ハイスクールD×D 加速する戦士   作:響く黒雲

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今回、何時もより長めです……
そして、お待たせしました。
遂にあの回です。

久々にマッハの戦闘シーンもあるよ!

それではどうぞ!


喪った者の大きさとはなにか

それからの一週間は、ドタバタの連続だった。

 

まず、帰ってからマリアの家族に報告。

すると…

 

「まあまあ! そうかいそうかい! 決めてくれたんだね!」

 

「ほ~う。まさか本当に結婚すると言ってくれるとはのぉ~ 曾孫を拝む日も近いかもしれん」

 

「…… 孫を…… マリアを頼む……」

 

本人そっちのけで進めていた事もあって特にわだかまりも無く婚約は成立した。

 

案の定、婆さんにからかわれたマリアは顔を真っ赤にしていたが……

 

 

次の日には、村中にその事が伝わり、村中の人外達が集まった。

 

悪魔は勿論、堕天使、天使、精霊など様々な種族が集まり、果てにはドラゴンまで参加していた。

 

そこで皆に色々な洗礼を受け、翌日にはトントン拍子で結婚式の日取りが決まってしまった。

 

式場の構築は一瞬だった。

数人の人達が魔法で木を生やし、村人総出で式場を造ってくれた。

 

俺達だけのために何でそんなにするのか気になって聞いたら……

 

「この村では、誰かが結婚することになったら村人総出でお祝いするんだ。見ての通り娯楽が少ない場所だからな、皆祭りが大好きなのさ」

 

とのこと。

 

この村には、作物を育てているからか、命に優しい人外が多くいる。

こんな村のは人々だから、俺は人外を憎む事を止められたのかもしれない。

 

式場は急ピッチで造り上げられ、夕方前には完成していた。

 

するとそこからは、忙しかった。

 

俺は婆さんを筆頭とする集団に連れられ、マリアもおばさんとその他の人達に連れられた。

 

「うわわ!? ちょ、何すんだ婆さん!?」

 

「あんた結婚式にそのまま出るつもりかい!? あきれたねぇ…… ほれ、あんたら。この子をとびきり粧し込んでくれ!」

 

『『『応っ!』』』

 

そこからは一瞬だった。

一瞬で脱がされ、一瞬で白いタキシードを着せられ、簡単な化粧までされた。

 

「はい、これでよし。中々男前じゃないか」

 

「うぉっ!? 早っ!?」

 

「さっ、とっとと式場に行きな!」

 

と、婆さんに蹴り出され俺は状況を理解しないまま式場に行った。

 

式場には、村人がびっちり参列していて、皆いつの間にか正装になっていた。

 

そして……

 

「新婦の入場デース」

 

マリアが爺さんにエスコートされながらやってくる。

 

そこには女神がいた。

 

純白のウェディングドレスに身を包み、頬を赤く染めながら、此方にやって来たマリア。

 

マリアは戸惑いながら、俺の反応をみる。

 

「…… ど、どうかな?ソウスケ」

 

「…… ああ、凄く…… 綺麗だ」

 

「ありがとう。ソウスケも格好いいよ」

 

「…… サンキュー」

 

そして、誓いの儀式に入った。

 

「汝ら、健やかな時も、病める時も、互いを愛する事を誓いマスカー」

 

「「誓います」」

 

「デハ、誓いのキスヲー」

 

俺は、マリアの顔に架かるベールを上げて、マリアにキスをした。

 

俺達は、夫婦となった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、お祭り騒ぎになった会場を何とか後にして、家に戻った俺達は、漸く落ち着ける時間が取れた。

 

「やっと落ち着いたね」

 

「ああ、皆騒ぎ過ぎだろ…」

 

疲れてしまった俺達は、一緒にベットに飛び込んだ。

 

「私達…… 本当に結婚したんだ……」

 

「ああ、ちょっと実感無いけどな」

 

「て、事はだよ? やっぱり夫婦らしい事っていったら……」

 

突然マリアは服を脱ぎ、俺に抱きつく。

 

「…… いいのか?マリア。 俺、初めてだし、手加減出来ないぞ?」

 

「いいの、私はソウスケに抱かれたい…… ちゃんと貴方の物だって…… 私に刻んで……?」

 

