不思議だ…… 体が軽い。
これも、この聖剣の力なのだろうか?
『キャアァァァァァッ!!!!』
っと、グズグズしても居られないな、セーヌさんが危ないんだ!
俺は、一気に走り抜けて元の場所に戻ってきた。
すると、キメラはセーヌさんを追い詰めていて、今にでもその拳を振り下ろさんとしていた。
「止めろぉぉぉぉぉぉッ!!!!」
瞬間、俺はキメラとの距離を詰めて
「ガアァァァァァァァッ!!!!?」
剣筋から炎が立ち上ぼり、キメラの背中を燃やし、火が着く。
キメラはその事に驚き、その場で転げ回った。
『そ、走介君!? 傷は大丈夫なの!? それにその剣って…』
「話は後です。傷を癒せ!ガラディーン!!」
俺は
『暖かい…… この剣、聖剣よね?』
「はい。
『ガラディーン…… かの円卓の騎士の一員、太陽の騎士ガヴェインが所有していたエクスカリバーの兄弟剣…… それが、貴方のお爺さんの遺品……』
「ええ。あげませんよ?」
『ううん。宝は相応しい人の手に有るべき。それが私の美学だから…… 盗らないわ、その聖剣は』
「そうですか」
『二人共、悠長に喋っている時間は無いようだ』
ベルトさんの注意で、キメラの事を思い出す。
見ると、キメラは既に背中の炎を消していて、此方を殺気の篭った目で見ていた。
「グウゥゥ…… ガアァァァァァァァッ!!!!」
キメラが吼えると、体色が紅白になり、体から真紅の稲妻が迸っていた。
あの現象…… 間違いない。
敵はデッドゾーンまでコピーしていたようだ。
「厄介な事しやがって…」
『敵もそれだけ力を入れているという事だろう』
「セーヌさんはそこで見ていて下さい。まだ動きにくい筈ですから」
『分かった…… 気をつけてね』
「死にはしませんよ」
そう言うと俺は、セーヌさんから少し離れ、シフトデッドヒートを手にした。
「ここでお前を倒してやる…」
『Start Your Engine!』
俺は、デッドヒートのサイドカーを収納してイグニッションを回し、デッドヒートをシフトブレスに装填した。
「変身!!」
『DRIVE!!!! type DEAD HEAT!!!!』
軽快なサウンドと共に、俺は紅白の鎧を纏い、デッドヒートタイヤをたすき掛け、DーHコウリンのメーターを始動させ、身体中から蒸気を大量に放出した。
『ハァァァァァ……』
「ガアァァァァァァァッ!!!!」
『見せてやるよ…… 本当のデッドヒートがどういう物なのかを!!!!』
吼え猛り、真紅の稲妻と共に此方に向かってくるキメラを、俺は赤い超エネルギーを纏いながら迎え撃った。
「ガアッ!!!!」
『ダアァァァァアアッ!!!!』
キメラの拳を押し退け、俺の拳は吸い込まれる様にキメラの胴体を捉えた。
「ゴアッ!? ? ?」
こいつは分かっていない様だな、何で自分が押し負けたのか。
簡単な事だ、デッドゾーンは大量に体力を消耗する捨て身の戦法。
それを後先考えずにずっとMAXの状態で使っているキメラに対し、俺は一瞬だけ爆発させるように一気にエネルギーを放出した。
その為、拡散しているキメラのエネルギーと、一点に集中させた俺のエネルギーでは密度が違った。
これも、理性なく暴走しているキメラと、デッドゾーンを正しく乗りこなした俺との違いだろう。
『ガラディーン!! ハッ!! ダッ!! ハアッ!!』
「ガッ!? ゴッ!? ゴアッ!!!!」
デッドヒートのエネルギーを纏わせたガラディーンでキメラを切りつける。
強化された炎が容赦なくキメラを襲い、既にキメラは戦闘不能になりつつあった。
『決めるぞ走介!!』
『ああ!今度こそ、来い!フレア!!』
俺に呼ばれたのが嬉しかったのか、フレアが炎を滾らせながらやって来た。
俺はデッドヒートをシフトブレスから抜き取り、フレアを装填して倒した。
『タイヤコウカーン!!!! マックス!フレア!』
炎を纏ったフレアタイヤに交換され、鎧の熱は更に上昇した。
タイプデッドヒートとフレアは、性質上危険を伴うが相性は抜群だ。
すぐさま俺は、イグニッションを回し、イグナイダーを押してフレアを倒し、必殺技を発動させた。
『ヒッサーツ!!!! フルスロットル!!!! フレア!』
『ハァァァァァ……』
必殺技の発動により上昇した熱を、全てガラディーンに移した。
ガラディーンは超エネルギーを受けて、刀身を炎そのものと化す。
『
そしてガラディーンの真名を解放、炎の大剣となったガラディーンをキメラにぶつけた。
「ゴアァアァアァアァァア!!!!」
激しい紅蓮の炎にキメラは包まれていった。
『やったな!走介』
『ああ。これが…… じいちゃんの遺品!!』
刀身を覗くと炎の光が反射して、キラリと光った。
炎を背にして、セーヌさんの元に戻ろうとしたその時だった。
「ゴオォォォォォアァァアァアッ!!!!!!!!」
『『!?』』
炎の中から、蓄積されたエネルギーを正に今暴発させんとするキメラが俺に迫った。
しまった!? 間に合わない!!!?
責めて防御だけでもしようと体を動かした時。
俺の横を、セーヌさんが走り抜けた。
『チューン!ルパ~ン ブレ~ド!』
ルパンガンナーの銃身を押し込み、ライズと同じ様に必殺技を発動させる。
『ア~ルティメット!!!! ルパ~ン ストラッシュ!!!!』
そして、ブレードモードになったルパンガンナーをキメラの体に突き刺した。
『ハアッ!!!!』
「ガアァァァァァァァッ!!!!!?」
『セーヌさん何を!?』
俺はセーヌさんの行動が分からなかった。
あのまま其処にいれば、少なくともダメージは少なかった筈なのに何故!?
『フフ…… そうね…… 強いて言うなら… 私の演技を褒めてくれたお礼…… かな?』
『そんな事で!?』
『それでも私とっては、その一言が嬉しかった。私はテロリストで怪盗。決して誉められる事じゃない… でも走介君は純粋に褒めてくれた…… それが何よりも嬉しかったから……』
『それなら幾らでも言ってあげますから!! だから早く逃げて!!!!』
セーヌさんは静かに首を振る。
それは彼女が、もう決めた事だと言っているのと同じだった。
『またね♪ 走介君』
そして………
ドオォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!
キメラは、セーヌさんを巻き込んで大爆発を起こした。
『うわぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!!?』
俺は衝撃で吹き飛ばされ、木に激突した。
『走介!? 大丈夫か!?』
「う、くっ…… なん、とか…」
衝撃で変身は解けてしまい、爆発した所も、酷い有り様だった。
俺はその光景に膝を突いた。
「そんな…… セーヌさん…… なんで……」
また、守れなかったのか…… 俺は…!
悔し涙を流しながら、爆心地を見ていると、空から、一枚の紙切れが飛んできた。
『走介!! 見てみろ!!』
「えっ?」
ベルトさんに言われて、足元に落ちた紙切れを拾うと、其処にはこう書かれていた。
〔今度会った時は、貴方の何かを盗ませて貰うわ。それが何かは、次のお楽しみ♪ またね、走介君♡〕
それは、間違いなくセーヌさんの物だった。
「はは……ッ!! やっぱ…… 苦手だわ。あの人」
こうして、俺のじいちゃんの遺品を巡るフランス旅行は、幕を閉じた。