ハイスクールD×D 加速する戦士   作:響く黒雲

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何故走介はその女性と出会ったのか

もうソウ君はフランスに着いたころかなぁ……

はぁ…… 私も行きたかったな、フランス。

 

私、ロマリー・シュヘンベルグは今天界で書類仕事をしている。

最近転生天使が増えてきたからその確認の書類等が山積みらしく、熾天使だけでは捌ききれないそうだ。

 

だからってこのタイミングじゃなくても……

 

「はぁ……」

 

「あら?どうかしましたか?ロマリーさん」

 

「ガブリエルさん…」

 

ため息を吐いていると、隣で仕事しているガブリエルさんが心配してくれた。

それもそうだよね、いきなり隣でため息吐かれたら心配にもなるだろう。

 

「あっ! 分かりました♪ 走介君の事ですね?」

 

「ええ、まあ…」

 

「ごめんなさいね。本当なら貴女に走介君の案内人を頼もうと思ったのだけれど」

 

「それはいいんです…… でも……」

 

「でも?」

 

「また一人ライバルが増えそうな気かして…」

 

こういう時の私の直感って当たっちゃうから嫌だ…

うぅ…… ソウ君お願いだから変な事はしないでね?

 

『大丈夫よロマリー。あの子、一度結婚しているんでしょう? ならそう簡単に女にちょっかいだしたりはしないわよ』

 

「本当かなぁ… アルテ」

 

『ええ、ガブリエルより永く生きているんですもの、経験位あるし、歴代の青龍君だって皆早死にしたわけじゃないしね』

 

そうだった、衝撃の事実過ぎて私も猫ちゃんもその事から目を背けて頭の片隅に放っていたけど、ソウ君は一度結婚している。

 

なら、身持ちだって固くなっているはずだ。

 

でも……

 

「でもそれって、私も不利じゃない?」

 

『あ……』

 

……… やっぱり駄目かもしれない。

うわーん! 神様仏様菩薩様ぁ~!! お願いだからソウ君が他の女の子を引っかけ無いようにお願いします!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

「ハックシュン!!」

 

『ん? どうした走介?』

 

「走介君風邪?」

 

な、なんだ!? 今、体にゾワッて来たぞ!?

何と言うか…… こう、見られていると言うか… 心臓を鷲掴みにされたと言うか……

 

と、兎に角! この事は考えないようにしよ……

後が怖そうだ…!

 

「いや、大丈夫。何でもない」

 

「そう?」

 

『ならいいんだが……』

 

そんな事より! 今、俺はイリナの案内の元、フランスの名所を巡り歩いている。

 

目の前にあるのは、有名な凱旋門だ。

 

「またこうしてこの凱旋門を見る時が来るなんてな」

 

「昔、来たことが合ったの?」

 

「まあな」

 

孤児院に居た頃、よく連れていって貰ったっけ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『こら走介! 慌て無くても凱旋門は逃げないわよ』

 

『だってマザー! 滅多に孤児院から出られないんだよ!? だから早く!』

 

『全く…… しょうがない子ね。…… でも勇介さんにそっくり♪』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

懐かしいなぁ…… マザー……

 

今更だが、マザーの物で俺が持っている物っていったら、指輪位しか無いんだよな……

 

今填めているが、赤い楯の中に十字架が彫られているシンプルな物だ。

 

「さて、次に行くか! 確か、今公演している演劇を観に行くんだよな?」

 

「そうよ。今、パリで有名な劇団がやっているんだって!お陰で観光プランが建てやすかったわ!」

 

「…… まさかと思うが、俺の案内を口実にイッセーとデート、とか考えていたんじゃないだろうな?」

 

「ギクッ!?」

 

「やっぱりか…」

 

『やれやれ…』

 

なんでこいつを選んだんだろうかミカエルさんは?

どうせならロマリーかアレンの方が良かったぜ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

その頃、北欧では……

 

「ヘックシュン!!」

 

「どうしたアレン?風邪か?」

 

「いや、何でもないよバラキエル。多分姉ちゃんかソウ兄さん辺りが噂してんでしょ」

 

 

 

 

 

 

 

また天界でも……

 

「クチュン!!」

 

「ロマリーさん風邪ですか?」

 

『無理しているのなら休みなさい』

 

「ううん、大丈夫だよ。多分アレンかソウ君辺りが噂してるんじゃ無いかな?」

 

似たような事を言っている姉弟がいたとか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

「一応言っとくが、イッセーの奴は演劇の最中で間違い無く寝るぞ」

 

『百パーセントの確率で彼ならその行動に出るだろうね』

 

「そ、そんなの分かんないじゃ……!」

 

「この前、松田や元浜達と映画行った時も彼奴寝てたぞ?」

 

「そんなぁ…」

 

俺から見ればそのプラン穴だらけなんだけどな…

まだイッセーがレイナーレとデートした時に建てたプランの方が良かった気がするぜ……

 

「うぅ…… でもチケットは有るし、取り合えず行きましょ?」

 

「そうだな」

 

そうして俺達は、演劇が行われる会場に向かうのだった。

 

 

 

 

 

着いて劇場に来てみると、会場は超満員だった。

噂になる位だからどんなものかと期待していたが…… これは想像以上だな!

