オレを知っているやつに会いに行く   作:ほったいもいづんな

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今回で最終回です。 いやぁ〜長かったです。 色々書きたいんですが、今はここら辺にして……

どうぞ、最終話を楽しんでください。


最終話 手紙

 最終話

 

 

 

 

 いよいよ期日が明日に迫った。 明日は土曜日、つまり今日が最後の登校だった。 なのはちゃんは白く無くなってたけど、それでも元気はなかった。 なので放課後になのはちゃんの家にお邪魔し、彼女と話す事に決めた。

 

「お邪魔します」

「いらっしゃい霧刀君」

 

 士郎さんと挨拶を交わす。 どうやら桃子さんは今はいない様子。 なのはちゃんの後に続こうとしたら士郎さんに呼び止められる。

 

「なのは、少しだけ霧刀君と二人きりで話してもいいかい?」

 

 なのはちゃんはコクリ、と頷くと先に部屋に向かう。 オレは残って士郎さんと話をする。

 

「そういえば霧刀君、聞いたよ。 明日から遠くの国に行くそうだね」

「え……あ、そうっす」

 

 国じゃないんだけどなぁ……まぁ話を合わせておこう。 きっとなのはちゃんがそう説明したんだろう。

 

「寂しくなるね……所で両親には話したのかい?」

「いえ……中々連絡が取れなくて……」

 

 実際問題、仕事が忙しいのか電話やメールをしても反応がない。 いつも留守電コールがかかってしまう。

 

「なら僕が話しておこうかい? ご両親とは仲良くさせてもらっているからね」

「あ、それならお願いしてもいいっすか?」

「うん、大丈夫だよ」

 

 士郎さんの話とはそれだけだった様子。 オレは話を終えてなのはちゃんの部屋を目指す。 その時に士郎さんから呼び止められる。

 

「よかったら……今の『君の名前』を教えてくれないかい……?」

「……!?」

 

 思わず驚くオレ。 何故士郎さんはそんな質問をするのか、もしかしたら士郎さんは事情を知っていたのかもしれない。 オレは少し間を置いて答える。

 

「村咲 輝凛です! キリト君とは一文字違いなのでお間違えなく!!」

 

 それだけ言うとオレはなのはちゃんの部屋を目指す。

 

 

 

 

 

 

 

「あれ? 父さん、笑っているけど……何か良いことでもあったの?」

「ん? ……あぁ恭也、何でもないさ」

「……その含み笑い、気になるなぁ……」

「フフフ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お邪魔するわよぉ〜」(KNN姉貴)

 

 ノックしてから部屋に入る。 何度目かのなのはちゃんのお部屋訪問。 なのはちゃんは床に体操座りしていた。 その傍らにはフェレットモードのユーノが心配そうになのはちゃんに寄り添っている。

 

「……お隣いいかい?」

 

 またしてもコクリ、と頷くだけのなのはちゃん。 オレはなのはちゃんの左隣に腰を下ろす。

 

「輝凛さん……」

「こんちは、ユーノ君」

 

 ユーノ君は不安げにオレを見てくる。 ……フェレットなのに表情豊かだよねこの子。

 

「……」

 

 うんともすんともしないなのはちゃん。 そんな彼女にどうアプローチしようか考える。 そして面倒くなったのでバッサリ聞く事にした。

 

「一体何て言われて振られたんだ?」

「き、輝凛さん! そんなにどストレートに聞かなくても……!」

 

 でも変化球で行くと向こうは見逃すかもしれないし。 あれから3日くらい経ったんだからええやろ。 何て思っていたらなのはちゃんは静かにポツリポツリ話し始める。

 

「初めはね、助けてもらったから物凄くカッコよく見えたの」

 

 確か……キリト君が踏み台をしていた時だっけ。

 

「初めて会った男の子なのに……私の目には誰よりもカッコよく写っていたの」

 

 そら、ピンチに助けに来てくれたからね。

 

