ARC-V 舞網は平和ではない   作:ごごにじ

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第三話 シンクロ召喚、煌く星のドラゴン

「凪沙ぁ!」

 

 

突然現れた怪しいフードの男達とのデュエルの最中聞こえてきた凪沙の悲鳴。やつらを倒し声のした方へ駆けつけると、そこでは凪沙が気を失い道の真ん中で倒れ眠っていた。

 

 

ワタシはすぐに凪沙の下へ駆け寄り静かに眠る彼女を抱き起こす。名前を呼んでみるが、起きる気配はない。

 

「くそっ、あいつらふざけやがって・・・!」

 

 

込み上げる怒りに言葉を抑えられない。なんでこんなことを・・・!

 

 

ワタシがめらめらと怒りの炎を燃やしている、その時だった。

 

 

「やったのは彼らの仲間じゃない。」

 

「・・・!誰だ!」

 

暗がりに女の声がすると、建物の影から何者かが現れこちらにゆっくりと近づいてくる。少しずつシルエットがはっきりしていき、見覚えのある少女がその髪をそよがせるのが見えた。

 

 

「また会ったね、風華。」

 

現れたのはその日学校でワタシがぶつかった、涙を見せた謎の美少女だった。

 

「お前、あの時の・・・。」

 

彼女はワタシを見て妖しげな笑みを浮かべる。相変わらずの美少女っぷりに、見ているとそれだけでなんだかドキドキしてしまう。名前はたしか・・・。何だっけ?凪沙が言ってたんだけど。

 

 

「やっぱり、私のこと覚えてない。」

 

ワタシが思い出せずにいると、彼女は哀しそうに笑う。な、何だ?この親しげな感じ。というか、この子なんでワタシの名前を知ってるんだ。

 

色々疑問はあるが、とりあえず一番聞きたいことを彼女に問いかけた。

 

 

「やったのはあいつらの仲間じゃないってどういうことだ。お前、誰がやったか知ってるのか?」

 

「私よ。波川さんを襲ったのは私。」

 

「!・・・。お前、なに言って・・・」

 

「真夜。」

 

「は?」

 

「お前じゃなくて、真夜って呼んで。風華が真夜って言ってくれないなんて嫌。」

 

「あ、え・・・?」

 

 

・・・何なのこの子。あまりにマイペースな真夜の言葉にすっかり翻弄されるが、なんとか冷静さを保って質問を続ける。

 

「なんで、なんで凪沙を襲った!お前、・・・じゃなくて、真夜・・・はさっきのフードの奴らの仲間なのか?」

 

「違う。彼らは私の敵。風華の敵でもあるわ。」

 

しれっと言ってのける真夜。なら尚更、真夜の行動の理由がわからない。

 

 

「じゃあなんで!」

 

「ふさわしくないから。敵に襲われてる風華を置いて一人逃げるような人、風華の隣にはふさわしくない。」

 

「違う、ワタシが逃がしたんだ、凪沙が逃げ出した訳じゃない!」

 

「それでも逃げちゃいけないの、本当の友達なら。」

 

「!」

 

 

ワタシの反論に返した真夜の言葉には、不思議な重みがあるように感じた。その眼差しに思わず黙ってしまう。

 

「だから風華、そんな人放っておいて私と友達になって。もう一度私と、心と心で繋がれる本当の友達になって。」

 

黙って聞くワタシに、さらに意味不明な注文をつけてくる真夜。なんだ、もう一度って・・・?

 

 

訳がわからず混乱するワタシにかまわず、真夜は一人言葉を続ける。

 

「私嬉しかった。今日学校で風華に会えたこと。やっと私の本当の友達が私に会いに来てくれた。それだけでもう十分。」

 

「・・・。」

 

言いながらにっこりと微笑む真夜の瞳は、また微かに潤んでいるように見える。

 

 

「だから、風華が昔とちょっと変わっててもかまわない。私のこと覚えてなくたってかまわない。」

 

話し続ける真夜の腕に光が灯る。デュエルディスクが起動したんだ。真夜は今ここで、ワタシとデュエリストするつもりだ。

 

 

「覚えてないなら思い出させてあげるから。思い出せないならそれ以上に、私の想いを風華の心に刻み込んであげるから!」

 

