グレートホワイトと共に次元の狭間を移動している俺だが、グレートホワイトの目的が全く分からない。
一体何をしに来たのだろうか?
「なあ、グレートホワイト」
《なんでしょう? 千年の友よ》
「俺を何処に連れていくんだ?」
《直ぐに分かりますよ》
直ぐに分かるったって、かれこれ体感で一時間ぐらい飛んでいると思うんだけど……
『走介、ここには時間の定義は無い。考えるだけ無駄だぞ』
…… 本当に可笑しな所だな、次元の狭間って。
上下左右が無ければ、時間と空間の概念さえ無い。
これを不思議空間と言わずになんと言えばいいのか?
《…… そろそろ、来ますね……》
そんなことをグレートホワイトがポツリと呟く。
今度は一体何が来るんだ?
『なんだホワイト。彼らも呼んだのか?』
《ええ、久しぶりのお父様ですから。他の三匹も会いたがっていましたよ》
この様子だとベルトさんも知っているな……
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!!!!
その時、再び次元の狭間が揺れた。
そして彼方から巨大な赤い龍と青い龍、更には黒い龍まで現れ、グレートホワイトに追従するように飛んでいる。
《ホワイト…… 何の用だ》
《私達を呼ぶなんて何か遭ったの?》
《何も無いようだが……》
《いえ、ありましたよ。お父様が帰還なされました》
《《何!?》》
なんの会話をしているのかはサッパリ分からないけど、絶対こっち見てるよな!?
『レッド、ブラック、ブルー!皆元気そうで何よりだ!きちんと使命は果たしているようだね』
《父上、お久しぶりです》
《父よ、遅い帰還だったな》
《キャー!! 久しぶりっ!! パパー!》
なんと言うか…… カオスだ。
やっぱりどうあってもドラゴン同士の会話はカオスになるらしい。
《…… ホワイト。頭に乗せている人間は千年の友か?》
《ええ、今のお父様のパートナーです》
今度は俺の話題に移ったらしい。
三匹のドラゴンが俺を値踏みするように睨む。
《久しいな、千年の友よ…… いや、今は初めまして、と言うべきか》
「あ、ああ。あんた達は一体…」
《我はグレートレッドだ》
《俺はグレートブラック…》
《私はグレートブルー!よろしくね!》
また強そうなドラゴン達だなぁ……
グレートホワイトの目的って……
《貴方を彼らと会わせる為ですよ》
やっぱりそうか…… 俺、戻れるかな……
また、俺は厄介事を背負ったらしい……
どうしてこうなった?
◆◇◆◇◆
『グキュアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!』
『キュララララララララララララララララララララララララララララララララララララッ!!!!』
二匹のドラゴンと化したイッセー君とロマリーさんが吼えながら、ドラゴンらしく前傾姿勢を取り、シャルバもまた、二人と戦う体制を取った。
刹那、ヒュッと風を切る音がする。
「ぬうううううっ!!!」
ぶちぶちと言う、肉を引き裂く音と共にシャルバの右腕が消える。
凄まじいスピードで移動していたイッセー君は、シャルバの右腕を噛みちぎっていたのだ。
「おのれっ!!」
シャルバは、残った左腕で光を作り出しイッセー君に放とうとするが……
『ConvertConvertConvertConvertConvertConvertConvertConvertConvertConvertConvertConvertConvertConvertConvertConvert!!!!!!!!』
ロマリーさんの宝玉が光輝き、シャルバの光を吸収しきってしまった。
「何ッ!! ぐおっ!」
光を吸収されたことに驚愕していると、イッセー君は宝玉から龍の手と刃を作り出し、シャルバを切り裂く。
「グアアアアッ!!!!」
『げごぎゅがぁぁ、グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!』
『許さないッ!! 貴様はァァァァァ!!!! ボロ布の様に惨めにコロシテヤルゥゥゥゥ!!!!』
ロマリーさんはまだなんとか喋っていたが、イッセー君は完全に人の言葉を喋っていなかった。
ロマリーさんもロマリーさんで狂気にまみれた発言をしている。
この時点で、二人は完全に人の形からは掛け離れた異形へと成り果てている。
「ふざけるなっ!!」
激昂したシャルバは、残った左腕で光の一撃を放ち、帯状の光がイッセー君を襲う!
でも、イッセー君は翼を広げ、光輝かせる。
まるで白龍皇の様に。
『DivideDivideDivideDivideDivideDivide!!』
その音声と同時に、光の波動は半分、更に半分!ドンドン縮小していき、光はペンライト程のものになった。
「ヴァーリの力か!おのれ、どこまでも私の前に立ち塞がるのかッ!! ヴァーリィィィィッ!!」
吼えるシャルバは、次にロマリーさんに純粋な魔力の波動を放つ。
大きい!部長や朱乃さんよりも遥かに!!
