オレを知っているやつに会いに行く   作:ほったいもいづんな

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何かそこそこ重要な話なのに前半で力尽きてしまいました……。 じ、次回はもう少しマシにしたい。(諦め)




34話 進む者、立ち止まる者

 34話

 

 

 

 

 アースラ内を歩いていると、テスタロッサ一家を発見する。 プレシアさんは先ほどよりも顔色がよくなっていて、見た目30代前半くらいに見える。 アルフさんは人間状態になっている。

 

「あ、輝凛!」

「起きたんだね……それにそいつは……」

「あら、輝凛君にメアリーの坊やじゃない」

 

 一緒に現れた翔次君に少しだけ身構えるフェイトちゃんとアルフさん。 プレシアさんは何か余裕そう。

 

「……あんたの兄貴はどうしたんだ? てっきり一緒にいると思ったんだが」

 

 アルフさんが一喜君の事を聞いてくる。

 

「兄貴は……もう逝ったよ」

「それって……」

「ボクを止めるまでが条件だったみたいだからな……」

「……そうかい」

 

 翔次君は辺りを見渡す。 おそらく他に誰かいないか、探しているんだろう。

 

「ここにはボク達だけか。 それならそれでいい」

「何の話かしら?」

 

 翔次君は三人と向き合い、話し出す。

 

「ボクは……あんた達に謝らなければならない。 ……本当にすまなかった!」

 

 深く、深く頭をさげる翔次君。 フェイトちゃんとアルフさんは突然頭を下げる翔次君に驚く。

 

「えぇ!?」

「一体どうしたんだい!?」

 

 困惑する二人とは別にプレシアさんは静かに翔次君を見つめる。

 

「……」

 

 翔次君は頭を下げたまま言葉を続ける。

 

「……こんな事を話してもあんたらには何の意味もないことは分かっている。 だが話させてくれ!」

『……』

 

 三人とも翔次君に答えるように、静かに彼の言葉を待つ。

 

「……ボクの死には、一回目の人生に意味などなかった。 ボクが意味をなくしてしまった。 そして一緒に死んだ兄貴の死すら意味をなくしてしまった」

 

 翔次君は何かに許しを請うように、懺悔するように話す。

 

「転生し、この世界に来て……始めは手に入れた力を喜んだ。 おもちゃを手に入れた子どものように……。 だがボクは気付いてしまった」

『…………』

「この世界にはボクを知る人間はいない。 誰もボクに気付かない……どれだけ力を持っていても……ボクは一人のままだった」

『………………』

「ボクは理解した。 この世界でもボクという命に価値はない、この転生に意味はない……そう理解した時、ボクは怖くなって、死にたくなって……。 崩れ始めた氷山のようにボクの心は崩壊していった。 そしてその限界状況の時、ボクの心に残っていたのは……イジメられ続けた記憶だけだった」

 

 ほんの少し、体を震わせる翔次君。

 

「その記憶だけを頼りにした結果……意味の無い暴力をあんたら親子に振るって……意味の無い暴力で心をメチャクチャにした。 本当ならボクはあんたらによって裁かれなければならない。 ……命だって差し出すつもりだった」

 

 翔次君は顔を上げ、三人を見据える。

 

「でも死ねなくなった。 ボクの命に意味をくれた兄貴の為に、最後までボクを思ってくれた兄貴の為に、ボクはこの命に意味を持たせる。 ここからボクの本当の人生にしなければならない!」

『………………』

「故にここで決着を付けなければならない! 許されなくてもいい、でもここで謝らなければ……ボクはボクを始める事が出来ないッ!!」

 

 再び深く頭を下げる翔次君。 彼はもう何も言わない。 代わりに話し出したのはプレシアさんだった。

 

「……フェイト、あなたは彼を許せる?」

 

 フェイトちゃんに質問をした。

 

「私は……もう今に満足しているから。 あなたが謝るなら、私はそれを許す」

 

 フェイトちゃんは優しく答える。

 

「……フェイトがそういうならあたしも許す。 まだあんたにはカリはあるけど、ここでうだうだやっても意味ないしね」

 

 フェイトちゃんに続いてアルフさんも答える。 二人の答えを聞いてプレシアさんは満足そうに頷き、翔次君に語りかける。

 

「私は……あなたのおかげで私の今までの愚かしい行動に気づくことが出来た。 少しだけあなたには感謝しているのよ」

 

 感謝している、その意外な言葉に驚き翔次君は顔を上げる。

 

「だから私はあなたを許す。 これで終わりよ」

「ありがとう……ありがとう……」

 

 翔次君は噛みしめるように三人に礼を言った。

 

 

 

 

 

 

 そんなやり取りをしていたらリンディさんとエイミィさんがやって来た。

 

「あら、起きたのね輝凛君にメアリー君」

「あらリンディさん、あなた聞いていたの?」

「……何のことかしら?」

「あらやだこの人、そんな笑顔で答えるなんて」

 

 どうやらリンディさん達は全部知っていたようす。 今度はオレの用事を済ます為にリンディさんに話し出す。

 