ええ・・・。真夜のとんでもない発言に引いてしまうが、相手はいたって真剣なようだ。ワタシは凪沙を抱きかかえて道の脇に座らせる。

 

「だから風華、デュエルしよう。風華に私を見せてあげる。」

 

 

「真夜。お前が何を言ってるのか、何を企んでいるのかワタシにはさっぱりわからない。」

 

ワタシはデュエルディスクを起動させ、真夜の正面に距離をとって構えた。真夜はその綺麗な瞳でこちらをじっと見据えている。

 

「でも、どんな理由があろうと私の友達を傷つけたお前を、許すつもりはない!」

 

 

 

 

デュエル!!

 

HUKA LP4000

VS

MAYA LP4000

 

 

「いくよ風華、私のターン。魔法発動、古のルール。手札からレベル5以上の通常モンスターを一体特殊召喚する。私が呼び出すのはこのモンスター!」

 

真夜の先攻で始まったデュエル。彼女はいきなり大型モンスターを呼び出すつもりだ。

 

「ホーリー・ナイト・ドラゴン!」

 

 

現れたのは聖なる光を宿した竜。レベル7、攻撃力2500とワタシのエースと同等の力を持っている。先攻一ターン目からフィールドに出してくるとは、なかなか度胸がある。

 

「私はカードを一枚伏せてターンエンド。さあ、次は風華の番。私に見せて、風華の全部。」

 

「上等だ。ワタシの全力で真夜、お前を倒す!ワタシのターン、ドロー!」

 

こんなデュエルすぐ終らせて、こいつにはさっき言っていた訳のわからないことの意味全部、洗いざらい吐かせてやる。

 

 

「ワタシは速攻魔法、手札断殺を発動!互いに手札を二枚墓地へ送りデッキから二枚ドローする!」

 

ワタシは自分の手札を墓地へ送りカードをドローする。引いたカードも大切だが、それより墓地に置いたカードが重要だ。

 

 

「私は続けて魔法発動、死者蘇生!墓地のモンスターを一体、特殊召喚する!」

 

言わずと知れた強力カード。手札断殺とのコンボで、手札を入れ換えつつ素早く上級モンスターを呼び出せる。

 

「来い、ワタシのエースモンスター、ウインド・ブレイダー!」

 

竜巻が巻き起こり、その中から純白の剣士が飛び出した。ひらひらと舞い散る羽が、真夜の竜の光に当てられ白く輝く。

 

 

「ウインド・ブレイダー・・・。」

 

真夜がわずかに目を細める。エースを出し返されたのが嫌なのだろうか。まあ、なんだっていい。ワタシはかまわずターンを続行する。

 

「ワタシはカードを一枚伏せる。」

 

後のことを考えて、あらかじめカードを伏せておく。もちろんこのターンで終わらせてしまえば関係ないのだが、念のため。

 

 

「いくぜ、バトルだ!ウインド・ブレイダーでホーリー・ナイト・ドラゴンに攻撃!」

 

何かを考え込む真夜は答えず黙っている。聞いてないのか聞こえてないのか知らないがここからがワタシのデッキの真骨頂。呆けている間に一気に決めてやる。

 

「ウインド・ブレイダーの効果。デッキをシャッフルして一枚ドローする!」

 

「どうぞ。」

 

 

真夜がようやく反応する。なんだ、どうぞって。余裕かましてんじゃねえ!彼女の態度にカチンとしつつデッキからドローし手札に加える。

 

「速攻魔法発動、突進!これでウインド・ブレイダーの攻撃力は700アップし、ホーリー・ナイト・ドラゴンを上回る!」

 

突進を受けたウインド・ブレイダーが翼を広げ滑空し竜にその剣を突き刺す。直後爆発が起き竜のソリッド・ビジョンが砕け散った。

 

 

「んっ・・・。」

 

MAYA LP4000→3300

 

 

「へっ、どうした。ずいぶんあっさりエースを失ったじゃないか。このまま終わらせてもいいのか?」

 

ライフを削られ小さく声を漏らす真夜を挑発してみる。だが彼女はまるで意に介していないようだ。

 

「いいよ。風華のすきにしていい。」

 

