俺たちの遊戯王部   作:宗馬

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心の中で思っていることは『』であらわします。


第4話:新たな出会い

 仁LP1800/手札2枚

 モンスター/無し

 魔法・罠/無し

 

 優紀LP8000/手札1枚

 モンスター/E・HEROガイア/☆6/ATK2200

  /E・HERO暗鬼/☆8/ATK2800

 魔法・罠/無し

 

「俺のターン、ドロー」

 

 このデュエルも終盤に差し掛かってきた。優紀の場には上級HEROが2体に対して仁の場にはモンスターは0だ。この状況だけ見れば仁が諦めかけていると思う人が多いだろうが仁の目はまだ諦めているもののそれではない。

 

『このターンが境目だな…さて仁君、何を見せてくれるかな。』

 

 静かに見守る悠も仁が諦めているようには見えなかった。どんな手段を使ってこの状況を覆してくるのか、そんなことを考えていた。

 

「俺は手札から《銀河魔導師》を墓地に送って《銀河戦士》を特殊召喚する。」

 

 銀河戦士/☆5/DEF0

 

 全身鎧の戦士があらわれる。守備表示での召喚だがその守備力はこの状況では心細い0だ。しかしこのカードの真価はその効果にある。

 

「俺は《銀河戦士》の効果を使う!このカードが特殊召喚に成功した時デッキから【ギャラクシー】と名のついたモンスターを手札に加える。俺は《銀河騎士》を手札に加える!」

 

 これが《銀河戦士》の強みだ。自身の特殊召喚に成功するだけでデッキから【ギャラクシー】モンスターをサーチできるという強力な効果をもっているので【ギャラクシー】デッキでは潤滑油として機能する。

 

「《銀河騎士》は自分のフィールド上に【ギャラクシー】と名のつくカードがあるときエンドフェイズまで攻撃力を1000下げて妥協召喚できる!」

 

 銀河騎士/☆8/ATK1800

 

 攻撃力が大きく下がってしまったが関係ない。

 

「更に《銀河騎士》がこの効果で召喚に成功した時墓地の《銀河眼の光子竜》を特殊召喚できる!

  来い!《銀河眼の光子竜》!!」

 

 銀河眼の光子竜/☆8/DEF2500

 

 このデュエルでも、もう何度も登場している仁のエースモンスターだ。今回は守備表示だが今重要なのはレベルが8だということだ。

 

「これで最後だ!俺の場に攻撃力2000以上のモンスターがいるから《オーバーレイブースター》を特殊召喚!」

 

 最後に背中からブースターを装備した赤い色をした戦士があらわれる。これで仁の場にはモンスターが4体いることになる。この仁の怒涛の召喚に優紀は少なからず動揺していた。

 

『フィールド0の状況からここまで巻き返してくるとは… ここはなんとか凌ぐしかないですね』

 

 そう優紀が考えていると仁が早速動く。

 

「俺はレベル5の《オーバーレイブースター》と《銀河戦士》の2体のモンスターでオーバーレイ! エクシーズ召喚!《No.61ヴォルカザウルス》!」

 

 No.61ヴォルカザウルス/★5/ATK2500

 

 灼熱の炎と巨大な鎧を身に纏った恐竜が召喚される。

 このモンスターの凶悪な効果と今のフィールドの状況を考えて優紀が思わず声を上げる。

 

「っ!?ここでヴォルカザウルスですか!」

「ああ、だけどこれで終わりじゃないぜ。俺はレベル8の《銀河騎士》と《銀河眼の光子竜》でオーバーレイ!エクシーズ召喚!」

 

 レベル8同士による高ランクのエクシーズ召喚。仁のランク8エクシーズモンスターの切り札は《銀河眼の光子竜皇》だが先ほど《ガイア》により破壊されてしまった。しかし仁は《銀河眼の光子竜皇》と並ぶもう1体のドラゴンをもっている。当然召喚するのはそのカードだ。

 

「あらわれろ!《No.107銀河眼の時空竜》!!」

 

 No.107銀河眼の時空竜/★8/ATK3000

 

 《銀河眼の光子竜》とは対照的に黒い姿をした竜がフィールドに降り立つ。

 

「それが仁君のもう1枚の切り札ですか?」

「ああ。これが俺の本気の本気だ!まず《ヴォルカザウルス》の効果を発動。《暗鬼》を破壊してその攻撃力分のダメージを与える!」

 

 高熱のマグマが押し寄せてきたと思うと《暗鬼》を飲み込んでいった。

 その爆音に優紀が「きゃっ」と短く悲鳴をあげる。

 

