NERV航空隊隊長綾波   作:浩介

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IF 綾波カルテット

日本 第三新東京市

2004年に行われた国会で第二次遷都計画で承認され、2006年に建設が開始された。

2015年を目処に着工されたこの都市は新たなる日本の首都として期待を担うことになる。

だが、その実態はセカンドインパクトを起こしたとされる使徒を迎撃するための迎撃要塞都市で都市の中には偽装された砲台などが隠されている。

何故、首都をここまで武装させるのか……

一般市民の中からそんな声が上がるのも無理はないが、これは非常時に備えたものとして説明がされる。

そしてその説明の際に今は放棄された旧東京があげられる。

そんな都市の管理は日本政府ではなく、第三新東京市に本部を置く特務機関NERVの一部署に任されている。

この話はその部署を任されている一人の男の奇妙な物語である。

・・・

 

コンフォート17

第三新東京市にあるマンションの一つである。

とは言っても現在入居しているのは二世帯のみでNERVにとってVIPたちが暮らすマンションである。

この二世帯はお隣さん同士であり、その片方には綾波と言う表札がかかっている。

世帯主は綾波コウスケ

165㎝と平均より少し小柄ながら、見た目よりがっしりとした体を持っている。

普段はぼーっとしたような顔の彼は特務機関NERVで特務一尉と言う特殊な階級を持っている。

NERVでの役職は作戦本部の副部長、作戦局二課の課長であまり意識されていないが、ただ一人の航空隊でもある。

結婚はしていないどころか一度も付き合ったことがない。

そんな彼は自宅の台所で朝食を用意していた。

「さて……そろそろ帰ってくるか……」

コウスケがそう呟くと玄関から圧搾音が聞こえていた。

「ただいま。」

そう言って入っていたのはコウスケの被保護者となっている綾波レイである。

「お帰り。今日は誰だった?」

「葛城三佐です。」

大変奇妙な会話であるが、この二人にとっては挨拶みたいなものである。

レイがコウスケと同居するようになってから真夜中にいつの間にか部屋から抜け出しているのである。

行く場所はコウスケの部屋の他にシンジ、アスカ、ミサトの部屋がある。

レイ本人は全くの無自覚で当初はコウスケがどうにかしようとしたが、一向に治る気配がない。

一人の少年を除いて特に害があるわけでもないので保護者であるコウスケは放置することにした。

「そろそろできるから席についておけ。」

「わかりました。」

そう言うとレイは三つある席の一つに腰かけた。

それと同時にレイの部屋からふすまを開ける音が聞こえてくる。

「う~……眠い……」

と言って出てきたのはレイと瓜二つの少女だった。

「こら、挨拶をちゃんとしろ。」

コウスケがそう言うと少女ははっとなり嬉しそうに言う。

「あっ、特務一尉! おっはようございます!」

「おはよう。……寝癖を直して来い。」

「へ……きゃ~!」

少女は髪を手で触って確認すると慌てて洗面台に駆け込んだ。

「……騒がしい。」

「まあ、元気なのはいいことだ。」

レイとコウスケは少し呆れながら言う。

するとコウスケの袖が少し引っ張られた。

「ん? お前さんが起こしてくれたのか?」

コウスケの視線の先にはこれまたレイと瓜二つの幼女がいた。

大凡4歳くらいであり、第三使徒をデフォルメした人形を手にしていた。

幼女はこくりと頷いた。

「そうか。」

そう言うとコウスケは幼女の頭を撫でる。

幼女は少し嬉しそうに口元を綻ばせていた。

現在の綾波家はコウスケを家主とした4人が暮らしている。

玄関から現れたのは言うまでもなく綾波レイである。

それでは寝癖をつけた少女と使徒の人形を持った幼女は誰なのか

実は彼女らも綾波レイである。

つまるところ綾波家には三人の綾波レイがいるわけである。

偽名でも無く戸籍登録のミスと言うわけでもない。

さらに言うのであれば遺伝子レベルでのレイとの一致率は100%である。

もうおわかりであろうが、彼女ら二人はレイのクローン体である。

「うう……もうお嫁に行けないよ……」

「トロワ、お前さんが寝癖をつけるのはいつものことだろう。」

洗面所で寝癖を直してきた少女をコウスケはトロワと呼んだ。

「それもそうだね。」

「早く座れ。今日はお前さんが好きな卵焼きだ。」

「やった~!」

そう言うとトロワはすでに座っていたレイの横に座る。

「ドゥ、おはよう。」

「おはよう。」

トロワはレイのことをドゥと呼んでいた。

幼女の方はカトルである。

つまるところこうなる。

 