「ぐっ・・・なめやがって!速攻魔法発動、疾風連撃!レベル7以上の風属性モンスターが相手モンスターと戦闘を行った場合、もう一度続けて攻撃できる!いけ、ウインド・ブレイダー!」

 

 

攻撃を終え自陣に戻った剣士が再び飛翔し剣を構える。

 

「そして効果が発動し、デッキから一枚ドロー!」

 

頼む、攻撃力を上げるカードが来てくれ・・・!ワタシは祈りながらカードを引き確かめる。

 

「!・・・くそっ。」

 

はずした。この手札じゃまだ倒せない・・・!チャンスを逃したショックが露骨に顔に出てしまう。

 

ダメだダメだ、平常心平常心。たまにはこんな時もある。ワタシは一度深呼吸してから、気を取り直してバトルを続行した。

 

 

「あぁっ・・・!」

 

MAYA LP3300→100

 

 

ウインド・ブレイダーが放った烈風に包まれた真夜が、その迫力に圧されたのか転倒する。これで真夜のライフは残り100。仕留め損ないはしたが、ワタシの勝ちは決まったも同然だ。

 

「ワタシはバトルフェイズ終了時、ウインド・ブレイダーの効果でドローした枚数分、手札をデッキに戻す。」

 

ウインド・ブレイダーの残存効果でカードを二枚戻し、これで手札は残り一枚。残したカードは一応の保険としてセットしておく。

 

 

「ワタシはカードを一枚伏せてターンエンド。さあどうした、まさかもう終わりじゃないだろうな。」

 

「心配しないで、大丈夫だから。トラップ発動、奇跡の残照。このターン戦闘で破壊された私のモンスターをフィールドに呼び戻す。ホーリー・ナイト・ドラゴンを特殊召喚。」

 

心配なんてしてないっつーの!ったく、何言ってんだこいつは・・・。相変わらずマイペースを通り越して意味不明な真夜。彼女のフィールドにエースが蘇るのを見て、ワタシはターンを終了する。

 

 

「次は私のターン。」

 

立ち上がった真夜は、圧倒的不利の状況の中でも涼しげに微笑む。このピンチでもあの余裕・・・。勝てるっていうのか、ここから。

 

 

少し不安の生まれるワタシだが、真夜はお構い無しにまた変なことを言い出す。

 

「風華。やっぱり私のこと忘れてるんだね。」

 

「あん?だからさっきから何言ってんだ。お前みたいな美少女会ったことないし、会ったら忘れないだろ、普通。」

 

「そうね。だから驚いてるの。」

 

「だから会ったことないって!」

 

 

話が全然噛み合わない。しかも美少女を否定しない。

 

「あるんだよ。その時風華は、自分は御剣 風華だと名乗った。私も、自分は星美 真夜だと名乗った。私達は友達になったの。」

 

「・・・それって、忘れるくらい小さい頃の話か?」

 

「小学校六年の時よ。」

 

 

全然小さくない!

 

やっぱ絶対嘘だ、嘘じゃなくても何かを間違えてる。

 

 

「そんなことどうだっていい、さっさとターンを進めやがれ!」

 

「そうだね、じゃあ私のエースモンスターを見せたら思い出してくれるかな。」

 

「だーから知らねえっつって・・・って、え?ホーリー・ナイト・ドラゴンがエースじゃないのか?」

 

 

真夜が静かに否定した。ここからワタシは彼女の真の力を見ることになる。

 

「私は魔法カード、ナイトショットを発動。風華のフィールドの魔法・罠を一枚破壊する。」

 

さっき伏せたカードが破壊されてしまう。まずい、禁じられた聖槍がやられた・・・。

 

「そして私はチューナーモンスター、サニー・ピクシーを召喚!」

 

 

「!」

 

チューナーモンスター!

 

噂には聞いたことがある。近年使われるようになったいくつかの新たな召喚法。そのうちのひとつは、チューナーと呼ばれる能力を持つモンスターが必要になるという。

 

「まさか・・・!」

 

ワタシが驚くのを見て、真夜の表情は過去最高の妖艶さを魅せる。

 

 

「私はレベル7のホーリー・ナイト・ドラゴンに、レベル1のサニー・ピクシーをチューニング!」

 

 

サニー・ピクシーが緑の輪になり、星となった竜を光の道で包み込む。何だよこれ、一体何が起きるんだ・・・!

