NERV航空隊隊長綾波   作:浩介

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第26.5話 変わる私

胸にできた傷

これを見るたびにセカンドインパクトを思い出す

あの時、父が助けてくれた

母と自分を捨て、夢に生きた父

恨んでいたけど南極に一緒に行こうと言われたときは嬉しかった。

南極に行っても父は実験ばかりだった

でも、父の近くに居られることが嬉しかった

そしてセカンドインパクト

何があったのかわからない

目を覚ました時、目の前に酷いけがをしている父がいた

残されたのは自分と父がくれた十字架のロザリオ

それが父の最後の思い出になった

ある時、セカンドインパクトが使徒と呼ばれる生命体の仕業だと聞いた。

使徒

人類の敵

父の仇

だから私はがむしゃらに進んだ

使徒をこの手で討ちたかった

でも私だとEVAに乗れない

だから作戦指揮だけでもと思った

・・・

でも昨日コウスケ君から聞いた話

嘘じゃないことはわかる

でも納得できない

使徒を仇としてみていた自分が否定されるようで

・・・

 

「なんだ?葛城?」

「コウスケ君。ここは大丈夫かしら?」

今、コウスケ君の執務室にいる

何故かはわからない

「ちょっと待ってろ。・・ミツヒサか?俺の執務室に人を通さないでくれ。・・ああ、頼む。」

彼は作戦局零課の課長

権限は私の方が上

でも、実際の権限は彼の方が上だろう

「それでなんだ?葛城。」

「私のこと知ってるわよね。」

「まあな。」

葛城ミサト

年齢:29

性別:女

NERV作戦本部本部長兼作戦局一課課長

セカンドインパクトの生還者

葛城博士の一人娘

加持リョウジの元恋人

「・・ああ、元はいらなかったか。」

「それどういう意味?」

「俺が知らないと思ってるのか?」

昨日、加持君に24時間体制で見張ってると言ってたっけ

「ああ、安心しろ。中まで覗くような真似はしてないから。」

・・・知られてる

コウスケ君のにやけ顔がむかつくわね

「そのことを聞きに来たわけじゃないだろ?」

「ええ・・・」

話していいのかしら

「大方、使徒が仇じゃないってわかってどうすればいいのか解らないんだろ。」

「どうして・・・」

なんでわかったの?

「セカンドインパクトの生還者で葛城調査隊の唯一の生存者。それが今ではNERVの作戦本部長・・この人物の目的は使徒を殲滅することしか考えられんだろ。」

「・・・そうよ。」

それが私の使命だと思ってた

でも使徒が仇じゃないってわかって怖くなった

見当違いな復讐をしていたのだから

しかもセカンドインパクトの原因は誰でもない私の父だった

「言っておくが、お前さんの父親のせいでもない。」

「何言ってるのよ。誰がどう見ても父のせいじゃない!」

父は夢に生きる人だった

それくらいのことを起こしても不思議じゃない

「客観的に見ればな。」

「どう見たって変わらないじゃない!」

「いや、主観的に見れば変わるさ。」

「主観的って・・もう父はいないのよ。」

「それを知る人物がいたとしたら?」

そんな人・・いるわけない

葛城調査隊は私以外みんな死んでしまったのだから。

「それがいるんだよな。しかもかなり偉い人だ。」

「そんなの嘘よ。」

「ここに葛城調査隊のメンバーが記されている。」

そんなもの今更・・・

「ここをちゃんと読め・・お前の悪い癖だ。」

コウスケ君が指で示してる

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・

ろくぶんぎげんどう?

「六分儀ゲンドウって・・・」

「碇司令だよ。六分儀は旧姓だ。」

碇司令が葛城調査隊に?

「でもどうやって・・・」

「前日に離れたのさ。研究データと一緒にな。」

研究データと一緒に?

じゃあ、あれは碇司令が仕組んだことなの?

「勘違いするな。碇司令のせいじゃない。」

「そんなの聞いたらそうとしか考えられないじゃない。」

碇ゲンドウ

こいつが・・・

コウスケ君がため息ついてる

「今から話すことはSSS級の情報だ。碇司令と副司令、そして俺しか知らない。」

SSS級?

そんなこと私に必要?

「葛城だから知らなきゃいけない事だ。」

私だから?

「・・・碇司令が前日に離れたのは葛城博士の意向だそうだ。」

父の?

どういうこと

「あの実験は強行されたんだ。二人は失敗すると何度も抗議したらしいがダメだったらしい。」

二人って、父と碇司令?

「それで研究データだけでも何とか持ち帰ることにした。ほんとなら葛城博士に持って行って貰いたかったそうだ。だが、断られた。」

なんで?

「ユイさんがいるのにもう離れる気か?そう言われたらしい。」

ユイってシンジ君のお母さん?

