でも話の展開にはさして影響は無い筈です。
今回は今の所1番長いので読み辛いかも知れませんがご了承ください。
4話
バスで高らかに宣言してから数十分後にバスは学校に着いた。 その間にここまででわかった事をまとめた。
まず今は四月、しかも始業式らしい。 都君はバレンタインの日に拳君から能力を奪われ、そこから学校に行かなくなったらしい。 だから拳君は大体一ヶ月たった今日都君を学校に連れて行こうとしたようだ。
次に都君は今日から小学校三年生になるようだ。 三年生と言えばそろそろ国語や算数とは違った学習をし始めるころだ。 拳君が言っていたが都君は授業にまともに参加していなかったようだ。 いやまあ、義務教育だから勝手に進級出来るけどね?
後重要なのは都君以外の転生者の存在だ。 拳君は渋りながら自分が知っている転生者を教えてくれた。 名前は
強そう(小並感)
彼には放課後拳君と一緒に会いに行くことにしよう。 え? 何で拳君も一緒なんだって? だって怖いし……
そんな訳で学校に到着したなり。 何故かみんなバスに降りる時めっちゃ早かった。 いやさ、何もしないって……
バスを降りた後拳君の後に着いて行き、下駄箱に到着した。 三人の女の子達は俺から3メートル程離れて歩いている、いっそ走ってもらった方がいいんだがーーーー何て考えてたら下駄箱の段差に躓いた!?
「へぶち!?」
前のめりになり、勢いで下駄箱に頭をぶつける。
「のわ!?」
下駄箱に頭をぶつけ、その反動で後ろに倒れる。
「菅野美穂!?(意味不明)」
……朝から謎の3連コンボ(事故)を味わってしまった。 痛い、体も心も痛いーーーーぬ?
オレは寝転がった状態で女の子達を見た、女の子達はオレの一連の動作を見ていたのか、小さく噴き出してーー笑った。
オレがそれを見ていたからか、女の子達はオレが見ている事に気付いて顔を背けた。
朝から災難だった、でも女の子達が笑ってくれたから良しとしよう。 ……でも拳君、てめぇは駄目だ。 後でその笑いを必死に堪えている顔面に一発拳を入れさせろ。
それ程長くない始業式が終わりクラスの割り振りが貼り出される。 オレがそれを見ようとした時、拳君に止められた。
「お前が入ったらパニックになる、それにお前は俺と同じクラスだ。 先生達にそう提案しておいた」
拳君まじ優秀、それなら早速拳君と一緒にそのクラスに行こう。 オレと拳君は他の生徒達よりも先に教室に向かった。
あり? そういや他にどんな生徒と一緒なのか見てなかったな。 そも都君じゃないから見ても分からないけど。
拳君に他には誰がいるんだ? と聞いたら急に表情を変え苦虫を潰したような顔をしながらこう言った。
「あの三人、『高町なのは』、『月村すずか』、『アリサ・バニングス』も俺達と一緒のクラスのようだ……!」
……………………いや、誰?
オレ達がクラスに着いて真っ先に気になったのは一つの机に積まれたガラクタ達だ。
「何だあのデッカいガラクタの山は……」
「……忘れたのか? お前の机に入っていたゴミだ。 後で席替えをするから早めに処分しとけよ?」
えぇ、この量のゴミ片付けないといけないの? オレさっきの3連コンボ(事故)で結構ボロボロなんですが……
と、取り敢えず使えるものから探そう。 きっと鉛筆とかある筈! ……筈……だよね?
オレが片付けをしている間、教室にはかなりの生徒が入っていた。 みんなオレが居るのを見ると教室から出ようとするが、拳君が毎回引き止める。 拳君には頭が上がらんな、さっきは殴ろうかと思ったけど止めといておこう。
ちなみにあの女の子三人組は拳君の近くでこちらの様子を伺っている。いや三人共拳君に近くない? 何? 拳君にほの字なの? ピンチに助けてもらったから惚れたの? でもその子オレーーと言うか都君が改心したと思ったら元の場所に帰ってしまうんじゃないの? 大丈夫?
