ここはどこだ?
確か俺は寝ていたはずだが
………
わからん
第一、どこか知りたくても真っ白じゃ
………
拉致?
と言うわけでもないな
………
………………
………………………
誰だ!
「あら、こんな状況でわかるなんて……」
こんな状況だからわかるんだよ
「ふ~ん。」
姿はぼんやりしていてよくわからんが、なんとなくレイに似てる・・でも違うな
「へ~、あの子と区別できるんだ。」
当たり前だ
それができなくて何が父だ
「やっぱり面白いわね。」
お前は誰だ?
「あら、つれないわね。私とは一度会ってるのに……」
?
「それに近くからずっと見てたわよ。」
……ストーカーは勘弁してほしいな
「酷いこと言うわね。第一、一緒に暮らしてるじゃない。」
一緒に?
どういうことだ?
「どういうことかしらね。」
……何が目的だ?
「私の? ……フフフ、知りたい?」
………………
「生命の実をアダムから奪い返すこと。」
生命の実?
「そう。それが欲しくてここまで追ってきたのよ。」
意味が解らん
「別にいいのよ。今は他の目的があるから……」
おい!
待て!
お前は誰なんだ!
「すぐに会えるわ。」
おい!
・・・
「はっ!」
コウスケは飛び上がる。
時計を見ると起きるにはまだ早い時間だ。
もっともコウスケが起きる時間は他人に比べれば早い方だが・・・
「……今のは……夢?」
久しぶりにコウスケは夢を見たなと思った。
コウスケが前に夢を見たのはもう5年ほど前のことである。
だが、夢にしては妙にリアルだった。
「一体なんだったんだ?」
何かを告げるものだったのか
考えてもわからない。
生命の実
S²機関の別名
そして、アダム
………………
覚えている単語が頭に浮かぶ。
「解らん。」
もう一度眠ろうと考えたが、妙に頭がすっきりしていて眠気が襲ってこない。
・・・
コウスケは着替えてリビングに移った。
変な体験をしたため、いつものトレーニングは中止し、ぼーっと考え込んでいた。
だが、いくら考えてもわからないものはわからない。
時計を見ると7時になっていた。
そろそろレイを起こさないといけない。
そう思っているときに人の気配を感じた。
「珍しいな。一人で起きるなんて。」
返事が返ってこない。
寝ぼけているようではなかった。
学校の制服を着ているのだから
「なんだ?もう行くのか?」
「……はい。」
「朝食は?」
「いりません。」
「そうか……」
どうやら玄関に向かうようだ。
「………ところで一ついいか?」
「……はい。」
「お前さんは誰だ?」
それはとっさにコウスケを見る。
「どういう意味でしょうか?」
「そのままの意味だ。……誰だ?」
「綾波レイですが?」
「俺には解るぞ。」
「意味が解りません。」
「そうか………」
コウスケはグロック17を取り出し、撃つ。
コウスケは違和感を感じていた。
レイとは違う何かをレイらしきものから感じていたのだ。
いくらレイと同じ姿、声をしていてもレイとは違うとわかっていた。
最初から当てるつもりは無い。
威嚇射撃だった。
抵抗は無意味であることを知らせるために
そして情報を引き出すために
弾丸はレイらしきものを通り越して後ろの壁に当たる
はずであった。
「なに!?」
コウスケは立ち上がる。
目の前に予想できなかったものがあった。
弾丸は六角形のオレンジ色の壁に阻まれていた。
その壁はよほど末端でない限りNERV職員ならよく知っているものである。
当然コウスケも知っている。
「ATフィールド……」
「リリンはそう呼んでいるのよね。……でもわかっているはずよ。これは誰もが持つ心の壁であることに。」
レイと似ているがやはり違うとコウスケは感じる。
コウスケはとっさに臨戦態勢に入る。
ただの人がATフィールドなんて使えるわけがない。
もちろんレイも
いや、人の形はATフィールドで作られているのは知ってるが、それを目に見えて使うことはできない。
それが使えるのはEVAと……
「まさか……使徒?!」
「それもリリンがそう呼んでいるのよね。……あまり好きではないけど。」
使徒が怪しく笑う。
コウスケは悪寒を感じていた。
何故使徒が……
もしかしたらレイに使徒が寄生している?
