ハイスクールD×D 加速する戦士   作:響く黒雲

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何故ディオドラに疑惑が浮かんだのか

イリナの転校とディオドラのプロポーズから数日。

駒王学園では、体育祭の出場種目を決めていた。

 

「はいはい!私、借り物レースに出まーす!」

 

そう言って元気よく手を上げるイリナ。

 

凄いな、まだ数日なのにもうクラスに溶け込んでいるぜ…… 持ち前の明るさ故って奴かな?

おまけに男女問わず人気が高い、既にファンクラブが出来ているとかいないとか。

 

イッセーはというと、ディオドラの事をまだ悩んでいるらしく、ため息を吐いて机に突っ伏していた。

 

こればっかりはアーシア本人の問題だしな……

アーシアがOKと返事を出せば直ぐにでも結婚式直行だろう。

 

「兵藤」

 

不意にイッセーが桐生に呼ばれる。

イッセーは気がついてないみたいだが、桐生は滅茶苦茶ニヤニヤしている。

 

絶対にイッセーを嵌める気だ、こいつ。

 

「服、脇の所破けているわよ」

 

「えっ? うそっ!?」

 

「はーい決まり!」

 

脇の破れを確認しようとイッセーが手を上げた所で、桐生が二人三脚の項目にイッセーの名前を書いた。

 

「あっ!? 汚えぞ桐生!」

 

「騙されるあんたが悪いのよ。えーっと…… パートナーは…… アーシアね?」

 

イッセーの後ろでは、アーシアが恥ずかしそうに手を上げていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして次の日から、学園全体で体育祭の練習が始まっていた。

 

「勝負だ!イリナ!」

 

「望む所よ!ゼノヴィア!」

 

で、今目の前でゼノヴィアとイリナがトラックを人外スペックで爆走中。

しかもそれを見ても誰も疑問に思わないのはビックリした。

 

「しっかし…… 高速で動かれたら胸の動きがわからんな……」

 

「全くだ。揺れるから良いのに……」

 

「まあ女子のブルマが見れるだけでも眼福なんだがな!走介!」

 

「五月蝿い黙れ、俺に同意を求めるな」

 

で、俺は変態三人組が女子を前に奇行に走らないように見張っている。

いわば速効で鎮圧出来る様に待機しているのだ。

 

ん? 俺の種目か?

俺はパン食い競争だ。

 

「おっ、兵藤に走介」

 

「あ、匙か」

 

「なんだよ匙か…」

 

「なんだってなんだよ!お前最近言動が酷くないか!?」

 

そうしていたら、匙がメジャー等の計測する器具を持ってやって来ていた。

 

「何やってんだ?」

 

「揺れるおっぱいの観察」

 

「こいつらの監視」

 

「相変わらずだなぁ…」

 

仕方ないだろ? コイツらが変わらない限り俺のポジションは絶対に変わらない。

 

「その包帯どうしたんだよ?」

 

「ああ、これか?」

 

イッセーが言って気がついたが、匙は右腕に包帯を巻いていた。

 

いつの間に怪我したんだ?

 

匙が少し包帯を外すと、そこには……

 

「…… なんだよ、これ」

 

「今どき厨二か?」

 

「ちげえよ! 神器だ!」

 

蛇の様な痣がついていた。

 

「アザゼル先生曰く、この前のレーティングゲームが切っ掛けでなったらしい。赤龍帝の神器が、俺の神器の中に眠る邪龍ヴリドラの魂に影響を与えたんだと」

 

「それ、ヤバいのか?」

 

「いや?そうでもないみたいだぜ?ただ、体に現れているのがな……」

 

そう言って匙は腕の一部を見せてきた。

そこには、イッセーやロマリー達と同じ様に、ドラゴン系神器の特徴である宝玉が小さく現れていた。

 

「…… これ呪われてんじゃね?」

 

「ヴリドラの呪いか…… 匙、南無」

 

「怖い事言うなよ! ちょっと気にしてんだぞ!!」

 

一通り匙を弄り終えると、気分を変えるためか、匙は俺達に出場種目を聞いてきた。

 

「お前達は競技何に出るんだ?」

 

「俺はアーシアと二人三脚」

 

「俺はパン食い競争だ」

 

「おっ、じゃあ走介と俺は一緒か」

 

どうやら匙もパン食い競争らしい。

 

「サジ、何をしているのです」

 

「唯でさえ生徒会には男手が少ないのですから」

 

匙の背後から、メガネ女子が二人こちらにやって来る。

 

勿論、悪鬼ソーナ会長と、副会長の真羅先輩だ。

 

「はい!ただいま!!」

 

匙は、二人に呼ばれて慌てて行ってしまった。

 

匙ェ……

 

惚れた弱みとはよく言うけど、弱すぎだろ……

 

『ヴリドラか…』

 

すると、隣でドライグがポツリと話し出す。

 

「ん?なんか知ってんのか?」

 

『いや、気にするな。俺とクリムの親爺と接触したことで、奴の魂が反応しているだけだ』

 

『薄まった魂であれだけの反応をするとは…… 流石は邪龍と呼ばれただけはあるね』

 

「ベルトさん」

 

そこでベルトさんも会話に参加した。

 

『それでもあんたに比べればヴリドラなぞ一捻りだろうよ』

 

『生身やプロトドライブの時ならそうかもしれないが、今は走介に合わせて進化するために力を大幅に削っている。今の私達で邪龍に勝てるかどうか…』

 

『四天龍の所有者三人を同時に相手取って圧倒した人が良く言う……』

 

おい、ベルトさん。

今聞き捨てならない事言ったよな?