ーーあれから数十分後、粗方のゴミを片付けたオレは残ったゴミを見つめていた。 それは野球の球よりは小さいが子供の手に丁度収まるくらいの大きさの球だ。 とてもカッチカチなのだか触った感触は消しゴムに近い感触だ。
「拳君、これなに?」
拳君に聞いてみた。 関係ないけどオレが拳君の方を向くたびに女の子三人がビクッ! っと反応するのはやめてほしい……そろそろ心が折れそうだ……
「忘れたのか? お前が授業中、話しも聞かずに消しゴムのカスで作ったボールだろ」
え、これ消しカスで作ったの? こんなカッチカチなのどうやって作ったんだよ、握力あり過ぎだろ、握撃出来るだろ都君。
オレはその球を手にとって見ると、球にはそれぞれ小さく数字が書いてあった。 この球には『100』と書いてあり、別の球には『634』と書いてある。 オレは嫌な予感がしながら一番大きな数字が書かれている球を探し出した。
遂に見つけた一番大きな数字、そこには『1000』と書かれていた……
オレは拳君にあることを聞いた。
「拳君、先生が来るまであとどれくらい?」
「あと五分くらいだと思うぞ」
「そうか…………なら…………っ!」
オレは千個ある内の一つを手にし、思いっきり振りかぶって叫びながら部屋の隅にある都君のゴミで若干溜まったゴミ箱に向かって球を投げた。
「オラァッ!!」
ドゴーンッ! っと大きな音を立てながら球はゴミ箱の中に入った。 拳君が慌てた様子でこちらに駆け寄ってきた。
「お、おい! 何をしている都 霧刀!?」
オレは次に投げる球を掴みながら言った。
「賭けをしようぜ、拳君」
「か、賭け? な、何を言って……」
「あと五分、先生が教室に入って来るまでにオレが何球この球をゴミ箱にブチ込めるか賭けようぜ」
「は、はぁ?」
クラスの全員が困惑する、が、知ったことではない。 オレは困惑する拳君を放って置いて喋り続ける。
「君のせいでこの体の身体能力は激減した、そんな体であと999球の球を何個ブチ込めると思う?」
「100球か、それとも300球か? オレは…………っ!」
「1000球だッ!! オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!!」
先生が教室に入って来るギリギリで何とか1000球ブチ込められた。 その代わりオレの体はボドボドダァ……
ぶっちゃけ先生の話は聞いていない、席が決まった所までは何とか起きていたが、席が決まって座った瞬間、オレは寝た。 いやちゃうねん、ホンマ疲れてん、都君のボディは貧弱なんや。
だから放課後拳君に起こされるまで寝てたってしょうがないんや! あ、拳君マジスンマセン、起こして頂き有難うごさいます!
「全く、改心したと思ったらいきなり居眠りするとはな……」
「マジサーセン」
「まあいい、それは後だ。 人を待たせているしな」
拳君はオレが寝ている間にもう一人の転生者、木村 心悟君に接触していたようで、木村君はオレに会ってくれるそうだ。
「木村 心悟は屋上で待っている、早く行くぞ」
拳君の後に続いてオレは屋上に向かった。
まずうちの学校さぁ、屋上あんだけど、焼いてかない? 何て拳君に言ったら都君にホモ疑惑が出てしまうので言わなかった。 言いたかったけど……
そんなわけで着いた屋上、そこには一人の男の子が立っていた。 そんな彼に拳君が話しかける
「すまない、待たせたか?」
「いんやぁ、別に長い時間待ってはないさ」
拳君の声に男の子が答えるーーあれ? この子……バスでオレをニヤニヤしながら見てた眼帯君じゃないか!
「都 霧刀、彼がお前と同じこの世界の転生者、
「やあ初めまして、僕は既に君の事を知っているが、実際会話をするのは初めてだな。 紹介にあった通り、僕が木村 心悟だ」
「……まさか眼帯君が転生者だったとは、ただの中二病患者だと思っていたぞ」
「失礼な、僕の眼帯はキチンとした訳がある。 決して邪気眼を拗らせた訳では無いぞ」
そこから色々話した、木村君が都君の事をずっと見ていた事、都君の行動を面白がって見ていた事、都君は木村君の事を転生者と気づかなかったこと、他にも色々話した。
しかし、オレにとって重要なのはそんなことではない。 重要なのは木村君が転生前にオレの事を知っている人物か、オレが木村君と話して思い出す事があるかどうか、それだけだ。 どうやら木村君と話していても何も思い出せないようだ。 オレが諦めかけていたその時。
「ふむ、都、君随分と違うな、いや変わったのか? 僕が見ていた時とは喋り方や話す言葉が全然違う。 一ヶ月見ないうちに何があったのだ?」
いや、一ヶ月と言うかオレ的には1日2日くらいなんだが。 木村君の言葉に拳君が反応する。
「やはりお前もそう思うか、冷静に考えてみればこいつが改心したとしてもここまで劇的に変わるはずが無い。 だからお前にこいつを『見てもらおう』と思ったんだ」
見てもらう? 何だそれは、と拳君に聞いた。
「先程も言ったように、木村 心悟の能力、『心を覗く能力』だ。 彼が眼帯をしている目には見た者の心を写し出す」
「だか見た者全ての心を覗いてしまう為眼帯をしている訳さ。 それ程僕の能力は強力なのだよ」
そういやそんな事言ってたな、もしかしたらその能力でオレの事が分かるかも知れねぇ!