「そこからずっと目で追って来た……学校にいる時はずっと目を離さないで見ていたの……」

 

 なのはちゃんは懐かしそうに語る。

 

「輝凛君が来て……そのおかげでもっと距離が縮まった気がしたんだ。 みんなで遊んで、作ったお菓子を振舞ったり……そして秘密を知った時……」

 

 これまでの思い出を一つ一つ語っていくなのはちゃん。

 

「ジュエルシードを集めている時、少しづつ近づいて行っている気がしたんだ。 魔法を手にして、同じ景色を見ている気がしてたんだ。 ……でもそれは勘違いだったの……」

 

 なのはちゃんを見つめるユーノ君。 その眼差しは少し悲しげだった。

 

「『私達』のいる世界と『拳君』のいる世界は違う。 私の思いは……拳君のいる世界に必要ないんだ……!」

 

 少し声が強くなる。

 

「私達ね? 一斉に告白して……それで拳君に選んでもらおうって、そう決めたの……でも拳君は誰も選ばなかった……」

 

 それは簡単に想像出来てしまう光景。 三人の告白を断る拳君の様子、容易に想像出来てしまう。

 

「こう言われたんだ。 『俺の世界と君らの世界は決して交わってはいけない。 故に告白に答える意味もない』 って……」

 

 思わず眉を潜める。 確かに拳君にだって事情はある、しかし何とも辛辣で、なのはちゃんにとって辛い言葉を選んだのだろうか。

 

「私、すごいショックだったの。 初めてのこの恋は……返事すらもらえないんだって……それで頭が真っ白になって、もうすぐ居なくなっちゃうのに悲しくも思えなくて……」

 

 なのはちゃんの目尻に涙が浮かぶ。

 

「嫌だなぁ……いやだよぉ……ぅ……うぅ……っ」

「なのはちゃん……」

「届かないヒトだって分かったのに……叶わないって分かったのに……それでも私の心は痛いの……いたいんだ……いたいんだぁ……」

「なのは……」

 

 きっと普通の女の子の初恋だったんだ。 相手は人間じゃなかった、それだけだったんだ。 彼女にとっては初めて恋心を抱いた男性だったんだ、その結末が……余りにも残酷なだけなんだ。 彼女は普通の恋をしたかっただけなんだ。 ならば彼女にオレは何て言ってやればいい? 決まっている、励ましでも慰めでもない。

 

「心が痛いのは……きっとまだ拳君への想いが消えていないからだ」

 

 オレはなのはちゃんに向き合う。

 

「この世界の全ての異変……元を辿れば全てオレの所為だ。 だが! 拳君を好きになったのは、紛れもなく君の心が起こした『奇跡』なんだ」

 

 拳君を好きになったなのはちゃんの想いは誰かに仕組まれたものじゃない、誰かに影響されたからじゃない、ここにいる一人の女の子が生み出した『奇跡』なんだ。

 

「だからこれは君が『決着』をつけないといけない。 オレでも拳君でもない、君自身の手でケリをつけなければいけないッ!」

「私の……手……で……」

「明日の昼前にはオレたちは地球から出て行く。 その前に君は拳君と『決着』をつけなければ……君は一生後悔するッ!」

 

 明日、海鳴の海浜公園にてオレ達は地球を経つ。 そこでしかチャンスはない。

 

「オレはこれまでも、これからも子供たちの背を押す事しか出来ない。 ここから先は君が選択してくれ」

 

 決して強要してはいけない。 しかし今回だけは説得するつもりで話した。 このままではなのはちゃんは『暗い思い出』をズルズルと引きずりながら生きていくことになる、それは必ずなのはちゃんを殺す、そんな事はあってはならない。

 

「でも……拳君は……」

「彼が何だ、君は何がしたい」

「私は……私は……っ!」

 

 なのはちゃんは立ち上がり、拳を小さく握る。

 

「私はまだ拳君に伝えないといけないことがあるッ!!」

「……それは間違いなく君の本心だ。 それを拳君に伝えられる筈だ」

 