その言葉で理性が途切れた俺は、マリアを押し倒し、朝方まで、マリアの体を堪能したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日は、元の生活に戻り、俺は爺さんと用水路を完成させるために手伝おうとしたが……

 

「ソウスケ、薪が足りなくなってしまってな、すまんが向こうの林に取りに行ってくれんか?」

 

「分かった、とりあえずかご一杯持ってこればいいよな?」

 

「ああ、頼む」

 

そうして俺は、かごと斧を持って林に薪を取りに行った。

 

「ソウスケー! 何処行くのー!!」

 

「林に薪を取りに行ってくる!」

 

「私も行こうかー?」

 

「大丈夫だ!」

 

俺はこの時の選択を後悔する。

何故俺はあの時マリアと一緒に行かなかったのか?

その事を一生悩み続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…… そう言えば、アレンがそろそろ来る頃だな」

 

今日は、約束の一週間。

恐らく俺が帰る頃にはアレンは来ているだろう。

その時は勿論、帰る事を断る積もりだ。

 

もう俺にライダーの資格は無い。

それにずっと一緒にいると誓った大切な嫁がいる。

 

だが断った後、俺の代わりに全てを背負う事になるアレンの背中を、俺は直視出来るのか?

それだけが、唯一不安だった。

 

「とにかく、今は薪だな」

 

俺が、薪取りの作業に戻った時だった。

 

 

ズズゥゥゥゥゥゥゥン!!!!!!

 

 

大きな地響きが、大地に轟いた。

 

「!? な、なんだ!?」

 

慌てて、振り向くと……

 

「ああ…… ああ!!?」

 

虹薔薇の村から、火の手と煙が見えた。

 

「嘘だ…… 嘘だ嘘だ嘘だ!!!!」

 

俺は、斧だけを持って林を抜けた。

 

すると…

 

「何だよ…… これ……」

 

前に遭遇したキメラに似た何かが、村を襲撃していた。

 

「くそっ…… くそっ!!」

 

俺は、慌てて飛び出した。

 

 

今の俺じゃ勝てない ―――― 分かってる!

 

間に合わない ――――― それでも諦めるか!

 

無理だ ――――― ふざけんな!

 

 

そんな考えばかりが頭に浮かんだ。

そして、慌て過ぎたのか、脚が縺れて転んでしまった。

 

「チクショウ……! チクショウ……!」

 

すると……

 

「ソウ兄さん!?」

 

そこに、アレンが現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

俺は驚いた。

ソウ兄さんに会いに行こうとしていたら、村に煙が上がっていた。

 

何かあったのかと思っていたら、目の前にソウ兄さんが倒れていた。

 

「ソウ兄さん!?」

 

慌てて駆け寄ると、ソウ兄さんは涙を流しながら俺を掴んで懇願した。

 

「アレンッ!! 頼むよ!!!! 村を…… 皆を助けてくれ!!!! 今の俺には…… 力が無い…… 頼むよ……」

 

俺は、ソウ兄さんのこんな姿を初めて見た。

確かに… 今のソウ兄さんに戦う力は無い。

なら、俺が行くっきゃねぇ!

 

「分かった…… ソウ兄さんはここで待ってろ!!」

 

俺は、ライドマッハーをフルスピードで走らせ、村に向かった。

 

 

 

直ぐに村は見えてきた。

村は、既に見るに耐えない状況で、目の前にはあのキメラがいた。

 

「もう一体居たのか…… Let,s 変身!」

 

 

『シグナルバイク! ライダー! マッハ!』

 

 

俺はライドマッハーに乗りながらマッハに変身し、キメラに体当たりした。

 

『オラァッ!!』

 

「グキャァァアァッ!!!!」

 

俺はライドマッハーから降りて、名乗ろうとした。

 

『追跡! 撲滅! いずれも~……』

 

「ガウッ!!」

 

『ウォッ!? チッ、仕方ねえ。以下省略!!』

 

が、キメラに阻まれた為、省略してキメラに向かっていった。

 

『ハァッ!!』

 

 

『ゼンリン!』

 

 

ドン!