あり得ない話ではなかった。
MAGIにもEVAにも寄生したのだ。
人に寄生しないなんて言えるだろうか
コウスケは何とか逃げ道を探す。
だが、どこにも逃げられないことを知った。
どこに逃げても自分が殺されるイメージしかわかない。
使徒は相変わらず怪しく微笑んでいる。
ならば……
コウスケは覚悟を決める。
使徒とはいえ元はレイなのだ。
レイにサードインパクトを起こさせるわけにはいかない。
それをレイは望んでいない
ならば相打ちでも
………………………
………………
………
ぐぅ~
気が抜ける音がした。
こんな非常時に腹の音を鳴らせるほどコウスケは間抜けではない。
と言うことは…
「もうエネルギーが切れたの? リリンの体は不便ね。」
なんて使徒が言うのであった。
「まあいいわ。何か無いの?」
「はぁ?」
「おなかすいたのよ。」
「なんで俺がそんなものを準備しなきゃいけないんだよ。」
敵に塩を送るほどお人よしではない。
そう考えるコウスケであった。
「別にリリンを殲滅するつもりはないわ。……特にあなたはね。」
どうやら嘘ではないようだ。
コウスケは自分にかけられたプレッシャーがなくなるのを感じていた。
少なくとも目の前の使徒に敵意は無いようだ。
「ねえ、早くしてよ。」
使徒は頬を膨らませながら言う。
普段のレイでは見られない表情だ。
「………少し待ってろ。」
完全に毒気を抜かれてしまった。
コウスケは自分の評価にお人よしとつくだろうと考えた。
・・・
「あれ? 綾波はどうしたんですか?」
玄関でシンジと出会った。
レイを迎えに来たのだろう。
後ろにはアスカもいた。
「ああ、レイは風邪をひいたらしくてな。」
「大丈夫なの?」
アスカが心配そうに言う。
「大丈夫だ。何かあったら赤木のとこに連れていくから。」
「でも……」
よほどレイが心配なのだろう。
シンジが食い下がる。
「心配なのはわかるが、ちゃんと学校に行かないとレイが気を遣うぞ。……碇君が私のせいでってな。」
「……わかりました。綾波によろしく伝えてください。」
「とっとと元気になるように言っといてね。」
「おう。」
シンジとアスカは登校していった。
「あの子がそうなのね?」
いつの間にか使徒が来ていた。
(こいつ……できる。)
「何のことだ?」
「この子が想ってるリリンって」
「なんで知ってるんだ?」
コウスケは驚いた。
使徒が人の心を理解できるなんて考えてもなかったからだ。
「フフフ、まずはエネルギーを補充してからね。」
そう言って使徒は微笑みながらスキップでリビングに戻っていく。
食事をできるのが相当嬉しいようだ。
コウスケもため息をつきながら戻って行った。
・・・
「さて、エネルギーの補充は終わったし……」
コウスケの目の前には満足そうにする使徒がいた。
コウスケは少し胸やけを起こしている。
とんでもない量の食事を使徒が行ったからだ。
肉も普通に食べていた。
食事の量は少なくともコウスケの二倍は食べていた。
どこにそんなに入るんだと疑問に思わざるおえない。
冷蔵庫の食料はすべて無くなった。
「あなたの質問に答えてあげるわ。」
相変わらず使徒は微笑んでいる。
(意思疎通はできるみたいだからな。)
「お前さんは誰だ?」
「そんなに知りたいの? 私のこと。」
使徒はニコニコとしながら言う。
「何を言ってるんだ。使徒じゃ嫌だって言ったのはお前さんだろ?」
「敵かもしれないのに?」
「だとしたら俺はもう生きてないだろうよ。」
今までの使徒を見てきて人が生身で太刀打ちできるものではなことをコウスケは知っている。
目の前にいる使徒もおそらく同等の力を持っているに違いない。
なら、人を殺すなど造作でもないことだろう。
それに一度、背後を取られたのだ。
だが、自分は生きている。
敵意が無いというのをそう言うところからコウスケは判断していた。
もっとも今のところはではあるが…
「フフフ、予想通りね。……私はこの子ともともと一つだったのよ。」
「どういうことだ?」
レイと一つだったと言われてもよくわからない。
「解らない? ……あなたとは一度会ってるんだけどな……あっ、今日のことを含めたら二度ね。」
コウスケはますます解らなくなっていた。
第一、使徒と会ったと言われてもピンと来ない。
「最初はあなたの他にリリンが二人いたわね。」
自分を含めて三人で使徒の前で?
まったくわからない。
「そんなことがあったか?」
「あったわよ。その時あなたは……え~と、煙草だっけ? それを吸ってたじゃない。」
使徒は首を傾げながら言う。
三人でいて煙草を吸っていた?