 今のなのはちゃんには真実に向かおうとする意志がある。 例えどんな結果になろうと立ち向かおうとする覚悟がある。

 

「なのは……よかった。 いつものなのはになって」

「ゴメンねユーノ君、心配かけちゃって。 私はもう大丈夫!」

「輝凛さん、ありがとうございます。 なのはを元気付けてくれて」

「気にしなさんな、いつもやっていたことだ」

「よぉし……明日頑張るぞぉ!!」

 

 頑張れ女の子。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オレはその後お暇させてもらい、家に帰宅した。 もうなのはちゃんは大丈夫だろう。 もう海鳴に心残りは殆どない。 アリサちゃんやすずかちゃん達とも話はした。 と言うか二人は以前の事件でたくさんの話をしたからもう十分だろう。

 

「……この家ともお別れか」

 

 明日から誰も居なくなる、なので冷蔵庫の中身は空にし、ゴミは捨てて掃除を済ませる。

 

「短かったな……でもオレには上等過ぎる家だったな」

 

 この家にも沢山の人が来た。 ソファに座って談笑したり、テーブルでご飯をご馳走したり……キリト君との別れをしたり。

 

「沢山の出来事があった……そして全てにオレは感謝をしなきゃいけない。 ……今日が最後の夜か」

 

 もう陽は落ち、晩御飯も済ませたオレは二階に上がり部屋に戻る。

 

《おやマスター、もうベットに入られるんですか?》

 

 部屋に戻ると待機状態で机の上に置かれているミョルニルが話しかけてくる。

 

「うーん、確かにやる事なくなったし……寝るか」

《明日は寝坊出来ませんからね、それがいいでしょう》

 

 オレはパジャマに着替え、電気を消してベットに入る。

 

「……」

《……どうしたんですか? 寝ないんですか?》

 

 オレは何だか寝付けなくなっていた。 不思議な感覚がオレの中にはあった。 ……このまま寝るのはいけないと思った。

 

「……なぁミョルニル」

《何ですかね?》

 

 オレは前から疑問に思っていた事をミョルニルに聞く。

 

「どうしてお前はキリト君について行かなかったんだ?」

《……》

「キリト君と一緒に消えれば……彼について行けたかもしれないのに」

《バカですかあなたは》

「ファッ!?」

 

 ば、バカとは何だバカとは!

 

《私はもう数ヶ月前にはマスターとの別れを済ましています。 そして約束しました、次のマスターの力になる、と。 なので私はあなたの手となり足となってあなたの力になります。 それが……あの方との約束なのですから》

「ミョルニル……」

《それとも何ですか? マスターは私の事が嫌い何ですか?》

「……いや、嫌いじゃないさ」

 《ま、私は嫌いじゃないですけど好きでもないです》

「はは、こりゃ手厳しい」

 

 どうやらミョルニルの言う通り、オレはバカだったようだ。 ミョルニルはこれまでずっとキリト君との約束を守ってきたのだ。 恐らくはこの先もずっと……。 ならオレはミョルニルを最後まで使ってやらないといけないな。

 

「……うん、よし」

 

 オレはベットから抜け、ミョルニルを手に取り一階に向かう。

 

《寝ないんですか? それとも私で自家発電するんですか?》

「誰がお前で抜くか! 違えよ」

 

 オレはキッチンに入りインスタントコーヒーを作り、リビングのソファに腰掛ける。

 

「もっと話をしよう。 こんな気持ちで寝るなんて勿体無さすぎる」

 

 先ほどから感じる奇妙な感覚、それはミョルニルと話している時だけ消えていた。 恐らくオレは誰かと話をしたいのだろう。 このまま誰かと言葉を紡ぎたい。

 