 

 

「ゴガァァァァッ!!」

 

『なっ!? 効いてねえ!!』

 

ゼンリンシューターで打ち上げるも、強靭な肉体を前には無力で、あまりダメージを負わせられなかった。

 

「ガァァアァアッ!!!!」

 

『グァアァアッ!!!!』

 

その強靭な肉体から打ち出される尻尾は、強力な鞭の様に破壊力を伴って、俺に襲いかかった。

 

『グハッ…… 長引かせると不利だな…… 一気に決める!』

 

俺は、シグナルバイクをカクサーンに変えた。

 

 

『シグナルバイク! シグナルコウカン! カクサーン!』

 

 

シグナルコウリンが分岐点の標識になり、更に俺はゼンリンシューターのスロットにトマーレを装填した。

 

 

『ヒッサツ! トマーレ! フルスロットル!』

 

 

『トマーレとカクサーンのコンボだ! 食らいやがれぇぇぇぇっ!!!!』

 

そして俺は、ゼンリンシューターを思いきりキメラに叩きつけた。

 

『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!!!!』

 

 

『ゼンリン! トマーレ!』

 

『カクサーン! カクサーン! キュウニ カクサーン!』

 

 

停止の能力を持つトマーレの拳をカクサーンによって分散してぶつける事で、停止能力を増大させた。

これならいくら強靭な肉体を持っていてもひとたまりもないだろう!

 

「ガッ!? ガッ、ガガッ!?」

 

キメラは俺の思惑通り体の自由が利かなくなり、ついには静止した。

 

『テメーは…… 徹底的にぶっ潰す!!』

 

俺は、シグナルバイクを赤いロケットが印象のシグナルキケーンに変えた。

 

 

『シグナルバイク! シグナルコウカン! キケーン!』

 

 

文字どおりデンジャラスな音を響かせながら、シグナルコウリンは危険注意の標識に変わった。

 

『そら! 味わえよ!』

 

 

『シューター!』

 

 

その掛け声と同時にゼンリンシューターで撃つと、ピョコッと小さな弾がトコトコと歩いていき……

 

 

『トテモ! キケーン!』

 

 

俺がブーストイグナイターを数回叩くと……

 

『シャアァァァァァ!!!!』

 

赤い、狂暴な魔獣へと姿を変えた。

 

『シャアァァァァァ!!!!』

 

「グキャァァアァッ!!!?」

 

魔獣はキメラに食らいつき、その肉体を食い散らかしていく。

 

『ピョコタン! そろそろ決めるぜ!』

 

俺は魔獣、ピョコタンに指示を出すと、ピョコタンは嬉しそうに食べるのを止め、俺に向かってきた。

 

 

『ヒッサツ! フルスロットル! キケーン!』

 

 

俺はタイミングを図りながら必殺技を発動させ、キケーンの赤い炎を纏った。

 

そして、ピョコタンがいよいよ迫って来て……

 

『シャアァァァァァ!!!!』

 

『ハアァァァァァアアッ!!!!』

 

俺はキメラを蹴り抜いた。

 

「ゴガァァァァッ!?!?!?」

 

肉体に風穴が開いたキメラは、エネルギーに耐えられず……

 

 

ドカァァァァァァン!!!!!!

 

 

大爆発した。

 

俺は変身を解いて、何時もの決めポーズをしようとしたが止めた。

 

「いい画…… とは言えないな……」

 

回りを見れば、焦土ばかり…… 生存者は、絶望的だ。

 

「と、そうだ。ソウ兄さん!」

 

俺はソウ兄さんの事を思いだし、ソウ兄さんの元へ急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

戦いをアレンに任せた俺は、一人でも生存者を探す為に、廃墟と化してしまった村を歩いた。

 

戦闘の音はここまで来ている。

早く見つけないと……

 

「マリアー! 婆さーん! 爺さーん! おばさーん!」

 

必死に呼び掛けるが、誰も答えない。

遂に家にたどり着いてしまった。

その頃には、戦闘の音も止んでいた。

 

「マリアー!!!! …… !?」

 

すると、瓦礫になった家から、手が出ているのを見つけた。

その手は、確かにマリアの物だったけど

 

「マリア!!!!」

 

俺は急いで、瓦礫を退かし始めた。

 

「大丈夫だぞマリア!!!! 今助けてやるからな!!!!」

 

そうして、何とか瓦礫を退かす事の出来た俺は、ボロボロのマリアを抱き上げた。

 

