ついに…… ついにここまで来た。
神殿の最深部、ディオドラが待ち受けている場所に、ようやくたどり着いたぞ。
「アーシアァァァァァァァ!!!!」
イッセーが叫ぶ。
アーシアは、何かの装置に張りつけにされていた。
アーシアはいる…… ロマリーはどこだ?
「やっと来たんだね」
装置の横から、ディオドラが姿を現す。
優しげな笑みは、今はただのゲスイ笑みにしか見えなくなっている…
「……… イッセーさん?」
イッセーの声を聞いてアーシアがこちらに顔を向ける。
…… 酷い顔だ…… 相当泣いていたんだろう。
ディオドラめ……
「姉ちゃん!!」
「…… アレン…… 私…… 私……」
アレンもロマリーを見付けたらしく、声を掛ける。
が、ロマリーはうわごとの様に呟くだけでこちらに反応は示さなかった。
「お前…… アーシアとロマリーに全部話したのか?」
俺の問いに、ディオドラはゲスな顔でにんまりと微笑んだ。
「勿論全部話したさ。君達にも見せたかったな。全部、僕の手のひらで動いていたと知ったときの二人の顔は本当に最高だった」
こいつ…… 大人しく聞いていればいい気になりやがって……
「でもまだ足りないと思うんだ。まだ二人には君達という希望がある。君達のせいで大分計画は遅れたけど、やっと僕の手元に帰ってきた。これで楽しめるよ」
「黙れ」
俺はこの時初めてイッセーのこんなに低い声を聞いた。
今までに無いぐらいキレてるってことか、イッセー。
「二人ともまだ処女だよね?お古は嫌だな。あ、でも寝とるのもまた楽しいかもしれ―――」
「黙れェェェェェェッ!!」
『Welsh Dragon Balance Breaker!!!!!!』
ここでイッセーが完全にキレた。
『ディオドラァァァァァァァッ!! てめえだけは!! 絶対に許さねぇ!!』
「アハハハ!すごいね!でも僕はオーフィスから貰った蛇があるから、君なんて瞬殺――」
ディオドラは最後まで喋る事は出来なかった。
何故なら既に殴り飛ばされていたからだ。
「……… がっ」
「部長…… 良いんですか?」
「皆で行きたいけれど…… 今のイッセーは誰にも止められないわ。そう言う走介はどうなの?」
「今はイッセーに譲りますよ。あんなイッセー、見たことないんで」
吹き飛ばしたディオドラにイッセーは訊く。
「瞬殺がどうしたって?」
ディオドラは拳を打たれた箇所を押さえながら、余裕の無い顔で後退りしていた。
「こんな筈は無い! 僕は上級悪魔だ!現ベルゼブブの血筋だぞ!」
そのベルゼブブのアジュカさんを裏切ったのは何処のどいつだよ……! てめえから裏切っておいて結局それかクズめ!!
「君の様な下等で下劣で下品な転生悪魔ごときに気高き血が負けるはずが――― がはっ!!」
更に言い募るディオドラに、イッセーは更に一撃を加え、ディオドラは地面に倒れた。
「勝負あったな」
『うむ。見事な一撃だ』
イッセーは、そのままアーシアの元に行き、装置の拘束を外しに言った。
それを見届けた俺は、アレンと一緒にロマリーの所へ向かった。
「ロマリー!しっかりしろ!」
「姉ちゃん!! 大丈夫か!?」
「アレン…… ソウ君…!」
俺を確認した途端、ロマリーは俺を拒否する様に体を震わせていた。
「イヤ…… イヤ! 来ないで!」
「おい! どうしたロマリー!! しっかりしろ!」
「お願いだから…… 来ないで…… 私と一緒に居たら…… ソウ君がどんどん不幸になっちゃうよ…… そんなの…… そんなイヤ!」
!ロマリー…… お前……
俺はロマリーを落ち着かせる為に、優しく抱き締めた。
「止めて…… ソウ君…… 私のせいで孤児院の皆も、ソウ君も酷い目に逢ってきたのに…… なんで…」
「お前のせいじゃない。悪いのは全部ディオドラだ。それに、俺の不幸は今に始まった事じゃない。心配すんな、ロマリー。お前は、俺達と一緒に居て良いんだ」
「本当……? 私、ソウ君と、皆と一緒に居て良いの?ソウ君を好きでいて良いの?」
「ああ、勿論だ。お前が苦しむ必要なんて何処にも無い。なあ、アレン」
「ああ、姉ちゃんは姉ちゃんだろ?姉ちゃんが不幸にするなら、俺達がそれを打ち消してやるさ!」
「うぅ…… うえぇぇぇぇん!!!! ソウ君に嫌われたと思って怖かったよぉぉぉっ!!!!」
泣いて俺の胸に顔を埋めるロマリーを、俺は撫で続けた。
良かった、ロマリー達が無事で……
『グァァァァッ!!!!』
突然、イッセーの悲鳴が聞こえた。
イッセー達の方を見ると、イッセーが、ディオドラの魔法に貫かれていた。
「イッセェェェェェェ!!!!」
「「「「イッセー(君)(先輩)!!!!!?」」」」
「アハハハ!! こんなこともあろうかと、フェニックスの涙を持っておいて正解だったよ! 汚らわしい赤龍帝には、最高の死に方さ!」
ディオドラ…… てめえって奴は……!