 

 

「輝け一番星!静かなる光で私の想いを照らしなさい!」

 

真夜の指先が遥かなる天上を指し示し、光の道は柱となって新たなるモンスターの誕生と共に破裂する。

 

「シンクロ召喚!煌めけ、ミッドナイト・ステラー・ドラゴン!」

 

 

ミッドナイト・ステラー・ドラゴン

シンクロモンスター/効果

星8/光属性/ドラゴン族/ATK3000/DEF2500

 

 

ついにその姿を現した、真夜の本当のエースモンスター。美しい・・・。なんて美しいモンスター。一目見た瞬間、心に何か感じるものがある。

 

長い首と尾に広げた四枚の翼。艶やかな黒の身体には玉の装飾が散りばめられていて、周りに微かに光の霧を纏っている。周囲に光を灯し自身は闇にとけ込むその様は、そう、まるで星空そのものを見ているようだった。

 

これが、ミッドナイト・ステラー・ドラゴン!

 

 

 

「サニー・ピクシーの効果発動。光属性のシンクロモンスターの素材になった時、ライフを1000回復する。」

 

MAYA LP100→1100

 

 

「そしてバトル。ミッドナイト・ステラー・ドラゴンでウインド・ブレイダーに攻撃!」

 

真夜の竜がウインド・ブレイダーに食い付き、そのまま首を二振りし噛み砕いた。真っ二つになった剣士が爆発四散する。

 

 

「うわっ・・・!」

 

HUKA LP4000→3500

 

ソリッド・ビジョンのはずなのに爆発の衝撃に気圧され倒れそうになる。なんて迫力だ、このモンスター。いや、それだけじゃない・・・。

 

「私はこれでターンエンド。どう風華、何か思い出してくれた?」

 

「な、何もねえよ、思い出すことなんて・・・。」

 

 

ワタシはなぜか動揺している自分に戸惑いながら、ターンを開始する。

 

「ワタシのターン、ドロー!」

 

引いたのはご隠居の猛毒薬。800ダメージを与える速攻魔法か。これなら・・・。

 

 

ミッドナイトの攻撃力は3000。猛毒薬で真夜のライフ800を削ったとして、残りは300。伏せてあるリビングデッドの呼び声でウインドを蘇らせ攻撃、効果を使って一枚ドロー。攻撃力を800以上変えるカードがくればワタシの勝ちだ。

 

やるしかない。ワタシは考えをまとめるとカードを発動する。

 

 

「トラップ発動、リビングデッドの呼び声!墓地のウインド・ブレイダーを特殊召喚する!」

 

フィールドに空いた暗い穴から剣士がせりあがって蘇る。

 

「いくぜ、バトルだ!ウインド・ブレイダーでミッドナイト・ステラー・ドラゴンに攻撃!そして効果発動!」

 

 

オートシャッフルされたデッキに指をかける。このドローに全てがかかっている。

 

真夜は何も言わずワタシの行動を見つめている。くそ、あいつまだあんな余裕の表情してやがる・・・!怒りと不安がワタシの指を震わせる。

 

 

「・・・くっ、ドロー!」

 

乱れた心で無理やりカードを引く。信じろ、ワタシのデッキを。勝つんだ、このデッキで!

 

引いたカードをゆっくりと確かめる。

 

 

・・・!

 

 

「や、やった、引いた!引けたぁ!」

 

柄にもなく舞い上がってしまう。ワタシが引いたのは速攻魔法、収縮。これならまず間違いなく勝てるはずだ。ワタシはすぐさま引けたカードを発動した。

 

「速攻魔法発動、収縮!これでミッドナイト・ステラー・ドラゴンの攻撃力は半分になる!行っけえええ、ウインド・ブレイダー!烈風一閃!」

 

 

ウインド・ブレイダーが羽ばたき、上空から竜に斬りかかった。妙に心が落ち着かないデュエルだったがそれももう終わる。このデュエル、今度こそワタシの勝ちだ!

