ハイスクールD×D 加速する戦士   作:響く黒雲

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心を持つ怒りは何故現れたのか

私、塔城小猫は森の中を走っている。

私の今まで生きてきた中で最大級のトラウマ…… 黒歌姉さま。

力に溺れ、自分の主を殺してはぐれ悪魔になった姉さまは、私にとって恐怖の対象でしかなかった。

 

パーティーの最中、黒歌姉さまの気配を漂わせた使い魔を見て、私は一目散に駆け抜けた。

 

そして……

 

「久し振りね、白音。あれだけで来てくれるなんて、お姉ちゃん嬉しいわ♪」

 

「……… 黒歌、姉さま……!」

 

目の前の木の上で、黒歌姉さまは、薄く笑いながら私を見下ろしていた。

 

「姉さま。これはどういう事ですか?」

 

「怖い顔しないで。悪魔さん達がパーティーしてるっていうから、気になって来ちゃったにゃん♪」

 

そう言って姉さまはウィンクする、その仕草一つ一つが、私の恐怖を掻き立てる。

 

「ハハハハ、こいつもしかしてグレモリー眷属かい?」

 

すると、木陰から、孫悟空の末裔という禍の団(カオスブリゲード)の美猴が現れた。

 

不意に、美猴の視線が私の後ろに向けられる。

 

「気配消しても無駄だぜぃ。俺っち達みたいに仙術知ってると、気の流れて分かっちまうからな」

 

そう言うと後ろから、部長とイッセー先輩が出てきて驚いた。

 

「よう、クソ猿さん。ヴァーリは元気かよ?」

 

「まあねぃ。そっちは… 多少強くなったのかねぃ」

 

やはり仙術を知ってると相手の事が分かってしまう。

私にも出来ない事は無いけれど……

 

「なんでここにいるんだ? テロか?」

 

イッセー先輩、いくらなんでも直球すぎませんか…

 

「いんや、今回俺っち達は非番だぜぃ。したら黒歌がパーティーの見学に行って中々帰ってこないから、こうして迎えにきたわけ、OK?」

 

「美猴、誰、この子?」

 

「赤龍帝」

 

美猴が姉さまにイッセーの事を伝えると、一瞬表情を変えて、再び笑う。

 

「ふぅ~ん。これがヴァーリを退けたおっぱい好きの赤龍帝?」

 

先輩のエロさ加減はテロリストまで伝わっているんですか……

 

「でも…… ライズをボコボコにしてくれた仮面ライダーはもういないんだぁ~」

 

「走介先輩になんの用ですか!」

 

「べつにぃ~ 唯、私の彼を苛めたお礼はしたいと思っていたけど、そんな事したら私がライズに嫌われるにゃん」

 

ライズ…… 死神、魔進チェイサーの事ですか……

姉さまに狙われるなんて…… 心中お察しします……

 

「なぁ~ 帰ろうぜ黒歌。俺っち達はパーティーに参加出来ないんだし」

 

「そうね。けど、白音はいただくにゃん」

 

姉さまから、視線が送られる。

それだけで私の体は恐怖に反応し、動かなくなる。

 

「この子は私の眷属よ。指一本触れさせないわ」

 

「それは私の妹。私には可愛がる権利があるわ」

 

空間の空気がピリピリしたものに変わっていくのが分かる。

 

これは……

 

「めんどいから殺すにゃん♪」

 

その瞬間、別の場所に飛ばされた感覚がした。

 

「… 黒歌、あなた空間を操る術まで覚えたのね?」

 

「時間を操る術まで覚えられ無いけどねん。これも愛のなせる技にゃん♪」

 

「ライズが聞いたらため息もんだな、こりゃ……」

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

「はぁ……」

 

「おや? どうかしましたか?ライズ」

 

「いや、何でも無いアーサー。また黒歌が余計な事をしたな……」

 

「?」

 

その頃、冥界の何処かでため息を吐く死神と、それに困惑する騎士王の子孫がいたとか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

「さ、白音。仮面ライダーの事は忘れて、私と行きましょ?」

 

姉さまが私に向かって手を伸ばすが、私は恐怖に支配されて動けなかった。

 

その時。

 

 

ゴオォォォォォォッ!!!!