《……やれやれ、寝坊しても知りませんよ?》

「気にすんな。 ……何か、今日を寝ている間に終わらせるだなんて勿体無い。 だって最後の夜だぜ?」

《分かりましたよ。 いいでしょう、トコトン語り合いましょう》

「サンキュ。 まずは……昔の話をしよう。 あれはオレがーーーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オレ達は朝日が昇るまで話し続けた。 朝を迎えても不思議と眠気を感じない。 熱く話し合っていたが、今は恐ろしいくらい静かになっていた。 現在時刻7時20分、今日もいいペンキ!(RU姉貴)

 

「昼ぐらいに集合だから……どうすっかな……」

 

 荷物の用意も終わったし……。 うん、めっちゃ早いけどもう行くか。

 

「鍵はどうすっかな……まぁ取り敢えず持っとくか」

 

 オレは着替えやらをまとめた荷物を手に取り、玄関からでる。 しっかりと鍵を閉め、最後に家を眺める。

 

「……いつか必ず帰ってくるからな」

 

 オレは海浜公園を目指して歩き出す。 途中でコンビニに入り、軽い朝食を済ませる。 外が少し肌寒いので暖かいコーヒーを買う。

 

「久しぶりにこんな朝早くに出たな……」

 

 オレはまだ人気の少ない町を眺める。 多くの店はまだシャッターを上げていなくて、道に出ている人も殆ど見かけない。

 

「そういう……前にジョギング中の士郎さんに出会ったな」

 

 あの時は果たし状だと思っていって、迷子になったんだっけ? 一喜君に助けてもらって、果たし状だと思ったらフェイトちゃんがいて……

 

「懐かしいな……いやホント最近の事だけど」

 

 オレは歩きながら海鳴でも思い出を思い出していく。 その一つ一つを大事に胸に刻む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あり? もう着いちまった?」

 

 家を出てから早一時間、もう目的地の海浜公園に着いていた。

 

「早いなぁ……道に迷わなかったらこんなものなのか?」

 

 どうしようか、何してよ。

 

「……暇だし歌うか」

 

 近藤大輔ー! 近藤大輔見てるかー!?

 

「やかましいわ」

「みんな踊れー! ……およ、拳君じゃまいか」

 

 早いっすね。 まだ8時っすよ?

 

「気にするな。 ……どうにも、早く来てしまった」

「ふーん?」

 

 拳君にもそんな事ってあるんすね。

 

「……そういや、三人からの告白を見事にぶった切ったそうじゃないか」

「……知っていたか。 そも、お前には分かりきっていた事ではないのか?」

 

 そら、想像するに難くないからね。

 

「俺は本来なら関わってはいけない存在。 それが今日まで破られてきた、俺はとっくに『管理会』から追放されてもおかしくない」

「でもまだ大丈夫なんだろ?」

「神がそう言っているからな」

「大変だねぇお役人は」

 

 拳君は少し疲れた表情をしていた。 どうやら彼も今回の事は中々疲れる事件だったようだ。

 

「神め……どうして何でもかんでも勝手にやるんだ……! その尻拭いをするのも楽ではないんだぞ……」

「……ホントに大変なんだねぇ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後も話し続け、二時間後くらいに翔次君がクロノ君とリンディさんと一緒にやってきた。 もうクロノ君は弄らないよ、テコ入れはもう済んだからね。 そしてそのまま時間が進んでいき……いよいよ時間となった。

 

「そろそろ行くぞ」

「おう」

「ああ」

 

 しかし未だ現れないなのはちゃん。 どうしたんだろ……まさか寝坊したのか? オレはなのはちゃんとの念話を試みる。

 

『なのはちゃん、聞こえるか?』

『あ、輝凛君! ゴメンね、私今日早く起きようと思って……寝坊しちゃったの!!』

『ウェェェェェイ!? 何してんの!?』

『今すずかちゃんの車に乗せてもらっていて……アリサちゃんも一緒で……』

 

 こ、この子は……変なところでのん気と言うか……余裕があると言うか……と、とにかくどれ位時間がかかるんだ?