「マリア!! しっかりしろ! 目を開けてくれ、マリア!」

 

「……… う……」

 

「マリア!!」

 

すると、辛そうだったがマリアはうっすらと目を開けた。

 

「…… ソウ…… スケ? ぶ…… じ… だっ、たん、だね……?」

 

「ああ、俺はここにいるよ、マリア」

 

「…… よかっ、た……」

 

そう言って、焦点が定まって無い目で、俺に触れようとするマリアの手を、俺は優しく握った。

 

「ごめ、んね…? やく、そ… く。 ま、もれ…… な、いよ……」

 

「何を言ってるんだ!! これからも、俺達はずっと一緒だ!!」

 

「あり…… が、とう…… ソ、ウス… ケ」

 

段々と、俺を握る力が弱くなってきた。

でも、俺はそれを認めたく無くて…… 更に強く握った。

 

「あの…… ね? わた、し…… みた…… の…… むら……を、おそっ、た…… ひと……」

 

「!? 何だって!?」

 

暴走したキメラの仕業じゃないのか!?

一体…… 誰が!!

 

「その、ひとは……――――――」

 

「!!!」

 

俺は、マリアから事件の犯人を聞いた。

そして……

 

「でも、ね……? やく…… そく…… し、て? ―――――――」

 

「!? う、うぐっ……! ああ!約束する!! だからもう喋るな!!」

 

俺は泣きそうになるのを堪えて、必死にマリアをどう救うかを考えた。

しかしまともな案が思い浮かばない。

 

「ソウ……スケ…… なか、ない…… で?」

 

「泣いてない!! だからもう自分の事だけを考えてくれ!」

 

「わたし…… ソウ…… ス、ケと、いっ、しょ…… に、いろんな…… とこ…… いき、た…… かっ、た……」

 

「行けるさ!! だから…… 頼むから……」

 

もう、喋らないでくれ……!!!!

 

「で、も…… ソ、ウス…… ケは、か、めん…… ライダー…… だから…… みんな、を…… ま、もら… なく…… ちゃ……」

 

そう言って、マリアは精一杯の笑顔を、俺に見せた。

まるで、これが俺に見せる最後の笑顔だと言うように……

 

「ああ!! でも、その中に…… マリアが居なくちゃ意味が無い!!!!」

 

「うれ…… しい…」

 

俺がそう言うと、またマリアは力無く笑った。

 

「ソウ……スケ」

 

「…… なんだ?」

 

「キス…… して?」

 

「ああ……」

 

マリアの頼みを、俺は一つ返事で聞き、マリアの唇に優しくキスをした。

 

「あり、が…… とう…… まっかで…… はやくて…… やさしくて…… すてきな…… にんげんの…… だんな…… さ、ま……」

 

そう言って…… マリアは幸せそうに、目を閉じた……

 

「……… マリア?」

 

俺は、力無くなったマリアの体を必死に抱き止めた。

もうマリアがどうなったか分かっているのに……

 

「なあ…… 嘘だろ……? マリア…… 目を開けてくれよ…… マリア……」

 

何度かマリアの体を揺さぶるが…… 反応はない……

 

「……う、くっ…… マリア……」

 

遂に俺は耐えられなくなり、目から大量に涙を流し始め、マリアの体を優しく、強く、抱き締めた。

 

「こんなのって…… アリかよ……!」

 

アレンも、廃墟の影で俺達を見て泣いていた。

 

「何故だ…… なんでマリアが死ななくちゃいけない… 本当に死ななくちゃいけなかったのは俺なのに……!」

 

冷たくなっていくマリアの骸を抱いたまま、俺は泣き続けた。

また自分だけが生き残り、大切な人が去っていったのを呪いながら……

 

「マリア…… マリアァァァァァァァ!!!!!!」

 

天にのぼるマリアに届く様に、俺は彼女の名を叫んだ。

 

 

 

 

 

俺はまた…… 大切な者を…… 失ってしまった……




守るべき者は居なくなった。少年に残されたものは、憎しみか絶望か。

それでも物語は進んでいく。様々な憎しみと怨みを乗り越えるのは、たった一人の少女の祈りと思い。

少女の思いを正しく受け取った少年の鎧は、遂に限界を超えた紅白へと至る!!!!
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