俺たちの遊戯王部   作:宗馬

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第3話:仁VS優紀

「え?第二遊戯王部に入部した?」

 

 放課後の教室で2人の男子生徒の声が響く。1人は桐生涼、1年生にして青藍高校でも実力者の部類に入る生徒だ。

 

「うん。聞いた感じあっちのほうが性にあうって感じだったからさ。」

 

 そしてもう1人は先日第二遊戯王部に入部したこの物語の主人公の如月仁だ。彼らは今お互いに部活まで時間があるということで、デッキ調整をしながら話をしていた。

 

「でも、大丈夫?あそこの人結構変わってる人多いって聞いたけど。」

「うーーん。多いっていうより変わってる人しかいないけど悪い人達じゃないからさ。」

 

 仁はそう言いつつ散らばったカードを集める。

 

「まあ、お前が入るって決めたんならそれでいいけどな。でもお前のことだから後でぜっt…」

「あ、そうだ!涼もこっちに入らない?今大会出るための人数足りなくてこまってんだ!」

 

 涼の言葉を遮って仁がずいっと迫る。

 

「お前は人の話を聞けよ。せっかくのお誘いだけど、俺は今のとこで気にいってるからやめる気はないよ。」

「でもめっちゃ厳しいって聞いたけどお前こそ大丈夫なのかよ?」

 

 心配そうな顔をして仁が尋ねるが逆に涼はいたって平気そうな顔だ。

 

「確かに先輩たちは厳しいしやり方も多少強引なとこもあるけど、強くなれるんだから文句はないよ。」

「そんなもんか〜?」

「そんなもんだよ。あ、そのカードはこっちのほうがいいんじゃね?」

「そう?でもこれにはこういうコンボがあって…」

「あーなるほど。じゃあこっちのカードも使えるな。」

 

 世間話をしながらも2人とも手を休めることなくデッキを組み上げていく。デッキが完成したときには結構な時間が流れていた。

 

「おっと、もうこんな時間か。そろそろ時間だな。仁も行ったほうがいんじゃね?」

「そうだね。んじゃ、俺も行くわ。」

「お互い色々あるだろうけど頑張ろう。」

「ああ!早くお前に追いついてやるぜ!」

「そりゃ楽しみにしてるよ。じゃな。」

「バイバイ」

 

 そう言葉を交わし2人はデッキをしまうと席を立ちお互いに別々の遊戯王部へ向けて歩いていった。

 

『とは言ったもののどうしたもんかな…』

 

 遊戯王部へ向かう道中仁の気はあまり晴れなかった。なぜなら彼は新入部員を見つけてくるという役目を(無理矢理)与えられたのだ。それにも関わらずいまだ収穫は0だった。

 

『ま、うじうじしてても仕方ないし俺は俺でできることをしよう!』

 

 前向きに考え直したところで部室のドアを勢いよく開けた。

 

「こんちはー、ってなんじゃこりゃあ!?」

「ん?仁くんか。ちょうどいいところに来たな!」

 

 ドアを開けた仁が見たものはアニメ遊戯王◯D'sで登場したチームサティスファクションのジャケットを着た悠と優紀、そして

 

『君達も第二遊戯王部で一緒にデュエルして満足しようぜ!!(デュエルに自信がない人も大丈夫!)』

 

 というキャッチコピーが書かれた手作り感丸出しの看板が置いてあった。

 

「部長!それに柊までなんて格好してんだよ!それにこの看板とその服装何スか!?」

「ん?これか?これは満足同盟という伝説のチームに伝わる衣装で…」

「そんなこと言ってるんじゃないスよ!」

 

 仁の盛大なツッコミが炸裂する。それを見かねた優紀が説明する。

 

「これは新入部員勧誘のための衣装と看板ですよ。仁くんに任せっきりというのも可哀想ですしね。」

「えぇ…これが?」

 

 優紀が説明するも仁はまだ信じられないという顔をしていた。

 確かにこの状況で真剣に部員勧誘をしていると言われても悪ふざけにしかみえない。

 