 

 

巨大な火の球が姉さま達に当たり、炎で包み込んだ。

それを放ったのは……

 

「リアス嬢と兵藤一誠が森に向かったと報告を受けて急いで来てみれば、結界で封じられるとはな…」

 

最上級悪魔の竜王、タンニーン様だった。

 

「しかし、それもこれまでだ」

 

「ナイスだぜ! タンニーンのおっさん!」

 

確かに姉さま達は炎に包まれた。

けど… 本当に終わったのか?

私には、まだ恐怖が残っていた。

 

『安堵するには…… まだ早いんじゃないか?』

 

「「「「!?」」」」

 

炎の中から、美猴のものでない肉声が聞こえる。

そして、炎を起点に何かのフィールドが張られた。

その瞬間、私達の体の動きが、限りなく静止に近づいた。

 

こ、この能力は…!?

 

「この力…… 叔父上の……!?」

 

「ベルトさんの重加速じゃねぇか!?」

 

「ど、どうして!?」

 

そして炎が晴れて、そこにいたのは異形。

真っ赤な肉体に、胸には心臓の様な機械が埋まり、頭部は、剥き出しの歯に、ハートの形の様に曲がった角があった。

 

そして、重加速が終わり、私は自由になった。

 

『無事か? お前達』

 

「まさか、お前が出張って来るとはねぇ…」

 

「…… 一体何しに来たにゃん。ハート」

 

姉さまが不快感を表して、顔をしかめるが、ハートと呼ばれた異形は、霞の様なものに包まれると、男の人になった。

 

「そんな怖い顔をするなよ黒歌。俺はただ、友であるライズに頼まれただけだ。黒歌は調子に乗ると面倒事しか起こさないから見張ってくれ、とな」

 

「ライズの私の扱いが酷いにゃん!!!?」

 

「友の同僚と恋人は俺の友だ。なら守るのも当然だろ?」

 

「…… 前々から思っていたけど…… なんであんたテロリストやってるにゃん?」

 

「ハッハッハ。さてな」

 

「おい! そこのイケメン! お前何者だ!?」

 

すると、イッセー先輩がハートと呼ばれた男に話しかけた。

 

「ん? 名乗る時は自分からと教わらなかったか?」

 

「俺はグレモリー眷属の兵士(ポーン)!兵藤一誠だ!」

 

「ほう!お前が赤龍帝か! なら名乗らない訳にはいかないな」

 

男は、自身の身に纏う赤いロングコートを翻し、わざとらしく手振りしながら答えた。

 

「初めまして、俺は禍の団(カオスブリゲード)のロイミュード派のサブリーダー。コードネームはハートだ。よろしく?赤龍帝」

 

禍の団(カオスブリゲード)の新たな刺客!?

しかも、派閥のサブリーダーなんて!?

 

「よろしくなんてしたくないね! 赤龍帝の籠手(ブーステットギア)!」

 

イッセー先輩が、神器を発動させてハートに向かっていった。

 

「待ちなさい!? イッセー!」

 

部長の静止も聞かずにハートに向かっていく先輩、しかしハートは目を閉じて薄く笑った。

 

「何が可笑しい!コノヤロー!」

 

「いや何、うちの奴等にも見習わせたい熱さだと思ってな?」

 

「笑っていられるのも今のうちだ!!」

 

そう言って神器で殴りかかるが……

 

「フッ…… ハアァァァアア!!!!」

 

ハートは再び霞の様なものに包まれて、先程の異形に変身して、先輩の拳を受け止めた。

 

「なっ!?」

 

『悪い一撃では無いが…… まだまだ甘いな』

 

そう言うと、ハートの体は蒸気と紅い稲妻に包まれて……

 

『ハアァァァアア!!!!』

 

「グアァァァアッ!?!?」

 

イッセー先輩を吹き飛ばした。

 

「イッセー!?」

 

「イッセー先輩!?」

 

『手加減はした。そこまでダメージは無い筈だ』

 

「ごほっ…… て、てめえ…… 今のは、デッドゾーンの……」

 

デッドゾーンって!? 走介先輩が暴走した時に起こった現象の筈!?

この人は、それを操れるんですか!?

