オレを知っているやつに会いに行く   作:ほったいもいづんな

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サブタイトル通り、シリアスにしようとして失敗していると思います……今回はただなのはちゃんとユーノ君が出会う話なので、そこだけ分かれば見なくても構いません。

シリアスを勉強しなきゃ!


6話 シリアスにしたらコケるって……イワナ、書かなかった!? (熱い自問自答)

 6話

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから数週間くらいたったが、オレの記憶は一片たりとも戻らない。 以前見た謎の光景は何だったのか。

 

 記憶以外ではあの三人の女の子、なのはちゃん、すずかちゃん、パツキーーアリサちゃんとそこそこ仲良くなれた、今大体友好度マイナス50ぐらいじゃね? 一緒に弁当食べてるだけだし、拳君居ないと会話が成立しないし。

 

 しかし! そんな時なのはちゃんがこう言ってきたのだ。

 

『お菓子の作り方を教えて』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは何時ものように弁当を食べていた時、オレは何時ものように黙って弁当を食べながら話を聞いていた。

 

「へぇ、お菓子作りに挑戦だなんて。 大丈夫? なのはったら結構ドジだから」

「ヒドイよアリサちゃん!? わ、私だって少しは成長しているんだからね!」

「あはは、なのはちゃんは今何に挑戦しているの?」

「クッキーだよ、お母さんに教わっているんだ」

「それじゃあ、ち な み に 、ちゃんと作れたクッキーは何個?」

「え、それは……」

「10個? 20個? それとも焦がし過ぎて1枚も出来なかったとは、言わないわよねぇ……?」

「う、う、う、ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」

「ア、アリサちゃん、いくら(・・・)なのはちゃんでも流石に全部焦がすことは……」

「そうです! アリサちゃんの言う通り今まで作ったの全部焦がしました!!」

「お、落ち着いてなのはちゃん! それじゃあアリサちゃんの思う壺だよ!」

「ところですずかはお菓子作って失敗したことある?」

「え、無いけど……。 焦がした事も無いし……」

「うわぁぁぁぁん! どうせなのはは世界一不器用ですぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」

「はっ! アリサちゃんの策略に乗せられてなのはちゃんにダイレクトアタックが!」

 

 

 何だこのやり取り、子供らしくてめっちゃホッコリした。 なのはちゃんは涙目でいじけているし、すずかちゃんはアワアワしながらなのはちゃんのフォローをしていて、アリサちゃんは腹を抱えた笑っている……。 アリサちゃん、その笑い方は女の子がしていい笑い方やないで……

 

 オレがそれを見ていると、隣に座っていた拳君がオレにはなしかける。

 

「都 霧刀、お菓子を作るのも女子力が関係しているのか?」

 

『屋上たべりゅ事件』以来、拳君は事あるごとにオレに女子力との関連性を聞いてくる。 今回は割りかし関係があるから真面目に答えてあげよう。

 

「モチのロンよ、普通はあんなに手間が掛かるモン作らないって。 それこそ市販のお菓子買えばいいしな」

「ならば何故、高町 なのははわざわざお菓子を作っているのだ?」

「そりゃお前、少しでも相手に印象を与えたいからだよ」

「印象?」

「そ、男って生き物は手作りとかに弱いんだよ。 手作りで作ったお菓子とか編み物とか、時間と手間が掛かる物を貰えるとその女にいい印象を持つ。 いい印象を持つってことは相手を好意の目で見るってことだ。 女は異性からそういう目で見られるのが好きなんだよ」

「それと女子力はどう関係する?」

「以前話したが、女子力とは女を女足らしめる能力だ。 つまり女子力の無い女は男から女と見なされない。 お菓子を作れるということはその女は男に何か尽くせるものがあるということだ。」

「長所を持っているということか。」

「そう、つまり女としての武器を持つということだ。 武器が多ければ多いほど女子力は高まる、その女は女らしいと言えるだろう」

「なるぽど、女足らしめる要因か……。 お菓子等の手間暇掛かる物を作れる女は女子力が高い、そういうわけか」

Exactly(そのとおりでごさいます)

「ふむ、これでまた少し女子力への理解が深まったな」

 

 拳君は日に日に女子力を学んでいっている。 ……あれ? 女子力って学ぶものだっけ? まあ、いいや!