家主:綾波コウスケ

長女:綾波レイ(ドゥ)

次女:綾波レイ(トロワ)

三女:綾波レイ(カトル)

 

コウスケはトロワが座るのを見ると最後の料理をテーブルに置き、ドゥの対面に座る。

そこにカトルがちょこちょこと走っていき、コウスケの膝の上に座った。

それをトロワが羨ましそうに見ている。

「いつもいつも思うんだけど、カトルだけずるい!」

「何を言ってるんだ。第一、お前さんじゃ前が見えなくなるだろ。」

「そうよ。トロワ、諦めなさい。」

ドゥの言葉にカトルが少し勝ち誇ったような顔をしながら頷いていた。

トロワはそんなカトルを見て少し膨れていたが、反撃の矛先を他に向けることにした。

「何よ、ドゥだって碇君にああしてもらいたいでしょ?」

「そ、それは関係ないわ。」

「嘘ついちゃって、目が泳いでるわよ。」

そう言われたドゥはさっとトロワと反対の方向に顔を向けた。

トロワはさらなる追撃を試みる。

「碇君の膝……柔らかいんだろうな……」

トロワの言葉を聞いてドゥは徐々に赤くなっていった。

「そして碇君が後ろからぎゅっと………いたっ!」

トロワの頭に丸めた紙が飛んできた。

「そこまでにしておけ。時間が無くなるぞ。」

「は~い。」

「レイも妄想に浸ってないでさっさと食べろ。」

「………はい。」

コウスケはドゥのことをレイと呼んでいる。

何故、コウスケがドゥと呼ばないのかと言うとトロワやカトルはまだ人の名前に聞こえるのだが、ドゥとなるとそのように聞こえないからである。

人を指す言葉でドゥを使うことがあるが、この時は名前がわからない人物に使う。

なのでコウスケはどうしてもドゥという響きにいいイメージを持つことができないため、ドゥだけはこれまで通りにレイと呼んでいる。

こうしてコウスケは結婚どころか恋人すらいない状況ながらも三人の保護者として一日の始まりを過ごすのである。

・・・

 

