レーティングゲームから二日… あれからイッセーは目覚めていない。
とは言え、俺も心のダメージが酷すぎて塞ぎこんでいるが…
「…… くそっ……!」
後悔ばかりが胸をよぎる。
俺の目にも涙が浮かび流れていった。
どうしてあの時、俺は迷ったりなんかしたんだ…
あの時迷わなかったら、イッセーと一緒にライザーを倒せたかもしれないのに…
その時だった。
「酷いお顔ですね」
不意に声が聞こえた。
誰も居ない筈のこの部屋で。
顔を上げると、そこにはグレイフィアさんが立っていた。
「……… グレイフィアさん」
「後悔… しておられるのですか」
「しないわけ無いじゃないですか…! 俺が迷わなかったら、イッセーはボロボロに傷ついたりしなかった…! 部長や皆だってあんなに悲しい顔をせずに済んだのに…!」
俺は泣きながらグレイフィアさんに自分の気持ちを吐き出した。
そうでもしないと、俺の心は砕けてしまいそうだったから…
「終わってしまった事はどうしようもありません…… ですが、まだ間に合わない訳でもありません」
「…… たとえそうだとしても、俺にはその資格がありません…… 俺は皆を裏切っちまった…」
「本当にそうでしょうか?」
「え?」
「少なくとも、私はそうは思いません……」
すると、グレイフィアさんは魔方陣を出現させた。
「一緒に来てください、貴方に会わせたい方がいます」
「誰ですか…」
「来れば分かります」
そして俺はグレイフィアさんと共に転移した。
転移した先は、何処かの部屋だった。
「連れて参りました」
「ありがとう、グレイフィア」
「いえ、それでは私はこれで」
そう言うとグレイフィアさんは再び転移した。
そして、俺の目の前にいたのは…
「久し振りだね、走介君」
「…… 士朗… さん…?」
俺の後見人だった。
「おっと、ここではサーゼクスと呼んでくれ」
「わかりました」
「さっ、座って」
俺はサーゼクスさんに促され、向かい合うように据わった。
「さて、此度のレーティングゲーム、拝見させて貰ったよ」
「俺はほとんど何もしてませんよ」
「そうだね、確かに今回、特に君に良いところは無かった」
それはそうだろう、俺がやったことといえば、双子を相手にしたくらいだ。
「だが、逆に言えば特にミスはしていない、なのに何故、君はそんなに後悔しているんだい?」
「…… 迷ってしまったんですよ」
「何をだい?」
「今回の騒動は本来なら悪魔同士でけりをつけなきゃいけない問題だと思うんです…… しかも、本人の人生を決めてしまう大事なもの…… だから、人間の俺が…… 赤の他人の俺が介入してもいいのかって…」
「成程… 確かに一理ある」
やっぱり…
「でもね走介君、それを言ってしまったらリアスの眷属達だって赤の他人だ。彼らはそんなことを考えているように見えるかい?」
「でも、それは同じ悪魔だから…」
「それこそもっと関係の無い話だよ。人間も悪魔も関係ない…… まあ一部は見下している悪魔達もいるけど… 基本的には人間と同じだ」
「それは?」
「ただ助けたいから、この一点だけさ」
ただ… 助けたいから……
「もう一度思い出してご覧、君が初めて仮面ライダーになった日の事を」
俺が初めて仮面ライダーになった日?
「走介君はどうして仮面ライダーになったんだい?」
あの時はただ夢中で…… そうだ!
「俺は…… イッセーを…… 助けたかった…」
「そう、君は兵藤一誠君を助けたかった、だから仮面ライダーになった、その時君は今みたいに悩んだかい?」
「悩まなかった… あの時俺はただ助けたくて…!」
「だったら、今回もそうすればいい、君が納得出来るように」
「でも俺は…!!」
その時だった。
「リアス・グレモリー様の処女は俺のもんだぁぁぁぁ!!!!」
あの
「どうやら主役の一人が到着したようだね。私達もいこうか」
そう言うとサーゼクスさんは立ち上がり移動した。
俺もサーゼクスさんに連れられ、パーティ会場のような所に来た。
すると、イッセー達が警備の悪魔達相手に暴れていた。
「まちたまえ、彼は私が呼んだ」
サーゼクスさんが一声上げると暴れていた奴らは皆静まった。
さすが魔王…… 威圧感が凄い…!!