「ディオドラ、貴方って人は!!」
部長や皆も怒り、ディオドラを迎え撃とうとするが、直ぐにその怒りを納めた。
何故なら……
「アレン……?」
「てめえ……」
この中で、誰よりも怒っていた人物の怒りを感じたからだ。
「なんだい?下等な人間ごときに構っている暇は無いんだけどな」
アレンは、腰にマッハドライバーを装着しながら、立ち上がる。
「てめえは、てめえだけは…!絶対に許さねえ…… ディオドラァァァァァァァッ!!!!!」
その怒りに反応したのか、俺のホルダーから、シフトデッドヒートが飛び出した。
そして、シフトデッドヒートをアレンが掴み、サイドカーを倒して、ライディングパネルに装填した。
『シグナルバイクシフトカー!』
俺のタイプデッドヒートの時よりも遥かに軽快なリズムの待機音を鳴らしながら、アレンはパネルを倒した。
「変身!!」
『ライダー! デーッドヒート!』
「うぐ!? が、アアッ!!」
マッハドライバーから紅い雷がアレンの体を蝕む。
不味い!! あのままだと暴走する!
「アレン!! 止めろ! 暴走しちまうぞ!」
「アハハハ!! 自爆でもするつもりかい?これだから愚かで下等な人間は」
「グッ…… ヘッ。ソウ兄さんが出来て… 俺が出来ない筈は無いだろ!! だから…… 姉ちゃんを頼む」
「アレン…!」
段々とエネルギーがアレンの体を包み込み、遂に、アレンの周りに鎧が展開されて、アレンの体に纏われた。
『ウアァァァァァアッ!!!!』
俺の時と同じ様に、アレンの鎧からエネルギーが開放されて、ディオドラを吹き飛ばした。
「うがぁあぁぁあっ!!」
『ハアッ!! ……… これがアザゼルの言ってた、デッドヒートマッハか……』
アレンは、自分の体を確かめる様に体を動かす。
デッドヒートマッハの鎧は形状こそタイプデッドヒートと同じだが、マッハ用になっているらしく、ヘルメットはマッハの物に、タイプデッドヒートのテールウィングが顎にくっついている。
「フン、姿を変えた所で、人間の君が僕に勝てる訳―――」
『無いかどうか試してみるか!』
瞬間、アレンの姿が掻き消える。
「うん? なんだ!! あれだけ言って逃げたのか!! ハハハ!! これだから人間…… がはっ」
消えたアレンを逃げたと誤解し、嘲笑うディオドラだったが、直ぐにその考えは間違いと分かる。
アレンは逃げた訳じゃなく、ただディオドラや俺達に視認出来ない速さで動いただけだったのだ。
「
『うぐっ…… アレンの奴、走介と同じ姿に…』
「イッセー!! 怪我は!?」
『何とかギリギリ……』
イッセーの方は不味そうだな……! そうだ! 確か…… あった!! レイヴェルから貰ったフェニックスの涙!!
「部長!! フェニックスの涙です!」
「! 有りがたいけど、これどうしたの走介?」
「レイヴェルから貰ったんですよ」
俺からフェニックスの涙を受け取った部長は、イッセーに振りかけて、イッセーを回復する。
これでイッセーはいいな…… さて、アレンが戦っている間に、俺もやることやりますか!