ハイスクールD×D 加速する戦士   作:響く黒雲

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本当の遺品とはなにか

「グアァァァァア!!!!」

 

炎に包まれていったキメラが、断末魔の雄叫びを上げる。

 

『やった♪』

 

『よし!』

 

『Nice Combination!! よくやった!二人共』

 

驚異的だったキメラを倒した事に、俺達は安堵していた。

しかし、それが間違いだったのだ……

 

「……… グ」

 

何故ならキメラは……

 

「ガァァァァァッ!!!!!!」

 

まだ倒れてはいなかったのだから……

 

『何!?』

 

『どうなっているんだ!!』

 

『嘘でしょ……!?』

 

炎を振り払いながら起き上がるキメラの体には、変化があった。

 

『キメラの体が……』

 

『緑色に…… なっている……』

 

先程までのキメラの体の色は、タイプスピードど同じ赤色だった。

その証拠に、ワイルドの時は対応しきれなかった攻撃速度に、スピードの時は着いていけていた。

 

それにあのキメラには俺のデータが入っている。

まさか!? 彼奴には各タイプの能力まで備わっているのか!?

 

『じょ、冗談じゃねぇぜ……』

 

これでデッドヒートまでコピーされていたら…… 俺達は終わりだ……

 

『何にしても、グズグズしている暇は無いな』

 

俺は再びキメラに冷凍光線を浴びせようと、ドア銃を構えた。

 

「! ガアッ!!」

 

『!?しまっ!?』

 

しかし、突然キメラの背中から生えた触手が俺に襲い掛かり、ドア銃が弾かれ、俺は触手に叩き飛ばされてしまった。

 

『グアァァァッ!?』

 

『走介君!? このっ!!』

 

セーヌさんも再びキメラにルパンガンナーで火炎弾を撃ち込むが……

 

「グガアァァァッ!!!!!」

 

やはり、背中の触手に弾かれ、木の上にいたセーヌさんは触手に捕らえられてしまった。

 

『キャアァァァァァッ!!!?』

 

『セーヌさん!?』

 

セーヌさんを捕らえたキメラの触手は、セーヌさんを上空でブンブン振り回す。

 

『不味いぞ!? あのスピードで叩きつけられたら、彼女の命が!?』

 

『そんな事させるかぁ!!!』

 

俺はテクニックをシフトブレスから抜き取り、シフトワイルドを新たに装填し、倒してタイプワイルドにタイプチェンジした。

 

 

『DRIVE!!!! type WILD!!!!』

 

 

タイプワイルドにタイプチェンジした俺はハンドル剣を呼び出し、キメラの頭上に飛び上がって触手を切り裂いた。

 

『ハアッ!!』

 

「ゴアアアアアアッ!?!?」

 

『キャアァァァァァッ!?』

 

触手を切られ、慌てるキメラを他所に、俺は投げ出されたセーヌさんを助けるために行動した。

 

『来い!レッカー!!』

 

俺が呼ぶと、レッカー車のシフトカー、フッキングレッカーがやって来て、俺の手の中に収まった。

 

ワイルドをシフトブレスから抜いて、フッキングレッカーを装填、倒した。

 

 

『タイヤコウカーン!!!! フッキング レッカー!』

 

 

緑色のワイヤーとフックが付いたタイヤが、トライドロンから放たれ、右肩のワイルドタイヤと交換される。

 

更に、そこからシフトアップした。

 

 

『レッカー! レッカー! レッカー!』

 

 

『よぉし…… ハッ!!』

 

カウボーイの要領で、ワイヤーを振り回し、宙を舞っているセーヌさんに目掛けて投げた。

 

『ヒャッ!? 何これ!? うわぁっ!?』

 

いきなりワイヤーが巻き付けられてセーヌさんは困惑していたが、俺はお構い無しにワイヤーを巻き取って、セーヌさんをキャッチした。

 

『よっと! お帰りセーヌさん』

 

『きゃっ。ふふ… ただいま走介君。怪盗をお姫様だっこなんてやるわね☆』

 

『二人共、状況を考えてイチャついてくれたまえ』

 

『は? イチャついてなんてないぞ?ベルトさん』

 

こんな状況でイチャついている訳無いだろうに……

それに、俺はマリア一筋なの!