 

 三人に視線を戻すと、なのはちゃんは機嫌を取り戻していた。 ……若干涙目だが……。 そんななのはちゃんに拳君がある質問をする。

 

「高町 なのは、君はお菓子を作っていると言っていたが、一体誰に上げるつもりなのだ?」

 

 拳君が質問してから数秒後、なのはちゃんは反応した。

 

「にゃっ!?」

 

 なのはちゃんは顔を真っ赤に染めている。 何だこの子、やはり天使か? なのはちゃんは拳君の質問には答えなかった。

 

「え、えっと……その……ぇと……」

「? 言えないのか?」

 

 なのはちゃんは俯いてしまう。 そら(恋する乙女にそんな質問したら)そうよ。 しゃあない、ここは助け舟をだしてやろう。

 

「少年や、男の子は女の子にそんな質問をしちゃいけないんだぜ?」

「何故だ? 気になるではないか」

「女の子はサプライズが大好きなんだ。 もしここで拳君に話して、他の誰かに伝わったらサプライズ失敗だろ? 男は決して女の努力を追及しちゃいけないのさ 」

「そうなのか……なら聞かないことにしよう」

 

 まあ、ぶっちゃけ渡す相手は分かっているけど。 拳君も罪な男だな〜、こんな可愛い女の子を惚れさすなんて。

 

 ……ん? アリサちゃんとすずかちゃんが大人しい? すずかちゃんはともかくアリサちゃんはガッツリなのはちゃんを弄ると思ったのに。 不思議に思い二人を見ると……

 

「まさかなのはまで拳を狙っているなんて、ここは先に何か手を打っとかないと……!」(ボソボソ)

「なのはちゃんも拳君の事が好きだったのは知っていたけど、もう行動にでるなんて……お姉ちゃんにアドバイスを貰って……」(ボソボソ)

 

 独り言を唱えている、二人共顎に手を当てながら。 ……拳君主人公。 はっきりわかんだね。

 

 オレはその光景を見ながら呟いた。

 

 

 

「お菓子は誰にでも作れるけど、ケーキとかは結構手間かかってたいへんなんだよな〜」

 

 オレには記憶は無いが、ケーキを作る際の知識はある。 実際に作ってはないがそういう知識があるということは以前のオレはケーキを作れたのだろう。

 

 オレにとっては独り言、しかし三人の女の子はその独り言に反応した。

 

「き、霧刀君ってお菓子とか作れるの?!」

「ん、多分な」

「じゃあさっき言ってたケーキとかの大きなお菓子も……?」

「多分出来んじゃね?」

「何で男のあんたがそんなの出来んのよ!?」

「知らん、ホモだからじゃね?」

「ホモは関係ないでしょ! つーかあんたホモなの!?」

 

 アリサちゃんに思いっきり叩かれた、やっぱツッコミの才能あるよ。 そういやアリサちゃん、君、最初は言葉でツッコミを入れてたのに最近は肉体言語でツッコンでくるよね。 距離が縮まるのは嬉しいけど痛いのはちょっと……

 

 何て考えていたらなのはちゃんが何やらボソボソと呟いていた。

 

「確かにお弁当は美味しいし…………お母さんにいつまだも頼ってはいられないし……………………それに…………」(ボソボソ)

 

 ちらっと拳君の方を見た後、なのはちゃんはオレに向かってある事を言う。 それが冒頭の言葉。

 

「霧刀君! 私にお菓子の作り方を教えて!」

 

 

 

 オレは二つ返事で了承した。 場所はすずかちゃんのお家になった。 霧刀君の家には年頃の女の子にはキツ過ぎる物が多すぎる、それに臭いし。

 

 よって広いキッチンがあり、元々日曜日に遊びに行く予定(オレ以外)があったすずかちゃんのお家になったわけだ。 オレが入っても大丈夫なのか、そう聞いたら記憶喪失だし、拳君が居るから大丈夫。 後は家族を説得するだけだそうだ。 大丈夫なんすかね……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 という訳で放課後、拳君と一緒に金物屋に行ってきたのだ! 現在時刻は軽く10時だぜ!

 

「都 霧刀……何故調理器具や鍋等を買うだけでこんなにも時間がかかったのだ!」

「行く時に言ったべ? うちにはお菓子作りに適した道具が無いから買いに行くって、あとついでにフライパンとか鍋の新調をば」

「貴様の貧弱な体ではこれらを持って帰ることは出来ない、これは納得した。 ……したが! 何故こんな時間になってしまうのだ!?」

 

 拳君、結構夜も深いから叫ぶのはちょっと……。 遅くなったのはオレが買い物に時間をかけ過ぎたからオレが悪いんだけどね。

 

 しょうがねぇなぁ〜、今度エロゲーを貸してあげっから。 ふたなりしかなかったけど、いいかな?

 

 あ、アカン。 拳君マジおこだわ。 今は早く帰ることを考えよう。

 

 オレは拳君を細い道に誘う。

 

「拳君拳君、こっちならショートカット出来るからこっちの裏道を通ろう」

「随分狭い道だな」

「子供のオレらならへーきへーき」

「……それもそうだな」

 

 オレたちは狭い裏道を通ることにした。 大人では通れないが、小さい子供なら余裕で通れる、ふっくらした子供は知らん。

 

 裏道を通っている時、拳君は何かを考えているのか、さっきから何か呟いている。

 

「どったの拳君?」

「いや、今日は何かあったと思ったんだが……」

「大丈夫? この先に確かに動物病院あったから見てもらう?」

「俺は動物ではない! ……動物病院?」

「せやせや、何時もスーパーに行く時に前通るんや」

「そうか、今日はあの日(・・・)だったな……」

 

 あの日? 何だそれーーとと、広い道に抜けたなーーーードゴォォォォン!! ……何だ今の破壊音は!?

