NERV航空隊隊長綾波   作:浩介

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第32話 表と裏

覚醒した初号機は突然機能を停止した。

いや、停止させたというのが正しいだろう。

S2機関を取り込んだのだから無限に動けるはずだからだ。

そのあと何とかゲージに拘束したが、抵抗せずに拘束されたのが逆に不気味であった。

そうコウスケは考えている。

レイやアスカは無事であった。

自爆したレイが無事なのを不思議に思うが、ほっとするのもまた事実であった。

弐号機や零号機は大破しており、また本部施設も半壊まで追い込まれた。

復旧にはひと月はかかるとのことだ。

また、第一発令所は大破し、放棄が決定された。

使徒とEVAが本部内で派手に暴れたのだ。

修復もできるが、どれほど時間がかかるか解らない。

そのため予備の第二発令所をメインで使うことになる。

零課の存在が発令所組には知られることになった。

ただ、対テロ用の部隊として存在するという説明がなされた。

知られた時ようにゲンドウがあらかじめ準備していたようだ。

・・・

 

使徒戦から二日目

彼の前にはここにきて初めて目にする量の書類があった。

一体何㎏あるだろうか

それをすべて決裁せねば復興作業に取り掛かれない。

この際、国連軍や戦自から来た嫌味などとうの昔に葬り去った。

今は資源ごみとして外に出ているだろう。

国連軍も戦自も地球環境のために役に立ててよかったな

コウスケはこれを正式な文書として送りつけようと考えたが、さすがにまずいだろうと思いとどまった。

すると内線電話が鳴り響く。

「はい、綾波です。・・そうか、わかった。」

コウスケは受話器を置き執務室を後にした。

・・・

 

「ようやく目が覚めたな。このおバカさんは。」

コウスケはレイの病室にいた。

レイは上半身を起こしていた。

「・・・特務一尉。」

レイの顔には傷一つついてなかった。

報告で無傷なのは知っていたが、実際に見てほっとするコウスケであった。

無事だったんだからいいじゃないのかと考えたが、自爆特攻などやはり許せるものではなかった。

「何故あんな真似をした。」

思ったよりも低く重苦しい声になってしまった。

「・・ああしなければ使徒を倒せないと思ったからです。」

そしてレイは俯き加減で

「じゃないと・・みんなが居なくなる・・・」

その声は悲しく響いた。

「そうか・・よくわかったよ・・このバカ野郎。」

レイはバカ野郎と聞いてコウスケを見る。

「じゃあ、聞くが・・レイが死んでもみんなが助かれば満足なんだな。」

「・・・はい。」

レイは俯きながら答えた。

それが正しい選択であると考えているようだった。

「・・死んだらこんな風に話すこともできない・・食事することもない。・・それで満足なんだな。」

レイははっとなる。

「でもそれって・・周りに誰もいないと同じじゃないか・・」

ベットが少し揺れていた。

レイががたがたと震えているからだ。

ようやく気付いたのだろう。

死というのはどういうことか

「それに残された人たちはどうすればいいんだよ。死んだことをずっと忘れないで生きろって言うのか?」

レイの顔は悲しみに満ちた表情であった。

「もう一度聞くぞ。それで満足なのか?」

「・・・嫌です。」

そう言うレイの目に涙が浮かぶ。

「わかったな・・もうあんなことするなよ。このバカ野郎。」

コウスケはレイの頭を撫でていた。

何となくこうせねばならないと思ったからだ。

「ほんとに・・無事でよかった・・」

「・・・ごめんなさい。」

「いいよ。だが、本当にあんな真似するなよ。じゃないと俺は許さんからな。」

「はい。」

そしてレイは何かを考えていた。

「どうした?」

「・・私に父が居たらこんな感じなのかと思いました。」

コウスケは少し衝撃を受けるが

(・・まぁ、レイの父親なら別にいいかな。でも、パパと呼ばれるのは勘弁してほしいが・・・)

と思うのであった。

「・・碇君は?」

と言われてコウスケは戸惑う。

シンジがどうなったか今のレイに話すべきか

「碇君はどうしました。」

らしくないコウスケの態度に不審を抱いたのだろう。

少し強めにレイが聞いてきた。

(後日知ったら怒るだろうな・・いや、絶対に知られる。)