コウスケは大体一人か二人の時、あるいは大人数の時によく煙草を吸う。
三人でいる時に吸ったなんてあったか?
と考えたとき一つ思いついた。
確かにその時吸っていた。
傍らには加持とミサトがいた。
そしてレイと一つだったという使徒の言葉
「……もしかして、リリスなのか?」
「やっとわかってくれたの?」
使徒‐リリスは嬉しそうに言う。
「でもリリスの魂はレイと同じはずじゃ……」
「確かにそうだったわ。でもいきなり離れ始めたのよ。」
いきなり離れたとはどういうことか?
「この子は自分が無かった。だから私と一つになれたのよ。」
最初のレイを思い出せばわかる。
確かにあの時のレイは自分が無かった。
「でもね、時々揺さぶられてたのよ。それでこの子と私は離れていったのよ。」
レイに揺さぶりをかけられる人物
「シンジ君か?」
「シンジ? ……ああ、あのリリンね。違うわ。確かにあのリリンも揺さぶってきたけど、あなたほどではなかったわ。」
「俺?」
「そう、この子が変わる時いつもあなたがいたわ。」
その時、コウスケは今はいない元NERV開発局一課の駿河が言ったことを思い出していた。
「完全に離れたのはこの子とあなたが暮らし始めてからね。」
ともかくリリスとレイが別であるのはわかった。
となると………
「レイはどうしたんだ?」
もしかしてリリスに乗っ取られて消えてしまったのか
そんな恐ろしい考えが頭に浮かぶ。
「ちゃんといるわよ。」
「信用できんな。」
「そんな無意味な嘘なんてつく必要があるのかしら?」
そう言うことでコウスケを安心させて油断を誘うとも考えられるが、意味がない。
どう考えてもリリスの方が力は上なのだから。
「……あら、起きたみたいね。」
「そんなこと言われてもわからん。」
傍目からだとリリスが怪しく微笑んでいること以外変化はない。
それでレイが起きたなんて分かるわけがない。
「……特務一尉、おはようございます……だって。」
「暢気だな……」
「私もそう思うわ。……特務一尉、体が動きません……だって。」
おそらく寝ぼけているのだろう。
覚醒していてもリリスに体を取られてるなんて考え付かないだろうが………
「俺の声はレイにも聞こえるのか?」
「ええ。」
「……さっさと起きて状況を整理しろ。寝坊助。」
リリスは困ったような顔になる。
「あなた誰って、今頃気付いたの?」
「いや、まず自分の体がとられてるなんて思わないだろ。」
ふとリリスが真面目な顔になる。
「ほんとに変わったわね。」
「いきなりなんだ?」
「この子動揺しているわ。無に帰る時が来たの? …ってね。」
コウスケは再び身構える。
無に帰る
久しく聞かなかった言葉だ。
それは人類補完計画の発動を意味している。
「それが望みだったのに……変わるものね。だからあなたとは一つになれたのよ。」
(だからレイと一つに? ……どういうことだ?)
「この子は魂が希薄だったのよ。だから生きることにさほど執着しなかった。そこに私が入り込んだってわけ。そっちの方がやりやすいと思ったのよ。……この子には代わりの体があったことを知っているでしょ?」
「ああ。」
「でもそれは間違い。元々他の体にも魂はあったのよ。ただ、希薄だから動けないだけ。」
その言葉にコウスケはLCLに浮かんだ綾波レイたちを思い出していた。
よくよく考えると綾波レイたちはうっすらと笑みを浮かべていた。
虚無にまみれていたが、笑みには変わりない。
「この子は二人目とか考えているけど、元々違う個体だったのよ。……まぁ、動いているのが一人だけだったから他の体には魂が無いと判断されたみたいだけどね。」
不気味な笑みを浮かべるリリス
ぞっとしながらもコウスケは聞かずにはいられない。
「リリスは何がしたいんだ?」
「あなたは知っているはずよ。」
「なんで俺が知っているんだよ。そんな訳……」
と言ってコウスケは思い出す。
朝に見た夢を
そしてリリスはコウスケに二度会っていると言っていた。
その時に言っていたことは
「……生命の実をアダムから奪い返す。」
「ちゃんと覚えてるじゃない。」
「それとレイになんの関係があるんだ?」
ゲンドウの補完計画にレイが関係しているのは知っている。
もしやリリスもそれを知っているからレイに入り込んだのか
そうコウスケは考えていた。
「あなたたち…リリンが人類補完計画と呼んでいるもの……あれは私が生命の実を手に入れるためのものよ。それで私が直接奪うためにこの子に入ったのよ。偶然にもこの子はその計画の要だったんだけど。」
