NERV航空隊隊長綾波   作:浩介

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第32.5話 もう一人の綾波さんと・・・

あの使徒は強い

左腕が痛い

『きゃあああ・・・』

『やばい・・弐号機の全神経カット!』

『弐号機のエントリープラグを緊急射出だ!』

アスカがやられた

初号機もまだ動かない

今動けるのは私だけ

でも私だけじゃ勝てない

どうすればいいの?

・・・

あれなら使徒でも

・・・

 

ジオフロントに射出させた

目の前には使徒がいる

右腕にNN誘導弾を抱えてる

『・・!バカな真似はよせ!レイ!』

特務一尉の声が聞こえる

ごめんなさい

でも、これしかないの

「そんなことしちゃダメだ!あやなみ!」

碇君?!

でも、これしかないの

使徒のATフィールド硬い

でも、負けられない

ATフィールドが破れた

わたし、みんなをまもれた?

いかりくん・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まったく、あまり無茶をしてほしくないわ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

ここは?

・・・

生きてる

体が痛くない

なぜ?

・・・

体が代わったわけでもない

それに私の体はもう代わりがない

・・・

・・・・・・

私が生きているということは使徒を倒せたのね

病室のドアが開いた

特務一尉が入ってくる

「ようやく目が覚めたな。このおバカさんは。」

特務一尉・・・怒ってる

「・・・特務一尉。」

「何故あんな真似をした。」

とても冷たい声

「・・ああしなければ使徒を倒せないと思ったからです。」

「じゃないと・・みんなが居なくなる・・・」

それは嫌

みんなが居なくなるなんて嫌

「そうか・・よくわかったよ・・このバカ野郎。」

ばか?

何故?

「じゃあ、聞くが・・レイが死んでもみんなが助かれば満足なんだな。」

「・・・はい。」

それでみんなが生きてくれるなら

それでもいい

「・・死んだらこんな風に話すこともできない・・食事することもない。

・・それで満足なんだな。」

私がいなくなったら・・・

話すことも食べることもできない

触れ合うこともできない

・・・

「でもそれって・・周りに誰もいないと同じじゃないか・・」

みんながいない?

いや

そんなのいや!

「それに残された人たちはどうすればいいんだよ。

死んだことをずっと忘れないで生きろって言うのか?」

!!

私が死んだらみんな悲しむ

碇君も・・・

特務一尉はそれをよく知っている

碇君に特務一尉と同じつらさを・・・

「もう一度聞くぞ。それで満足なのか?」

「・・・嫌です。」

いや

そんな世界いらない

「わかったな・・もうあんなことするなよ。このバカ野郎。」

確かにバカかもしれない

特務一尉?

・・・

特務一尉の手

大きくて暖かい・・・

碇君とは違う

「ほんとに・・無事でよかった・・」

「・・・ごめんなさい。」

「いいよ。だが、本当にあんな真似するなよ。じゃないと俺は許さんからな。」

「はい。」

なんて言えばいいのかしら

・・・

お兄ちゃん?

でも特務一尉は嫌がる

・・・

お父さん?

私に父はいない

・・・

「どうした?」

「・・私に父が居たらこんな感じなのかと思いました。」

何となくそう感じる

・・・

碇君はどうしたのかしら?

「・・碇君は?」

特務一尉が困ってる

碇君に何かあったの?

「碇君はどうしました。」

「シンジ君は・・・EVAに取り込まれた。」

「碇君が?」

「シンクロ率400%を超えた・・その結果、EVAに取り込まれることになった。」

あの時、私は使徒を倒せなかった

そして碇君が・・・

「そんな・・・」

「今、碇司令がサルベージの陣頭指揮を執っている。」

「碇司令が?」

「必ずシンジを取り戻す・・てな。」

碇司令・・・

「そうですか・・・」

「なんだ?泣いたりしないのか?」

あの時のことを言ってるのね

でも

「碇司令やみんなが頑張ってる・・私も泣いたりできない。それに・・碇君は必ず戻ってきてくれる。」

そう信じてる

「そうだな。」

特務一尉はわかってくれている

「今は休んどけ。シンジ君が帰ってきて心配されるのも嫌だろ?」

「はい。」

「じゃあ、俺は行くな。」

必ず戻ってきてくれる

私、待ってる

・・・

 