「サーゼクス様!? これは一体どう言うことですか!?」
「なに、ちょっとした余興だよライザー君」
曰く、サーゼクスさんは赤龍帝の力が見たかったら呼んだともっともらしい理由を述べて、その場にいた悪魔達を言いくるめてしまった。
絶対この人、仕事サボるのが得意だ!!?
「では、その人間はなんですか!?」
「そのような下等な人間がサーゼクス様のお隣など言語道断ですぞ!!!!」
すると俺の存在に気づいた悪魔達が一斉にまくし立てるが…
「黙れ」
サーゼクスさんのこの一言で黙ってしまった。
「彼は僕達四大魔王の友人だ。誰であろうと彼を侮辱する者は、魔王を侮辱しているのと同じだ、二度彼を侮辱することは許さん」
そしてその言葉で何も言えなくなってしまった。
当然だ、誰も魔王を敵に回したくは無いだろう。
そしてなし崩しに、イッセーとライザーの再戦が決まってしまった。
「さあ走介君、君も仲間の下へ行くといい…… ああ、乱入は何時でも歓迎だからね」
サーゼクスさんに送り出され、俺はイッセー達の所に行った。
「………」
「走介!? お前も来ていたんだな」
「…… ああ、お前勝てんのか?」
「勝ってみせるさ!!」
そう言ってイッセーはバトルフィールドに転移した。
「……」
「走介君、大丈夫かい?」
「何が…」
「ずっと塞ぎこんでいたからね、心配もするさ」
「特に小猫ちゃんなんかもの凄く心配していましたわ」
「…… 朱乃さん!!」
「あらあら、うふふ」
どうやら結構心配させてたみたいだ。
そんな会話をしているとイッセーの試合が始まった。
〔行くぜ!! これが俺の、
『Welsh Dragon Over Booster !!!!』
イッセーの叫びと共に、イッセーに龍のような鎧が纏われた。
「あれは!?」
「
「禁じられた外法ですわ!!」
「…… 赤龍帝の本気」
「イッセー…」
その強さは圧倒的、イッセーはライザーを確実に追い詰めていった。
『
でも一秒毎に聞こえる音声、もしかして十秒しか時間が無いのか!?
『
そんなことを考えていると、時間は刻一刻と迫っている。
すると、小猫が袖を引っ張る。
「どうした?」
「イッセー先輩を助けて下さい」
「でも俺は…」
「走介先輩が何を悩んでいるのか私にはわかりません、でも走介先輩は走介先輩じゃないですか」
「そうだよ走介君」
「水くさいですわ走介君」
「皆、リアス部長を助けたいんです。 下僕だからじゃありません、同じ部活の仲間だからです」
同じ部活の仲間……
俺は……
「走介先輩……」
俺は小猫の頭に手を置き、優しく撫でた。
「あっ……」
「ありがとな皆、お陰で答えが見つかった気がする。」
「それじゃあ!!」
「行ってくれるんだね!」
「ああ!! ちょっとあのバカと部長を助けて来る!!」
俺は一目散にフィールドに向かって走り出した。
「キャブ!! 空間に穴を開けろ!!」
俺はディメンションキャブを使って次元に穴を開け、バトルフィールドに侵入した。
◆◇◆◇◆
兵藤一誠君とライザー君の試合を見ていたら、急に走介君が走り出し、何かを使ってバトルフィールドに入り込んだ。
「どうやら、迷いは振り切ったみたいだね」
「随分と嬉しそうですね、サーゼクス様」
するとグレイフィアが私の隣に来て言う。
そんなに顔に出ていたかなぁ…
「でも、そう言うグレイフィアだって嬉しそうじゃないか」
「それはそうですよ、彼は私達にとって二人目の息子のようなものですから」
「それもそうだね…」
再びモニターの彼の顔を見た。
うん、あの顔は迷いなんて微塵にも感じていないね、寧ろ決意を秘めた顔だ。
あれなら安心できる。
「頑張ってくれよ……