 

『あともう少しで着きそうだって!』

『もう少しって……拳君もうイキそうなんだけど!?』

『もうちょっとだけ待ってて!』

 

 もうちょっとって……あ! 念話切りやがった! くそうくそう、この後に及んで時間稼ぎをしないといけないなんて……。 とにかく話しかけて時間を稼がないと!

 

「そ、そう言えば一体どんな星に行くんだ!?」

「……どうした? 急に声を上げて?」

「い、いんやぁ? そんな事ないって!」

「まぁいい……。 そう言えば話してなかったな」

 

 よし! 拳君が説明フェイズに入った! これで少しは稼げる!

 

「管理局が干渉しない星……いや宇宙と言えばいいか。 その内の物語に一切関係ない星に行こうと思う」

「そこにずっといる事になるのか」

「いや、いくら関係のない星とはいえ何がどう作用するか分からん。 だから星を転々とするだろう」

「なるほど……」

「……と言うかそんな世界に一人の人間の力で行けるってさらっと話さないでくれるかしら?」

「管理局の魔導師の歴史が……こうもあっさり超えられると我々の立場がないんだが……」

「しかたあるまい。 何せ俺は人間ではないからな」

 

 そこそこの時間稼ぎにはなった。 ……しかしなのはちゃんはまだ来ない!! やべぇよやべぇよ……どうする……どうする!?

 

「うおぉぉぉぉぉぉ! 取り敢えず困ったらクロノ君弄りぃぃぃ!!」

「どわ! 何をする変態!?」

 

 オレはクロノ君に飛びかかりズボンを下ろそうとする。 クロノ君はズボンを両手で必死に抑える。

 

「もうテコ入れはいいんだろ!?」

「非常事態だから許してくれ! そして大人しくしてくれ!」(意味不明)

「この変態は最後までこれかぁぁ!!」

「何をしている……?」

「これだからホモは……」

「翔次君はこの間の自分の行動を見直そうか!?」

 

 ぐっ……リンディさんが物凄い目でこっちを見てくる。 まだか、まだなのかぁぁ!?

 

 ーー拳君!

 

『!?』

 

 一際大きな声が聞こえる。 誰もがその声のする方に注目をする。 そこにいたのは……

 

「拳君……! はぁ……はぁ……」

『なのは(さん)!?』

「高町……なのは……」

「なのはちゃん!!」

 

 もちろん我らが主人公、なのはちゃんだ。 後ろの方にすずかちゃんとアリサちゃんの姿が見える。 二人も近づいてくるが、少し離れた所でこちらを伺っている。 すずかちゃんの肩にはユーノ君(淫獣)が乗っている。

 

「高町なのは……何故ここに……」

 

 どうやらなのはちゃんの登場が予想外だった様子。

 

「行ってやってくれ、君に何か話したいのだろう」

「……」

 

 拳君は黙ったままなのはちゃんに近づいていく。 その間に息を切らしたなのはちゃんは息を整えて拳君を見つめている。

 

「ゴメンね、本当はもっと早く来たかったんだけど……」

「何故来た? 言ったはずだ。 我々は交わってはいけない存在だと」

「うん。 聞いたよ」

「なら何故……」

 

 怪訝そうな顔をしている拳君に対して、なのはちゃんは凛とした態度で拳君と向き合う。

 

「拳君の言っている事は分かった。 でも、それでも譲れないよ。 この思いは」

「……しかし、俺はそれに答えることは……」

「うん。 だからコレは平行線のままなんだ。 だから……一つ、一つだけ、私のわがままに付き合って……?」

「……何だ」

 

 恐らくはこれがなのはちゃんの伝えたい事、そしてなのはちゃんと拳君の決着……

 

「……ずっとね? 拳君がみんなの事をフルネームで呼ぶのが不思議だったんだ。 きっとそう言う人なんだって思ってた」

「……」

「でも、私の名前は……私だけの名前は『なのは』なの。 お父さんとお母さんが付けてくれたのは名前だけなの。 だから……」

 

 なのはちゃんは笑顔で言う。

 

「ーーーー名前で呼んで?」

 

