ハイスクールD×D 加速する戦士   作:響く黒雲

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何故二人は再会したのか

マリア家の夜は何時も明るい。

何時もマリアが率先して話したり、婆さんがマリアを弄ったりしているからだ。

 

そんなマリア家の今は何時もよりも明るい。

それは、うぬぼれでなければ、多分俺が居るからだと思う。

 

「いや~ あんたが来てくれてから本当に助かっているよ!」

 

「いや、俺が出来る事をやってるだけだから」

 

「それでもだよ。もーこのまま家の子になってくれないかねぇ~」

 

「おかーさん!ソウスケにも色々あるんだから、あんまり無理言ったらダメだよ!」

 

そんな冗談を言うおばさんは、マリアに嗜められるが……

 

「そんな事言って、さっきその子と一緒に風呂に入っていたのは誰だったかねぇ…」

 

「「ブハッ!?」」

 

風呂での出来事を見ていた婆さんに手痛い反撃をくらい、何故か俺にも被害が来た。

 

「おやまあ…… マリアがねぇ……」

 

「お、おおおおばーちゃん!?」

 

「おや? あたしゃてっきりその子に気があるから入っていたと思ったんだがねぇ……」

 

「そ、そんな事!!」

 

顔を真っ赤にして何とか反論しようとするマリアだったが……

 

「そんな事?」

 

「な…… ナイモン……」

 

改めて問いつめられると、最後の方の言葉が尻下がりになってしまった。

 

「満更でもないんじゃないか」

 

「うぅ……」

 

「……… マリアの背中を…… 見たのか……」

 

唐突に爺さんから話を振られる。

マリアの翼について言っているのだろう。

 

「…… 見た」

 

「…… お前は、マリアを軽蔑するか? それともマリアを陥れるのか?」

 

「お爺ちゃん…」

 

恐らく、この家族は相当な苦労を重ねてきた筈だ。

それは天使と悪魔のハーフを産んでしまった今でも変わらないだろう。

 

「…… 俺は人外が嫌いだった。 身勝手で傲慢で、人間の事を何時も見下す、自分たちは人間に頼らねば種の存続すら危ういと言うのに……」

 

「あんたは…… 私達を憎んでるのかい?」

 

「ああ、でも今は違う。この家で暮らして分かった事がある、人外にも傲慢でない人達がいるって事を…… だから決めたんだ。これからは種族じゃなくて、そいつの心で決めようって」

 

そう、もう無闇に種族そのものを憎むのは止めたんだ。

人外の中にも、マリア達みたいな人がたくさんいる。

それが分かっただけでも、俺はここに来て良かったと思う。

 

「マリアの事を軽蔑したり陥れたりは…… 絶体にしない……」

 

「ソウスケ……」

 

「…… そうか」

 

それだけ聞いて納得したのか、爺さんは黙った。

 

「そうかい! ならマリアの婿にピッタリだ!!」

 

「へ?」

 

む、婿? 一体誰の事を言っているんだ?

 

「何惚けた顔をしてるんだい? あんたの事に決まってるじゃないか」

 

「俺ェ!? いやいや、嘘でしょ!?」

 

何で!? 何でいきなりそんな話になった!?

 

「見た所、マリアはあんたの事好いとるようだし、あんたも満更でもなく、マリアの事気があるんだろ?」

 

「な!?え?あ?」

 

顔が急速に熱くなっていくのを感じる。

多分顔は真っ赤になっているだろう。

 

そ、そりゃあ確かにマリアは好きだけど、何でそんな話になったんだ!?

 

「ソ、ソウスケ…」

 

耐えられなかったのか、マリアが頬を赤く染めながら此方を見る。

 

「わ、私じゃ…… 嫌?」

 

「ぐふっ!?」

 

「え? あわわ!? ソウスケ!?」

 

前々から思っていたんだが…… どうしてこう俺は女の子の上目使い&涙目に弱いんだろうか?

 

前にエクスカリバーを破壊するときも、小猫とロマリーにやられて撃沈してたよな……

 

「…… し、暫く…… 考えさせて……」

 

「むぅ…… 意気地無し……」

 

「ヘタレ?」

 

「ヘタレじゃな」

 

「ヘタレだ」

 

「ごはぁ!?」

 

勝手に無理矢理進めといて、考える時間をくれと言ったらこの始末……

俺が一体何をしたんだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、何時もの様にマリアと共に畑を耕しに行くと、遠くからバイクの駆動音が聞こえてきた。

 

「何の音だろ?」

 

「バイクの音だな」

 

「バイクって?」

 

「乗り物だよ、トラクター見たいな物」

 

バイクの駆動音はどんどん此方に近づいてくる。

やがで彼方から、一台の白いバイクがやって来た。

それは、俺がよく知るライドマッハー、アレンの愛車だ。

当然それに乗っているのは……

 

「やっと…… 見つけたぜ…… ソウ兄さん!!!!」

 

アレン・シュヘンベルグだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

アレンに待ってもらい、仕事を一段落させてから、アレンの話を聞くことにした。

マリアにも、話に入らないと約束させて側にいてもらってる。

 

「…… 久しぶりだね、元気だった? ソウ兄さん」

 

「…… ああ、それなりにな」

 

久しぶりに会った訳だが、話す事が全く見つからない。

そもそも、一体何しに来たんだろう。

 

「ソウ兄さんゴメン!!!!」

 

すると、いきなりアレンは土下座してきた。

 

「いきなりなんだよアレン!?」

 

「俺、ソウ兄さんの事何にも分かっていなかった!!!! なのに俺、ソウ兄さんに酷い事言っちまって……本当に済まない!! 本当にライダー失格なのは俺だ!!」

 

まさか、アレンはあの時言った事について謝ってんのか?

