ハイスクールD×D 加速する戦士   作:響く黒雲

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何故深海の龍は呼び寄せられたのか

ある程度の会議が終わった後、俺は全身の罅を治すためにアーシアと小猫から治療を受けていた。

 

「大丈夫ですか?走介さん」

 

「ああ、大分引いてきた。治癒速度が上がってきてるんじゃないか?」

 

その証拠に、骨に入った罅は少なくなっていた。

 

「そんなことありません。小猫ちゃんが仙術でお手伝いして貰っているからこそです」

 

アーシアが神器で光を当てている横で、小猫はずっと俺の手を握っていた。

 

「先輩はいくら言っても危険な事をして怪我をしてきます。だから、せめてこのぐらいの事はしてあげたいんです」

 

そう言う小猫の手から、暖かい物が流れ込んでくるのを、俺は確かに感じていた。

 

ありがとう小猫、俺はお前のそういう所にいつも助けられている。

 

丁度その時、黒歌が俺の所にやって来た。

 

「貴女は…」

 

「…… 何の用ですか、姉さま」

 

「別にぃ~ 白音には関係無いにゃん」

 

そうして少なく言葉を交わすと、黒歌は小猫と反対側に来て、俺の手を握る。

 

「何のつもりだ、黒歌」

 

「…… ライズを助ける為にゃん」

 

そう言うと黒歌は、俺に気を流し始める。

 

「ここまでしてあげてるんだから、ライズを助けられなかったら承知しないわ」

 

ここに来て黒歌は、おふざけでも何でもない言葉を俺に掛けた。

 

それだけ黒歌が本気だって事なんだろうな……

 

それから一時間後、俺の体は完全に回復した。

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして、アザゼル先生に呼ばれて、俺、イッセー、ヴァーリ、ロマリー、ユーリさん、そして匙の六人は、先生の用意した特別な空間に転移した。

 

転移した先は真っ白な空間だった。

辺りをキョロキョロ見回すと、そこには……

 

「先日以来だな、お前たち」

 

「タンニーンのおっさん!」

 

巨大なドラゴン、タンニーンさんがいた。

 

「…… そちらがヴリトラか」

 

タンニーンさんは匙を見るが、匙はビビって身を震わせる。

 

匙ェ…… もうちょい頑張れよ。

 

「アホ!! 最上級悪魔のタンニーン様だぞ!お前見たいにおっさんとか、走介見たいにフレンドリーに出来るか!!」

 

お前の中のドラゴンも相等凄い奴だって聞いてるけどなぁ…

 

「白龍皇、妙な真似はするなよ」

 

「フッ、善処するさ」

 

タンニーンさんはヴァーリを睨むが、ヴァーリは苦笑するだけだった。

 

先生は術式を描いて魔方陣を造り出していく。

 

「しかし、あやつは来るのだろうか。俺も二、三度しか会ったことないが」

 

マジが、タンニーンさんでもそんなに会ったことない奴が来るのか。

でも、来るかどうかまではわかんないみたいだな。

 

「来る。必ず」

 

と、自信満々に宣言するユーリさん。

 

「?何でユーさんはそれがわかるの?」

 

「青龍君のシュヘンベルグ嬢の言う通りだ。何故分かる、黒龍王」

 

「俺が居るからだ。奴との約束でな、俺の呼び掛けには必ず答えると言っていた」

 

ユーリさんはこれから会う奴と知り合いなのか…… なら安心だな。

 

「ま、そうでなくとも四天龍とクリムがいるんだ。否でも応でも来るさ」

 

そこで先生は魔方陣を書き終えたらしい。

 

「さて、魔方陣の基礎は出来た。後は各自、指定された場所に立ってくれ」

 

その言葉で俺達はそれぞれ紋章が描かれたポイントに立つ。

それぞれの紋章が、龍王や四天龍を表したものらしく、俺のは見慣れたライダーエンブレムだった。

 

そして、淡い光が走り、それぞれの紋章がそれぞれの色で光り出す。

 

イッセーは赤、ヴァーリは白、ロマリーは青、ユーリさんと匙が黒、先生は金色、タンニーンさんは紫、そして俺は虹色だった。

 

『それぞれが各ドラゴンの特徴を反映した色だ』

 

どうやらドライグがイッセーの為に解説しているようだ。

 

『ここには居ないが、ティアマットも青、玉龍が緑だ』

 

ドラゴンの数だけ、色が有るって訳だ。

 

そして、魔方陣が光り、意識を具現化した映像が流れ始める。

 

「…… でかすぎだろ、これは……」

 

写し出された映像は、グレートレッド達を遥かに越えるデカさのドラゴンがいた。

 

『…………ぐごごごごごぉぉぉおおおおん………』

 

しかも寝てる……

 

「案の定、寝ていたか」

 

「はぁ…… 起きてくれ、ミドガルズオルム」

 

ユーリさんが声を掛けると、巨大なドラゴンはゆっくりと目を開く。

 