「リンディさん、オレ全て思い出したんです」

『え!?』

「それで……みんなに話さないといけないんですけど……」

「……分かったわ、今からみんなを集めてーーーー」

「そこで一つ相談が……」

「ーーーー相談?」

「はい。 地球にいる……オレの二人の友達にも聞いてもらいたいんです」

 

 オレの相談とはアリサちゃんとすずかちゃん達も呼びたいという相談だ。

 

「うーん、アースラに呼ぶのはちょっとね……」

「ならオレの家に集まるのはどうです? そこそこ広いですし……多分オレしかいないですし」

「でもねぇ……」

「オレの事だけ話すだけです。 二人にはオレが言っておくので」

「……分かったわ。 あなたの家で話を聞くわ」

「すんません、約束しちゃったもんで」

 

 オレはリンディさんに頭を下げる。

 

「何だかよく分からないけど……私も行っていいのかしら?」

「ええ、プレシアさんも是非」

 

 なのはちゃん達にも説明し、拳君にも納得してもらい数日後。 すずかちゃんとアリサちゃんをウチに呼んで全員をリビングに集める。 ソファにはなのはちゃん、フェレットになったユーノ君、アリサちゃん、すずかちゃん。 イスに座っているのはリンディさんとクロノ君とエイミィさんとプレシアさん。 地べたに木村君と拳君と翔次君。 もう一つのソファにオレとフェイトちゃんと人間モードのアルフさん。 ミョルニルはオレの手の中にある。

 

「……あたし達アウェー過ぎない?」

「そうだね……」

「にゃはは……」

 

 現状に少々不満のあるアリサちゃん。 二人にはすでに全員の名前を教えてある。

 

「まぁ、少しだけ我慢してくれ」

「まぁいいけど……」

 

 納得してくれた様子。 オレはみんなの顔を見る、そして話し始める。

 

「みんなに聞いてもらいたいのは……オレの話だ。 オレの記憶が全て戻ったんだ」

「それは電話で聞いたわ」

「そんで二人にはまだ言ってなかったが、オレの本当の名前は村咲 輝凛だ」

「輝凛……それが本当の名前」

「それじゃあ話していこう。 このオレ、村咲 輝凛の全てを……」

 

 

 

 

 

 

 

 オレは全てを話した。 元々女だってこと、外国の孤児院で働いていたこと、ジャガー達との争い、そしてキリト君の事を。

 

「ーーーーそしてオレは目を覚ますとこの姿になっていたってわけだ。 後はみんなが知っているとおりの感じだ」

 

 そんなに時間はかかっていないと思う。 オレの話を聞いたみんなはそれぞれ何とも言えないような表情を浮かべており、オレが銃で人を殺したと話した時はリンディさんですら固唾を飲み込み黙っていた。

 

「……貴様の事は分かった。 だが分かった上で分からない事がある」

 

 拳君がみんなの沈黙を破り、話し出す。

 

「なぜ貴様は都 霧刀の体に入っている。 それだけが納得出来ん」

「……確かに」

「それは……オレにも分かんねぇ」

「貴様は転生者ではないのは調査済みだ。 なら何故この世界に存在している?」

 

 拳君の質問にオレは答える事は出来ない。 オレだってどうしてこうなっているのかーーーー

 

 ーーーーその質問にはボクが答えるよ

 

「ーーーー誰!?」

 

 みんなの座っている場所のちょうど真ん中辺りに光がポツポツと生まれる。 光の球は収束し、人の形を成していく。

 

「……まさか」

 

 形が安定すると光は霧散し、中から一人の女性が現れる。

 

「……また会ったね、お姉ちゃん……お姉さん? やっぱり安定しないなぁ。 今日はお姉さんでいいや」

 

 現れた女性は背が高く、すらっとした細い体型。 長い青のジーンズを履き、薄い黒のシャツの上に薄い栗色のジャンパーを羽織っている。 そして黒い髪を後ろで束ね、柔らかい笑みを浮かべながらオレを見ている。

 

「あなたは……」

「こ、こいつは……!?」

「……オレ?」

『オレェ!?』

 

 間違いない……オレだ。 オレがいつも仕事してるときにしていた格好だ。

 

「驚かせてゴメンね? こうしないと神さま(・・・)に怒られちゃうから」

「神……だと!? 貴様、神とどういう繋がりだ!」

 

 拳君は神さまと言う単語をつぶやくオレの姿をした女性に質問をする。

 

「ん〜説明するにしてもまずはボクの名前から」

 

 女性はみんなを見渡し、自分の正体を告げる。

 

「ボクの名前は都霧刀(・・・)です。 キリトと呼んでください」

 

 女性が少しだけ笑う。 その笑顔を見たオレは何故か、キリト君の笑顔を重なる。

 

「本物の……キリト……君?」

「うん、そうだよお姉さん」

『ええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!?』

 

 突然のキリト君の来訪。 そのキリト君から告げられる真実はオレ達の想像を超えていた。




次回は輝凛とキリト君の話です。 どうしてキリト君は踏み台になったのか、どうして輝凛はこの世界にいるのか。 全ての答えが次回にあります。(全部描写出来るとは言っていない)

今回も誤字脱字等のミスがありましたら、コメントにてお教えください。
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