NERVに登庁したコウスケはいつも通り仕事をこなしていた。

だが、昼食が済んだ後はボーとしているのである。

「コウスケ君、いる?」

そう言ってコウスケの執務室に入ってきたのは葛城ミサトである。

彼女はコウスケの上司にあたるが、それは表の話である。

「なんだ、葛城か。」

「なんだはないでしょう?」

「あまり気にするな。それで何の用だ?」

コウスケがそう聞くとミサトは執務室に置いてあるポットから紅茶をカップに注いだ。

「お前な……一言くらい言えよ。」

「別にいいでしょ? 減るもんじゃないし。」

「………消耗品だから減るぞ。」

「そんなことばっかり言ってるともてないわよ。」

「知ったことか。」

そう言うとコウスケは煙草を取り出していた。

ミサトはそんなコウスケを見ながら少し呆れた表情を浮かべていた。

この綾波コウスケと言う男は他人から他人への好意などは敏感に感じ取るが、自分に対する好意に関しては妙に鈍感なのだ。

ミサトが見たところでは仕事上の付き合い、よくても友情程度にしか思わないようである。

そしてそれを裏付けるエピソードもミサトは知っている。

あるNERVの女性職員が何かしらコウスケの手伝いなどをしていた。

傍から見ればその職員がコウスケに好意を持っていることがすぐにわかるのだが、コウスケ本人は全く気付いていなかった。

なかなか振り向いてくれない彼にその職員は私と付き合ってくださいと告白する。

コウスケは意外なほど簡単にOKし、その職員はかなり喜ぶのだが……

「この時間に付き合ってくれと言うことは……残業か? 大変だな。」

などと真面目な顔で言われたので慌てて否定するが……

「残業じゃないなら………戦闘訓練か? それなら俺じゃなくて葛城の方が適任だろう。ああ、葛城は忙しいから俺に来たのか。ふむ、それなら長良三尉の方がいいだろう。」

そう言ってコウスケは長良ユキを呼び出した。

その職員はユキの指導によりハンドガンの命中率が大幅に上がったそうだ。

「なんで気付いてくれないのよ! なんて叫びながら訓練してたわ。可哀想に……」

とは長良ユキの言葉である。

そうやってコウスケは無自覚ながらも撃墜数を増やしていくのだ。

全くの余談ながら、綾波コウスケを射止めるのは誰かと言うことで賭けの対象にされている。

「なんだ? 何か俺に言いたいことでもあるのか?」

コウスケは呆れた表情のミサトに言う。

「………はぁ、あなたは恋人とか作らないの?」

「俺だっていればいいなくらいは思うさ。でもな、俺は転属でここに来たんだ。使徒との戦いが終わったらここから離れることになるだろう。それに……」

そう言うとコウスケはどこか遠いところを見る目つきになった。

「ここの人たちは俺の戦場での姿を知らない。」

そう言って自嘲するコウスケを見ながらミサトは好意に気付いてないふりをしてるだけなのかと疑った。

「まあ、俺に好意を寄せるような人なんていないだろう。」

「それ、本気で言ってるの?」

「冗談に聞こえたか?」

コウスケはいたって真面目に答えていた。

そんなコウスケにミサトはため息しか出ない。

(こりゃ、本物だわ……リツコとアスカが相談しに来るわけね……)

「なんだ? 言いたいことがあるならはっきり言ってくれ。」

「……もういいわ。この話は終わりにしましょう。」

ミサトの呆れ顔にコウスケはただただ困惑するだけであった。

「それにしてもこの時間にコウスケ君が仕事してないなんて珍しいわね。」

ミサトがそう言うとコウスケはため息をついた。

「多分、そろそろだと思ってな。」

「何が?」

「すぐに……」

コウスケがそう言いかけると警報が鳴り響いた。

「まさか……使徒!?」

ミサトは慌てて発令所に向かおうとするが、コウスケが止めた。

「何してるのよ!」

「葛城、落ち着け。これの音だ。」

そう言ってコウスケが取り出したのは携帯電話だった。

よく聞くと確かに携帯電話から警報がなっていた。

「携帯のアラーム?」

「ああ。」

「………なんで?」

ミサトがそう聞くとコウスケは少し答えづらそうに言う。

「………学校からの連絡だ。」

そう言うとコウスケは携帯電話に応答する。

暫くするとコウスケは携帯電話を切りため息をついた。

「………なんだったの?」

「学校でレイとアスカ、トロワが問題を起こしてくれた。犠牲者はシンジ君だ。」

「なんですって!?」

「話を聞いた限りではこういうことらしい。」

そう言ってコウスケはことの説明を始めた。

最初はトロワがアスカを怒らせて鬼ごっこが始まった。

これはトロワが学校に登校してからと言うもののいつも起こることだ。

だが、今回はトロワの逃亡先にシンジが偶然、現れたことだ。

トロワはひょいとシンジを避けたのだが、車が急に止まれないようにアスカも止まることができずシンジと激突することになる。

そこにドゥが現れる。

無論、ドゥが一部始終を知るわけがなくその終わりだけを見ることになる。

そしてドゥがトロワとアスカを追いかけまわしたようだ。

その姿はまるで修羅のようだったとは相田ケンスケの言葉である。

その騒動は担任である根府川により鎮圧されている。

そのようにコウスケが説明を終えた時、またもや携帯電話から警報が鳴り始めた。

その警報はアニメにあるもので地球を救うために16光年を旅した宇宙戦艦の警報だった。

「今度は何かしら?」

「………幼稚園からだ。」

「ああ、あの子ね。」

コウスケは再び携帯電話を手に取った。

暫くしてコウスケは携帯電話を切ると、やはりため息をついた。

「すまん、少し席を外す。」

「どうして?」

「カトルの迎えに行ってくる。……俺がいなくて泣きわめいているらしい。」

「そ、そう……」

ミサトはそう答えるしかなかった。

コウスケもカトルを迎えに行くために部屋を後にする。

「……まあ、本人も嫌がってるわけじゃなさそうね。」

部屋を出ていくときのコウスケの顔は本当に嫌がっているものではなく、出来の悪い娘をどう説教してやろうかと言う顔だった。

・・・

 