 それは平凡な願い。 しかし、彼女にとっては素敵な願いなのだろう。 誰もその願いに疑問を持ったり、否定したりしない。

 

「それだけでいいならそう呼んでやろう」

「……うん、お願い」

「……なのは」

「うん」

「なのは」

「……うん」

「これからは君の名を口にする時は、『なのは』と呼ぶ。 これでいいか?」

「……うん!」

 

 名前を呼ばれたなのはちゃんの顔には、蔓延の笑みが浮かぶ。 それにつられてか、それとも彼の心境に変化が起きたのか、彼もはにかむ。

 

「……もう大丈夫かいなのはちゃん?」

「うん、輝凛君もありがとうね」

「どういたしまして」

「それでは行こうか」

 

 拳君がオレと翔次君の間に立つ。 すると金色の光がオレ達を包む。 誰もがこの光が旅立ちの合図と察する。 そして別れの言葉を口にする。

 

「また会おう、お騒がせな三人組!」

「困った事があったら言ってね、すぐに手伝いに向かうわ!」

「元気でやんなさいよ!」

「ケガとか病気に気をつけてね!」

「みんな頑張ってね!」

 

 みんなの別れの言葉を噛み締める。

 

「……?」

 

 ふと、奥の木々のある所に一人の男の子が立っている。

 

「心悟君……」

 

 男の子の正体は心悟君だった。

 

「……」

 

 心悟君は無言のまま、右手の人差し指と中指を立てて額に添え、スナップをかけて少し振る。 きっと別れの仕草なのだろう。 オレはそれを見てから心悟君にやり返す。

 

「また会おうな……心悟君!」

「おい、あれを見ろ」

 

 翔次君が何かを見つけた様子。 彼は遥か上空を指差す。

 

「あれって……!」

 

 そこにいたのはテスタロッサ一家だ。 アルフさんは人間モードになっている。 みんなこちらに手を振っている。

 

「へへっ……」

 

 オレは大きく手を振り返す。 翔次君も小さく手を振っている。

 

「じゃあな……なのは」

「……またね(・・・)拳君!」

 

 拳君はなのはちゃんとの別れを告げる、そんな彼になのはちゃんは『またね』と返す。

 

「それじゃあみんな……」

 

 オレ達を包む金色の光は凄まじい輝きを放っている。 もう時間なのだろう。 オレは最後の言葉をみんなに告げる。

 

「行って来ます!!」

『行ってらっしゃい!!』

 

 オレ達はこの星から消え旅立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうだいキリト君、彼らは無事旅だっただろう?」

「うん、神様ありがとうね、ボクに見せてくれて」

「別にあの世でも見れたんだけどね、気にしなくてもいいよ」

 

 そこは真っ白な空間。 そこにあるのは一人の男の子と一台のパソコンだけだ。 そのパソコンのモニターに映っている人物は神様と呼ばれ、話している男の子はキリトと呼ばれた。

 

「それじゃあボクはもう閻魔様の所にいくね」

「ああ、君なら天国行き間違いなしだ。 後は向こうで彼らの様子を見てるといいよ」

「うん、それじゃあね神様。 本当にありがとう!」

 

 神に礼を言うとキリトの姿は一瞬にして消える。 後に残されたのは一台のパソコンとそれに映る神のみ。

 

「さて、彼らの行く末を見るのが一番面白そうだ。 他の転生者はつまらない事ばっかりしてるし、同じ事しかしないから見てるこっちが退屈なんだよねぇ……」

 

 神は一人言を続ける。

 

「さて……ここから先は(・・・・・・)神のみぞ知る世界。 『君ら』には全てを見せる事は出来ない」

 

 神はここにはいない『誰か』に話しかける。

 

「でも、ここまで付き合ってくれたお礼にほんの少しだけ見せてあげよう。 その先? それは神の気まぐれかな」

 

 モニターに新たな映像が流れ始める。

 

 それではその後を少しだけお見せしよう……

 