「シンジ君は・・・EVAに取り込まれた。」

「碇君が?」

「シンクロ率400%を超えた・・その結果、EVAに取り込まれることになった。」

コウスケは一日前に見た画像を思い出していた。

初号機のエントリープラグ内である。

そこにはシンジのプラグスーツとヘッドセットではなく、白地のポロシャツにすこし薄い青色をしたズボンがLCLにぷかぷかと浮いていた。

コウスケはどこかでその服を見たことがあった。

なぜかとても重要なものであったような気がする。

ミサトからシンジが出かけるときに着る服であることは聞いた。

リツコはその服がシンジの自我イメージが構成していると言っていた。

でも、何故その服なのかは誰にもわからなかった。

「そんな・・・」

「今、碇司令がサルベージの陣頭指揮を執っている。」

「碇司令が?」

「必ずシンジを取り戻す・・てな。」

その時の様子をコウスケは思い出していた。

発令所でシンジが取り込まれたという報告を聞いてゲンドウは顔色一つ変えなかった。

それを見た職員たちはゲンドウを悪く思い、罵ったりしていた。

自分の子供が大変な目にあっているのに顔色一つ変えないとはどういうことか

だが、その評価も一瞬で変わることになる。

「諸君、聞いてほしい。現在、われらは使徒の攻撃で半壊状態にある。復旧に忙しいのは承知でお願いする。サードチルドレン・・いや、私の息子であるシンジをサルベージするのに協力してほしい。」

と館内放送でゲンドウが語ったのだ。

そして

「必ずシンジは取り戻す・・サルベージの指揮は私がとる。」

と続けたのだ。

それ以降、技術部を中心にサルベージ計画が進んでいるのだ。

ゲンドウも不眠不休で指揮を執っている。

冬月もそんなゲンドウに付き合っていた。

ゲンドウがサルベージだけに集中できるようにしていた。

「そうですか・・・」

「なんだ?泣いたりしないのか?」

コウスケはシンジが使徒に取り込まれたときのレイを思い出していた。

あの時のレイはコウスケですら驚くほど感情をあらわにしていた。

「碇司令やみんなが頑張ってる・・私も泣いたりできない。それに・・碇君は必ず戻ってきてくれる。」

「そうだな。」

レイの顔に悲しそうな雰囲気が出ていたのをコウスケは見て見ぬふりをした。

それ以上に帰ってくるという思いの方を強く感じたからだ。

「今は休んどけ。シンジ君が帰ってきて心配されるのも嫌だろ?」

「はい。」

「じゃあ、俺は行くな。」

・・・

 

三日目

コウスケはジオフロントに出ていた。

傍らにはシンゴもいる。

迎撃施設の視察に来ていた。

「地上の施設はどうだ?」

「エリア4はほぼ壊滅だ。その他のエリアも結構ひどくやられてる。」

シンゴが書類を見ながら言う。

「Zラインも全滅したからな。」

「どこかの誰かさんが派手に壊したからな。その尻拭いは保護者の特務一尉の仕事だ。」

その言葉にコウスケは執務室にある書類の束を思い出していた。

予算だけでも発展途上国がいくつか潰れるほどのものだ。

とても頭が痛かった。

「どれくらいかかりそうだ?」

「一か月・・と言いたいところだが、地上施設に弾薬の補充も考えると一か月半ってところだな。・・それで喜んでる連中もいるけどな。」

コウスケは頭が痛かった。

「取りあえず地上施設からだな。」

「まぁ、ここは真っ先に攻撃を受けるところじゃないからな。それに上には市民も住んでるし、とっとと直した方がいいだろ。」

幸いにもコンフォート17は無事であった。

だが、一般の住宅にまったく被害が無かったわけでもない。

それは二課の仕事ではないが、だからと言って切り捨てることもできない。

なぜならここは要塞都市であるため、どうしても兵装ビルの方‐兵器の修復が優先されてしまうのだ。

つまるところ二課が先に仕事しなければ、住宅の修復はもっと遅れてしまうのだ。

「そういや、シェルターも一つ潰れたんだよな。」

コウスケは報告書にあったことを思い出していた。

使徒との戦闘中にジオフロントにあったシェルターがつぶれたとあったのだ。

「ああ、弐号機の首が直撃した。・・半分は死んだそうだ。」

シンゴはかなり暗い顔をしながら言う。

「また出ていくんだろうな。」

「その方がいい。こんなろくでもない所だからな。」

今回の使徒戦で第三新東京市を出ていく人が増えたそうだ。

彼らの言い分はいつ死んでもおかしくないということだ。

NERVはまたもや世界に敵を作ることになってしまった。

「早く終わらせたいな。」

「まったくだ。」

その時

「俺のスイカ畑が~!」

と言う悲鳴がどこからか聞こえたが、戦場になるところにそんなもんを作ったやつが悪いし、許可はもらってるのかとコウスケは思うのであった。

ただ、どこかで聞いたことのある声だったが

・・・

 