「私たちにはあと2人部員を集めるという目標がある!これを達成しないと満足できないじゃないか!」

 

 悠が某満足さんの口癖を真似て力強く語る。

 

「じゃあ普通にしろよぉぉぉぉぉ!」

 

 ここで仁が真っ当な意見をいう。しかし2人は

 

「それじゃあ面白くないじゃないですか!」

「面白くないだろ!」

 

 この調子である。

 2人のテンションに呆れつつも仁はある人物がいないことに気づく。

 

「あれ?そーいや拓海はどこいったんスか?」

「拓海くんなら部室に来るなり今日は用事があるといって帰ってしまったぞ。

「どうしたんですかね。かなり急いでた様子でしたけど。」

 

『逃げたなあいつ…』

 

 拓海が逃げるのが目に浮かぶ。

 

「さて、じゃあ仁くんもお願いします!」

 

 そう言うと優紀は笑顔でジャケットを渡してくる。思わず仁はたじろぐ。この服を人前で着るのはさすがに恥ずかしすぎる。

 

「じゃ、じゃあデュエルで決めないか?俺が負けたらそれを着て勧誘するけど俺が勝ったら普通に勧誘するってのはどう?」

「いいですよ!勝負です!」

 

 苦し紛れにしか聞こえない仁の言葉だがここでデュエルをするのが遊戯王部だ。

 

「じゃあ私はせいぜい空気にならないように観戦させてもらおう。」

 

 悠さん、それは言わないでください。

 

「準備はできましたか?」

「ああ!いつでもいいよ!」

 

 2人がお互いにデュエルディスクを構える。

 

「「デュエル!!」」

 

 仁LP8000

 優紀LP8000

 

「俺の先攻だ。まず魔法カード《トレード・イン》を発動。《銀河竜の光子竜》を墓地に送って2枚ドロー。更に銀河眼の雲篭《ギャラクシーアイズクラウドドラゴン》を召喚。」

 

 銀河眼の雲篭/☆1/ATK300

 

 銀河眼の光子竜を小さくしたドラゴンがあらわれる。一見攻撃力の低いモンスター見えるがこのカードはリリースすることで手札、墓地から《銀河眼の光子竜》を特殊召喚できる優秀な効果を持っており、仁もその効果を使用する。

 

「そして銀河眼の雲篭の効果発動!このカードをリリースして墓地から銀河眼の光子竜を特殊召喚する!」

 

 銀河眼の雲篭が光を放ったかと思うと銀河眼の光子竜がフィールドに降り立つ。

 

 銀河眼の光子竜/☆8/3000

 

「カードを2枚伏せてターンエンド。」

 

 仁 手札2枚 LP8000

 モンスター/銀河眼の光子竜/☆8/3000

 魔法・罠 /リバース×2

 

 上場な滑り出しだが相手の優紀の力は未だ未知数だ。油断は命取りだろう。

 

「私のターンですね。ドロー!手札から《Eーエマージェンシーコール》を発動します。デッキから《E・HEROエアーマンかを手札に加えてそのまま召喚!」

 

 E・HEROエアーマン/☆4/ATK1800

 

「うげ、HEROか…」

 

 仁は明らかに嫌そうな顔をして呟く。仁の反応を見てわかる通り【HERO】とは非常に強力なテーマなのだ。その強力な特徴とは多彩な融合召喚と幅広いサーチカードを用い、相手を圧倒することにある。

 

「《エアーマン》の効果を発動して私は《E・HEROバブルマン》を手札に加えます。そして魔法カード《融合》を発動!手札の《バブルマン》と《E・HEROフォレストマン》を融合!」

 

「いきなり融合!?しかもその組み合わせは…」

「HEROと水属性モンスター。くるか…」

 

  仁と悠が呟く。

 

「ええ。多分2人の予想通りです。融合召喚!《E・HEROアブソルートzero》!」

 

 E・HEROアブソルートzero/☆8/ATK2500

 