私は退院した

検査でも異常はなかった

「あんなことはもうやめてね。」

赤木博士が優しく言ってきた

「ごめんなさい。」

「いいわよ。それにコウスケ君に昨日叱られたでしょ?」

「はい。」

そうだった

ここは監視されているんだった

「・・・特務一尉は?」

「今、ジオフロントに出てるわ。」

「解りました。」

「零号機もまだ動けないからゆっくりと休んでちょうだい。」

・・・

 

ジオフロントに出てみた

いろんなものが壊れてた

・・・

私があんなことしたから

特務一尉、ごめんなさい

夜、家でそう言ったら

「別にいいよ。壊れたものは直せばいいし、それで喜ぶ人もいるからな。」

特務一尉は少し呆れたように言っていた

ジオフロントが壊れて喜ぶ人がいるの?

私には解らない

「だが、人は直せないからな。」

そう

私にはもう代わりがいない

最後の綾波レイ

でもこう言ったら碇君に怒られた

特務一尉と同居する前のこと

特務一尉が碇君を連れて帰ろうとした

怖かった

碇君がいなくなる

それが怖かった

特務一尉は気付いてくれた

・・・

あの時、私の代わりが居なくなったと聞いたけど本当か知りたかった

「碇君・・特務一尉が壊したって本当?」

「うん。コウスケさんが全部・・・」

碇君、とても悲しそうに言ってた

「そう・・・私は最後の綾波レイなのね。」

「そんなこと言うなよ!」

「でも・・・」

「でもじゃないよ!ここに綾波はいるんでしょ?!最後のとかそんなんじゃなくて、ちゃんと綾波はいるじゃないか!」

嬉しかった

私を人として見てくれている

「だからそんなこと・・そんな悲しいこと言うなよ・・・」

碇君は泣いていた

また悲しませてしまった

「・・ごめんなさい。」

「いいよ。だけどもうそんなこと言わないでね。」

その時の碇君の笑顔は覚えてる

とても優しかった・・・

その時、特務一尉が言っていた言葉を思い出した

気になったから碇君に聞いてみた

「・・・碇君、変なことって何?」

「へ?」

「特務一尉が言ってた。・・変なことはするなって。」

「え~と・・・」

碇君、何故赤くなってたの?

分からない

「変なことって何?」

「そ、それはね・・・変なことなんだよ。」

「具体的にどういうこと?」

「え~と・・・」

「教えて。」

でも、碇君は教えてくれなかった

変なことって何?

今もわからない

特務一尉も碇君も教えてくれない

この事も家で聞いたら特務一尉はこう答えた。

「この問題は非常に繊細で扱いにくい問題なんだ。だから葛城や赤木、伊吹二尉などに聞いてはダメだ。特に葛城はダメだ。」

「赤木博士もダメなんですか?」

「・・・ダメだ。」

「ならアスカに・・・」

「ダメだ!」

「洞木さん・・・」

「ダメだ!」

「・・・」

「あとシンジ君にも聞いちゃダメだぞ。」

「もう聞きました。」

「何!レイ!なにもされなかったか?!」

この時の特務一尉はとても怖い顔をしてた

「はい。」

「本当に何もされなかったんだな?!」

「はい。」

「いや、口止めされてる可能性があるな・・・レイはシンジの言うことを優先させるからな・・・」

確かに碇君が言うことは守ろうとしてる

でも何を口止めするのだろうか

分からない

この後特務一尉は一人でぶつぶつ何かを言っていた

特務一尉の唇から読めたものは

シンジ、イカリシレイ、アカギ、オヤコ、テガハヤイ、カイショウナシ、ワカゲノイタリ、セキニン

いったいどういうことなの?