 

『ん?言ってなかったかね?』

 

「言ってねーよ!この秘密主義のポンコツドラゴン!!」

 

そう言って俺はドライブドライバーのディスプレイを叩く。

 

『アイタ!? 何をする走介!!』

 

「どうせあんたの事だからまだ何か隠してんだろ!!」

 

『それは……』

 

「やっぱりあるんだな!?」

 

『だが誓って君に害を与える様なものではない!』

 

「そう言う問題じゃねえよ!」

 

『ならなんなのだ!この火の玉小僧!!』

 

「何を~~~~!!!!」

 

『やるかぁ~~~~~!!!!』

 

上等だ、戦争じゃあぁぁぁぁっ!!!!

 

この言い争いは、周りに誰も居なくなるまで続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、俺達は部室に集まって、次のレーティングゲームの為の、各試合の映像を見ていた。

 

どれも素晴らしく、若手とは思えないゲーム運びをしていて、圧巻の一言だった。

 

その中でも異彩を放っていたのはサイラオーグさんだった。

何でも、才能ではなく努力でここまでのしあがって来たらしい。

 

前に意識は無かったが、この人の拳を直に受けた俺には分かる。

この人が、この一撃を繰り出す為にどれだけの鍛練をしたのかを……

 

「お前らも十分注意しとけ。彼奴は相手の精神を断つ程の気迫で向かってくる。彼奴は本気で魔王になろうとしているからな。そこに一切の妥協はない」

 

こういう時のアザゼル先生の一言は、心にくる物がある。

 

その時、部室の片隅に魔方陣が現れた。

 

この紋章は知らないな…

 

「――――― アスタロト」

 

何?アスタロトだと?

今朱乃さんはポツリとだが確かにそう言った。

 

じゃあ現れるのは…!

 

「ごきげんよう。ディオドラ・アスタロトです。アーシアに会いに来ました」

 

そして、魔方陣から張り付けた様な笑顔を浮かべた優男、ディオドラ・アスタロトが現れた。

 

ディオドラの訪問に、俺達は無意識に警戒していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

その頃、薄暗い壊れた劇場では、ロイミュード派のハートが走介に受けた傷を癒していた。

 

壊れた劇場…… と言っても、中は彼らが快適に過ごせる様に改造されているのだが……

 

「お加減はどうですか?ハート様」

 

「ああ、大分良くなったよ。メディック」

 

舞台に設置された長ソファーに寝転がるハートと、ハートに膝枕をする女性がいた。

 

彼女の名はメディック。

 

勿論コードネームではあるが……

 

「失礼ハート」

 

そこにメガネとハンカチを持った青年がやって来る。

 

「なんですか?騒々しい… ハート様の傷に障ります」

 

「良いよ、メディック。で、なんだ?ブレン」

 

青年のコードネームはブレン。

彼らロイミュード派の司令塔の役割をしている。

 

そして、他の派閥との連絡役も担っている。

 

「ええ。どうやらディオドラ・アスタロトが動くそうですよ?」

 

「私、彼奴は嫌いですわ。貴族の癖に唯の下種ですから」

 

「それには同感だメディック。そうか… というと…」

 

「ええ、そろそろ北欧と英雄派が動き出します」

 

それを聞くと、ハートは楽しそうに口許を緩める。

 

「さて… どうする?神藤走介…… 仮面ライダードライブ……!」

 

「仮面ライダー…… ハート様を…… 傷つけた者…!」

 

ハートを傷つけられた事が相当頭に来ているらしく、メディックは周囲に怒気を振り撒いていた。

 

「落ち着け、メディック。神藤走介は俺の獲物だ、余計な事はするなよ?」

 

「ハート様がそれでいいのなら私は従いますわ…」

 

「ですが… 分かりませんねハート。貴方がそこまで執着するのは珍しいじゃないですか?」

 

普段のカリスマ性溢れるハートを知っている二人にとってこの疑問は当然だった。

 

以前はライズの時だったが、あれは魔進チェイサーが彼らと似た力だったからだ。

 

「なら…… 戦ってみるか?二人共」

 

「…… よろしいのですか?」

 

「貴方の獲物を取る事になるかもしれませんが…」

 

「その時は、俺が戦うまでも無い相手だったと言うことだ」

 

益々訳が分からないと言う顔をする二人。

そんな二人を見て、ハートは笑うのだった。

 

「ディオドラに協力すると言えば参加させてくれるだろう。彼奴は女の事にしか興味は無さそうだしな。ブレン、メディック、お前達の手腕、見せて貰うぞ」

 

「「お任せ下さい。ハート(様)」」

 

ブレンとメディックは一礼すると、拠点を出ていった。

 

「…… そう言う訳だ。事後報告になるが、二人を神藤走介に差し向けた。良かったか?ソウハ」

 

誰も居なくなった拠点で、一人虚空に向けて喋ると、何時の間にいたのか、ロイミュード派のリーダー、ソウハがダボダボのコートを着てやって来た。

 

「構わないよ。二人も一度は走介と戦った方がいい。君の判断は間違っていないよ、ハート」

 

「そうか」

 

そう言うと、ソウハはハートの隣に座った。

 

「それに、作戦当日は現地に行くからね」

 

「お前がか? どういう風の吹き回しだ?」

 

「それは……」

 

『ダーリンに会うには…… やっぱりおめかししなきゃ駄目かしら? キャー♪ 私嬉しくて気絶しちゃうかも☆』

 

「こういう事」

 

「ああ……」

 

最早このテンションだけで察してしまうハートは、ソウハと長い付き合い故か、はたまたこのテンションに慣れてしまったのか?

 

それは、本人にしか分からない……

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