 優紀LP8000→5200

 

「バトルフェイズに入って《ヴォルカザウルス》で《ガイア》を攻撃!」

 

 先ほどと同じマグマの嵐が《ガイア》を襲い、破壊する。ダメージは微々たるものだがこれで優紀の場はがら空きだ。

 

 優紀LP5200→4900

 

「続けて《時空竜》でダイレクトアタック!」

「うぅ…」

 

 優紀LP4900→1900

 

 仁の連続攻撃が優紀のライフポイントを一気に削る。これで2人のライフの差はほぼ互角だ。しかしフィールドは1ターン前とは対照的に優紀のほうが0になってしまった。

 

「さすが仁君、予想以上のものを見せてくれる。しかし優紀君は強いぞ」

 

 独り言のように誰に言うでもなく呟く悠だが仁はすぐにこの言葉の意味を知る。

 

「俺はターンエンド!どうだ柊!」

 

 仁LP1800/手札/0枚

 フィールド/No.61ヴォルカザウルス/★5/ATK2500

  No.107銀河眼の時空竜/★8/ATK3000

 魔法・罠/無し

 

「仁君すごいですね。ですがたった1回のドローでどんな不利な状況だってひっくり返すことができるんですよ。」

 

 そう言って優紀はデッキトップに手をかける。

 

「ドロー!…きましたよ、逆転の1枚が。」

 

 優紀の手札には前のターン《シャドーミスト》の効果によりサーチした《アナザーネオス》だけである。そこから何をひいたのか、そう考えると仁は身構える。

 

「私は《E・HEROアナザーネオス》を通常召喚!」

 

 E・HEROアナザーネオス/☆4/ATK1900

 

 下級モンスターとしては高めの攻撃力だがこの状況ではその攻撃力も意味はない。しかしそんなことは優紀もわかっている。

 

「私は手札から《マスクチェンジ》をアナザーネオスを対象に発動します!変身召喚!《M・HERO光牙》!!」

 

 M・HERO光牙/☆8/ATK2500

 

 光のHEROが《アナザーネオス》が姿を変えてあらわれる。

 

「更に《光牙》の効果を発動します。墓地に存在するHEROを除外してその攻撃力分相手モンスターの攻撃力を下げます!」

「なんだって!?」

「私は墓地の《M・HERO暗鬼》を除外して《時空竜》の攻撃力を2800ダウンさせます。」

 

 銀河眼の時空竜/ATK3000→200

 

 《時空竜》の攻撃力がさがり、一気に弱体化した。しかし仁の手札は0であり伏せカードも無くなす術はない。

 

「クッソ…」

「《光牙》で《時空竜》を攻撃!」

 

 《光牙》が《時空竜》に突進してそのまま粉砕した。そしてその瞬間仁のライフが0になった。

 

 仁LP1800→0

 

 ソリッドヴィジョンが消えると同時に悠が『パチパチ』と拍手をして近寄ってきた。

 

「いいデュエルだった。仁君惜しかったな。」

「ハイ、今度は勝てると思ったんですけど…」

 

 仁は一瞬落ち込んだ顔を見せたがすぐに元の表情に戻る。

 

「落ち込んでるばかりじゃダメ、ですよね。次に繋げないと。」

「その通りだ。仁君も成長している。今回のデュエルにもいくつかミスがあった、それを直せばもっと強くなれるだろう。」

「ハイ!よーし!早速デッキ調整だ!」

 

 しかし皆さん忘れていると思うがこのデュエルはあることを賭けて行われたものだ。

 

「さて仁君、いい感じにまとまったところでこれを着てもらえませんか?」

「あ」

 

 そう、これは仁が◯足ジャケットを着て優紀や悠と勧誘活動をするかどうかを賭けておこなったデュエルだ。仁が負けてしまったので当然賭けは優紀の勝ちだ。

 

「あ、俺ちょっと用事思い出して…悪いけどかえらなきゃ…」

「仁く〜ん、逃げようたってそうはいきませんよ〜」

「そうだぞ、男子なら一度交わした約束は守るものだ。」

 

 2人が笑顔で迫ってくる。もちろん逃げられるわけもない。

 

「勘弁してくれ〜〜!!」

 

 仁の虚しい叫び声が校舎中に響き渡った。

 

 

 

 

 

 * * * * * * * * *

 

 

 

 

 

