空が、広がっていた。
蒼く、何処までも広がっている空。
まばらに白い雲が存在し、蒼との調和が見事な風景となっている。
見上げる限りの白、白、白。
見渡す限りの蒼、蒼、蒼。
とても良い天気だ。快晴といって差し支えないだろう。
そして。そんな快晴の空を見上げる者もいる。
そこは大森林のど真ん中。当然、周りには獣がいるし。昼間だというのに現れる異形の者――怪異の姿もある。
怪異なら夜に現れればいいものを、などと考えるがこちらの都合をガン無視する存在だ。言っても始まらない。
獣に至っても、今まさに空を見上げる人物に襲い掛からんと構えている。
空を見上げる人物の風体はまだ幼児といってもいいくらいの子供だった。
4,5歳くらいだろうか。体中には浅いが傷が無数に走っており、空を見上げているというより、起き上がれずに倒れたといったほうが納得がいく状態だ。
ふと。顔を横に向ける。
そこにはギラついた眼光をこちらに向ける獣の姿が大量にあった。
図体だけなら、おそらくこの子供の倍以上はあるだろう。
無論。対処法を知っていたり撃退が出来れば取るに足らないほどの存在ではあるが。如何せん、まだ子供。
対処の仕方なんかは分からないし、撃退できるほどの筋力も無ければ技術も無い。
だがそれでも。獣も、怪異も、目の前の子供を襲わずにいた。
否。襲えなかった。
それは――――――――――
「――――――――――ハ」
到底、子供が出せるとは思えないほどの〝威〟に圧されていたからだ。
目の前の子供は確実に満身創痍。周りの成獣たちはおろか、下手したら子供の獣でも容易くその命を獲れるであろうくらいに弱っている。
腕力も無い。逃げるだけの足も無いはず。
それだというのに――――どの獣や怪異も、子供に一歩も近づかずにいた。
やがて。子供が起き上がる。
背丈は、小さい。
子供なのだから当たり前なのだが、それでもやはり小さく見える。
周りに放っている〝威〟が無ければ、の話だが。
それはまるで。巨人か何かを相手にしているかのような錯覚を相手に与えていた。
しかし。目の前にいるのは確かに子供。
やがて子供が顔を上げると、辺りを見渡して――――――ワラウ。
見るものが見れば、百様の意見を出すだろう。
なんて残忍な笑みだ。
なんて楽しそうな笑みだ。
なんて恐ろしい笑みだ。
なんて馬鹿みたいな笑みだ。
なんて狂っている笑みだ。
なんて――――――――なんて綺麗な笑みだ。
だが、それを理解するものはこの場にはいない。
子供自身、自分が笑っていることにすら気がついていない。
そのうち。獣の一匹が一歩前に出た。
それに呼応するかのように、他の獣が、怪異が。子供に向かって近づく。
子供はまだ、笑ったままだ。
すると、獣や怪異たちを抑えつけていた〝威〟が突然無くなった。
獣たちは一瞬戸惑うが、これ幸いと捕食者の立場を思い出す。
そして次の瞬間には、目の前の
同じく、怪異たちも飛び掛る。
だが、その一瞬。確かに聞こえた。
相変わらず笑ったままの子供の口から出た声を。
「――――――――腹、減ったな」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
時は、聖譜暦1648年。
大海の如き大空を優雅に進む、八つの巨影があった。
右舷一番艦〝品川〟
右舷二番艦〝多摩〟
右舷三番艦〝高尾〟
中央前艦〝武蔵野〟
中央後艦〝奥多摩〟
左舷一番艦〝浅草〟
左舷二番艦〝村山〟
左舷三番艦〝青梅〟
これらは八つに分かれつつも、一つの都市として機能している。
全八艦。総じて、〝武蔵〟と呼ばれていた。
極東と呼ばれる地をあちこち周る武蔵。
聖連より暫定支配を受け、自由を奪われた者たちが集う場所。
さて。そんな武蔵の一艦である〝品川〟のとある家の屋根の上。
一人の少年の姿がある。
背丈は170の後半。歳は若く、17,8といった具合だろう。
黒の髪をやや長めに伸ばし、顔の右半分を覆うほど大きな眼帯をしていた。
少年は空を見ながら、呟いた。
「…………あ、ヤベッ。授業遅刻だ」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
西に熱田の剣神在り。
彼の者は暴風、荒ノ王也。
腕の一振りで大地は割れ、二振りすれば天が裂け、三振りすれば世界を斬る。
彼の者は一振りの剣にして一騎当千の戦神也。
東に鹿島の軍神在り。
彼の者は雷、疾駆ノ王也。
一度地を踏めばを世界を行き、二度踏めば天を行き、三度踏めば
彼の者は一条の閃光にして万夫不当の軍神也。
どうもKoyです。
ホライゾンの世界になんかオリ主混ぜてみました。
スペックはまあチート性能もいい加減にしろ。って具合です。
あと最後に東やら西やら言ってるのは場所的にこのほうがいいだろうという勝手な思い込みです。間違っていたら直します。
それでは。