碇君や碇司令、赤木博士、親子?

何の関係があるの?

てがはやい?

かいしょうなし?

わかげのいたり?

どういう意味かしら?

責任っていったい何の責任かしら

・・・

碇君と二人で過ごした夜の後、特務一尉と同居することになった

その時、碇司令や碇君、特務一尉が私を人として扱ってくれているのを知った

赤木博士も前みたいな嫌な感じがしない

「もう一人の綾波さん」

特務一尉が前に私のことをそう呼んだ

もう一人の綾波さん

・・・

私は綾波レイ

もう一人の綾波

それでいいんだと思う

でも、あの時から私を呼ぶ声が聞こえなくなった

無に帰りたいと思う気持ちも無くなった

何故かしら?

・・・

ジオフロントを見た後、加持一尉と出会った

なんだかとても悲しそうだった

「レイちゃんか・・」

「どうしました?」

「いや・・・俺のスイカ畑が全滅してね・・・・」

私のせい・・・

ごめんなさい

スイカさん

ごめんなさい

・・・

 

家に帰ってきた特務一尉はいつも疲れているようだった

私には見せないようにしているけどわかってしまう

だから特務一尉が好きな紅茶をいれた

特務一尉は紅茶が好き

ティーカップ用の食器棚がある

執務室にもあるみたい

私も飲んだことあるけどとても暖かかった

前に特務一尉・・あの時は二尉だった・・が言っていたことがわかる気がする

缶の紅茶はどこか味気ない・・・

私も入れてみようとしたら特務一尉がいろいろ教えてくれた

カップとティーポットは温めておく

・・・そう言われたから電子レンジで温めようとしたら怒られた

お湯は95℃くらいのものを使う

・・・温度計を使おうとしたら肌で感じろと言われた

水は硬水じゃなくて新鮮な軟水を使う

・・・以前、赤木博士にガラス電極法で水の硬度がわかると聞いたので試そうとしたら怒られた

お湯を注ぐときは高い位置から注ぐ

・・・少しずつ入れてたら意味がないと言われた

紅茶をカップに注ぐときは味の濃さが均等なるように注ぐ

・・・ポットの中をかき混ぜたら怒られた

・・・

紅茶のことになると特務一尉はとても怖くなる・・・

でもそのおかげで、紅茶なら碇君よりもうまく入れられる

それが嬉しい

特務一尉が変な顔をしている

「どうしました?」

私、失敗したのかしら

「いや、今日玉露ティーを飲んでな・・・」

玉露?

緑茶の一種で日本では高級なもの

それと紅茶?

解らない

「どうでした?」

「まったくもってポカポカしなかった。」

ポカポカしない・・・

いったいどういうものなのだろう?

そういえば葛城三佐が作るカレーはすごいらしい

特務一尉も碇君もそして赤木博士も認めてる

でも、

「綾波!お願いだから絶対食べちゃダメだよ!」

と碇君に言われた

「あれは使徒でも倒せるものよ。」

と赤木博士が言ってた

使徒を倒せるほど美味しいのかしら?

特務一尉も

「人には知らなくていい世界があるんだ・・・好奇心は猫を殺す、後悔先に立たず・・・この言葉がよくあてはまる代物だ。」

と言ってた

そう言われると食べたくなるのが人なのかしら・・・

葛城三佐のカレー

いずれ食べてみたい

「しかしレイが作るものはうまいな。」

そうかしら

碇君が作るものに比べればそうでもない

「ほんとにいいセンスだ。」

そう言ってくれるのは嬉しい

・・・

特務一尉の顔が変わった

「碇君のお嫁さんに出すのがもったいないくらいだ。」

どうしてそういうこと言うの?

「ふむ・・・結婚を認めさせる条件で俺を倒すことを入れるか。・・そう言えばあの件のことをちゃんと問いただせねば・・・」

いじわる

でも、あの件って何のこと?