『……… あっ、やっほーユーリ。それになんだが懐かしい龍の波動だなぁ。ふああああああっ………』

 

そして大きなあくびをひとつ。

色々な面がビックサイズだな…… こいつ。

 

『おぉ、タンニーンじゃないかぁ。久しぶりだねぇ』

 

口調もゆったりしてるな……

ミドガルズオルムは、俺達をゆっくりと見回す。

 

『…… ドライグとアルビオン、それにアルテミシアにガーランドがいる。…… ファーブニルとヴリトラも……? それにクリムのおじちゃんも…… なんだろう、世界の終末なのかい?』

 

今さらっと物騒な事言わなかったか?こいつ。

 

「違う、今日はお前に訊きたい事があって―――」

 

タンニーンさんはそう言うが……

 

『……… ぐ、ぐごごごごん………』

 

途中でまた寝始めた。

駄目だこのドラゴン、まるで聞くつもりねぇ。

 

「寝るな!まったくお前と玉龍だけは怠け癖がついて敵わん!」

 

『……… タンニーンはいつも怒ってるなぁ……。要件はダディとワンワンの事でしょぉ……?』

 

「分かっているならさっさと答えろ!」

 

タンニーンさんはきっとドラゴン一の苦労人だな。

 

『ダディとワンワンはぶっちゃけ僕はどうでもいい存在だし……。あ、でも、タンニーン。ひとつ聞かせてよぉ』

 

「なんだ?」

 

『四天龍の戦いはやらないのぉ?』

 

そう言ってミドガルズオルムはイッセー達を交互に見ていた。

 

『今はそうも言っていられない状況なのだよ。ミドガルズオルム』

 

『へぇ…… 面白いねぇ……。 前みたいにおじちゃんに止められるんじゃなくて、自分達で共闘するなんてねぇ……』

 

デカいから分かんないけど、ミドガルズオルムは確かに笑ったように見えた。

 

『ワンワンはダディより厄介だけど弱点もあるんだぁ。ドワーフが作った魔法の鎖、グレイプニルで捕らえる事が出来るよぉ。足はそれで止まるねぇ』

 

ワンワンか…… まあこのサイズのドラゴンだからな、フェンリルなんて小さなワンワンだよな。

 

「それは分かっているんだ。だが、グレイプニルは効かなかった」

 

『…… うーん、ユーリの為なら教えるのも吝かじゃ無いけどぉ……。ダディったら、ワンワンを強化したのかなぁ。それなら北欧のダークエルフに相談してみなよぉ。場所はガーランドの神器に送るからさぁ』

 

物知りなドラゴンだな。

それに、ドワーフとかエルフとかいたんだな。

 

「ドワーフとエルフは、人間界の環境が変わって冥界にいるけど、一部はまだ秘境とかにいるの。私の魔法も、エルフからおそわったんだ」

 

と、ロマリーが丁寧に解説してくれた。

ロマリーの魔法の師匠はエルフだったんだ。

 

「確認した。総督、世界地図を立体映像で頼む」

 

それを聞いて先生は画面から世界地図を投影し、そこにユーリさんが場所を指差す。

 

「これでフェンリルはいいだろう。で、ロキの方はどうだ?」

 

『ダディはミョルニルでも撃ち込めばなんとかなるんじゃないかなぁ』

 

「基本は普通に攻撃か…… オーディンのジジィがトールに頼めば貸してくれるだろうか……」

 

「そんな大事な物を貸してくれるのかな?」

 

ミョルニルって、あの雷神トールの武器だよな。

神様がホイホイ貸してくれるのかなぁ……?

 

『それなら、さっきいったドワーフとダークエルフに頼みなよぉ。レプリカをオーディンから預かっていたはずぅ』

 

「物知りで助かるよ、ミドガルズオルム」

 

先生は、それに苦笑いしながら答えた。

 

『いやいや。たまにはこういうおしゃべりも楽しいよ。今日はユーリにおじちゃんも居たし。さーて、そろそろいいかな。僕はまた寝るよ。ふああああっ』

 

そしてまたひとつ大きなあくびをした。

 

「済まないオルム。また君を呼び出して」

 

『いいよぉ。僕と君の仲じゃないかぁ』

 

ユーリさんとミドガルズオルムには奇妙な友情があるようだ。

 

『私からも礼を言わせてくれミドガルズオルム。お陰で助かったよ』

 

『おじちゃんにお礼を言われるなんてねぇ…… 今回は役得だったかなぁ』

 

「サンキューな、ミドガルズオルム」

 

ベルトさんが礼を言うに倣って俺も礼を言うが、ミドガルズオルムは俺をじっと見詰める。

 

「な、なんだよ」

 

『君は不思議だねぇ……。ただの人間の筈なのに、何か大きな事をしそうな予感があるよぉ……』

 

大きな事?俺が?

 

『じゃあ、また何かあったら起こしてねぇ』

 

それだけ言い残すと、映像がどんどんぶれていき、消えてしまった。

 

ミドガルズオルム……… また会えるといいな。

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