26話
戦艦アースラが時の庭園にたどり着く。 オレ達はクロノ君の転送魔法で侵入した。
「こ↑こ↓が時の庭園……何かラスダンみたいな雰囲気だな」
「気をつけろよ、地面を破壊すれば広がるのは虚数空間だ。 落ちたら助けることも出来ん」
「ひょえー、虚数空間ってあれだろ? 魔法が使えなくなっちまうんだろ? くわばらくわばら……」
こんな所に家があるとか……新しい警備システムかな?(すっとぼけ)
「急ぐよ、ボヤボヤしてると傀儡兵がわんさかやって来る」
「その傀儡兵も、きっとメアリーを倒さないと止まらない。 急いで向かおう! ……きっとそこにも母さんが!」
「うい!」
アルフさんとフェイトちゃんを先頭にオレ達は進む。 どこに虚数空間があるか分からないから走って行くとのこと。
《ランニングしといて良かったですね》
「お、そうだな」
《あとどれくらい走れそうです?》
「さんじゅう……ろく! 普通だな」
《おい》
36分走れればいいんだよ、上等だよなぁ?
《……! マスター! 傀儡兵が来ます!》
「いきなりお出ましか……」
全員足を止め、少し先にいる西洋風な装備を固めたデカイ機械を見る。 どうやら一体や二体の話ではないらしい。
「ひぃ、ふぅ、みぃ……随分大量にいるねぇ」
「どうするんですか?」
「そりゃ全部ぶっ壊して……」
「まて輝凛。 忘れたのか?」
「何クロノ君?」
「後ろから来ているウチの魔導師が漏れたのを対処するって話をだ。 全部倒す必要はない」
「あ、そうだっけ?」
いかんいかん、忘れてた。 なら必要な数だけ倒すか。
「取り敢えずオレが道を作るから、あとはそれぞれ対処を。 はい、よろしくぅ!」
「どうやって道を作るんですか?」
「いい質問だね、一喜君。 ときに、君はミョルニルが北欧神話でどんな風に使われていたか知っているかい?」
「い、いえ、知りません」
「ミョルニルはね、ブーメランみたいに投擲武器としても使われていたんだ」
オレは魔力をミョルニルに込める。 するとミョルニルから雷が迸る。 オレはミョルニルを握っている右手を後ろにし、思いっきり右腕をうしろ伸ばす。
「こんな風に……なっ!!」
そしてミョルニルを傀儡兵に向かって投げ飛ばす。 ミョルニルが傀儡兵に当たると、まるでチェーンソーみたいに削りながら傀儡兵を切断し、直線上にいる別の傀儡兵に向かう。 次々と傀儡兵を鉄塊に変えながら奥に進んでいき、最後に上に飛び、弧を描きながらオレの元に戻ってくる。
「傀儡兵が真っ二つに……!」
「名付けて『サンダーブーメラン』!」
《壊滅的にダサいですね》
「うるへー」
手元に戻ってきたミョルニルからダメ出しをくらう。 オレにはネーミングセンスなんざ必要ねぇんだよ!
「よし、進もう! こっちだよ」
「ところで真条、君は何もしないのかい?」
「俺は何もせん、だが降りかかる火の粉くらいは払う」
「僕の火の粉もついでに払ってくれると嬉しいんだがねぇ」
「なら後ろにいろ、俺に向かってくる火の粉になったら払ってやる」
「ふふ、なら後ろに回らせてもらうよ」
オレ達は走る。前方から現れる傀儡兵はアルフさんとフェイトちゃんが対処し、横からくるのはみんなでそれぞれ対応する。 拳君が木村君と一喜君を守ってくれているので、安心して自分の身を守れる。
「なのは、気をつけてくれよ。 君の砲撃で地面に穴が空いたら大変だ」
「き、気をつけますぅ〜!」
クロノ君からの注意、足元に攻撃しない。 ……でも上向いて砲撃したら天井が崩れるんじゃ……
「気にするな」
「ア、ハイ」
それぞれ殴ったり魔法撃ったり武器で攻撃したりして傀儡兵を捌く。 進んでいる時、突然魔法陣が足元に展開される。
「罠だ!」
「俺に任せてください!」
一喜君が足元の魔法陣に右手を置く。 すると魔法陣はガラスのように砕けて消える。 そげぶさんみたいだぁ。(中並感)
「こういうのは俺に任せてください!」
一喜君便利やな。 何て思っていたら一際大きい傀儡兵が目の前に現れる。
「こここ、こういうのは無理ですぅー!」
一喜君一気にカッコ悪くなったな。 ……ってあの傀儡兵、拳君に向かって攻撃をし始めたぞ。
「やれやれ、向かってくるなら……この手で払う!」
上空から襲いかかる傀儡兵を拳君は文字どおりビンタをして傀儡兵を真横に吹き飛ばす。
「傀儡程度では
「け、拳君……強すぎ……」
余りにチート性能な拳君に、さすがのなのはちゃんもドン引きである。
「ボーッとするな、先を急ぐぞ」
再び足を進めるオレ達。 傀儡兵を倒しながら進んでいくと、大きな扉の前にたどり着く。 その扉から漂ってくる異質な魔力……間違いない。 この先にメアリーがいる!