しかし、ロマリーさんは動かない…… いや、動く必要が無いんだ。
ロマリーさんは、強靭な尻尾で魔力の波動をシャルバに弾き返した。
「ぬおおおおっ!!」
シャルバは必死になって自らの魔力の波動を、光の波動で消し去る。
その隙にイッセー君が、口からレーザーの様な閃光を放った!
「があぁぁぁぁっ!!」
そしてシャルバの残った左腕を消し飛ばしてしまった!
『ヌアアアアガアアアアッ!!』
『キュアァァァァァァァァァァ!!!!』
イッセー君とロマリーさんは全身にオーラを纏って咆哮を上げると、オーラによって床が大きく抉れて巨大なクレーターが出来上がる。
「ば、化け物め!こ、これが
シャルバの顔は既に恐怖に染まっていた。
瞳には怯えの色が強く表れ、イッセー君とロマリーさんを恐怖の対象としている。
「わ、私の力はオーフィスによって前魔王クラスにまで引き上げられているのだぞ!? データ上のブーステッドギアとコンバートクリーヴのスペックを逸脱しているではないか!」
シャルバは喚くが、今さら認識しても遅い。
僕達は―― ただ呆然と見ているしか無かった。
部長は全身を震わせ、朱乃さん、ゼノヴィア、小猫ちゃん、ギャスパー君はイッセー君達を恐れる様に見ているし、僕だってそうだ、全身の震えが止まらない。
アレン君は、悔しそうに顔を歪めていた。
あれはもう怪物の類いだ。
もう、イッセー君やロマリーさんじゃない。
イッセー君…… いや、赤龍帝は姿勢を変え、翼を大きく広げ、顔をシャルバに真っ直ぐ向けた。
ガシャッと何かがスライドする音と共に、鎧の胸元と腹部が開き、何かの発射口が姿を現す。
そして、赤いオーラが発射口に集まっていき、それは次第に大きいくなり、圧縮されていく。
「くっ!私はこんなところで死ぬわけには!!」
シャルバは残った足で転移魔方陣を描こうとするが―――
『Dragon of Curse!!!!』
――― その音声と共に、シャルバの動きがピタリと止まる。
「ぬぐっ! う、動かん!?」
ロマリーさんの鎧の宝玉が怪しく光を放っている。
カース…… 呪いの能力か!?
「…… ドラゴン オブ カース…… 対象に任意の呪いをかけるアルテミシアの能力の一つさ…… 姉ちゃんは嫌って滅多に使わなかったけど」
アレン君があの能力について教えてくれた。
やっぱり呪いの能力だったんだ!
シャルバは、そのまま宙に浮かされていき、完全に空中で静止した。
そして、それを待っていたかの様にイッセー君の神器の音声が響き渡る!!
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!!!!!!!』
『Longinus Smasher!!!!!!』
チャージされた発射口から凄まじい程の赤いオーラが照射されていく!
これじゃ、僕達まで巻き込まれる!!
「部長、一旦引きましょう!この神殿から出るべきです!」
「イッセー…」
部長はイッセー君を求めて近寄ろうとした。
「すみません!」
時間がなかったから仕方無く部長を抱きかかえ、朱乃さんがゼノヴィアを、小猫ちゃんとギャスパー君がアレン君を運んで脱出する。
「バ、バカな…ッ!! 真なる魔王の血筋である私が!ヴァーリに一泡も噴かせていないのだぞ!? ベルゼブブはルシファーよりも偉大なのだ!おのれ!ドラゴンごときが!赤い龍め!青い龍め!白い龍めぇぇぇっ!!」
ズバァァアアアアアアアアアアアンッ!!!!!!
イッセー君の放った赤い閃光にシャルバは包まれ、神殿と共に光の中へと消え去った……
でも、まだ終わった訳じゃない。
『グキュアアアアアッ!!!!!! アーシアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!』
『ドコダ…… ワタシノテキハドコダァァァァ!!!!』
敵であるシャルバが居なくなったのにも関わらず、イッセー君はアーシアさんを求めて吼え、ロマリーさんはまだ敵を探しているのか、暴れまくる。
どっちも、普段の二人からは想像もつかない姿だった……
僕は絶望しながら、皆を守る為に聖魔剣をシェルターの様に生成し始めた。
未だに暴れ続ける二人。
誰もが途方に暮れたその時、意外な人物が、彼らに力を貸す。
次回、四天龍激突! お楽しみに!