「そういう訳で都、君の心を覗いてもいいかね? 君に拒否権は無いがね」
「いや、構わないぜ。 こっちにもメリットはある、遠慮無く覗いてくれ」
オレがそう答えると木村君は少し驚いたが、その後笑いながら眼帯を外した。
彼の左目には謎の模様が描かれている、六芒星に似た形の模様だ。 彼は反対の目を閉じ、じっとオレを見つめて来る。
「オレ動いちゃダメなのかな?」
「大人しくしていろ、彼は結構集中しているんだぞ」
拳君にそう言われ、オレは数分程黙ってその場で立っていた。 これで少しは手がかりが見つかればいいんだが、木村君次第だなーーどうした木村君、そんなに驚いて。
木村君は驚きながらオレに話しかける。
「み、都、き、君は一体何があったんだ!?」
え、都君の体になっていただけだけど。
「あ、ありえない! こ、こんな事が……あり得るのか?!」
一人で盛り上がる木村君に拳君が話しかける。
「一人で勝手に盛り上がらないでくれ。 一体何が見えたんだ?」
拳君が木村君に促す。 オレも気になるから早く教えてくれ。
「何が見えただと? それならよかったんだ」
「? 都 霧刀の能力は剥奪している。 お前の能力はなんら妨害を受けないはずだ」
「そういうのは一切無い、そう
木村君の告白にオレと拳君は驚く。 え? 何も無いは無いだろ、じゃなきゃオレがオレだと感じれないし。 心が空っぽならオレはこんなに考えたりしないだろう。 拳君も同じ事を考えていたのか、木村君に言った。
「木村 心悟、それは有り得ない。 心の中が空っぽなら今のこいつはなんなのだ?」
「ふ、少し待て。 どうやら僕とあろう者が動転してしまったようだ」
木村君は落ち着きを取り戻し話し始める。 オレは極力黙って聞いていることにした。
「まず話をする前に僕の能力を正しく説明しよう。 僕の能力、『心を覗く能力』はこの左目で見ただけでは相手の心を覗くことは出来ない。 分かりやすく例を挙げよう。 例えば君達に今日の朝食について質問しよう。 すると君達は朝食べたであろうご飯やパン、オカズ等を思い浮かべる筈だ。 そこから僕は君達の朝食を『君達の心を介して知る』ことが出来る。 そこから何故その朝食なのか? 例えばご飯と味噌汁だったら何故パンを食べないのか、和食の方が好きなのか、家にパンを置いていないのか、幼い頃からずっと朝食はご飯と味噌汁なのか。 そうやって糸を辿るように相手の心を覗く、これが僕の能力の正しい説明だ。 これを踏まえた上で聞いて欲しい、僕は今都の心を覗いた。 都はさっきまで学校の事を思い浮かべていたからそこから心の奥底を辿ろうとした」
ここで木村君は一旦息を整え、再び話す。
「しかし、記憶の糸を辿ろうとしてもすぐ途切れてしまう。 他の記憶から辿ってもすぐにプツリと途切れてしまうのだ。 これは有り得ない! これではまるで心が入れ替わったのか、全くの別人だ!」
「「!?」」
「僕は色んな人間の心を覗いてきたが、こんなケースは初めてだ……! 都、さっき君がバスの中で言った言葉の意味がようやく分かったよ。 。どれだけ読んでも心の奥底に辿り着けない、まるでナニカが邪魔をしているみたいに……つまり都の心に何か異常が発生しているとしか言えない……たったの一ヶ月で何が君をおそったんだ……!?」
オレは木村君ではオレの記憶の手がかりを手に入れることは出来ないと知り、軽く落ち込んだ。 でも拳君はオレとは違った反応をし、木村君に問いただした。
「待て木村 心悟! 君は都 霧刀に何らかの異常事態が発生していると言うのか!?」
「そうだ、恐らく今の都は記憶喪失に近い症状が出ているはずだ!」
んげ! 何バラしちゃってんのこのKMRはぁ! やっべ、拳君がこっち見てる!