 太陽が西に沈みかけ空が暗くなりつつある中、仁は学校から帰る途中であった。結局あの後◯足ジャケットを着て勧誘をさせられてしまった。結果は言うまでもなく空振りだ。しかも道行く生徒たちに完全に白い目で見られる始末である。仁は恥ずかしくて死にそうになった。

 

「ハアーー、酷い目にあった。次からは絶対やらねー」

 

 ため息をつきながら歩いていると仁は見慣れないカードショップを見つけた。

 

「んん?『遊里亭』?こんなカードショップあったけ?ちょっと寄ってみるか。」

 

 仁は元々好奇心の強い性格だ。面白そうだと思うととことん興味を抱き、追求するタイプなのだ。今回も仁は新しいカードショップということで無意識にその方向へ歩を進める。

 

「おっ。結構中広いな。」

 

『遊里亭』の中に入ると仁はまずそう声をあげた。店の中は新店舗らしく明るく広々としたつくりになっており、レアカードからノーマルカードまで幅広く揃えてあるようだった。

 

「うーんどうしよっかな。レアカードもいいけどストレージにも掘り出し物があるかもだしなー」

 

 新しいカードショップに仁は少々興奮気味だ。まずはレアカードを見ようとショーケースの方向に行くと男女四人ほどの集団を見つけた。普段なら特に気を止める物ではないがその中の1人に知っている顔がいたので思わず声をかけた。

 

「あれ、成宮じゃん。何してんのこんなとこで。」

 

「如月、仁?あんたこそ何やってんのよ。」

 

 そう言って返事をしたのは仁と同じクラスの成宮沙耶だ。ショートヘアーに少しキツめの目つきをした彼女は勉強もスポーツもでき、かつ顔が整っているので男子の人気者なのだ。しかし思ったことをはっきり言うその性格はキツイという印象が強いらしく言い寄ってくる男子は少ない。そんな彼女だが遊戯王関連についてはあまり噂は聞かない。そう思ったのでこの場所に彼女がいることに疑問を感じた。

 

「ちょっと〜俺たちのこと無視しないでよ。」

 

 そう言ったのは残りの男子のうち、リーダー格に見えた1人だ。

 

「あんた達なんかと遊ばないって言ってんでしょ。鬱陶しいからどっかいきなさいよ。」

 

 その瞬間、仁はこの状況を理解した。どうやら沙耶はこの男子たちに絡まれているらしい。なんだってカードショップでそんなことしてんだよとか色々ツッコミたいことがあったのだがここはとりあえず沙耶を助けることにした。

 

「あのー成宮嫌がってんでやめてもらっていいですかね。」

「何?キミこの娘の知り合い?悪いけど俺たちが先客だからさ、帰ってくんない?」

 

 点で話を聞いてくれそうにない。困ったと思いつつどうしようか考えていたら痺れを切らした沙耶がスタスタと立ち去る。

 

「ちょっと待てよ。それならここはデュエリストらしくデュエルで決めないか?」

 

 そう言うのはリーダー格の男。この男、カードショップに来ているというだけあって一応デュエルはできるらしい。しかしいくらここがデュエル中心となっている街だといっても全てをデュエルで決める必要はない。

 

「嫌よ。」

 

 案の定沙耶は断ってそのまま立ち去ろうとした。しかしそこで言った男の一言が良くなかった。

 

「もしかしてキミデュエルできないの?まあ、オレ強いしね。できたとしても勝てないとおもうけど。」

「ハァ!?」

 

 そう言って振り返ると沙耶はこちらに戻ってきた。見え透いた挑発だったがどうやら彼女は見事にのってしまったらしい。

 

「上等じゃない。やってやるわ。如月!デュエルディスク貸して!」

「え、じゃあ俺はどうしたら…」

「その辺で見てなさい!」

「あーもうわかったよ!どーにでもなれ!」

 

 事態を収拾しようと思ったら逆に事態が大きくなってしまった。頭をかかえつつもデュエルディスクを沙耶に渡す。しかし同時に仁は楽しみでもあった。成宮沙耶という人物がどれほどの実力なのか、それを見てみたいという望みもあったのだ。期待と不安の両方の感情を抱きながら仁はこれから始まるであろうデュエルを見守るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、第4話も終了しました。いかがでしたでしょうか?
仁君は結局負けてしまいました…しかし!まだまだ仁君は成長途中ですから次は勝てます!(多分)
そして新キャラ(?)である成宮沙耶さんが登場しました。次回は彼女のデュエルからスタートです!
お楽しみに!!

感想、コメントありましたらよろしくお願いします。
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