五日目

コウスケはNERV内の通路を歩いていた。

目的地は喫煙所である。

本来なら執務室で吸うのだが、書類が多いため断念したのだ。

書類に火が付いたら火事になるからだ。

ちなみに国連軍と戦自から来たものはちゃんと資源ごみとして出した。

リサイクル業者のわずかな利益へと還元されているだろう。

それに長い時間椅子に座るため、その気分転換も兼ねていつもとは違う道を歩いていた。

ふと妙なにおいを感じた。

「なんだ?」

どうやら一つの研究室から漏れているようだった。

「誰の部屋だっけ・・・」

場所から技術局の者であることはわかる。

別に無視してもよかったが、何かあったら大変である。

コウスケはドアを叩いた。

「はい。」

(ん?どっかで聞いたことある声だな・・・)

「綾波コウスケです。」

「綾波特務一尉ですか?今、開けます。」

するとドアが開いた。

ドアの向こうには加賀ヒトミが立っていた。

(ああ、ここは加賀さんの研究室か・・・)

「どうしました?」

「ああ、なんかにおうから何かあったのかと思ってな。」

「やっぱり通路にも漏れてましたか・・・」

加賀が困ったような顔になる。

「いったい何なんだ?」

「紅茶をいれてたんです。」

「ほう、紅茶か・・・」

コウスケはコーヒーよりも紅茶の方が好きであった。

ちなみに綾波家にはコーヒーは存在せず、代わりに陶磁器で作られたティーポットとカップが常にきれいな状態で専用の棚に置いてある。

当然ながらレイもそれの管理を行っている。

レイがシンジに勝る点は今のところそれだけである。

他は一日の長でシンジに一歩譲ってしまう。

「あの・・よろしければ寄っていきますか?」

「どんな紅茶か興味あるな・・少しお邪魔するか。」

こんな強烈な香りを発する紅茶がどんなものなのか

コウスケの興味が湧いたのだ。

部屋に案内されると部屋には似つかない黒服が中にいた。

剣崎キョウヤである。

「珍しいな。剣崎がこんなところにいるなんて。」

「特に用事もなかったので。」

「へぇ~。」

「何でしょうか?」

「もしかして・・彼女に興味があるのか?」

「そんなわけありません。」

「そうか。」

と言うがコウスケはニヤリとしていた。

(あの剣崎が興味もないのに・・・こりゃ面白い。)

「少し待っててください。今、入れますから。」

と言って加賀はカップに紅茶を入れ始めた。

そして目の前に差し出される。

「これ私がブレンドしてるんですよ。」

「オリジナルティーか。」

「はい。」

コウスケはカップを受け取った。

一口紅茶を飲む。

・・・

何とも言えない味だった。

まるで紅茶と緑茶を混ぜたような味・・・

そう表現するしかなかった。

「どうですか?」

加賀が期待するように聞いてきた。

「独特な味です。」

剣崎が答えるもどうも動揺しているようだった。

「そうですか。綾波特務一尉はどうですか?」

(どうですかって聞かれても・・・)

「・・・ポカポカしない・・・」

思わず本音が出てしまった。

これを聞いたのがミサトなら

「コウスケ君にレイがうつったのね。」

なんてからかわれるだろう。

「はい?ポカポカ?・・あの冷たかったですか?」

「いや・・まぁ、独特の味だな・・・」

コウスケは何とかそう答えることができた・・と言うよりそう答えるしかなかった。

期待に目を輝かせている加賀を目の前にしては・・・

それでも、自分の表情が固まってしまうのはどうしようもなかった。

「そうですか・・では、私も・・・」

と言って加賀が飲むが顔が歪んでいた。

「・・・おかしいですね・・こんなはずじゃ・・」

加賀は配合を間違えたのかと必死に考え込んでいた。

そこに剣崎が

「そこに玉露と書かれているのは見間違えでしょうか。」

と言った。

「そんな、いくら私でもそんな間違え・・・」

加賀が固まっていた。

コウスケはそんな加賀の後ろから覗き見る。

・・・緑色の缶に書かれた文字は誰がどう見ても「ギョクロ」としか読めなかった。

間違っても「タマツユ」だろうか

「玉露だな。剣崎にはどう見える?」

「玉露です。」

気まずい雰囲気になった。

「あの・・・」

「すみませんが、私は失礼します。」

と言って剣崎が出ていく。

少し早めに歩くように見えたのは気のせいじゃないだろう。

「あ・・待ってください!剣崎さん!」

「俺も用事を思い出した。失礼するよ。」

コウスケも部屋を後にする。

「綾波特務一尉も・・待ってください!何かの間違えなんです!」

そんな声が廊下に響くのであった。

廊下にはあの玉露ティーの香りが残っていた。

・・・

 

