一遊戯王部に行こうとしていたのだ。

 

「そういえばそうでしたね。仁くん、ここは是非第二遊戯王部に入ってもらえませんか?」

 

熱心に優紀がお願いする。

 

「私はどっちでもかまわんぞ。」

 

対して悠はこの態度だ。この部長マイペースだ。

 

「部長がそんなだからこっちに人が集まらないんですよ!もっと熱心に勧誘しないと廃部になっちゃいますよ!」

「それは困るな …仁くん、よければこの第二遊戯王部に入部してくれないか?もちろん無理矢理とは言わない。決めるのは君だ。」

「俺は…」

 

仁は悩んでいた。確かに第一遊戯王部のほうが規模は大きいだろうし、親友の涼が大きく力を伸ばせた場所でもあるのだろうが自分が確実に強くなれるのは【第二】のほうではないかと思い始めた。そしてしばらく考えた後、ゆっくりと顔をあげる。

 

「…俺、第二遊戯王部に入ります、いや入りたいです!」

「さっきまで【第一】志望だったのにどーしたんだよ?」

 

拓海が不思議そうに聞く。優紀も悠も口にはださないが仁の答えに意外という表情だった。

 

「うーん、なんつーかここなら強くなれるってピンときたからかな。」

「なんだ、その曖昧な理由…まあ、入るってんなら改めてヨロシク。」

「君が自分で決めたなら何も言うことはないよ。よろしく頼む。」

「これで4人目ですね よろしくお願いします。」

 

それぞれ改めて挨拶を終えたところで仁はずっと疑問に思っていたことをきいた。

 

「そーいえば、【第一】と【第二】って何が違うんですか?」

 

 

 

 

 

✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎

 

 

 

 

 

 

青藍高校遊戯王部はもともと1つだけだった。 しかし今年に入り突然もう1つ遊戯王部ができたのだ。その【第二】遊戯王部といえるものをつくった人物こそこの部の部長である九条悠その人なのだ。

 

「でもなんでもう一つ作ったんですか?元々1つあったのに。」

「ふむ。そうだな…あえて言うならやり方が気に入らなかったからかな。」

「?どういうことですか?」

「お前、ホントに知らないんだな。」

 

拓海が呆れ顏で説明する。

 

「それまで遊戯王部は普通に活動してて部長も所属してたんたんだけど、今年の3年生が急に部の方針をかえたんだとさ。」

「完璧な実力主義で部の中で明確なランクが存在するんですよ。しかもランクが下になってくると実力不足とみなされて退部させられてその退部させられた部員の中にははショックでデュエルをやめてしまう人もいるらしいですよ。」

「えぇ!?そんなシビアだったのか…」

 

先輩たちが厳しいとは聞いていたがそこまでとはまさかそれほどとは思わなかった。

 

「でもそんな厳しいならやめる人もいるでしょ?」

 

もっともな質問だ。それほど厳しいのなら自分から退部を申し出る人も少なからずいそうなものである。

 

「それがそうもいかねーんだ。入部した時点でよほどの事情がない限り自分からやめることはできないんだ。それでも大会で成績を残したり青藍の実力者が集まったりしてるわで人気あんだけどな。」

「あれ?じゃあ部長はどうやってやめてきたんですか?」

 

ふと思いついたことを何気なく仁が尋ねる。

 

「あぁ、無理矢理辞めてきたんだ。」

「そんなことできたんですか!?」

思わず大きな声をあげてしまう仁。仁が今聞いた限り、とてもそんなことができるとは思えなかった。

 

「仁くん、部長はこう見えても青藍高校で一番の実力者なんですよ。」

「マ、マジかよ…」

「優紀くん、こう見えては余計じゃないか?」

 

不服そうに悠がふくれっ面をする。確かにこんな人が、学校で一番の実力者とは思えない。

 

「ちなみに2人はどうしてこっちのほうにはいったんだ?」

「「面白そうだから(です)」」

 

この2人も大概変わり者だ。仁は入る部を一瞬間違えたかと思ったが考えないようにした。

 

「さて、1人新入部員が入ったところでそろそろ活動を始めようか。」

 

悠がそうきりだす。

 

「活動ってデュエルをするんですか?」

「いつもはそうなんだがいまは5月だからな、新入部員獲得が主な活動なんだ。」

「廃部は免れましたが、団体戦の人数にはまだ少し人数が足りないんですよね。」

 

テニスや卓球で団体戦があるように遊戯王の大会にも団体戦が存在するのだ。その内容とはシングルス1つとダブルス2つ。出場登録するには補欠1人を含め、6人必要なのである。現在遊戯王部は仁を含め4人所属しているのであと2人必要だ。

 

「あと、2人ですか。見つかりますかね。もう大体みんな入る部活きめてますからね。」

「そうなんだよなー、どうしたもんか。」

「「「「……」」」」

 

全員が黙ってしまった。仁1人が入部したことさえ奇跡的なのにそのうえ、もう2人見つけることが本当にできるのか疑問だった。

 

「よし、この件は新入部員である仁くんに任せよう。」

「はぁぁぁ!?なんで俺なんですか!?」

「私たちの知り合いには大体まわったんだがどの人もだめでな。もう仁くんしか頼れないんだ。」

「そーいわれましても…」

 

仁は断ろうとするが3人の期待の眼差しに見つめられると嫌とは言えない。

 

「あー!もう、分かりましたよ!やりますよ!でもあんま期待はしないでくださいね。」

「君ならそう言ってくれると思ったよ。ありがとう。」

 

結局OKしてしまった。ハアとため息をつくが部の雰囲気は和んでいた。

 

『やっぱりこっちにして良かったな』と仁は心の中で思ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




2話終了です。いや〜デュエルがたった3ターンで終わってしまいました(汗)
次からはもう少し見応えのあるデュエルを書きたいと思います。

さて、第二遊戯王部に入部した仁くんですがいきなり部員集めをまかされてしまいました!はたして入ってくれる部員は見つかるのでしょうか!?3話に続きます!
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