俺たちの遊戯王部   作:宗馬

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今回は話の区切り上字数が少なめになっています。


第5話:成宮沙耶

カードショップのデュエルスペースでデュエルディスクを装着した2人が向かい合う。1人は成宮沙耶。仁のクラスメイトでありその実力は未知数の女子生徒。そしてもう1人は沙耶に絡んでいた不良のリーダーだ。取り巻きを連れていることから実力は中々あるのだろう。そして仁はというと今回は完全に外野に回っていた。

 

『これって俺が主人公の小説だよね!?主人公こんな蚊帳の外でいいの?』

 

心の中でこんなことを考えていたが同時にこれはチャンスだとも思っていた。

 

『でも、もし成宮が強かったら遊戯王部に勧誘してみようかな。』

 

そうやって仁があれこれ考えを巡らせている間にデュエルは不良リーダーの先攻で始まったようだ。

 

「俺のターン。フッ、アハハハハハハ!!!俺ってばカードに選ばれすぎぃ!!」

 

どうやら初手の手札が相当良かったらしく早くも勝負がついたかのような言い草だ。

 

「「さっすがアニキィ!マジすごすぎっすよ!!」」

 

これは取り巻き2人のセリフ。何気に初セリフだ。

 

「どーでもいいけどさっさとしてくれない?遅いんだけど。」

 

どうやら沙耶は相当この3人に怒っているらしくイライラしているのを隠せていない。

 

「ああ、ゴメンゴメン。じゃあいくよ!俺は手札から《神獣王バルバロス》をリリースなしで妥協召喚!!でもこの効果で召喚した時攻撃力は1900になるよ。」

 

神獣王バルバロス

☆8 ATK1900

 

《神獣王バルバロス》といえばリリースなしで召喚できるというモンスターの中でも比較的有名なモンスターだ。そしてその時に発生するデメリットをいかに打ち消すかがこのカードを扱う上で重要になってくることだろう。

 

「更に更にぃ、魔法カード《愚鈍の斧》を《バルバロス》に装備!!」

 

《愚鈍の斧》は攻撃力を1000アップさせるシンプルな効果だがそのかわりにモンスター効果を無効にするという大きなデメリットを背負っている。しかしこの場合この効果がプラスに働く。

 

「これで《バルバロス》の攻撃力は1000アップ!しかもモンスター効果が無効にされてるから攻撃力は一気に4000までアップだ!」

 

神獣王バルバロス

ATK1900→4000

 

「「出た、アニキのマジックコンボだ!!」」

 

さっきからこの2人はどこかで聞いたことのあるようなセリフを息ピッタリにいっているがどこかで練習でもしているのだろうか。

 

「俺はカードを1枚伏せてターンエンド!」

 

不良LP8000/手札2枚

モンスター/神獣王バルバロス/☆8/ATK4000

魔法・罠/リバース×1

 

「ちょおっと本気出し過ぎちゃったかな。だけど俺てかげn…」

「私のターンドロー!」

 

不良がいい終わらないうちに沙耶が自分のターンを進める。自分の手札を一通り眺めた後沙耶は顔を上げて言い放った。

 

「このターンでアンタを倒してやるわ。」

 

まさかのワンターンキル宣言である。これには不良を始め仁も驚きを隠せない。相手の場にはモンスターが1体だけとはいえその攻撃力はかの《オベリスクの巨神兵》と同じ4000だ。簡単に突破できる数字ではない。

 

「このターンで俺を倒す?ムリムリ、できないことは言うもんじゃないよ。」

「その五月蝿い口、すぐに黙らせてやるから覚悟しなさい。」

 

とことん強気な沙耶だが不良は余裕の表情を崩さない。

 

『何をする気かは知らねーが俺の場には攻撃力4000の《バルバロス》がいる上この伏せカードは《聖なるバリアーミラーフォースー》だ。攻撃をして来ようものなら一気に吹き飛ばしてやる。』

 

「私は《海皇子ネプトアビス》を召喚!」

 

海皇子ネプトアビス

☆1 ATK800

 

それは槍を携えた黒髪の男だった。

攻撃力は低く一見非力だがデッキによっては大きなアドバンテージを稼ぐことができる。

 

「なるほど、キミのデッキは【海皇】か」

「そうよ!そして《ネプトアビス》の効果を発動!