コウスケはカートレインに乗り、NERV本部の出口に向かっていた。

「幼稚園に迎えに行く……ちょっと前までは考えられなかったな。」

そう言いつつコウスケはこのような事態になった事件のことを思い返していた。

「はぁ、あれはターミナルドグマに潜入したときだったな……」

・・・

 

綾波コウスケはセントラルドグマの奥深くにある、ターミナルドグマの一つの部屋にいた。

そこにはLCLに浮かんでいる無数の「綾波レイ」たちが浮かんでいる。

コウスケを止めようとしたリツコを振り払うと目に見えたバルブに手をかけていた。

その少し後ろでは碇シンジが呆然と立っていた。

最近、心を寄せ始めた少女のとんでもない真実

それをつきつけられて実の父親に対する感情やその少女に対する感情が複雑に入り混じっていた。

一方、この事態を引き起こした赤木リツコ自身はすすり泣いていた。

ミサトの昇進パーティでレイの姿を見た時、どうしようもないほどの黒い感情が働いた。

無論、自分がしてることはただの八つ当たりであることを知ってはいた。

でも感情を押さえることができない。

それが今回、このような暴挙に出た理由でもあった。

それをコウスケに改めて指摘されたことによりどうしようもない後悔に襲われていたのだ。

「すまんな。」

コウスケはそう言うと覚悟を決めてバルブを回そうとした。

のだが……

「……赤木博士。」

「何? こんな私にいったい何の用があるの?」

「一人………動いているんだが……」

「何を言っているのよ。」

そう言いつつもリツコはコウスケの方に視線を向けた。

「そんな………あり得ないわ!」

コウスケの視線の先にはニコニコと笑いながら手を振っている「綾波レイ」がいた。

その「綾波レイ」はすいっとLCLの中を泳ぐと一人くらい入れそうなチューブの中に入る。

「これは……どういうことだ?」

「わからないわ。」

コウスケたちが困惑していると「綾波レイ」がドンドンとチューブを叩き始める。

「早く開けろ!」

コウスケの声にリツコはすぐに反応しチューブを開けた。

「やっと開けてくれた。」

「一応聞くが……レイ……なのか?」

「ん~、私自身は綾波レイだと認識してるよ。」

コウスケの目の前にいる「綾波レイ」は少し首を傾げながら言う。

「……何か違うな。」

「当たり前じゃない。あの子はあの子、私は私なんだから。」

この時、リツコは一人で黙々と何かを考えていた。

その間に「綾波レイ」はシンジの方に小走りで向かった。

「あなたがあの子のお気に入りの碇君ね。」

「は、はい……」

シンジが返事をすると「綾波レイ」は何か品定めをするような目でシンジを見ていた。

「ん~、私の好みじゃないわね。」

その言葉にシンジは少なからずショックを受けるのだが、そんなことよりももっと重大なことがあった。

「どうしたの?」

「い、いや………」

シンジの態度を怪訝そうに見ていた「綾波レイ」はシンジの視線がどこかに固定されていることに気が付いた。

「………いや~ん! 碇君のエッチ!」

「はっ、ご、ごめんなさい!!」

LCLの中にいた「綾波レイ」が服を着ているわけがなかった。

シンジとて健全な男子である。

ある意味、仕方ないと言えば仕方ないのかもしれない。

「赤木! 白衣を貸せ!」

コウスケはそう言うとリツコから半ば強引に白衣を借りると「綾波レイ」に着せた。

「すまん。今はこれしかない。」

すると「綾波レイ」はじっとコウスケを見つめていた。

「なんだ?」

「こっちのほうが私の好みだな。」

「何を言っているんだ。」

そんなことをしているうちにシンジは必死に「綾波レイ」から視線をさけようとLCLの方を向いていた。

「………コウスケさん。」

「どうした?」

「こっちの小さい綾波も動いてます………」

「なに!?」

シンジの視線の先をコウスケが追うと大凡4歳くらいの「綾波レイ」が確かに動いていた。

「赤木! もう一人出てくるぞ! 注水急げ!」

コウスケの言葉にリツコが慌てて注水を行う。

そして小さな「綾波レイ」もまた外に出てきた。

「………お前さんもレイなのか?」

小さな「綾波レイ」はこくりと頷いた。

コウスケはその反応を見ると自分が着ているジャケットを小さな「綾波レイ」に着せた。

「取りあえずどうするべきなんだ?」

・・・

 

