ハイスクールD×D 加速する戦士   作:響く黒雲

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タイトルの天使と悪魔は ――――

天使=ロマリー

悪魔=小猫

―――― で行こうと思います。

さてさて、二人のどちらが掴むのかな?


走介の心を掴んだのは天使か悪魔か

俺が笑顔を取り戻して二日がたった。

流石に、何時までも動かない訳はいかない。

だから出来ることをやろうと思った。

 

婆さんに頼まれて、爺さんが忘れていったお昼を届けに行く事になった。

 

爺さんは、スコップで溝を掘っていた。

 

「……… 婆さんに頼まれたのか」

 

そう静かに言う爺さんに頷きながら、俺は弁当を渡した。

 

「…… やることが無いなら、用水路を作るのを手伝ってくれんか。季節外れの嵐でやられてな」

 

俺は爺さんからスコップを受け取って、用水路を掘り始めた。

 

「くっ…… ふっ……!」

 

だが、中々用水路を掘り進める事が出来なかった。

固い岩に突き立てているような、そんな固さの土が、スコップを阻んだ。

 

そんな俺の様子を見ていた爺さんは、俺のスコップを取って、体全体を使って土を掘った。

 

「……… 力まかせではいかん。体全体を使ってみろ」

 

再びスコップを受け取った俺は、爺さんに言われた通り、体を使って掘ってみた。

 

「………!」

 

すると、さっきよりも体力を使っている気はしたが、それでもさっきよりは確実に土を掘れていた。

 

少しだけ充足感がある。

こうしてやってみると、こういうのも悪く無い気がする。

 

勢い付いた俺は、時間も忘れて土を堀り続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

夕方になって、私の家に戻ってきた人間さんは、まだ本調子で無いのか、帰ってくるなりベットにダイブしてそのまま寝てしまった。

 

「おじーちゃん…… 人間さんどうしたの?」

 

「……… なに、病み上がりで調子に乗ったせいだ。ほうっておけ」

 

おじーちゃんはそのまま、行ってしまった。

私は人間さんに、毛布を被せる為に人間さんの位置を調節したりして毛布を被せた。

 

その際、少しだけ頭を撫でて上げると、人間さんは少しだけ表情が和らいだ。

髪の毛はサラサラしていて、撫で心地は良かった。

 

「フフ…… 可愛い……」

 

「…… マリア…… 何時か色んな所に連れてってやる……」

 

「えっ?」

 

人間さんが起きたのかと思ったが、どうやら寝言だったようだ。

 

「なぁんだ…… 寝言かぁ…… でもありがと、人間さん」

 

私は、寝言でも嬉しくなって、感極まって思わず人間さんの頬っぺたにキスしてしまった。

 

このあと、おばーちゃんが見ていたらしく、散々からかわれ、ちょっとだけ後悔したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

私は今、猫ちゃんの部屋に来ている。

リーア部長のお母さんに倒れたって聞いたから。

 

「猫ちゃん、調子はどう?」

 

「やあ、体は大丈夫?」

 

イッ君もここに態々修行を中断して来ている。

私達はなるべく笑顔で猫ちゃんに接するが、肝心の猫ちゃんはと言うと……

 

「…… 何をしに来たんですか?」

 

物凄く不機嫌です。

随分やさぐれちゃってるなぁ~

 

「猫ちゃん、倒れたって聞いたよ」

 

「地獄のしごきを受けてる俺の言えた義理じゃないけどさ。オーバーワークはだめだ」

 

「猫ちゃんは女の子何だから体を大事にしなきゃ」

 

「……… なりたい」

 

猫ちゃんが小さく呟くのを私達は聞き逃さなかった。

 

すると猫ちゃんは、目に涙を溜めながらハッキリと言った。

 

「強くなりたいんです。皆どんどん強くなっていきます。…… このままじゃ私は役立たずです…… 戦車(ルーク)なのに…… 一番弱いから…。走介先輩の時見たいに…… お役に立てないのはイヤです……」

 

「小猫ちゃん……」

 

そっか…… 確かに猫ちゃんには何も無い。

他の皆はちゃんとした個性があるが、猫ちゃんは駒の特性だけだ。

 

「…… けれど、猫又の力を使いたくない…… 姉さまや走介先輩のように…… もうあんなのはイヤ……」

 

彼女の姉…… 黒歌の話は私も聞いている。

主だった悪魔を、猫又の力の暴走で殺し、力に溺れてはぐれ悪魔になったと聞いた。

 

そして、この前のソウ君の暴走。

それが余計に猫ちゃんを苦しませている。

 

全く…… ソウ君は居なくなっても、周りに影響があるなんて…… とんだ困ったさんだよ。

 

「イッ君、あとは任せてくれる?」

 

「いや、でも……」

 