 

『あら? お姉さんには興味無し? なんか悲しいわ…』

 

『なんでそうなったんですか!?』

 

もう訳が分からん……

 

「ガアァァァァァッ!!!!」

 

そうしていると、キメラの体色がまた変化した。

 

『今度は黒か…… 俺に合わせているのか?』

 

『ワイルドなら厄介になりそうだ……』

 

『来るわよ!』

 

「ゴォオアアアッ!!!!」

 

大地を揺らしながら近づいてくるキメラ。

しかし、先程までの赤いときの様なスピードは無く、気を付けていれば、避けられるスピードだった。

 

「ガアッ!!」

 

『甘い!』

 

『遅いわ!!』

 

振り上げられた拳を、二手に別れる事で避けた俺達だったが、俺はこの時、大変な誤算をしていた。

 

『なっ!?』

 

避けたと思ったその時に、既にキメラは……

 

「ガァァァァァッ!!!!」

 

()()()で俺に接近していた。

 

彼奴!! 自分の意思で能力を切り換えられたのかッ!!

 

そう思った時にはもう遅く、奴は黒い体になって俺に拳を叩きつけた。

 

『グアァァァッ!!!!』

 

『走介君!?』

 

ワイルドのパワーって…… 自分で受けてみるとこんなに痛くて、威力があったのかよ……

 

俺はキメラのパワーに為す術なく、孤児院まで吹き飛ばされていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

『走介。どうして朝のミサに参加しないの?』

 

これは…… マザーか?

 

『だって…… 祈ったって神様なんて居ないじゃないか……』

 

こっちは…… 小さい頃の俺か。

 

『はぁ…… 神様は居るわ。貴方が認めればそれで』

 

『だったら…… どうしてお父さんとお母さんは居ないの?』

 

『それは……』

 

『神様は信じれば救ってくれるんでしょ!? ならなんでお母さんとお父さんを助けてくれなかったんだよ!!』

 

『走介!!』

 

『信じたって何もしてくれないじゃないか!! 神様はウソつきだ!!』

 

 

パチン!!

 

 

あー…… そうそう。

マザーに叩かれたんだよな……

 

『うぅ…… マザーなんか嫌いだ!! 神様もマザーも、皆消えちゃえば良いんだ!! うわぁぁぁぁん!!』

 

『待ちなさい!! 走介!!』

 

あの時はただ悲しくて、寂しくて…… こんな思いをするぐらいなら、いっその事、独りぼっちのままでいいなんて思ったんだよな……

 

で、俺は何時も裏にあった誰も使っていない女神像が置いてある場所に居たんだよな。

 

『グスッ…… お父さん… お母さん…』

 

俺は、何時も父さんと母さん、そして、赤ん坊の時の俺が写った写真を納めたペンダントを握りしめて泣いていたんだっけ……

 

『…… ここに居たの、走介』

 

『マザー……』

 

夜になって、外が静まり返った頃、マザーが俺を探しにやって来た。

 

俺を見つけた途端、マザーは俺を抱き締めてくれた。

 

『ごめんなさい、走介。私は、貴方の苦しみを分かったつもりでいて全然分かっていなかった…… ごめんね走介…… ごめんね』

 

そう言ってマザーは涙を流し、その涙は俺の頭に落ちた。

 

『……… ごめんなさいマザー。嫌いだなんていって、ごめんなさい。神様にもちゃんとお祈りするから…… だから、嫌いにならいで……!』

 

そう言って俺もまた泣いた。

 

『当たり前でしょう!? 貴方は私の…… 私達の大事な子なんだから…… 嫌いになんてなるわけ無いじゃない!!』

 

『うぅ…… うわぁぁぁぁん!!』

 

泣き続ける俺を、マザーはずっと抱き締めてくれたっけ……

 

泣き止んだ俺は、あることが気になった。

 

『ねぇマザー。どうしてこの女神様の像は使われて無いの?』

 

そう言うと、マザーは静かに答えた。

 

『この像は、選ばれた人にしか声を聴く事が出来ない不思議な像と言われているの。そして、この像が意味するのは…』

 

『どんな意味があるの?』

 

『勝利、勇気、力、祝福…… そして…… 優しさよ』

 

そう言うマザーの顔は、どんな女神よりも優しいと感じた。

 

その時、不思議な事が起こった。

 

石で出来ている筈の女神像から、美しい歌声が聴こえてきたのだ。

 

『これは…… 女神像の唄!?』

 

『わぁ…… 綺麗な唄だね…』

 

(何故今女神像の唄が? まさか… 走介が?)

 

そのあとの事はよく覚えていない。

気がついたら翌日になっていたのだ。

 

後日、女神像の元に向かっても、あの美しい歌声を聴く事は出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

「………… ん?」

 

目が覚めると、俺の変身は解けていて地面に転がっていた。

 

『走介!? 気が付いたか!!』

 

「ああ、何とか…… どのぐらい気絶していた?」

 

『まだそんなに経ってはいない』

 

そうか…… でもなんだってあんな古い夢を見たんだ?