・・・

 

私は家に帰ると本をよく読んでいる

前は碇司令や赤木博士に言われてただ読んでいた

今は内容を理解したいと思っている

まだ私には解らないことがいっぱいあるから

よく特務一尉に聞いている

時々特務一尉は困っているけど・・・

今も読んでいる

伊吹二尉におすすめの本を教えてもらった

恋愛小説というものらしい

読んでいるととても暖かくなる

・・・

ベランダから声が聞こえる

今は特務一尉しかいない

・・・

歌?

特務一尉が歌ってる

この前教えてもらった歌とは違う

とても静かだけど暖かい

・・・

特務一尉が歌い終わった

「回りくどい歌だ・・・最初からそう言えばいいのに。」

何故か特務一尉が言いたいことがわかったような気がする

「なんだ、聞いてたのか。一言声をかけてくれればいいのに。」

「・・歌」

「この歌か?」

「はい・・」

この歌を碇君に聞いてもらいたい

・・・

「私にも教えてください。」

「別にいいが、なんでだ?」

よくわからないけど碇君に・・・

「なら、ちゃんと練習しないとな。まぁ、難しい歌じゃないからすぐに覚えられるだろう。」

また一つ歌を教わった

碇君

戻ってきたら聞いてほしい




31話と32話のレイ視点
なので0.5が入りました。
なかなか気に入ってる場所があります。

小説本編では語られなかった部分も導入しました。
ちょっとしたおまけです。
・・・

読唇術
ちゃっかりレイも習得してますね
明らかにコウスケの影響でしょう
・・・

コウスケが言った「もう一人の綾波さん」
これってレイにとってはなかなか重要なのでは?
なんてことを書きながら考えてました。


おまけ
シンジがサルベージされた後の出来事
病室にシンジが一人でいる。
体に異常はないのだが、一応一日だけ様子を見ることになったのだ。
「退屈だな・・・」
そうシンジはぼやいていた。
この碇シンジの日常を考えれば何もすることがない入院生活は確かに退屈であろう。
なにせ葛城家の家事はシンジがすべて見ているのだから。
ちなみに葛城家はシンジがEVAに取り込まれた後も現状が維持されていた。
その功績は葛城家のお隣さんである綾波家のとある少女によるものだ。
その少女はかなり張り切っていた。
「碇君が帰ってきたときに褒めてもらえる・・・」
だそうだ。
そう唆した人物がいるのだが誰かはあえて言うまい・・・
ちなみに少女の保護者は消極的ながら賛成したという。
「綾波は今頃、学校にいるんだろうな・・・」
そう呟いているときに病室のドアが開いた。
ちなみに時間は平日の午前であり学校が終わっているはずがない。
シンジは検診かと思ったが、看護師でもなかった。
「コウスケさん?」
病室のドアから現れたのは綾波コウスケであった。
「よう、元気そうだな。」
「どうしたんですか?」
「いや、シンジ君に用事があってな。」
そう言われてもシンジには思い当たることがない。
「何かあったんですか?・・まさか綾波になにか・・・」
「いや、レイは無事にいるよ。」
「そうですか・・・」
そう言われてしまってはもう他に思い当たることがなくなるシンジであった。
「・・・お前さんに聞きたいことがある。」
「なんでしょうか?」
もしかしたらEVAに取り込まれていた時の話かとシンジは思った。
だが、コウスケの口から出た言葉はシンジには予想外であった。
「・・・レイに「変なこと」について聞かれたそうだな。」
いつになく低い声であった。
「変なこと?」
「レイと俺が同居する前の話だ。」
そう言われてシンジは思い出す。
と言うより忘れる方が無理だろう。
「はい、確かに聞かれましたけど・・・」
そう言ってシンジは赤くなってしまう。
その時のことを鮮明に思い出したのだ。
その後一緒に寝たことも・・・
「・・・」
コウスケはじっと睨んでいた。
「な、なんですか?」
「答えたのか?」
「はい?」
「変なことについて答えたのか?」
「そ、そんなわけないじゃないですか!」
コウスケはまだじ~っと睨んでいる。
