桃井さつき、バスケ部入ります 作:沼田の子猫
耳元でなる目覚まし時計のアラームを止める。
ブルーで飾られた、まさに男の子が使ってますというような可愛くもない部屋を見渡す。
いつになっても慣れないなぁ。
桃井颯貴(ももいさつき)。
それが今の私の名前だ。
昔と言えばいいのかわからないけど、
私は前世の記憶を持っている。
前は桃井さつきというれっきとした女の子だった。
自分でいうのもあれだけど、長くて綺麗な髪で、胸も人より大きかった、顔も周りと比べてとても整っていたと思う。
つまり、女の子として完璧だった。
頭のできも悪くなかったし、マネージャーとしての仕事も完璧だったと思う。
そんな自分に一つ欠点があるとしたら、恋愛に対して奥手だったことかもしれない。
告白されたことは何度かあったけど、一度も付き合ったことがない。
中学時代も高校生時代も、マネージャーの仕事で、それどころではなかったし。
男の子と外に行くだけでデートだ!とかはしゃいでたが、今考えるとあんなのデートには含まれない。ノーカンだ。
そう思うと、せっかくの学生時代。
振り返ると青春という青春を全くしてこなかったと気がつく。女の子なのに、枯れている。
そんなんで、いいのか自分。
いや、よくない!
もう一度人生やり直せるならば、はしゃぎまくって、学生生活楽しみたい。
もう一度人生やり直せるならば、バスケのマネージャーなんかより、燃えるような熱い恋をしたい。
もう一度人生やり直せるならば、悔いのない人生にしたい。
神様がいるんだったなら、何とかしてよ!
そして、私はここにいる。
私の願い通り、私はもう一度人生をやり直せる機会を得て。
何故、本当にこんな事が起こったのかはわからないし、まさに奇跡としか言いようがない。
神様、様々って感じだね!
まぁ少しケチをつけるんだとしたら、
なぜ男なのか。
あれ?自分、一言も男になりたいとか言ってないし。
てか、恋したいって言ってる私にこの仕打ちって軽くいじめだよね。
いじめだめ。絶対。
一日目は、男の自分を受け入れられず軽く現実逃避をしていたけれど、少しずつこの状況になれていった。
私が男の子になったのは、何かの運命なのかも知れない。
私が桃井さつきだったときも、何だかんだでマネージャーを続けていたのは、やっぱりみんながバスケをしているのを見るのが楽しかったんだと思う。
でも、バラバラになってしまったとき、なんて声をかけていいかわからなかった。
私は所詮コートの外にいるだけ。
やっぱりみんなとは少し遠かったのかもしれない。
それでも、みんなの隣に立ちたかった。
今ならみんなの隣に立つ資格あるかな?
私が、もし人生をやり直せるなら、あんな運命変えたっていいよね?
桃井颯貴、12歳、男。
帝光中バスケ部はいります。
でも、やっぱり恋もいいよね!てへ!
勢いで書いてしまった。
誰が得するんだこれ。
これから、桃井さんは恋愛しないで、真面目にバスケするよ!
たぶんキセキは越えられないと思うから、灰崎や黒子みたいなもんなんだと考えてるよ。