手札から《海皇の龍騎隊》をコストに《海皇の狙撃兵》をサーチするわ!そして墓地に送られた《龍騎隊》の効果により《水精鱗ーメガロアビス》をサーチ!」

 

これだけ動いても手札はまだ初期の6枚を維持している。ここまでだけでも驚異的だが沙耶はまだまだ止まらない。

 

「まずはその邪魔なモンスターと伏せカードを破壊させてもらうわ!手札の《海皇の狙撃兵》と《海皇の重装兵》を墓地に送り《水精燐ーメガロアビス》を特殊召喚!」

 

水精燐ーメガロアビス

☆7 ATK2400

 

あらわれたのは手札の水属性モンスター2体をコストに特殊召喚できるという緩い召喚条件に加えて【海皇】のワンターンキルを容易にする効果を持っているこのデッキの中心カードだ。

 

「墓地に送られた《重装兵》と《狙撃兵》の効果で伏せカードと《バルバロス》を破壊!」

「ああああ!!俺のミラフォがぁ!!」

 

やっぱりミラフォは仕事をしない。

2枚のカードが破壊されたことで不良の場はがら空きだ。

 

「ミラフォだったのね。ま、これで心置きなく動けるわ。《メガロアビス》の効果で装備魔法《アビスケイルーミズチ》を手札に加えてそのまま装備!」

 

水精燐ーメガロアビス

ATK2400→3200

 

「さあ、覚悟しなさい!バトルフェイズ、《ネプトアビス》をリリースして《メガロアビス》に二回攻撃の効果を与える!そして《ネプトアビス》の効果で墓地から《龍騎隊》を特殊召喚!」

 

海皇の龍騎隊

☆4 ATK1800

 

3200×2+1800=8200。これで何も無ければ沙耶の宣言通りワンターンキルが成立する。

 

「さあ、案山子やフェーダー、ゴースでもあるかしら?」

「あああああぁ…ちょっとまっt」

「《メガロアビス》と《龍騎隊》でダイレクトアタック!!」

「イワーーーーーーーーッック!!!!」

 

不良LP8000→0

 

鮮やかなまでの後攻ワンキル。これでは不良もしばらくトラウマになってしまうだろう。

 

「アニキィ、大丈夫ですか!?」

「てめえら、覚えてろよ!!」

 

ショックからなのか真っ白になっているリーダーを取り巻き2人が連れて逃げていった。

『清々しいまでの小悪党だなあ』と思いつつ仁は逃げ去る3人を見ていた。

 

「成宮お疲れ、デュエルできたんだな。」

「あぁ、如月。あんたまだいたの?」

「まだいたのって…それ俺のデュエルディスクなんだけど。」

 

デュエルディスクを返してもらおうと沙耶を呼び止めてみたら仁は存在を忘れられていた。一瞬呆れつつも先程のデュエルの鮮やかさが心に残っていたのかそこまで悪い気はしなかった。

 

「ああそうだったわね。はい、助かったわ。」

「うん、それで元の質問に戻るんだけど成宮ってデュエル強いんだね。」

「あれは運が良かっただけよ。いつも上手くはいかないわ。」

 

謙遜して言っているが実力は確実に仁より上だ。場合によっては涼に匹敵する可能性もあるかもしれない。

第二遊戯王部は現在仁を含め四人。大会に出場するにはあと2人は必ず必要だ。ここで沙耶をメンバーに加えることができれば戦力増強は勿論のこと大会を勝ち抜ける確率を大きく上昇させることができるだろう。

そうなると沙耶を誘わない理由はない。早速仁は行動に移す。

 

「成宮、良かったら第二遊戯王部に入部してみないか?」

「嫌よ」

 

即答だった。考える暇もなく一瞬でバッサリと切り捨てられてしまった。

 

「え?」

 

仁は思わず素っ頓狂な声をあげた。

 

「だから嫌だって言ってんの」

 

2回目を言われた。どうやら聞き間違えではないようだ。そこで仁はようやく正気に戻る。

 

「なんで!?あんなに遊戯王強いのに!!」

「うっさいわね。嫌っていったら嫌なの。」

 

頑なに断る沙耶だが仁とて部長たちに(強制的に)与えられた使命がある。ここで簡単に引き下がるわけにはいかない。

 

「じゃあ理由を教えてくれよ!もしかして第一のほうに入りたいとかか?」

「別に関係ないわよ。…ただ」

「ただ??」

「遊戯王が嫌いなのよ。」

 

そう言う沙耶の表情が仁には、ほんの一瞬曇って見えたような気がした。

 

「あのさ、ホントにそれだけ?実はまだ他に理由とかあるんじゃないの?」

「しつこい!!とにかく遊戯王部なんて入る気ないから!」

 

不審に思った仁が更に質問するが逆に機嫌を損ねてしまったらしい。沙耶はそう言うとスタスタと立ち去っていってしまった。

1人カードショップの中に取り残された仁はしばらく周囲の人たちの視線に晒されるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




第5話も無事終了です!いかがでしたでしょうか?
沙耶のデッキは【海皇水精燐】にしてみました。ネプトアビスが入って一気に環境の上位に登りつめてきましたね。作者も最近ワンキルされました笑
さて!果たして沙耶は遊戯王部に入部してくれるのでしょうか!?
気になる方は次回もよんでいただけると嬉しいです。

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