ふむ…… 成り行きで赤龍帝と青龍君の
友の友はまた友だと、誰かから聞いた覚えがある。
『しっかし、この俺がまさかアルビオンと一緒にドライグとアルテミシアを助ける事になるとはねぇ~ この姿になってから長いが、こんなのは初めてだ』
と、神器の宝玉からガーランドが話しかけてきた。
だろうな、四天龍の戦いがまさかこんなのが切っ掛けで起こるなんて思わなかった。
『で? どうやって青龍君の嬢ちゃんを助けんだ? ハッキリ言って完全に狂気に呑まれてやがる。しかも覇龍の怨念じゃなく、自分のでだ』
…… 確かに、近づく程に凄まじい程の狂気が伝わってくる。
早く止めさせなければ、ロマリー・シュヘンベルグの精神は壊れてしまうだろう。
『ロマリー・シュヘンベルグの鎧を完全破壊する』
『おいおい、
『分かっている…… こちらも
あれほどの破壊を齎しているんだ、これぐらいでなければ止められないだろう。
『いいのかユーリ。あれは……』
『お前があれを嫌っているのは知っている。だが、俺は
『ふぅ…… わーったよ。一度言ったら聞かないもんなぁ~ お前』
『感謝する』
怨念達の鬱陶しい怨嗟を聞きたくないからあまり使いたくないが…… 緊急事態と判断したから致し方無い。
俺はガーランドに一言侘びと感謝を告げて、覇龍の呪文を唱え始めた。
『我、目覚めるは―――』
〈聞こえる…〉〈聴こえます…〉
『覇の理で全てを失ないし、四天龍なり――』
〈悲しみの声が…〉〈恨みの叫びが…〉
『無限を否定し、夢幻を羨む―――』
〈全て壊れる…〉〈全部砕ける…〉
『我、黒き龍の覇業を成し―――』
『『『汝を漆黒の暗闇に引き摺り込もう―』』』
『Juggernaut Drive!!!!!!!!』
鎧の各所にある宝玉が、激しく光輝き、鎧は徐々にドラゴンの様に姿を変えていく。
変形が終わり、圧倒的なドラゴンのオーラが溢れだした時、俺は完全に小型のドラゴンと化していた。
ふと、隣を見ると、俺と似たような小型の白いドラゴンがいた。
おそらくヴァーリ・ルシファーが
奴も使えたんだな……
『! ソコカァァァァァァァァ!!!!』
! 気づかれた、オーラを出しすぎたか!?
ロマリー・シュヘンベルグは俺を迎撃するために飛翔し、此方に向かってくる。
『キサマガ、キサマガソウクンヲコロシタノカァァ!!』
『そんな訳ないだろう』
俺は向かってくるロマリー・シュヘンベルグをいなして、背後をとる。
『落ち着け、お前のやっている事は走介の意思に反しているぞ』
『ウルサイ!! ヤットアエタノニ…… スキッテイエタノニ…… ソレヲオマエガウバッタンダァァァァ!!!!』
完全に見境が無くなっているな…… 現に俺のことを理解していない。
それに……
『愛情か…… 済まないな、ロマリー・シュヘンベルグ。俺には、
俺は、奴の体に爪を突き立て、全身に皹を入れていく。
そして地面に衝突させ、更に皹を大きくしていく。
これだけ破壊すれば簡単に再生は出来ないだろう。
俺は
『ユルサナイ…… ゼッタイニ……ッ!!!!』
『悪いが、それもここまでだ』
未だに俺を睨むロマリー・シュヘンベルグを他所に、俺は破壊の能力を発動させた。
『CrushCrushCrushCrushCrushCrushCrushCrushCrushCrushCrushCrushCrushCrushCrush!!!!』
その発動音声と共に、全身に有った皹は、加速的に広がっていき、奴の再生も追いつかないほど破壊、最後にガンソードで切り裂き、鎧は完全に崩壊した。
儚い音を立てて崩れる鎧の中から、ロマリー・シュヘンベルグが現れ、俺はそれを受け止めた。
…… どうやら気絶しているみたいだな。
それに、丁度赤龍帝の方も終わったみたいだ。
俺は彼女を抱えながら、赤龍帝の元に向かった。
◆◇◆◇◆
「うーん。あれ?何がどうなってんだ?」
目が覚めた時、俺は禁手の状態じゃなかった。
それどころか、部長や朱乃さんが泣きながら抱きついてくる…… どうなってんだ? ホントに。
木場が言うには、俺とロマリーが暴走してシャルバって奴を倒したそうだ。
全然覚えてねぇや。
それに、ゼノヴィアが抱えているのはアーシアじゃないか!! なんで?
「ヴァーリが助けてくれたんだ」
あ、ヴァーリいたんだ。
理由を聞いたら、偶然が重なっただけらしい。
まあ、アーシアが無事で良かった…
「アーシア!!」
「あれ? …… イッセーさん?」
俺の呼び掛けでアーシアが目覚める。
喜びのあまり、アーシアに抱きつこうとしたら、ゼノヴィアに吹き飛ばされたけど…
「んん…… ここは……?」
「姉ちゃん!! 良かった… 良かった!!」
おっ、今度はロマリーも目覚めたみたいだ。
アレンも泣きながら抱きついている。
「ねぇ…… アレン。ソウ君は?」
そうだ…… 飛ばされたのはアーシアだけじゃない、走介だって飛ばされてるんだ!!
