ハイスクールD×D 加速する戦士   作:響く黒雲

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何故悪神は現れたのか

グレモリー領の地下に造られたトレーニングルームで、俺、イッセー、木場は特訓を一通り終わらせて語り合っていた。

 

「しっかし、俺は未だにスピードじゃ木場と走介には勝てねえよな」

 

「背中のブースターを吹かしての爆発力は相当な物だよ。何時当たるのかとヒヤヒヤしたよ」

 

「それに、純粋なパワーじゃ俺達よりも上だろ?お前」

 

「それでも当たんなきゃ意味ないだろ?」

 

最近はずっとこんな感じで三人でトレーニングをしている。

イッセーの体調を見てでもあるが、何より自分を客観的に見てくれる奴がいるから悪い所を改善しやすいんだ。

 

「そこは慣れるしかないだろうね。でも一番厄介なのは走介君だよ。対処法を一々切り替えるから、こっちもやりにくいんだ」

 

「ホントだよなぁ~…… スピードでヒット&アウェイしたかと思えばワイルドで迎撃、離れてもテクニックで打ち落とされるし、デッドヒートでごり押ししてくるもんな」

 

「神器の特性上だ。仕方ないだろ? 木場は手数で俺に勝ってるんだし、五分五分だろ、俺達」

 

今の所、勝率は本当に互角だ。

イッセーに一撃入れられてダウンとか、木場に手数で負けてスタミナ切れとか、俺が即効で二人を落としたりとか……

 

「俺達、強くなってるよな?」

 

『安心したまえ、君達は確実に強くなっていってる。特にイッセー、君は悪魔になって半年でよくここまで強くなった!』

 

「ベルトさんにそう言われるとなんか安心するな」

 

ふと、イッセーが漏らした不安に、ベルトさんは心配要らないと言ってくる。

 

『だが、浮かれてもいられない。今回で各々の弱点は分かった筈だ。それを克服しない限りは、まだまだ未熟だ』

 

「そうだね。僕は足を止められたら直ぐに仕留められる。元々、防御に適してないからね」

 

「俺が思い付く辺りじゃ、龍殺し(ドラゴンスレイヤー)に会ったら要注意なんだよな」

 

「俺は飛べないからな。空にいる敵の対抗手段がドア銃しかないのは痛いな……」

 

強くはなっているが、やはりそうなると浮き彫りになってくるのが弱点だ。

やっぱり飛べないのは痛いよな…… 皆、なにかしらの方法で飛べるのにさ……

 

「大分、様になってきたな」

 

そこに第三者の声がする。

振り向くと、そこにはアザゼル先生がいた。

 

「先生」

 

「そろそろ護衛の時間だ。上に上がってこいよ」

 

ああ、もうそんな時間か。

てことはじっちゃん達の準備が出来たって事だな。

 

「わかりました。それじゃあ行くか」

 

俺達はトレーニングを切り上げて、じっちゃんの所へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おお、来おったな」

 

上に上がると既に皆いて、じっちゃんの側には巨大な馬と馬車があった。

 

「な、なんだ… これ!?」

 

「ほっほっほっ。これがわしのスレイプニルじゃよ」

 

スレイプニルかぁ…… でかいな……

 

スレイプニルを見上げていると、唐突に巨大な頭が俺の前にやって来て、スレイプニルは俺の顔を舐めた。

 

「うわっぷ!? いきなりなんだよ!?」

 

「ほぅ…… スレイプニルの奴、覚えとったようじゃの」

 

「覚えてた?なにを?」

 

「初代仮面ライダーがわしらに喧嘩売ってきた時、あやつ真っ先にスレイプニルを手懐けて乗りこなしおった…… お前さんはあやつにそっくりじゃからのぉ、スレイプニルも覚えとったんじゃろ」

 

せ、先代…… あんた何をやらかしたんだ?