だとしたらお門違いだ。

 

「別に気にしていない、あの時お前が言った事は間違っちゃいない…… 仮面ライダーの資格が無かった事を…… 俺はここで改めて分かったんだ。だからお前が責任を感じる必要は無い」

 

「……… そっか」

 

そしてまた俺達はまた無言になってしまった。

 

「なあ、アレン。皆はどうだ?」

 

「ああ…… イッセーはタンニーンのおっちゃんにしごかれてひーひー言ってるよ」

 

「…… 彼奴らしいな」

 

「他のメンバーも頑張ってるぜ。特に小猫だな、 彼奴オーバーワークして倒れたんだけどよ」

 

「倒れた!?」

 

あの冷静な小猫が…… どっか様子が可笑しいとは思っていたけど、そこまで思い詰めていたのか… 彼奴。

 

「でも、今はちゃんとペース考えてやってるぜ」

 

「そ、そっか……」

 

なら良かった。

少しだけ皆の事が気になっていたんだ。

 

「アザゼルも忙しそうにしていたぜ。何でも、ソウ兄さんが帰ってきた時のためにジール博士と一緒にトライドロンの補助機体を作っていたぜ」

 

「ジール博士って誰だよ」

 

少なくとも俺はそんな人に会った覚えは無い。

 

「あー…… ソウ兄さんは気にしなくていいよ。唯の変人だし、名前だけ知ってればよし」

 

まさかアレンが変人と言うとは、一体どんな人物なんだジール博士……

 

「それと…… これ」

 

アレンは、懐から黒、白、灰の三色のシフトカーを取りだし、俺に渡した。

 

「…… これは?」

 

「アザゼルに頼んで作って貰った。シフトイーヴィル、シフトダウンフォール、シフトセイクリットだ。それぞれソウ兄さんが貰った転生具がベースになってる、コイツらを使ってソウ兄さんを探しだしたんだ」

 

各々の特徴が残っていて、イーヴィルは王冠に悪魔の翼が、ダウンフォールは堕天使の翼が、セイクリットは天使の翼に十字架があった。

 

俺のデータが登録されているだけあって、俺によくなついている。

 

「…… なあ、ソウ兄さん。戻って来ないか? 姉ちゃん達、事情を知ってる奴等は心配してるぜ?」

 

「…… 俺は」

 

正直な所、戻ろうと思ってはいない。

また、あんなことになっても迷惑がかかるし、今度こそ死人が出ないとも限らない。

 

俺は、仮面ライダーに戻る事に消極的だった。

 

そんな俺の気持ちを察したのか、アレンは一瞬暗くなって言った。

 

「そっか…… ソウ兄さんが決めたならそれでもいいけど…… 姉ちゃんにどう説明すっかな~」

 

「アレン、俺は!」

 

「今日はいい。週末また改めて答えを聞かせてくれ、俺もいきなり来た訳だし、ソウ兄さんにも整理する時間が必要だろ?」

 

「…… ああ」

 

「うん。じゃあな」

 

言う事は言ったとばかりにアレンは去っていった。

今、ここに居るのは俺とマリアだけだ。

 

「…… さっ、帰るかマリア」

 

「ソウスケ…… 仮面ライダーだったんだね……」

 

「…… ああ」

 

やはり聞かれたか……

 

「ねぇ…… ソウスケ、また何処かに行っちゃうの?」

 

恐らく涙を堪えているであろうマリアの目には、少しだけ涙があった。

 

俺はマリア涙を拭って、マリアを抱き締めた。

 

「あっ……」

 

「何処にも行かない。ずっとマリアの側に居るよ」

 

夕焼けのせいか分からないが、マリアの頬は赤く紅潮していた。

 

「本当? 何処にも行かない?」

 

「ああ、俺はマリア。お前に惚れているんだ。だからマリアと結婚するのもいいなって」

 

これは俺の本心だ。

今のタイミングだと逃げてるだけかもしれないけど…… それでもマリアに惚れているのは間違いない。

 

「なら…… 証明して?」

 

マリアは俺の顔を真っ直ぐ見たあと、少し期待した様子で目を瞑る。

 

「証明って何を…… ああ」

 

目を瞑るマリアを見て合点のいった俺はマリアの耳元で囁いた。

 

「お前がいたから、今の俺がある。ありがとうマリア、愛してる」

 

そう言った瞬間、マリアは体をピクリと反応させ、それを見逃さなかった俺は、マリアの唇を奪った。

 

「ん……」

 

数秒たって唇を離した俺達は何とも言えない感情に苛まれ、二人して顔を真っ赤にしていた。

 

「あ、あはは、愛してるって…」

 

「ああ、本心だぞ?」

 

「分かってる。ソウスケが嘘言わないのは…… 帰ろ? おかーさん達に報告しなきゃ!」

 

「そうだな…… また婆さんに弄られるんだろうな……」

 

「あ~……」

 

そんな一抹の不安を覚えたが、直ぐに幸せな気分になり、マリアは俺の腕を取ってくっつき歩き出した。

 

「これからも、ずーっと一緒だよ。旦那様」

 

「ああ、ずっと一緒だ。マリア」

 

俺達は、笑い合いながら家路に就いた。

 

 

 

 

 

 

だが、運命は俺を離さない。

後に起こる出来事により大切な者を失ない、再びドライブに戻る決意をすることになるのを……

 

俺はまだ、知らないのだった。




楽しかった時間は終わり…… 幸せな日々を送る筈だった戦士……

しかし、運命は彼を更なるどん底へと叩き落とす。

その時彼の胸に去来するは、憎みか、以前を凌駕する復讐の炎か、あるいは…… 新たな希望か。

その答えを知るものは彼しかいない。
走介、ああ走介よ。
君は一体、何処へ向かうのか?
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