 

 

 

 

「ミッドナイト・ステラー・ドラゴンの効果発動!サプレッション・レイ!」

 

 

閃光。目映い光が辺りを強烈に照らし出し、攻撃をしかけたウインド・ブレイダーが動きを止める。

 

「な、なんだ!何が起こった!」

 

ワタシがあまりの眩しさに目を庇いながら叫ぶと、真夜の綺麗な声が響いてくる。

 

 

「一ターンに一度、フィールドのモンスターの攻撃力が変化した時それを無効にし、変化した数値分相手にダメージを与える!」

 

「なんだと!」

 

「収縮で変化した数値は1500。私の想いを受け取って、風華!」

 

 

竜の身体に取り付けられた玉から放たれた光弾がワタシのフィールドに降り注ぐ。しかも、加えて予想外のことが起きた。

 

 

痛い!ただのソリッド・ビジョンのはずなのに、身体に痛みが走る。

 

「うわあああああ!」

 

 

HUKA LP3500→2000

 

ワタシは衝撃波に足がぐらつき、尻餅をついてしまう。

 

 

「バトルは続行中、やりなさい、ミッドナイト・ステラー・ドラゴン!」

 

真夜の言葉で再開された戦闘で、またもウインド・ブレイダーが喰い千切られ爆発する。

 

 

「うっ・・・!」

 

HUKA LP2000→1500

 

 

再び襲ってきた爆風に立つ暇もなく包まれ、ワタシは地面を転がる。

 

まずい・・・。このままじゃ次のターンにダイレクトアタックを食らって負ける。

 

ワタシはなんとか立ち上がろうとするも身体が思うように動かないので、仕方なく四つん這いのままカードを発動する。

 

「速攻魔法、ご隠居の猛毒薬を発動・・・。ワタシのライフを1200回復する・・・!」

 

HUKA LP1500→2700

 

 

現れた老人にかけられた怪しい液体でライフが回復する。だが、これじゃ焼石に水だ・・・。

 

 

明かりが弱くなり、より一層暗さを増した夜の闇の中で、真夜が静かに語りかけてくる。

 

「どう、風華。私のこと思い出した?」

 

「しっ、知らないって言ってんだろ・・・。」

 

「そうだよね。私のことだけじゃなく、自分のことも覚えてないんだもんね。」

 

「・・・なんだよそれ、どういうことだ・・・。」

 

 

「今の風華は本当の風華じゃない。大切なものが欠けてしまっている。だから、私をあげる。私であなたを埋めてあげる!私のターン!」

 

星の竜が飛翔すると、真夜は掌を天に向けて叫んだ。

 

「ミッドナイト・ステラー・ドラゴンで風華にダイレクトアタック!」

 

静寂。圧倒的威圧感を感じるのに、このモンスターからは音がしない。その違和感がミッドナイト・ステラー・ドラゴンをより強大に見せる。

 

 

「漆黒のサイレント・ハリケーン!」

 

透明な爆発がワタシを吹き飛ばす。そのあまりのダメージの大きさにワタシは叫ぶことすらできなかった。

 

 

「っ・・・!」

 

HUKA LP2700→0

 

 

 

 

 

盛大に地面に叩きつけられ、ワタシは仰向けのままピクリとも動けない。すると真夜がゆっくりとワタシの方に近づいてくる。

 

「ごめんなさい風華。本当は風華を傷つけることなんてしたくない。でも、今の風華には必用なことだから。」

 

 

暗闇に、真夜の優しい声だけが聞こえる。

 

「私の想い、受け取ってくれるとうれしい。」

 

ワタシの中に、知らない景色が浮かんでくる。最初にミッドナイトの攻撃を受けた時から少しずつちらついていたものが、最後の一撃ではっきりとした光景に変わった。

 

そのことを真夜に伝えようとしたが上手く言葉が出ず、ワタシは黙ったままなんとか立て膝になり真夜を見上げる。

 

 

こちらを向いた真夜と目が合った。星空を背に立つ少女はじっと見つめあったまま少し後ずさる。そして振り返り間際、一言だけ言葉を口にした。

 

 

 

 

「好きよ、風華。」

 

 

 

・・・。

 

 

 

こうして、ワタシの激動の一日は幕を閉じたのだった。

 

 

 

 

 

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