「はぁ?」
コウスケはリリスのとんでもない発言に間抜けな返し方をしてしまった。
レイに入ったのは偶然だった。
それが予想外過ぎたのだ。
「ほんとならもうちょっと早く手に入れるつもりだったのに……リリンが邪魔しちゃったからね。」
リリスはさも困ったという表情を浮かべていた。
「まったく、そのためにリリンを生み出したのに……」
「ちょっと待て。もうちょっと早く? ……それと俺たちを生み出した?」
人がリリスから生まれた第十八使徒であることは知っている。
だが、リリスの口ぶりからだとどうやら目的があって生み出したようだ。
「そうよ。え~と……セカンドインパクト? …そう呼んでたっけ。あれが成功していたら私の目的は果たされたのに……」
「なんだと?」
「まっ、それが失敗してもいいように第二の計画もあったわけだし。」
この話を信じるならセカンドインパクトから始まる一連の出来事はこのリリスが仕組んだことになる。
つまりは人類はリリスの掌で踊らされていた。
リリスが生命の実を手に入れるために
「それも途中まではうまくいってたのよ。それなのにこの子が離れちゃったから……」
「なんで離れたんだ?」
「この子がリリンとして生きたいと強く願ったからよ。元々希薄だった魂が強くなっちゃったから私がはじき出されたのよ。」
そしてリリスはコウスケを見ながら
「あなたのせいで……」
そら恐ろしいほど低い声だった。
コウスケは悪寒を感じる。
だが、動けない。
動けばやられる。
そう感じていた。
無言のプレッシャーがコウスケを覆う。
コウスケは汗をかくこともできなかった。
「……俺を殺すつもりか?」
なんとかして声を出すことに成功した。
「そのつもりだったんだけどね……今となってはどうしようもないし。」
途端にプレッシャーが消えた。
コウスケは内心ほっとしていた。
「アダムの子らを殲滅するリリンが気になり始めてね……不完全だと思っていたのに……」
「不完全?」
「そうよ。リリンは無限に生きられない。不完全なのよ。だから生命の実を手に入れて完全なものを作ろうとしたんだけど……」
「なんだ? 今は違うのか?」
「リリンはアダムの子に勝てるわけないのよ。あの子たちは無限に生きられるから……でもあなたたち、リリンはアダムの子に勝利している。」
NERVは今まで12体の使徒を葬ってきた。
無限のエネルギー持つ使徒相手に
それを言いたいのであろう。
「そんなリリンに興味を持ったのよ。」
にこやかにリリスは告げた。
「リリスが人に興味を持ったのはわかった。だが、なぜ今更出てきたんだ?」
もっと早く出てきていればリリスの計画は成功していたのでは
そんな疑問がコウスケにはあった。
「アダムの子じゃダメよ。私が欲しかったのは生命の実なんだから。」
「何がどう違うんだ?」
「う~ん……料理が欲しいんじゃなくてレシピが欲しいのよ。」
「なるほど。」
少し解りづらい例えだったが、コウスケには何とか理解ができた。
つまるところS²機関が欲しいのではなくて、その設計図が欲しいということだろう。
S²機関を手に入れれば複製ができるだろうが、しょせんはコピーである。
本物とは言えない。
「最初から出てきて協力すればよかったんじゃないか?」
「それも考えたんだけどね。無理やり入り込んだから体になじんでなかったのよ。最近になってようやくなじんだのよね。」
「ふ~ん。」
「人ごとね。……私がなじんだきっかけってこの子のおかげなのよ。」
「この子って……レイのことか?」
「本当に驚いたんだから。自爆なんて……」
その言葉を聞いてコウスケは先の使徒戦でレイが自爆特攻したことを思い出した。
そのあとで感じた違和感も
「レイが無傷だったのはリリスのおかげか。」
「そうよ。いくらなんでもあの状況で無傷なんておかしいじゃない。必死に守ったわよ。」
「そうか。」
「それと……え~と、あのリリン……碇シンジだっけ? …あの子をもとに戻したのも、私。」
「なに!?」
「え~と……初号機だっけ? …あれは私の体を使ってるから干渉できたのよ。」
他のEVAも体を動かす程度なら干渉できるとリリスは補足した。
つまるところレイとシンジはこのリリスに助けられた事になる。
「でも、なんでそこまでしてくれたんだ?」
「この子の場合、もう代わりの体が無いから死んだら私は本体に戻ることになるわ。そうなったらリリンを近くで見てられないじゃない。それと碇シンジの場合はあの子が戻らないとこの子がどうなるか解らなかったからね。」