七日目

一仕事を終えたコウスケは自宅のベランダでのんびりしていた。

レイはすでに退院している。

今はリビングで本でも読んでいるだろう。

レイはTVも見るが長年TVの無い生活だったため、長時間見続けるということが無かった。

本を読んでいるときのレイは以前のようにただ見ているのではなく、内容を理解しようとしている。

時々どういうことか解らずコウスケに聞いてくることがあるからだ。

曖昧な表現を理解するのにレイは苦労している。

それでもコウスケに聞いてくることが少なくなったことから、だいぶ理解してきたのだろう。

・・・ただ、コウスケでも返答に窮するものもある。

それについてはさりげなく逸らしている。

コウスケはふと夜空を見上げた。

「半月か・・あれは上弦だな。」

コウスケの目には夜空に右半分だけ現れている月が映し出されていた。

あと一週間もあれば満月になるだろうか

ふとコウスケは思い出す。

(月・・満月・・そういやあんときも満月だったか?)

その時聞いていたものを思い出す。

そしてコウスケは歌いだす。

彼女がよく歌っていた歌だった。

今まで忘れていた・・と言うより思い出したくなかったのだろう。

彼女を思い出してしまうから

でも、この時はなぜか歌いたくなった。

不思議とつらいとは思わなかった。

静かに始まり、静かに終わった。

「回りくどい歌だ・・・最初からそう言えばいいのに。」

だが、それができないのが人なのだろう。

だから思いを歌詞にして曲とともに外に表す。

それが歌というものなのだから

ふとコウスケは自分以外の存在の視線を感じた。

どうやらいつの間にか観客になっていたようだ。

「なんだ、聞いてたのか。一言声をかけてくれればいいのに。」

リビングで本を読んでいたレイがこっちを見ていた。

「・・歌」

「この歌か?」

「はい・・」

するとレイは少し考えた後

「私にも教えてください。」

と言うのであった。

「別にいいが、なんでだ?」

コウスケはレイに聞いてみたが答えなかった。

うっすらと赤くなっているようだ。

(なるほどね。)

「なら、ちゃんと練習しないとな。まぁ、難しい歌じゃないからすぐに覚えられるだろう。」

レイはゆっくりと頷く。

そしてレイはまた一つ歌を覚えた。

・・・

 

十日目

執務室にいたコウスケのもとに一人訪ねてくるものがいた。

「課長、長良です。」

「ドアは空いてる。入れ。」

ドアが開きユキが中に入ってきた。

「また書類か?」

と言うがそれが用事だとは思っていない。

なぜなら「課長」と呼ばれたからだ。

「先日の松代での事故について報告に来ました。」

「松代?あれは使徒の・・・」

と言ってコウスケは気付いた。

使徒が現れたときあれほど爆発するのであれば早々に気づく。

だが、今までそんなことは無かった。

松代にも自爆装置があるがそれが作動したとは報告が来ていなし、松代のMAGI二号は無事なのだから自爆はしていないことは明らかだ。

無論だがEVA参号機に周りを爆発させる力などない。

そして使徒にそんな力があるのなら戦闘時にも使ってきたはずだ。

「なるほど・・そういうことか。」

「綾波特務一尉、気づかれましたか。さすがですね。」

と言って長良は一つの報告書を差し出した。

報告書には明らかに何者かが爆発物を設置した痕跡があったと書いてあった。

それもEVAの近くに

「しかし、一週間以上も経過してるぞ。」

「諜報部がずっと隠し持っていましたから。」

(嫌がらせか・・・)

「下らん。諜報部に零課から警告しておけ・・今後、こんな真似をしたら潰すとな。抵抗するようなら一人くらい構わん。リストから選んでおけ。」

「了解。」

(本部内でもこうなんだ・・・じっくりと炙り出さんと。)