「み、都 霧刀! お前は記憶喪失なのか!?」
「え、うん」
「な、何故それを俺に言わなかったぁぁぁぁあ!!」
大分憤慨してらっしゃる、取り敢えずオレは拳君と木村君に、オレが都君で無いことを隠しつつ記憶喪失になっている旨を伝えた。 って言うか木村君はオレが都君じゃないと分かってないのか? もしかしたらオレを都君だと思い込んでいるのか? 何にせよそこら辺は聞かれたら答えよう。
「記憶喪失だっただとぉ? ならば改心したように見えたのは記憶を一切失っているからか……?」
「いや、今のオレは少なくともオレの素直な思いで行動している。 記憶喪失は関係無い! ……はず」
「どうやらそのようだ。 僕にかかれば嘘をついてもそこに至るまでの過程を僕が覗いて論破出来る」
木村君のお陰で嘘じゃないと拳君に教えられた。 KMRまじ優秀。 オレは拳君に告げる
「拳君、オレは1日も早く記憶を取り戻し、何でこんな事になったのかを解明する。 だからオレを知っている奴に会いに行く、こうやって転生者に会えば何か手がかりが出てくるはずだ」
拳君はしばらく黙って何か考えているようだ。 ちらっと木村君を見ると木村君は既に眼帯を付けている。 彼曰く長い間心を覗くと疲れるそうだ。
木村君と話をしていると拳君が神妙な顔付きで話しかけてきた。
「記憶を取り戻す、それには協力しよう。 俺も早いとこちゃんと反省して貰いたいし」
協力をお願いしようと考えていたら向こうから勝手に協力してくれる事になったでござる。 話が省けて楽だけど。 拳君は続けてオレに告げた。
「しかし、記憶を再び取り戻し、前の傍若無人に戻ったら、俺は君に決して力を返さない。 力を剥奪したまま俺は帰る、あと4、5年はこの世界に居なければならないが、何が起ころうと力を返さん。 わかったな?」
オレは拳君の出した条件を飲む、と言うか正直記憶を取り戻しても都君になる訳ではないから要らない心配だけど。
ふと目線を他所に向けると日が傾き始めている、思ったより話していたようだ。 オレは二人に言う。
「今日の所はこの辺にしようぜ、整理する時間が欲しいだろうし」
「そうだな、一先ずは解散しよう」
オレと拳君は屋上の扉を開ける、あり? 木村君はまだ屋上て何か考えている。
「木村君ー? 帰らんの?」
「僕はまだここにいるよ」
「さよか、なら気いつけて帰りんしゃい」
そう言うとオレは拳君と階段を降りていった。 あ、今日の晩御飯の買い出しに行かなば。 オレは拳君に先に帰ると告げ、スーパーに突撃した。
ーーーーーーーーめっちゃ見られるの忘れてた……
ーーーーーーーー警告。
ここから先にはある一人の少年の独白が記されている。
読むのは構わんが、その内容を私に咎めたりしないで欲しい。
もちろん読まなくても結構だ、その選択はあなた達に任せよう。
私が言いたいのは……警告はした。 ただそれだけだーーーー
とある学校の屋上、一人の少年が物思いにふけっていた。
(都の心を覗いた時、奴の心にはヒドいノイズが掛かっていた。 そのせいで都の心の記憶を辿ることが出来なかった。)
少年は先程自分が目にした事実を確認していた。
(あれは第三者の影響だとか、心がイカれてしまった、などとは違う。 あれは何かの現象に近いものだ)
少年は少しづつ真実を辿って行く。 しかしそれは途中で途切れてしまう。
(しかし、人の心に直接影響を及ぼす等人間に出来るのか? 転生者ならふざけた能力で可能かもしれないが、だったら何故都に対してやったのだ?)
少年は疑問に何度もぶつかる、それは彼の考える常識と言う名の壁だ。 少年は何度も真実に辿ろうと解決の糸口を探しては辿るが、必ずその糸は途切れてしまう。 そして少年は自分でもあり得ない思考に陥る。
(……もしや、神ならば、全知全能にして森羅万象を司る神ならばこのような事を簡単にしでかしてしまうのでは!?)
少年達は知っている、神がどんな存在なのかを。 人間を簡単に転生させてしまうのだ、確かに常識外のことが出来るのは神がそれに近い存在だけだ。
(……いや、そんな馬鹿げた事があってたまるか、何で神が転生した後の人間にちょっかいを出さなければならないのだ。 まったく馬鹿馬鹿しい)
少年は思考を手放す……それが真実に近い事だと知らずに。
(考えてもしょうがない、都に協力していればこの現象の正体が分かる筈だ)
少年は帰路に着く、その途中である事を考える。
(そういえば都のノイズがかった心に一瞬だけ映った子供がいたな)
それはーー
(髪の色以外は都に似ていたな、それにみずぼらしい格好をしていたな。 ま、余り関係の無いことだろう)
ーーーーーーーーこの物語の真実に辿り着くのに大切な一つのピースだった……。