 

『ほう、デッドゾーンを知っているのか? なら説明は要らないな。これは俺の神器、怒りの心臓(ラース・オブ・ハート)の能力だ』

 

怒りの心臓(ラース・オブ・ハート)…… 聞いた事がある。怒れば怒る程、その力を増していく感情の神器があると……」

 

『流石、竜王のタンニーンだ。俺達ロイミュード派は、そんな感情系神器使いの集まりで出来ているのさ』

 

感情で力を増していく神器なんて…… そんなの、感情の高ぶりが激しい人間は、無限に力を増していくじゃないですか!?

 

「いいのかいハート? そんなにべらべら喋っちまってよぉ~」

 

「構わないさ。“仮面ライダーの居ない”奴等に言った所で、何の支障もない」

 

「え?」

 

今…… この人は何て言った?

仮面ライダーが居ない?

アレン君は居た、何度もお見舞にロマリー先輩と一緒に来てくれた。

じゃあ、仮面ライダーって?

 

「それ、どういう事…… ですか…」

 

「ん? お前、知らないのか?」

 

「どういう事か、聞かせて貰うわよハート」

 

「お前…!? まさか!?」

 

「どうやら赤龍帝は知っているみたいだな」

 

そう言うと、ハートは話し始める。

 

止めて!! 聞きたくない!!

 

そう思うが私は言えなかった……

 

ハートの言葉は、私を地獄に叩き落とすには…… 十分過ぎた。

 

「仮面ライダー、神藤走介は、自殺し、消息が途絶えていたが、我ら禍の団の別動隊は、奴を発見、潜伏していた村ごと、焼き払ったそうだ」

 

その言葉を聞いた瞬間、私の目の前は真っ暗になり、膝から崩れ落ちた。

 

「小猫(ちゃん)!?」

 

「あーあ、壊れちゃった。連れ帰ってから言って慰めようと思ったのに」

 

「なに!? そ、それは済まない事をした……」

 

走介先輩が…… 自殺……?

しかも…… 殺されたなんて……

どうして? 修行してるってイッセー先輩もロマリー先輩も言ってたのに……

 

「騙して…… いたんですか?」

 

「ごめん小猫ちゃん。アザゼル先生に黙っていてくれって頼まれたんだ……」

 

「…… 確かに、アザゼルの判断は間違ってないわ。でも、こんなのって……」

 

そんな…… まだ走介先輩に言いたかった事、何も言って無いのに……

 

漸く前に進めそうだって、あの時、心無い事言った事、謝りたいのに……

 

「先輩ッ…… 先、輩……」

 

どんどん涙が溢れてくる。

もう、目の前なんて見えない……

 

「死んじゃったのは仕方無いにゃん。おいで、白音。お姉ちゃんが慰めてあげる」

 

そう言って姉さまは近づいて来る。

もう、何も考えたくない……

 

でも…… 唯一つ…… もう一度だけ、走介先輩に会いたかった……

 

「逢いたいよ…… 走介先輩……」

 

その時だった……

 

 

『オール タイヤ アタック!!!!』

 

 

久しぶりに聞いたあの声と共に、見慣れた赤いスポーツカーがやって来た。

 

無数のタイヤが射出され、姉さま達を攻撃する。

姉さま達は、何とかタイヤを捌いて、後方に下がり、赤いスポーツカー、トライドロンは私達の間に止まった。

 

そして、私達側のドアが開き、そこから出てきたのは…

 

「…… どうしてだろうな? 俺がこうやって駆け付けると…… 決まってお前が泣いている」

 

私にとって最愛の人……

 

「ああ…… ああ…!!」

 

「今度は、一体誰がお前を泣かせたんだ? 小猫」

 

ぶっきらぼうに私の名前を呼ぶその人は、何時だって私達のピンチに駆け付けてくれる。

 

「そんなの、決まってます…… 貴方です!走介先輩!!!!」

 

私がそう言うと、困った様に笑うその人の笑顔は、見るだけで私を安心させてくれる。

 

仮面ライダードライブ、神藤走介。

 

私が、大好きな人です。




デッドヒートを出すと言ったな?
あれは嘘だ。

あっ!? 止めて!? 蹴らないで!?

ホントすいません!!!!
次回は次回こそは必ず出しますから!!!!





















多分……
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