 

「…… 兎に角、戻らないと。セーヌさんが危ない」

 

戦いに戻ろうと踏み出すと……

 

〔♪~ ♪~ ♪~ ♪~〕

 

突然、歌声が聴こえてきた。

 

「この唄は…… 女神像の!?」

 

振り返るとそこには、あの時のままの女神像が鎮座していた。

 

俺は、女神像に近づいて手を伸ばして告げる。

 

「なあ、頼むよ女神様…… 俺はもう誰も失ないたくないんだ…… 貴女が勝利をもたらす女神だと言うのなら…… 俺に、誰かを守れるだけの力を…… 与えてください…!」

 

勿論、無駄な事は分かっている。

でも、こうでもしないとやってられなかった。

 

その時、女神像の手から光が放たれた。

 

『な、なんだこの光は!?』

 

「う、うわぁぁぁぁっ!?」

 

そして俺は光に包まれて……

 

 

 

 

 

 

「………! こ、ここは!!」

 

光輝く空間に、足を踏み入れていた。

そして、目の前には、赤い装飾が施されている両刃剣が浮かんでいた。

 

「これは…?」

 

俺はその剣を掴むと、後ろから誰かに声を掛けられた。

 

「ハッハッハッハ!!!! 漸く見つけたか!! 遅かったじゃないか?」

 

振り返ると、そこには俺に似た白髪の男性が立っていた。

 

「あ、あんたは!?」

 

「ん? なんだ気づいて無かったのか? 俺は、その剣の持ち主で、神藤勇介っつう者だ」

 

神藤!? ってことはもしかして……!

 

「じ、じいちゃん!?」

 

「おうよ! どうだ、初めての生じいちゃんは…… って、ぶべらっ!?」

 

取り合えず俺は、じいちゃんをぶん殴った。

 

「い、いきなりなにすんだ!!」

 

「自分の胸に聴けよ…… 遺品にエロ本仕込みやがって…… 恥を知れ恥を」

 

「は、初めて会った孫が俺に厳しい…… クレアのせいか!?」

 

当然の仕打ちだと俺は思うがな。

 

「で、じいちゃんが何の用だよ」

 

「あ、そうそう。勿論、その剣をお前に継承させる為だ。何時までも俺が持っていても宝の持ち腐れだしな」

 

『この剣…… 聖剣か?』

 

すると、ベルトさんがこの剣の正体に気づいたらしい。

確かに、じいちゃんも父さんも聖剣使いだったって聞いたな…… もしかしてセーヌさんの狙いってこれだったのか!?

 

「おう、そいつはガラディーンって言ってな。お前に分かりやすく言えば、八本目のエクスカリバー…… その名も、太陽の聖剣(エクスカリバーガラディーン)だ」

 

は、八本目のエクスカリバーだと!?

エクスカリバーは七本じゃ無かったか?

 

「元々は、砕ける前のエクスカリバーの兄弟剣だがな? そう数えられていた時期があったのさ。砕けていない分、他の七本よりも強力だぜ」

 

確かに強力かもしれないけど……

 

「俺に…… 使いこなせるかな…」

 

「出来るさ、なんたって俺の孫だからな!」

 

無茶苦茶な事言ってるけど…… 確かに、あんたの孫なんだ、使いこなせないなんてカッコ悪いよな!!

 

「その意気だ。走介、こっちこい」

 

じいちゃんに呼ばれて俺は近づくと、じいちゃんはいきなり俺を抱き締めてきた。

 

「うわ!? ちょっ!? 何すんだ!!」

 

「いいだろ~? 生前、お前を抱き締められなかったのが最期まで心残りだったからなぁ…… 走介、お前いくつになった?」

 

「…… 十七だよ」

 

「そうか…… もう、そんなになるか。道理でデカイ筈だ」

 

そう言うと、じいちゃんの体はドンドン透けて行った。

 

「じいちゃん!?」

 

「ん? ああ、もう時間か…… 名残惜しいがここまでだ」

 

じいちゃんは、俺から体を離し、頭に手を置いてクシャクシャと撫でる。

 

「わわわわわっ!?」

 

「ハッハッハッハ!!!! お前は俺の自慢の孫だよ…… 立派に成長してくれた。後はお前の道だ! 自分の思うままに駆け抜けろ!!!!」

 

そう言うとじいちゃんの体は完全に見えなくなり、再び俺は光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

女神像の前に戻ってくると、唄は止まっていた。

変わりに女神像の口許が微笑んでいる様にも見えた。

 

「ありがとう、じいちゃん……… 行こうベルトさん」

 

『ああ、その聖剣の力、見せつけてやれ!』

 

「応! 行くぜ…… 太陽の聖剣(エクスカリバーガラディーン)!!!!」

 

俺は、セーヌさんの元に戻るべく走り出す。

その手には、赤い装飾が施された銀色の聖剣が、出番を待ちわびていたように輝きを放っていた。




次回決着!!





………… したらいいな。

これも皆、乾巧って奴の(ry
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