「結局は自分のためと言うことか。」
「そんなところね。」
リリスのためと判断されなかったら二人は助からなかったかもしれない。
だが、現実では助かっている。
「二人を助けてくれてありがとう。」
と言う言葉がコウスケの口から自然に出た。
「あなた変ね。」
「そうか?」
「私のためにやっただけよ。」
「理由はどうあれ二人が助かった事実には変わりがないからな。」
するとリリスは静かに笑っていた。
「やっぱりあなたは面白いわね……好意に値するわ。」
「好意?」
「好きってことよ。」
………
………………
………………………
………………………………
暫し沈黙が続く。
コウスケの反応にリリスは頬を膨らませながら言う。
「何よ。」
「その体で言われてもな……」
リリスとはいえ体はレイなのだ。
(レイなら嬉しいんだけどな……)
少しはゲンドウと冬月の気持ちがわかったかもしれないとコウスケは思った。
「なら私の本体ならいいの?」
「それも止めてくれ。」
コウスケは思わず想像してしまった。
コウスケの前にあの白い巨人が立っていて同じことを言う場面を
少し、いや、かなり不気味であった。
リリスはかなり不満そうにしている。
「む~、何なのその反応………」
「どういう風に返せばいいんだよ。」
「ありがとうとか俺も好きだよとかいろいろあるじゃない!」
「はぁ? 何言ってるんだ? どうして俺がそんなこと言わなきゃいけないんだ。」
まったく理解できなかった。
第一、リリスと話すのは今日が初めてなのだ。
リリスは不満そうな目でコウスケを見ており、頬がかなり膨れていた。
大凡4㎝くらい
レイであれば最高記録であろう。
よく見ると目が潤んでいた。
「うう、せっかくこの子の隙をついて出てきたのに……」
さめざめと泣き始めるリリス
(なんだ? 俺が悪いんじゃないよな?)
「ひどい……」
(ひどい? 一体どういうことだ? まったくわからん。……状況がつかめない。)
コウスケは完全に混乱していた。
「最初、この子と違うことを気づいてくれた時は嬉しかった……でも、やっと話せると思ったら、銃を向けてくるし……しかも躊躇なく撃ってくるし……」
(AWACS、状況を教えろ! ……作戦司令部! 応答してくれ! ……MAGIでもいい! いったいどういう状況なんだ! ……おい、戦友たち! 俺を見捨てるな! ……加持! お前ならわかるのか?)
もはやコウスケは考えが纏まらなかった。
何となく加持から
「女の子を泣かせるのは重罪じゃなかったのか?」
と咎められた気がする。
そもそもリリスは女なのかと言う疑問が出てくるがそんなことは気にしてられなかった。
それ以前に人なのかと言う疑問もあるのだが
「あ~………その……なんだ…………すまん。」
「じゃあ、責任とってくれる?」
(責任? ……ああ、そう言うことか。)
「解った。」
そう言うとリリスは嬉しそうに微笑む。
「碇司令には説明するから。ちゃんと俺が説明する。」
「へ?」
「間違ってもリリスが実験とかに使われないようにする。だから安心してくれ。」
(そりゃ、不安だよな。いきなりリリスが出てきましたなんて言われても。……レイの中から見ていたらしいから俺のことを信頼して出てきたんだろ。)
それであんな扱いをされたら
そうコウスケは考えていた。
「うう、わかってない……」
「なんだ? まだ足りないのか?」
(うむ……戸籍を作る必要があるのかな? ………でも、体はレイだからな……難しい問題だ。……………二重人格として登録されるのか?)
「もういい……」
リリスはそっぽを向いてしまう。
「……レイって言ったわね。あなたは優しいわね。」
何となくレイがリリスを慰めていることはわかった。
「それに比べて……」
リリスがキッと睨んでくる。
思わずコウスケはひるんでしまう。
レイより怖いとコウスケは思った。
「なんだよ……」
「……………鈍感。」
「なんだそれ?」
「ふん!」
誰かこの状況を説明してくれ
それがコウスケの心情であった。
もっとも第三者から見れば簡単に把握できるものであると思われるが
とにかくコウスケは謎の居心地の悪さを感じていた。
その原因はどこにあるのか
それは読者に判断してもらいたい。
リリス登場
この場合はなんて呼べばいいんでしょうかね?
擬人化でしょうか?
これを思いついたのはゲームからです。
何のゲームなのかは予想してみてください。