 ……私が誰だって? それこそ神のみぞ知るってね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 キリン達が旅立ち10月余りの月日が流れ、地球の人々は新年を迎えていた。 この一年で海鳴には様々な出来事があった。 『ジュエルシード事件』、『転生者』、『村咲 輝凛』、そして『闇の書事件』。

 

 様々な事件の背景には、当然別れも多かった。 プレシア・テスタロッサは予定通り延命から3カ月に死亡し、『闇の書』の管制人格、リインフォースの消滅等。 しかし少女達はこの困難にめげる事なく立ち向かった。

 

 そして新年を迎えた元旦、彼女達に新たな異変が起こる。 それは彼女達の家のポストに年賀状に紛れて入っていた一つの手紙。 その手紙に住所は書いてなく、宛てた相手の名前と送り主の名前しか書いてなかった。 その送り主の名前はーー『村咲 輝凛』と書いてあった。

 

 その手紙にはこう書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 拝啓、親愛なる皆様。

 

 わたくし都 霧刀改めて村咲 輝凛は今日も元気に過ごしております。 もちろん一緒にいる拳君も翔次君も元気です。 現在オレ達は年中桜が咲いている星に来ています。 まさか日本以外で桜が見れるとは思わなかったです。 本当に綺麗ですが、残念ながら写真を撮っても現像が出来ないのでお見せできるのはかなり先になりそうです。

 

 さて、皆様はこの手紙を読んでいる時には新年を迎えていると思われます。 オレ達にそういうのはないんですけどね。

 

 オレ達はあれから色んな星を巡りながら体を鍛えています。 オレは魔法のコントロールや貧弱だった筋肉を鍛えています。

 

 翔次君は拳君から新たに能力を貰う許可が下り、神様から新しい能力を手に入れました。 本人から秘密にしておけ、と言っていたので詳しい詳細は伏せますが、BLEACHと言う作品から刀を貰ったそうです。 能力はオリジナルらしいです。

 

 拳君は最近うわ言の様になのはちゃんの名前を呟いています。 どうやらなのはちゃんのお陰で、彼の心境にも大きな変化があったようです。

 

 それでは最後に……。 みんなにはたくさんの迷惑をかけちまった。 勝手に現れては勝手に消えて……本当に申し訳ない。 もしオレの身を案じているなら、どうか安心して欲しい。 オレ、今すっごく生きてて楽しいんだ! 見た事のない景色、未知の体験、起こる全てが楽しくてたまんないんだ! いつかみんなの所に戻るから、どうかみんなも楽しく生きてくれ! そして一緒に酒でも呑んで朝まで語り合おう!

 

 それじゃあみんな、いつか必ずまた会う日まで。

 

 

 

 

 手紙はこれで終わっている。 この手紙を読んだ者は一様に涙を流し、その朗報に喜ぶ。 その手紙は世界線を超えて、とある国の孤児院にも届く。 その手紙にその場にいる大人も子どもも大いに喜び、泣いた。

 

 さて、彼らが紡ぐこの物語、これにて一先ずは閉幕。 次の開演をお待ちしてもらいたい。

 

 ……彼のこれからの目的? もちろん決まっている。

 

「オレはオレを知っている奴に会いに行く! 今度はオレがキリト君の役目になって転生した者を助ける!!」

 

 彼は変わらない。 これからも、この先も……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第一部、完。




と言うわけで第一部完結です。 くぅ疲、本来なら3ヶ月ちょいで終わらす予定が、まさか倍の6ヶ月もかかるとは……

とりあえず無印編は終了です。 次はA'sですね。 詳しい事は後日上げる設定公開回で書きます。

本編は以上です。 今回も誤字脱字等のミスがありましたら、コメントにてお教えください。

そして、今までコメントやお気に入り登録、評価をつけて下さった方々、本当にありがとうございました! よろしければ、次回作が上がりましたら、「こんな奴がいたな」と思って読んでくれれば幸いです。 それではまた会いましょう! サラダバー!
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