ま、まぁ懐かれているのは良い事だしな…… それにしても…… そんなに先代と似ているのかなぁ……

 

すると、スレイプニルは俺をつまみ上げて、背中に乗せてきた。

 

「うわ!? うわわわわっ!?」

 

「良かったのぅ、走介。スレイプニルがわし以外を背に乗せるなど、ここ千年程無かったのじゃぞ?」

 

ま、マジかよ…… でも眺めがいいな。

それに風も気持ち良い。

 

俺がスレイプニルの頭で感慨に耽っていると、皆馬車に乗り込んだらしく、スレイプニルは一声鳴くと、走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スレイプニルが夜空を飛びながら走る。

馬車には、じっちゃんと先生、イッセーに部長、アーシアに小猫、ロスヴァイセさんとアレン、ギャスパーが乗っていた。

 

外の護衛は、木場、朱乃さんとゼノヴィア、イリナ、バラキエルさんとユーリさん、そしてロマリーが空を飛んでいつでもテロリストを迎え撃てるようにしていた。

 

で、俺がスレイプニルの背中に乗っかっている訳だ。

 

『ソウくーん!大丈夫ー?』

 

「ああ!大丈夫だー!」

 

『そっちに行ってもいい?』

 

ロマリーが声を掛けてきた。

こっちに来て良いか訪ねてくるがそれはスレイプニルしだいだろ。

なにしろじっちゃんの話だと千年、人を乗せなかったらしいし。

 

俺はスレイプニルを軽く叩く。

スレイプニルはそれに対し、少し鳴いて首を後ろに向けた。

 

良いって事だろう。

 

「スレイプニルは良いってさ!」

 

『やった♪』

 

確認を取るや、ロマリーは早速俺の隣に降りて鎧を解除する。

 

「キャッ!?」

 

「ロマリー!!」

 

だが、体制を崩して落ちそうになったから、助ける羽目になってしまった。

まだ体の調子が悪いのか?

 

「大丈夫か?ロマリー」

 

「う、うん。ありがとうソウ君」

 

再び落ちそうになるのを防ぐためか、ロマリーは俺にしがみついて離さない。

 

「まだ、どっか悪いのか?」

 

「ううん、大丈夫。覇龍の影響はもう殆どないから」

 

「あんまり無茶はするなよ?」

 

「うん。優しいねソウ君は」

 

いきなりどうしたんだ?ロマリーは?

でも…… 優しいか、それはきっと……

 

「俺はマリアを守れなかった…… だから、もう失ないたくないんだ…… 大切な人を…… その為ならなんだってするさ。命を差し出せって言われたら迷わずするぐらいに」

 

ああ、そうさ。

皆を守るためならなんだってやってやる…… それこそ悪なったり…… 命を捨てたりだって……!

 

「…… ダメだよ、命を簡単に捨てないで…… ソウ君がマリアちゃんに生きていて欲しかったように、私だってソウ君に生きていて欲しい。だから…… 最後まで生きるのを諦めないでね?」

 

…… そう、だな。

 

―――― 命を捨てる。

 

この事の意味を…… あの村で学んだ筈だったのにな……

これじゃあ、マリアに怒られちまう。

 

「そうだな…… ああ、最後まで足掻き続けてやるさ」

 

お前に二度も拾われた命だ、簡単には粗末にしないぜ…… マリア。

 

「あのね、ソウ君。聞いて欲しい事があるの」

 

「なんだ?」

 

「シュヘンベルグ家の第一子には、必ずあることが起こるの」

 

あること? 一体なんだろう?

 

「それは…… 不治の―――」

 

 

ガックンッ!

 

ヒヒィィィィィィィィィィンッ!!

 

 

ロマリーが何かを言おうとしたその時、急にスレイプニルが急停止した。

 

「な、なんだ!?」

 

「ソウ君!あれ!」

 

ロマリーが空を指すと、皆既に戦闘体制に入っていて、若い男性らしき人物が浮遊していた。

 

若干じっちゃんが着ているモンに似ているな…… 誰なんだ?