 水属性のHEROがフィールドにあらわれる。その雰囲気もさることながらこのモンスターは凶悪な効果をもっているのだ。

 

「バトルフェイズに入り、手札から《禁じられた聖槍》を《銀河眼の光子竜》を対象に発動します。」

「ええ!?」

 

 銀河眼の光子竜ATK3000→2200

 

これで《アブソルートzero》の攻撃力が《光子竜》を上回った。

 

「では、バトルです!《アブソルートzero》で《光子竜》を攻撃!」

 

このままでは《光子竜》は破壊されてしまうが仁もこのまま黙ってはいない。

 

「ちょっと待った!罠カード《次元幽閉》を発動して《アブソルートzero》を除外する!」

 

 極寒のHEROが次元の裂け目に消えていった。しかしモンスターが除外されたにも関わらず優紀は平然とした顔をしている。

 

「この瞬間《アブソルートzero》の効果を発動します!このカードがフィールドを離れたことにより相手モンスターを全て破壊します!」

「やっぱりか…」

 

 次元の裂け目がとじると同時に仁のフィールドが猛吹雪に襲われる。その吹雪により《銀河眼の光子竜》は跡形もなく消えてしまった。

 

「続けて《エアーマン》でダイレクトアタック!」

「うっ」

 

 エアーマンの一撃が仁のライフを確実に削ってくる。

 

 仁LP8000→6200

 

「カードを1枚伏せてターンエンドです。」

 

 優紀/手札1枚/LP8000

 モンスター/E・HEROエアーマン/☆4/ATK1800

 魔法・罠/リバース×1

 

「俺のターンドロー!永続罠《リビングデッドの呼び声》を発動。墓地の《銀河眼の光子竜》を特殊召喚する!」

 

 銀河眼の光子竜/☆8/ATK3000

 

 再び銀河眼の光子竜がフィールドにあらわれる。

 

「もう戻ってきましたか、厄介ですね。」

 

 優紀が苦い顔でそう言う。

 

「こいつは俺のフェイバリットカードだからな。そう簡単には止められないさ。」

 

 対して仁は得意げな顔をしている。

 

「まだまだいくよ!俺は魔法カード《銀河遠征》を発動!」

 

 悠とのデュエルでも登場したカードだ。その効果はフィールドにレベル5以上の《ギャラクシー》または《フォトン》がいればデッキからレベル5以上の《ギャラクシー》、《フォトン》を特殊召喚できるというものだ。上手くいけば一気にエクシーズ召喚にまで繋げられるこのデッキのキーカードともいえる。

 

「俺はデッキから2枚目の《銀河眼の光子竜》を守備表示で特殊召喚!」

 

 銀河眼の光子竜/☆8/DEF2500

 

 これでフィールド上に2体の銀河眼の光子竜が並んだ。その光景は圧巻ともいえる。

 

「今度は俺の番だ!俺は2体の《銀河眼の光子竜》でオーバーレイ!」

 

 2体の竜が光の渦に吸い込まれていく。この状況で出すカードといえば1枚しかない。

 

「エクシーズ召喚!《銀河眼の光子竜皇》!」

 

 銀河眼の光子竜皇/★8/ATK4000

 

「でましたね。仁君のエースモンスター!」

「私とのデュエルではすぐ破壊されてしまったからな。次はどうなるか楽しみだ。」

「じゃあいくよ!《光子竜皇》で《エアーマン》に攻撃!エタニティ・フォトン・ストリーム!!」

 

 《光子竜皇》の一撃が《エアーマン》を襲う。

 

「ダメージ計算時、《光子竜皇》の効果発動!エクシーズ素材を一つ取り除きこのカードの攻撃力をフィールドのランクの数×200ポイントアップさせる。今フィールド上のランクの数は8だから1600ポイントアップだ!」

 

 《銀河眼の光子竜皇》ATK4000→5600

 