「大丈夫。私に任せて」

 

少し名残惜しそうだったが、イッ君は己の決意を猫ちゃんに伝えて、部屋を出た。

 

「猫ちゃん…… ソウ君の役に立ってないって言ってたけど…… そんなこと無いと思うよ」

 

「…… 私は弱いのに」

 

「関係ないよ、それにソウ君こう言っていたよ」

 

私は、前にソウ君に聞いたことを猫ちゃんに伝えた。

 

 

 

 

 

 

 

『ねえ、ソウ君。猫ちゃんってどんな子なの?』

 

『んー? 小猫か? そうだな…… お菓子が好きな奴で、何時も俺の作ったのを旨そうに食べてくれるんだ。それに、最近ではもっぱら俺の側にいるんだ。もうバディと言ってもいい位だな。ホント、アイツには世話になりっぱなしだよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

「……… 先輩がそんなことを……」

 

「うん。だから自分が弱いなんて落ち込まないで、猫ちゃんの気持ちは充分ソウ君に届いていたんだもん」

 

それを聞くと、猫ちゃんはほっとした表情になる。

だが次の言葉は、私にとってやぶ蛇だった。

 

「…… そうだ、走介先輩はどうしていますか?」

 

「…… ソウ君は……」

 

「先輩は?」

 

不味い… どうしよう!? と、とりあえず今は誤魔化すしか!?

 

「ソウ君は、アレンと一緒に修行頑張ってるよー」

 

「…… そうですか」

 

うぅ…… ゴメンね猫ちゃん。

 

「じゃ、じゃあ私は仕事があるから。猫ちゃん、ちゃんと休んでね!」

 

「……… はい、ありがとうございます。ロマリー先輩」

 

そう言って、私は部屋を出た。

 

「ふぅ~」

 

今は誤魔化すしか無かったけど、何れ猫ちゃんも知るときが来る。

 

その時、殴られても文句は言えないが、心が重くなったのは確かだ。

 

「…… 今、何処に居るの? ソウ君……」

 

居なくなった想い人の名を呼ぶが、返事は返ってこなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

「ふぅー……」

 

一日を終えた俺は、泥や疲れを落とす為に風呂に入っていた。

 

「…………」

 

相当疲れが溜まっていたのか、湯船に浸かっていると目蓋が重くなってきた。

 

「…… あの声は何だったんだ……」

 

あの時、自殺しかけた時に聞こえてきた声。

全く心当たりが無いのに、とても安心出来る声だった。

まるで……

 

「まるで…… 母さんみたいな…… 不思議な安心感だったな……」

 

確かに、あの声が言っていた通り結論を出すにはまだ早かったみたいだ。

けど…… また戦いに戻りたいとはこれっぽっちも思っていない。

 

皆の事が、遠い過去の様に感じてしまっている。

 

「こうして…… 土いじりしていることが、俺にとって幸せな事なのかな……」

 

ここに来た頃には考えもしなかったが、今はこうして畑を耕して、自然と共に生きるのも悪く無いと思ってる。

 

「やっぱり…… 俺にドライブは向いていなかったって事なのかな……」

 

そうすると、自分がいかに仮面ライダーに向いていなかったのかが浮き彫りになってくる。

改めて、自分が仮面ライダーの資格が無い事が分かった。

 

 

ガラッ…

 

 

「ん?」

 

考え事をしていたら、不意に風呂場の扉が開いた。

自然に扉に目を向けると……

 

「フンフフーン♪ …… えっ?」

 

「あっ……」

 

そこには、生まれたままの姿のマリアがいた。

 

「あ、あ……」

 

「き……」

 

「…… あっ!?」

 

「キャアァァァァァア!!!!」

 

風呂場にマリアの悲鳴が木霊した。

 

「ご、ごめん!」

 

俺は直ぐ様振り返り、マリアから目を背ける。

 

「う~…… う~…!」

 

な、なんかう~う~唸ってるけど、先に入っていたのは俺だ。

マリアが動かない限り俺からアクションを起こせない、頼むから早く行ってくれ~!?

 

「………」

 

な、何故無言なんですか、マリアさん!?

早くしないと俺の心臓ががががが!!!

 

 

チャポン……

 

 

「な、ナズェハイッテイルンディス!?」

 

何故か分からないが、マリアはそのまま俺の隣に入った。

 

「……… こっち見ないで……」

 

凄く恥ずかしがりながら言ってもマリアから入った事実は変わらないからな!?