 

すると、男性はマントを広げて高らかにしゃべりだした。

 

「はっじめまして、諸君!我が名は悪神、ロキ!」

 

悪神!? ま、マジかよ!?

悪神ロキって、北欧でもかなり重要な神様じゃねぇか!!

 

「これはロキ殿。何か用ですかな?この馬車には主神オーディン殿が乗られている。それを承知の上での行動だろうか?」

 

「いやなに、我らが主神が、神話体系を抜けて、我ら以外の神話体系に接触していくのが耐え難い苦痛でね。邪魔をしに来たのだ」

 

悪意しかねぇっ!? 凄いこと平気で言うな!? 流石悪神!

 

「一つ聞きたい!お前の行動は禍の団(カオスブリゲード)と繋がっているのか?」

 

「我が想いを愚かなテロリストと一緒にされるなど不快極まりないが…… 関係はない、と言っておこう」

 

禍の団(カオスブリゲード)じゃねぇのか…… 爺さん、これが北欧の抱えてる問題点か?」

 

先生が馬車に顔を向けると、いつの間にかじっちゃんはロスヴァイセさんと一緒に出ていて、ユーリさんも隣に行った。

 

「ふむ。これが現状じゃ。自ら出向く阿呆まで登場するのでな」

 

「ロキ様!これは越権行為です!主神に牙を剥くなどと!許されることではありません!」

 

ロスヴァイセさんは鎧姿に変わり、ロキに言うが…… 正直無駄だと思う。

 

「一介の戦乙女ごときが我が邪魔をしないでくれたまえ」

 

「やはり無駄か…… ロセ、ロキに正常な判断を考えるのは無理だ。あれは悪神だからな」

 

「黙れ、卑しい半神半人(ハーフゴット)め!誰の慈悲で我らの元に居られたか忘れたか!?」

 

「少なくとも貴様のでは無いな」

 

「減らず口を……!」

 

ロキはロスヴァイセさんの説得にも応じず、ユーリさんにそう言った。

 

ハーフゴット? ユーリさんはヴァーリみたいに純粋な人間じゃないのか?

 

「いいだろう。――― ここで黄昏を行おうではないか」

 

その瞬間、凄まじい敵意が俺達を襲う。

な、なんだこの悪寒は!?

 

「それは、抗戦の意思と見ていいんだな?」

 

「いかようにも…… ん?」

 

先生の宣言に、不敵に笑うロキだったが、不意に俺を見た。

 

「何故人間がスレイプニルの背に乗っている? そんなことが出来る人間は――― ! その神器…… ハハッ、そうかそういう事か、オーディンめ!」

 

な、何が可笑しいんだ?

 

「そこの人間、貴様仮面ライダーと見る。成程、見れば見るほど奴の生き写しのようだ…… 奴に復讐の時が来ようとは!」

 

「何の事だ!?」

 

「なに、先代の仮面ライダーに受けた屈辱、貴様で晴らさせてもらう」

 

その瞬間、ロキは消え失せた。

 

「!? ど、どこに言った!?」

 

「走介ぇぇぇぇっ!!!! さっさと変身しろぉぉぉっ!!!!」

 

「遅い」

 

先生が叫ぶと同時に、ロキが俺の目の前に現れた。

手には魔力が溜まっている。

 

不味い!! このままじゃ、俺だけじゃなくロマリーも!?

 

そう判断した俺は、咄嗟にロマリーをスレイプニルから落とした。

 

「キャッ!? ソウ君!」

 

「女を逃がしたか…… だが、貴様は終わりだ」

 

「ぐはぁぁっ!!!?」

 

ロキの一撃が、俺の体にぶち当たり、余りの衝撃に、俺はスレイプニルから吹き飛ばされ、夜空を墜落していった。

 

「うわああああぁぁぁぁぁ………!」

 

『ソウ君!?』

 

「走介(君)(さん)(先輩)!!!?」

 

「行かせると思うか?」

 

ロマリー達が俺を助けようとするが、ロキに阻まれているのを見たのが、彼らを見た最後の光景だった。

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