「大まかな話はわかった。」

その場でどうこうできるわけもなく結局、総司令執務室に向かい碇ゲンドウに報告することにした。

ゲンドウの傍らには冬月も立っている。

「赤木君、すまなかった。」

「いえ、私が勝手に思い詰めただけです。」

「それでもきっかけは私だ。その償いはいずれ行う。」

ゲンドウはいつものポーズを崩していない。

だが、いつものような高圧的なものの言い方では無かった。

「シンジ、レイの秘密を知ってしまったのだな。」

「うん……」

「レイには罪はない。その罪は私にある。」

「わかってるよ。正直、父さんのこと許せないと思ったよ。」

シンジはしっかりとした目でゲンドウを見ていたが、すぐに複雑そうな表情を見せた

「でも、父さんたちがこんなことをしなかったら、僕は綾波に会えなかったんだよね。そう思うと……」

「レイをどうこうするつもりはない。……レイを頼む。……今まですまなかった。」

すべてのわだかまりが解けたわけではない。

それでもこの親子にはこのような一歩から始めるのが一番なのではないか

コウスケにはそのように感じられた。

「ところで、君たちはどうしたいのかね?」

ゲンドウの隣でじっと立っていた冬月が「綾波レイ」たちに問いた。

「私はこの人と一緒に暮らしたいな。」

そう言って「綾波レイ」がコウスケの腕にしがみついた。

その反対側では小さな「綾波レイ」がしがみついている。

「とのことだが……」

「自分ですか?」

「……他に適任はいまい。」

この「綾波レイ」たちの特殊な出で立ちを考えればおいそれと任せられるような人はいない。

そういう意味ではこの場ではコウスケ以外に引き受けられる人もいないのが事実だった。

「………わかりました。」

「ついでに今いるレイの世話も任せる。」

「はい?」

コウスケは一瞬、何を言われたか理解できなかった。

「ふむ……確かにその方がいいだろう。」

「何故、レイまでも自分が?」

「そこのレイたちは姉妹ということにする。便宜上、今までいたレイを長女としよう。」

「一人だけ違うところに住んでいるのは変だからな。」

「いえ、ですから……」

コウスケを置いてけぼりにし、ゲンドウと冬月の会話が進んでいく。

「となると住むところだな。綾波特務一尉の家では狭いだろう。」

そう言う冬月にリツコが口を開いた。

「葛城三佐のとなりはどうでしょうか?」

「ふむ……警備も一括で扱えるな。」

「そのように手配しよう。」

そこまで話が進んでゲンドウがコウスケに言う。

「綾波特務一尉には本日付でレイたちの保護監察官に任命する。」

「よろしく頼むよ。」

ここまで来てコウスケは何も言えなくなった。

そして

(面倒事を押し付けられた気がするんだが……気のせいだよな。)

そう思うコウスケの横では喜んでいる「綾波レイ」たちがいた。

・・・

 

そういうわけでコウスケは三人の綾波レイと暮らしている。

いま、思い返してもどうも納得がいかない。

だが、コウスケは三人との生活に対してさほど嫌な感情は持っていなかった。

一般常識を持っていないことでいろいろと面倒事が起こりはするものの、なんだかんだで根気よく面倒を見ているのだ。

そして本人は気付いていないが、三人と接するときのコウスケはいつになく穏やかな表情なのだ。

そんな騒がしいながらも平穏な日々を暮らすコウスケは一つ心配事があった。

「また一人出てきたらどうするつもりなんだ?」

ターミナルドグマの「綾波レイ」たちは破棄されずに残っている。

破棄も考えられたのだが、今回のようなことが起きるかもしれないと考えられたため現状を維持している。

その副産物としてダミープラグの開発も完全にストップしている。

「俺と同居することに………なるだろうな………」

何となくそう感じているコウスケだが、それは事実でそのための準備もすでに完了していたりする。

「まあ、なるようにしかならないか。」

そう呟きながらもコウスケはカトルの迎えに行くために幼稚園へと向かう。

後に綾波家にもう一人の同居人が現れ、トロワとカトルと熾烈なバトルを繰り広げることになる。

「あなたたちにコウスケは渡さないわ!」

とのことだが、それはまた別の話である。




この話は第16話あたりの分岐ですね。
完全な寄り道です。
ただ、書きたくなっただけ……

この続きは……

書きません!

多分……
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