「攻撃力5600…!これは止めさせてもらいます。罠カード《ガードブロック》を発動して受けるダメージをゼロにします。」

「でも《エアーマン》は破壊させてもらう!」

「くっ…。《ガードブロック》の効果で1枚ドローします。」

 

 さっきの状況とは逆に今度は優紀のフィールド上にカードがなくなった。

 

「俺はこれでターンエンド!」

 

 仁/LP6200/手札2枚

 モンスター/銀河眼の光子竜皇/★8/ATK4000

 魔法・罠/無し

 

 仁は心の中で密かにガッツポーズを作った。ダメージを与えることはできなかったがボードアドバンテージはひっくり返すことができた。これで流れは仁に傾いてきたかに見えたが、次のドローで優紀の手札は3枚。このまま終わるとも思えない。

 

「私のターン……そうですね、私は魔法カード《ミラクルフュージョン》を発動します。墓地の《フォレストマン》と《エアーマン》を融合!融合召喚!《E・HERO ガイア》」

 

 地面が盛り上がったかと思うとそこから地属性の名を冠するHEROがあらわれる。

 

「《ガイア》の効果を使って《銀河眼の光子竜皇》の攻撃力を半分にしてガイアの攻撃力に加えます!」

 

 銀河眼の光子竜皇ATK4000→2000

 E・HEROガイアATK2200→4200

 

 これで《光子竜皇》の効果を使用しても戦闘でたおせる攻撃力になった。

 

「更にE・HEROシャドーミストを召喚!」

 

 E・HEROシャドーミスト/☆4/ATK1000

 

「ではまず《ガイア》で《光子竜皇》に攻撃します。」

「じゃあダメージ計算時エクシーズ素材を一つ取り除いて効果を使う!」

 

 光子竜皇子ATK2000→3600

 

 しかし《ガイア》の攻撃力には届かず破壊されてしまう。

 

「《シャドーミスト》でダイレクトアタック!」

 

 仁LP6200→5600→4600

 

 仁のライフポイントがみるみる減っていく。しかし優紀は止まらない。

 

「まだですよ!手札から速攻魔法《マスクチェンジ》を《シャドーミスト》を対象に発動します!」

「いぃ!?」

「変身召喚!《M・HERO 暗鬼》!」

 

 闇属性のHEROが召喚される。

 

「墓地に送られたシャドーミストの効果でデッキから《E・HEROアナザーネオス》を手札に加えます。また、バトルフェイズ中の召喚により追撃が可能です!《暗鬼》でダイレクトアタック!」

 

 仁LP4600→1800

 

「これで私はターンエンドです。」

 優紀/LP8000/手札1枚

 モンスター/E・HEROガイア/☆6/ATK2200

  M・HERO暗鬼/☆8/ATK2800

 魔法・罠/無し

 

 さっきまで仁が有利だったにもかかわらずライフアドバンテージ、ボードアドバンテージ共に優紀の圧倒的有利となった。

 

「優紀って雰囲気に合わず結構力押しでくるよな…」

 

 仁が顔をひきつらせ、無意識のうちにそう言っていた。仁の使う【ギャラクシー】デッキは単純な火力だけなら数あるデッキの中でもトップクラスである自信があった。しかし仁の召喚する高攻撃力のモンスターを優紀はことごとく突破してくる。

 それを見て悠が不敵に微笑みながら答える。

 

「彼女のデュエルスタイルはどんな相手でも真っ向から倒すことでね。仁くんと同じパワータイプのデュエリストだよ。」

「やっぱりか。だけどそれならなおさら負けられない!」

 

 圧倒的不利な状況にもかかわらず仁はまだ諦めていない。そして次は仁のターン。どちらが勝ってもおかしくない、そう思いながら悠はこのデュエルを見守るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




第3話終了しました!
いやー優紀さんはまさかのHERO使いでした(笑)
そして次回、このまま仁は負けてしまうのでしょうか!?はたまた大逆転勝利するのでしょうか?
気になる方は次回もお楽しみに!(笑)

感想・質問等ありましたらコメントよろしくお願いします。
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