「なら君も娘がいるだろうと反論したんだが、ミサトは俺を恨んでるからなと言っていたそうだ。」

お父さん・・・

「本当なら実験に成功して、そしたら家族で静かに暮らしたかった・・・でもそれもできそうにない。」

お父さん・・・・・・

「だからミサトのことをよろしく頼むと言われたとさ。」

「でもあたしは・・・」

あの時、南極にいた

「碇司令は何とかして葛城を連れていきたかったそうだが、監視の目が厳しくてダメだったそうだ。」

・・・

「そして前日になってしまった。葛城はもう連れ出せない。なら研究データ・・葛城博士の意志だけでもと泣く泣く離れたそうだ。だから元気な葛城の姿をNERVで見たとき安心したと言ってたよ。」

碇司令が・・・

「でも、同時に怖かったそうだ。葛城の父を結果的にとはいえ見殺しにしたからな。」

「・・・碇司令と父はどういう関係だったのかしら。」

「それは碇司令に聞いてみるんだな。俺が話したと言ったら納得してくれるだろ。」

「わかったわ。ありがとうコウスケ君。」

「それと加持だが・・俺に殺させないようにちゃんと手綱を握っていてくれよ。」

加持君か・・・

確かに危ないわね

「それにしてもあなたはいったい何者なの?」

作戦本部副部長、作戦局二課課長でありながら零課課長・・・

なんだかとんでもない人物に見える

「俺が誰かって?決まってるだろ。」

コウスケ君はなんて答えるのだろう?

・・もしかしたら航空隊隊長?

「綾波レイの保護者だよ。」

・・・

 

総司令執務室

暗い部屋

私はあまり好きじゃない

副司令はいないのね

「何の用だ?葛城三佐。」

いつもの高圧的な態度

でも、ここで引くわけにはいかない

「セカンドインパクトのことを聞きました。」

「・・・そうか。綾波特務一尉だな?」

「はい。」

碇司令はサングラスで表情がよくわからない

「・・私が憎いか?」

「どういう意味でしょう。」

「結果的にとはいえ君の父を見殺しにしたのだ。」

あの碇司令が後悔してる?

サングラスで解らないけど、いつもの高圧的な態度が出てない

「・・一つよろしいでしょうか。父とはどういう関係だったのですか?」

「・・・良き友人であり、数少ない親友であった。」

つたわる

碇司令の苦い思いが

「そうですか。」

「だから君を見たとき安心した。あの時の君はひどくて見ていられなかったからな。」

あの時って・・

「失語症にかかった時に一度見かけたのだ。・・私は親友の頼みを果たせなかった。」

あの時の私はよく覚えていない

でも・・・

「碇司令・・それだけで十分です。」

碇司令は父のことを後悔している

それだけで十分だと思う

「そうか・・・葛城君、シンジのことをよろしく頼む。」

驚いた

碇司令がシンジ君のことを頼むなんて

「なら、碇司令が・・・」

「それはできん。」

「何故ですか?!」

親と一緒に暮らせないなんて

そのつらさはよくわかる

「ダメなのだ。・・私は何者だ?」

「・・・NERVの総司令・・・」

そう言うことなのね

「その通りだ。総司令とパイロットが血縁関係にある。・・これはシンジにとって良くないだろう。それにシンジが狙われる口実にもなる。」

碇司令なりにシンジ君を思ってるのね

「だが、一緒に食事した時はうれしかった。それとレイのことも受け入れてくれている。」

レイ?

そう言えばコウスケ君が話してくれたっけ

レイの秘密について

「私は恨まれても仕方ないことをしでかしたのだ。だが、レイは許してくれた。・・今、私がいるのは・・シンジに会えたのは碇司令のおかげだと・・・」

!!

泣いてる

碇司令が?!

「そしてシンジも・・・私のことがわかってよかったと・・・」

「碇司令・・・」

「綾波特務一尉には感謝している。」

コウスケ君?

一体どういうこと?

「綾波特務一尉から一つの手紙をもらったのだ。・・私の妻からの・・・」

なんでそんなものをコウスケ君が持ってたの?

「ユイが何を望んでいたのか・・それを思い出させてくれた。それにレイのこともある。」

レイ?

人とは違うということを受け入れたこと?

「・・レイには代わりの体があった。それを綾波特務一尉は壊したのだ。」

コウスケ君

そんなことをしていたのね

だからレイのことを話した時つらそうにしていたのね

「それでようやく私は踏ん切りがついた。」

「・・碇司令の望みは何でしょうか?」

「子供たちの未来を創る。」

碇司令から強い意志が感じられる

コウスケ君が言っていたことは嘘じゃないのね。

「葛城君・・協力してくれるか?」

私はどうなのだろう

「・・・わかりました。」

「そうか・・ありがとう。」

・・・

 

使徒

今までは仇とばかりに思ってた

でも間違っていた

私はどうすればよいのだろう

協力すると言ったしまった

どうすればいいの?

・・・

使徒を放置することはできない

仇じゃないってわかったけど

人類には有害であることに違いはない

それと戦うのは私じゃなくシンジ君たち

結局つらい思いをさせるしかない

・・・

でも、使徒がいなくなったら

シンジ君たちには普通の生活に戻ってほしい

・・・

そうね

それが私ができることなのね

そのためには

シンジ君たちに無事に帰ってきてもらわないとダメだわ

そしてそのように作戦を立てるのが私のやるべきこと

いつまでもこんなんじゃダメだわ

「よし、行くわよ。」

未来のために

今、戦う

身近な人たちのために

戦う




今回はミサトが主役でした
コウスケから真実を伝えられたときどう思うのか
ふと思いついて考え込みながら書きました。
ついでにゲンドウがコウスケに感謝しているという理由も書いてあります。
小説本編はコウスケを主体にしているので、ここでは0.5をつけることにしました。
ちょっとらしくないかな?
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