「皆… 走介は何処に行ったんだよ…?」
俺の言葉に皆暗くなる。
「走介君は…… 戻ってきてないんだ……」
そんな…… なんで!?
アーシアだって戻ってきた!! なのにあいつだけ戻って来れないなんて……
「無事だったようだな。兵藤一誠」
その時、ヴァーリが話しかけていた。
「全部無事じゃねぇけど…… 世話になっちまったようだな」
「たまには良いさ。それよりそろそろだ、ロマリー・シュヘンベルグにユーリ・アースガルズも空中を見ていろ」
「「「?」」」
俺達は疑問符を浮かべながらフィールドの空を見上げる。
というかユーリさん居たのか。
バチッ!! バチッ!!
すると、空中に巨大な穴が開き、そこから何かが姿を現した。
俺達はそれを見て、口が開きっぱなしになっていた。
ヴァーリは、口許をゆるくにやけさせながら言った。
「よく見ておけ、兵藤一誠。あれが俺の見たかったものだ」
空中をとてつもなく巨大な真紅のドラゴンが雄大に泳いでいく。
デカすぎだろ!? タンニーンのおっさんよりも全然デケェよ!!
「赤、白、黒、青のドラゴンには二種類いる。ひとつは俺達が宿す四天龍。もうひとつがあのドラゴンだ」
「ドライグ達の他にもいるのか…… そんなドラゴンが」
「
成程、じゃあアーシアを見つけたのは本当に偶然だった訳だ。
「他にも、聖龍グレートホワイト、極龍グレートブルー、業龍グレートブラックがいる。そのドラゴン達が、俺の目標であり、オーフィスの目的さ」
その言葉を、ヴァーリはいままで見せた事のない真っ直ぐな瞳で言った。
「俺のもっとも戦いたい相手―― 四次元龍を倒し、俺はドラゴンの頂点になりたいんだ」
それが、ヴァーリの夢か。
こいつにもあるんだな、叶えたい夢ってやつが。
「
その時、すぐ近くに見知らぬ少女が立っていた。
ユーリさんがそれに驚き、ヴァーリは苦笑する。
「オーフィス、何故お前が?」
「ガーランド、久しい」
オーフィス?オーフィスって確か!
「――― オーフィス。ウロボロスだ。
やっぱり! マジか…… あれが親玉かよ…… でもなんでこんな所に?
「おーい!お前ら!!」
すると今度はアザゼル先生とタンニーンのおっさんがやって来た。
「先生、おっさん!!」
「元に戻ったみたいだな。覇龍が二体現れた時はどうなるか怖かったが… まさかお前が助けるとはな、ヴァーリ」
「気まぐれだよ、アザゼル」
そして、先生とおっさんも空中のグレートレッドを見る。
「懐かしいな、グレートレッドか」
「タンニーンも戦った事があるのか?」
「いや、俺など相手にもしてもらえなかったさ」
先生の質問にそう答えるおっさん。
マジかよ、おっさんでも相手にならなかったなんて…… あのドラゴン、どれだけ強いんだ?
「おい、走介はどうした?」
先生の疑問に再び皆暗くなる。
「走介は、次元の狭間に飛ばされて……」
「……… そうか」
先生は頭がいいからそれだけで分かったのだろう。
…… 走介、お前本当に死んじまったのか?
「グレートレッド、来る」
その時、ふとオーフィスがそう呟いたのを皆が聞いた。
よく見ると、グレートレッドが動きを止めている。
「? オーフィス、それはどういう…」
ヴァーリがオーフィスに言葉の意味を聞こうとした時……
―――― ガアァアァアァァアアッ!!!!!!
耳が裂けそうになるほどの咆哮と共に、グレートレッドが、こっちに進路を変えて向かってくる。
え?ええっ!? なんでグレートレッドがこっちに向かってくるんだよ!? 俺達なんか怒らせるようなことした!?
皆がパニックになりながら身構えると、グレートレッドが地響きを上げて着地する。
ズドォォォォォォォォン!!!!
グラグラと揺れる地面に、皆耐えられず、尻餅を着いてしまう。
ど、どうなっちまうんだよ……!?
「グレートレッド…… 一体何をしに来た…?」
アザゼル先生がそう言うが…… グレートレッドは反応しない。
それどころか動こうともしない。
本当に何をしに来たんだろう?
「痛てて…… おい、グレートレッド!! 着地するなら言ってくれ!! 背中打っちまったじゃねえか……」
すると、グレートレッドから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「この声って……」
「まさか……」
「うん!きっとそうだよ!」
皆半信半疑だったが、次第に確信に変わっていく。
ハハッ…… そうだよな!あいつが簡単に死ぬわけがねぇよな!
その声の主は、グレートレッドの頭によじ登り、こっちに手を振ってくる。
「よっ!ただいま皆!」
「「「「「走介(君)(さん)(先輩)!!!!」」」」
その主は神藤走介。
俺の、死んだと思った大親友だ。
走介、まさかのグレートレッドに乗って帰還。
……… どうしてこうなった?