 

とはいえ、ここでマリアをガン見したら俺はイッセーと同じ変態だ。

流石にイッセーと同等まで堕ちたくはない。

 

「………」

 

「………」

 

無言で背中合わせになりながら大人しく湯船に浸かっている俺達。

一体どうしたらいいんだ……

 

「……… 責任」

 

「ひゃい!?」

 

いきなり喋りだすから変な声が出ちまったが、マリアはうつむきがちに喋りだした。

 

「…… 私の裸… 見たでしょ… 責任取って…」

 

「せ、責任っつたって、俺にどう取れと!?」

 

「…… 私の裸に魅力が無いって言いたいの……?」

 

「いや!そんな事は!?」

 

「やっぱり見たんじゃん…」

 

「うぐっ!?」

 

だ、ダメだ!? どうあがいても俺が負ける!?

こ、こうなったら腹をくくるしかないかな……

 

「…… 分かった。何をすればいい?」

 

「名前……」

 

「え?」

 

「人間さんの名前…… まだ聞いてない……」

 

えっと…… そんなんで良いの?

まぁ、確かにまだ名前を言っていなかった気がする。

 

「言っていなかったな。俺は…… 走介、神藤走介だ」

 

「ソウスケ…… ウフフ…… ソウスケかぁ……」

 

ご満悦の様子で俺の名前を反復するマリア、とても嬉しそうに笑っているのを見るに、相当嬉しいらしい。

 

でも…… なんだろうか? マリアを見ていると胸の当たりが凄くドキドキする。

色んな女子と接したり話したりはしたが、こんなことはマリアが初めてだ。

一体何なんだろう?

 

それに凄く顔が熱い。

マリアの後ろ姿を見ているだけで心が高ぶるのを感じる。

…… いかんな、本格的にイッセーの同類になり初めていないかな、俺。

 

ふと、マリアの背中の翼が目に入った。

中立地帯だが、基本悪魔が多いしマリアも悪魔だろう。

例え違っても堕天使か天使の筈だ。

 

そう思っていたが、実際マリアの翼は違っていた。

 

「悪魔の翼と…… 天使の翼……!?」

 

マリアの翼は、右翼が悪魔の翼で左翼が天使の翼だった。

 

「あっ……」

 

翼を見られた事に気がついたマリアは、目に見えて落ち込んでしまった。

 

「…… やっぱり変だよね。 悪魔なのに天使の翼があるなんて……」

 

「マリア…… お前は……」

 

「うん。私は悪魔と天使のハーフ。おとーさんが天使だったの」

 

悪魔と天使のハーフ。

それは普通なら到底できない組み合わせだ。

悪魔は神を憎み、天使もまた、神に仇なす悪魔を許さない。

 

「二人はこの中立地帯で出会ったって言っていたけど詳しい事は聞いていないの。でも、私を産むまで相当苦労を重ねたみたい」

 

「こんなだから、昔はよく苛められてたっけ…… ソウスケも変だって思わない?」

 

…… そうか、マリアは朱乃さんと同じような境遇で育ったんだな……

 

俺は人外が嫌いだった。

でも今は、三種族と暮らして分かった事がある。

彼等も、俺達人間と同じように生きて、暮らしているって事を。

 

だからこそ、俺は言う。

 

「そんな事ない。 綺麗な翼だと思うよ」

 

「本当? 私、変じゃない?」

 

「ああ。もしまたその事で何かあったら、俺がマリアを守ってやるよ」

 

もう、種族がどうこうとか言ってられない。

今の俺には力が無いけれど、せめてマリア位は守ってやりたい。

 

例え仮面ライダーじゃなくても、それくらいは出来る筈だ。

 

「嬉しい…… ソウスケありがとう!」

 

そう言ってマリアは俺に抱きついてくる。

 

「お、おい! いきなり抱きつくな!?」

 

「だって嬉しいんだもーん♪」

 

まあ、この笑顔が見れるなら安いもんか。

 

「おーおー。 若い者は元気でいいねぇ~」

 

すると、外から第三者の声がする。

 

「お、おおお、おばーちゃん!?」

 

「ば、婆さん!? 何時からそこに!?」

 

「マリアが抱きついた辺りかねぇ~」

 

ア、アウトじゃねぇかあぁぁぁぁぁっ!!!!???

 

外に居たのはマリアの婆さんで、抱き合っている俺達をニヤニヤと見ていた。

 

俺達は今、裸だ。

その状態で抱き合っている所を見て導き出される答えはおのずと一つだろう。

 

「もうすぐおめでたかねぇ~」

 

そう言って去っていく婆さん。

 

「「ま、待てえぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」」

 

俺とマリアは、誤報を広めようとする婆さん(強敵)を急いで追いかけるはめになってしまった。

 

久しぶりにこの言葉を使う気がするが、敢えて言っておこう。

 

…… どうしてこうなった?




前書きとタイトルの答え。

Q. 走介の心を掴んだのは天使か悪魔か

A. 両方(マリア)(天使と悪魔のハーフ)

まあ、展開的に分かり易かったですよね。

では、次回もお楽しみに!
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