「まさかとは思うが・・・実践したなんてことはないだろうな?」
「じ、実践?!」
この時シンジはだいぶ前の話だが、レイにIDカードを届けに行った時のことを思い出してしまった。
ヤシマ作戦の前の話だ。
当然ながらシンジは真っ赤になってしまった。
「シンジ・・・貴様・・・」
コウスケはメラメラと燃えていた。
「やはり蛙の子は蛙と言うわけか・・・」
「違います!綾波にそんなことなんてしませんよ!」
シンジは命の危機を感じたそうだ。
「本当か?」
コウスケにそう言われて言葉が詰まってしまうシンジ
無理もない。
あの押し倒し事件があるのだから・・・
「即答できないところを見ると・・・くそっ!なんてことだ!いくら好きあっているからって限度があるぞ!」
「違うんです!コウスケさん!」
「シンジが18歳になるまで・・・遅くとも結婚するまでにはそういう教育をするつもりだったのに・・・まさか手遅れだったとは・・・」
コウスケは右手をグッと握っていた。
「クッ、碇司令の息子であることを失念していた・・・」
なぜそこで父の名前が出てくるのか分からなかったが、シンジはとある疑念が生まれた。
「コウスケさん・・・綾波のこと・・・」
コウスケがレイに下心があるという噂話のことだ。
「バカなことを言うな!娘をそう言う目で見る親がどこにいる!」
そう言われてシンジは混乱した。
「娘?・・綾波のことですか?」
「他に誰がいる!」
そう言ってコウスケはその場で胡坐をかいて座る。
「若気の至りとはいえ起こってしまったことだ・・・今更どうすることもできん・・・」
するとコウスケはギンとシンジを睨みながら仏頂面で
「シンジ・・レイにそう言うことの意味をちゃんと教えろ。」
などと言うのであった。
そう言うこととはつまりそう言うことなのだ。
どういうことかは読者の想像にお任せする。
シンジはいつものからかいかと思ったのだが、コウスケの目はいつになく真面目であった。
つまり本気で言っているのだ。
「こ、コウスケさん?!そんなの無理ですよ!」
「なに?!俺の娘に手を出しておいて責任を取らないというのか?!」
「だから、そんなことしてませんよ!」
「往生際が悪いぞ!男なら潔く認めろ!」
そんなことを言われてもやっていないものを認められるわけがない。
「やってもいないものを認めろなんて無理だよ!」
「なんて野郎だ・・・シンジ、お前には失望したよ!」
・・・

その後コウスケはシンジに向かって土下座をしていた。
コウスケとシンジの騒ぎを聞きつけたリツコがコウスケを拘束し、レイの体について詳しく説明したのだ。
レイは定期的に検診を受けており、データはコウスケと同居した後のデータである。
その結果コウスケは誤解であったことを知ったのだ。
「すまない・・・俺の早とちりだった・・・」
「いいんです。コウスケさんがわかってくれたのなら・・・」
と言うもののシンジはレイを事故とはいえ押し倒してしまたことを絶対に知られてはならないと心に深く誓ったそうだ。
ちょっとした副産物でコウスケがレイに下心があるという噂話が一瞬で無くなった。
コウスケの「娘」発言が原因である。
何故そんなことが伝わったのか?
それはチルドレンが入院する病室も監視の対象だからだ。
コウスケは完全に失念していた。
コウスケが気付いたときにはすでにNERV職員全員が知っていた。
コウスケのお隣さんでありながら表向きでの上司があっちこっちに触れ回ったからである。
ただ、新しい噂話も誕生した。
「ねぇ、聞いた?綾波特務一尉のこと。」
「知ってるわ。娘の婚約者とひと悶着あったそうね。」
「そうそう、お前に娘はやらんって言ったそうじゃない。」
「あら?私は娘が欲しければ俺を倒してからにしろって言ったと聞いてるわ。」
概ねこんなものである。
だが、最後には必ず親ばかになるであろうと締めくくられるのであった。
そのたびにとある執務室からくしゃみが聞こえるのであった。
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