幾人かSELLEの手駒を始末しているが、なかなか成果を上げていない。

そうでない者でもこうなのだ。

頭が痛い問題だった。

そう考えをまとめたとき、コウスケは松代の事故に意識を向けた。

「これは明らかにEVAを狙ってるな。」

「はい。」

「内部犯だな。」

EVAの起動実験をするのだから厳重に警戒されていた。

にもかかわらずEVAの近くに爆発物が設置された。

どう考えても内部の人間の仕業だろう。

「・・・第七ゲージの警備を厳重にするんだ。」

犯人の目的がEVAを潰すことにあるのなら・・・

そう考えると初号機は危険だ。

サルベージが失敗すれば初号機は起動しなくなる。

初号機が起動できなくなるのは別に構わないが、シンジが助け出せなくなってしまう。

それだけは阻止せねばならない。

「怪しいものが居たら捕縛しろ。抵抗するようなら始末しても構わん。捕縛したら背後関係を調べろ。・・自白剤の使用許可も出す。」

「良いのですか?」

長良はためらうように聞いてきた。

自白剤など使えば廃人になることは確実だからだ。

「子供を平気で犠牲にするような奴らに遠慮する必要はない。それとレイたちの警護も厳重にしてくれ。・・直接狙われるかもしれん。」

長良は「了解」と答え部屋を後にした。

コウスケは煙草を取り出す。

「わかっているさ・・酷いことをしているのはな・・だが、レイたちはもっと幸福な人生を求めていいんだ。・・それが解らん奴が多いな。」

彼らにも言いたいことがあるだろう。

だが、こちらとて譲歩できないものがある。

これはエゴ同士のぶつかり合いなのだ。

「罪は俺が受けることになるだろうな・・・」

と言ってコウスケは先日レイに言ったことを思い出していた。

「自己犠牲か・・人のことを言えんな・・俺も・・」

それでも貫き通す。

地獄に落ちたとしても

幾人の血が数滴加わることになっても

使徒との戦いが終わった後、レイたちが幸福な人生を歩めるように

そして自分もその中で生きていく

何故、自分みたいな存在が出てしまったのか

どうすればそれを阻止できるのか

そしてそういう人でも未来を考えることができる

いや、だからこそ考えなくてはいけないということを伝える

だから負けられない




ゲンドウがいい人になってる
そしてコウスケはますますダークに・・・
ともかくサルベージ編です。
プラグ内に浮いていた服には一応理由があります。
何故かはここでは答えられないです。

レイはまた一つ歌を覚えましたね。
何の歌なのか
それはご想像にお任せするしかないです・・・

今回のおまけのタイトルは
男の戦い
とでも名付けましょうか
では、どうぞ

おまけ
コウスケが戦闘後に膨大な書類と格闘していた時の出来事である。
使徒戦から四日目の出来事である。
「ほんとに暇な奴らだな。」
国連軍と戦自から送られてきた嫌味である。
「ちゃんと紙はリサイクルっと・・・」
次々に資源ごみと書かれたケースに書類がたまっていく。
「ん?」
その中からに一つの書類が躍り出た。
戦闘における私的所有物の損害に対する請求書
そう書かれていた。
「そんなもん俺のところに送るなよ。」
その書類は総務部に送ることにした。
・・・

翌日
「はいはい。」
コウスケの机に置かれた嫌味を処分する。
すると書類が一枚躍り出てきた。
「なんだ?」
戦闘における私的所有物の損害に対する請求書
「なんで俺のところに来るんだよ。」
一応中身を確認してみることにした。
どうやら戦闘中にジオフロントにあった私的所有物が失われたためその弁償を求める内容だった。
「こんなもん俺の管轄じゃない。」
再び総務部に送ることにした。
・・・

翌々日
「やっぱりあった。」
二度あることは三度ある
何となくその言葉が浮かんでコウスケは書類を整理していた。
するとやはり
戦闘における私的所有物の損害に対する請求書
が出てきた。
「だから、なんで俺なんだよ!」
内容を確認すると昨日と同じ内容だった。
「リサイクルだ!」
・・・

翌々々日
「・・・・・・・・・・・」
コウスケはうんざりしていた。
戦闘における私的所有物の損害に対する請求書
「・・・・・・・・・・・」
その書類は資源ごみとなった。
・・・

翌々々々日
「・・・・・・・・・・・」
コウスケの目が心底うんざりしていた。
コウスケの視線の先にあるのは
戦闘における私的所有物の損害に対する請求書
やっぱりあった。
コウスケは決裁のサインを行った。
「・・・これで満足なんだろ、加持・・・」
請求書は加持からのものだった。
何故、加持がこんなものをコウスケに送り付けていたのか
それはスイカ畑だった。
零号機の自爆特攻で加持のスイカ畑は全滅していたのだ。
そのことでレイに怒るわけにもいかず、かといって大切に育てていたスイカが全滅したことに憤りを隠せなかったのだ。
そのためレイの保護者であるコウスケに請求書を送った。
そう言うことだった。
その日以来、同じ請求書が来ることは無かった。
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