「この扉の向こうに……」
「翔次が……」
「みんな気をつけて。 一体どんな罠があるか「お邪魔しまーす」……って輝凛!? 何で扉勝手に開けてるの!?」
オレはみんなが神妙な顔で扉を眺めている中、一人で勝手に進む。 だってここでグダグダしても尺ないし……
「とっくに覚悟は済ましているからいいけど……」
「ホラホラ、イキますよ〜イクイク〜」
オレ達は扉を潜り、中の部屋に入る。 しかし、そこは部屋だと思っていたが、虚数空間むき出しの空間が広がっていた。 そして奥にはメアリーとフェイトちゃんのお母さんがいる。 フェイトちゃんのお母さんは拘束はされてなく、しかし無事と呼ぶには厳しい見た目をしている。
「お ま た せ 。 アイスティーは無かったけど、いいかな?」
オレはメアリーを睨む。 するとメアリーはニィっと笑って答える。
「ようやく来たか、踏み台共」
「フェイト……」
「母さん!」
「ほほぅ、親子の感動の再会だ。 拍手で迎えよう」
この池沼……何ヘラヘラしながら手ぇ叩いてんだ。 メアリーはこちらに歩み寄ってくる。 ちょうどオレ達とフェイトちゃんのお母さんの真ん中の位置に立っている
「フェイトちゃん、行きな」
「え、でも……」
「転生者による原作キャラの攻撃は拳君がどうにかしてくれる。 早く行ってあげて」
「うん……分かった!」
フェイトちゃんとアルフさんは迂回しながらお母さんの元に行く。 それをメアリーは眺めているが、何もしない。
「何もしないんだな」
「当然、今はお前ら踏み台を片付ける方が優先だ」
メアリーはオレ達に注意を向けている。 おかげで二人は問題なくたどり着く。
「母さん! 大丈夫!?」
「フェイト……どうしてここに……私は……」
「どうして……当たり前だよ。 私は母さんの娘なんだから」
「……!」
「まったく、今はフェイトを安心させる為にあんたを治すんだからね」
アルフさんが治療を始める。 これでフェイトちゃんも安心するだろう。 その様子を……
「まるで三流小説みたいな話だな。 ま、お前ら踏み台じゃあこれが限界か」
メアリーは気味悪い笑みを浮かべながら見ている。 ……つーかてめぇ、さっきから踏み台踏み台うっせぇぞ。
「さて、茶番はもういいだろう。 そろそろお前らを殺させてもらう」
メアリーはオレを鋭く睨む。
「……さて、みんな……オレの言ったこと覚えているか?
「もちろん、心得ているよ」
「は、はい!」
二人の返事を確認し、オレは前に出る。
「なんだぁ、兄貴は来ないのか」
「言ったろ? オレは貴様を倒す者だって」
「それは無理だ」
ほぅ、やけに自信満々に言うじゃあねぇか。
「このボクの能力は貴様らとは違うんだよ」
メアリーはそこからペラペラと自分の能力を語りだす。
「能力の一つ、『覇気』を利用して魔法の防御なんざ楽にブチ抜ける。 そして『時空間忍術』で空間を操ることが出来る、お前らのジュエルシードを奪ったのはこの能力だ。 そしてこの『サイヤ人』の肉体。 人一人殺すのに苦労しない程のパワー!」
……要するにワンピースとナルトとドラゴンボールの作品から特典を受けたってだけだろ。 くっだらねぇ。
「そしてこのデバイス、『斬月』は卍解も可能な超高性能デバイスなのだ。 貴様に勝ち目など万に一つも無い!!」
これみよがしにデバイス見せつけられても困るわ。
「まぁ、貴様はデバイスなぞ使わなくても余裕だがな」
「そうかい、ならオレもデバイスは使わん」
『!?』
「何……?」
後ろでみんながどよめいているけど、こいつにミョルニルはもったい無い。 殴って蹴って、それで十分だ。
「それなら……さっさと死ね! 武装色、硬化!」
メアリーは右手を上に向ける、すると右手が黒く染まる。
「いけない! あの右手の攻撃には障壁やバリアジャケットの防御は無意味になる!」
「そんな!? 逃げて輝凛!」
「もう遅い! 貴様は真っ直ぐ行ってぶっ飛ばす」
メアリーは物凄い速度でオレに接近し、右の拳をオレに放とうとする。 ……確かにすげぇ速度、だが……
「だが……それがどうした」
オレは右手に魔力を込め、メアリーの攻撃が届く前に半歩前に出て拳をメアリーの顔面に突き刺す。
「ガッ!?」
悲鳴を上げて後ろに吹き飛ぶメアリー。 体制を持ち直すも、何が起こったのか分からないのか、困惑している。 オレは突き出した右手を開き、メアリーに向かって叫ぶ。
「来いよ、ど三流! オレとてめぇの格の違いってやつを教えてやるよ!!」
「この……踏み台がッ……!!」
さぁ、始めるか……オレの憂さ晴らしを……!!
どれだけ転生者に会っても全然自分を知っている人物に会えず、さっぱり目的も果たせず、タイトル回収も出来ていない現状。 ついに憤りは怒りに変わり、輝凛は憂さ晴らしにメアリーをボコボコにし始める。
次回、土俵。
今回も誤字脱字等のミスがありましたら、コメントにてお教えください。