 

『す、凄いね…』

 

「私…… 人に酔いそう…」

 

「とっとと何か買って、席に行こうぜ」

 

俺達は、購買で腹ごしらえの出来る物を買って、会場の席に着いた。

 

俺達の席は、舞台の正面でよく見える良い席だった。

イリナが買ったと言っていたが…… 彼奴運が良いのか?

それとも教会が凄いのか?

 

どちらにしろ恐ろしい事は無い……

 

そうこうしているうちに演劇は始まった。

 

内容は、平民に恋をしてしまった貴族が、彼女と添い遂げる迄のお話だ。

 

シンプルでありきたりでベッタベタな話だが、こういう話が、何時までも時間と世代を越えて親しまれ、愛される物なのかもしれない。

 

出来ればマリアと見たかったな……

 

 

『おお!ヘンリエッタ!そなたは何故にこうも美しいのだ!』

 

『いけませんわフェニーチェ皇子。私達では余りに身分が違い過ぎます!』

 

うん、ベッタベタだ。

多分このあと、あの皇子の父である国王が出てくるんだろう。

 

『許さんぞフェニーチェ!! 平民の娘を妃にするなど!』

 

『父上!どうかお許し下さい!私はヘンリエッタを愛しているのです!!』

 

『ならん! 貴様は、誇り高い王族の血を汚す気か!?』

 

確かにベッタベタだが、不思議と引き込まれてしまう。

役者の演技と言うのは本当に凄いものだ……

 

「うぅ…… あんまりだよぅ……」

 

『こんな事が…… 世にあって良いのか!?』

 

横ではイリナとベルトさんが泣いている。

まあイリナ涙もろそうだし泣くのも分かる内容なんだが…… 何であんたが泣いているんだ? ベルトさん。

あんた仮にもドラゴンだろ?

 

そうこうしているうちに演劇はクライマックスを迎えていた。

 

『ヘンリエッタ…… そなたに、私から永遠の愛を贈ろう……』

 

『ああ、なんて嬉しいお言葉。フェニーチェ皇子、生涯を貴方様と共に添い遂げとうございます』

 

『ヘンリエッタ…』

 

『フェニーチェ皇子…』

 

そうして、二人が見つめあって劇は終わり、幕が降りた。

 

『ブラボー!!』

 

「ありがとう!」

 

客席から拍手と称賛の嵐。

凄い音量で、劇場全体が震えていた。

 

そして劇に出演した役者達が、カーテンコールに応えて、再び舞台に現れて挨拶をして、この舞台は終った。

けれど俺は気がついていなかった。

この時、ヘンリエッタ役の役者が、じっと俺を見ていた事を……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー 凄かったなぁ~」

 

「うんうん! ヘンリエッタが幸せになって良かったわ!!」

 

『私はフェニーチェ皇子の諦めない心に感服したね!』

 

俺達は、今日宿泊する予定のホテルに向かいながら、劇の感想を言い合っていた。

 

この際、ベルトさんがドハマりしちまっているのは置いておこう!

それぐらい凄い劇だった。

 

「っと、走介君。いきなりだけど急にミカエル様から召集が掛かっちゃったの、だから明日は一人で孤児院に行ってくれないかしら?」

 

「それはいいが…… どうやって孤児院に立ち入ればいい?」

 

「さっきの…… シフトセイクリットだっけ? それを見せたら通れる様に言っておくから」

 

「分かった」

 

「ごめんね。じゃあ!」

 

そう言うと、イリナは天界へと転移していった。

 

「さて…… 俺達はホテルに行くか、ベルトさん」

 

『うむ。そうしよう』

 

そしてホテルに向かって歩き出すと……

 

 

―――――― キャアァァァァ!!!?

 

 

「『!?』」

 

女の人の悲鳴が聞こえた。

 

「今の!?」

 

『行ってみよう!!』

 

急いで悲鳴が聞こえた場所に行くと……

 

「だ、誰か……!」

 

劇に出演していたヘンリエッタ役の人が、はぐれ悪魔に襲われていた。

 

『はぐれ悪魔か!?』

 

「そんな事どうだっていい! 行くぜベルトさん!!」

 

『OK! Start your Engine!!!!』

 

俺は走りながらイグニッションを回し、シフトワイルドをシフトブレスに装填して倒した。

 

「変身!!」

 

 

『DRIVE!!!! type WILD!!!!』

 

 

俺はタイプワイルドの鎧を纏い、肩にタイヤが付いたと同時にはぐれ悪魔に体当たりした。

 

『オラァッ!!』

 

「グギャッ!?」

 

そして俺は、役者の女性の前に立った。

 

『大丈夫ですか!?』

 

「えっ、ええ」

 

『良かった…… 早く隠れて』

 

無事を確認すると、俺ははぐれ悪魔に向き直った。

 

「グゥゥゥ…… 神器使いか…… 邪魔をするなァァァ!!!!」

 

『黙って人が食われるのを見ている程、俺はお人好しじゃ無いんでな。さあ!ひとっ走り付き合えよ!!!!』

 

俺はハンドル剣を構えて、はぐれ悪魔に向かっていった。

 

この時俺は気がついていなかった……

俺が守っていると思っていた女性が、笑っていた事に……

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