 

 オレは音の原因を確認した。 そして言葉を失った。

 

 砕かれて四方に散っているコンクリート。 よく知る動物病院の見た目は半壊し、瓦礫が積まれている。 離れた所に倒れている青年。 それを心配そうに見つめる女の子。

 

 そして……おおよそこの地球上の生物ではない巨大な化け物。

 

 オレは直感的に理解する、この化け物がこの惨状を創り上げたのだ、と。

 

「……あれはなのはちゃん?」

 

 女の子の正体はなのはちゃんのようだ。 それじゃあ倒れている青年は……

 

 オレが思案していると拳君が青年の正体を教えてくれた。

 

「彼は高町 恭也(たかまち きょうや)。 高町 なのはの兄だ」

 

 なのはちゃんのお兄さん?

 

「少々イレギュラーが発生しているようだが、間違いないな」

「……?」

 

 

 

 

「今日は高町 なのはが魔法を手にする日なんだ」

 

 ……どうこと?

 

「ここが『魔法少女リリカルなのは』の世界だと知っているだろ。 ならば今日はその主人公が魔法を手にする日なんだよ」

 

 つまり……タイトル回収ってことか!? ……ちょい待て。

 

「さっきイレギュラーがあるって……」

 

 イレギュラー、つまり本来の歴史とは異なる何かがあると見て間違いないはず。 ……オレという存在そのものがイレギュラーだけど。

 

「イレギュラーは彼、高町 恭也のことだ」

「なのはちゃんのお兄さんが……?」

「高町 なのはがここに来たのは、ここにいる『ユーノ・スクライア』に呼ばれ一人で来るはずだった。 しかしここには彼女の兄がいる、これがイレギュラーだ」

「な、何だってイレギュラーが発生しちまったんだ?」

 

 

「お前のせいだ」

 

 

 オレ……いや都君が……?!

 

「お前がこの街で自由勝手に暴れたせいで彼女の兄は警戒心を一段と高め、高町 なのはが外出するのに気付いた。 いや、気付いてしまった」

 

 オレは拳君の話を黙って聞いている。

 

「そして二人でここに来た、高町 恭也は妹を守るためにあの化け物に立ち向かうも、化け物に一蹴されてしまった。」

 

「それを見ていた高町 なのはは兄を放って逃げる訳には行かず、ああやってあそこに止まっているのだろう」

 

「だが、この程度のイレギュラーは物語に何ら影響はない」

「……どういうこった」

「この場で重要なのは、高町 なのはが魔導師として目覚めることだ。 その過程が多少変わってもこの物語に大きな影響は出ない」

 

 ……オレは思わず拳君に掴みかかる。

 

「拳君の言う通りなら……なのはちゃんのお兄さんが死んでもなのはちゃんが魔導師として目覚める。 だったらお兄さんが死んでもいいってのか!? そもそも何でイレギュラーが発生しちまったんだよ!?」

「納得する答えが欲しいなら教えてやる」

 

 オレは次の拳君の台詞を聞いて驚愕した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前ら転生者が物語の中心になる為だ」

 

 

 

 

 ……。 オレは何も反応出来ない……。 拳君はそのまま続ける。

 

「お前ら転生者が転生先に選ぶ世界の物語はほとんどが完成されている物語だ」

 

「何か一つ欠けてもダメ、何か一つ加算されてもダメ。 ある一定のバランスで成り立っている世界、そこに転生者が現れては世界のバランスが崩れてしまう」

 

「その為に世界は自らにイレギュラーを与える、イレギュラーが現れることで転生者とのバランスを図る。 今回は彼女の兄なのだろう」

 

 オレは何とか言葉を絞り出し、拳君に質問をする。

 

「じ、じゃあ……今なのはちゃんのお兄さんが倒れているのも……なのはちゃんが逃げないであの化け物に立ち向かっているのも……お……オレが居るのが原因なの……か……?」

 

 オレが何とかして繋いだ言葉を拳君は、

 

「そうだ、イレギュラーに現れる転生者、この構図で世界のバランスは保たれる」

 

 さも、当たり前の様にあしらう。 そしてあの化け物を見つめながら言った。

 

「ほう、どうやら物語の鍵、『ユーノ・スクライア』はあの化け物に掴まれて身動きが出来ないようだ。 状況は思ったより深刻だな」

 

 拳君は淡々と状況を語る。 目の前でクラスメートが危険に晒されているのに、まるでこの状況を興味深そうに眺めている。

 

「た、助けないのか!?」

 

 言わずには入れなかった、『転生者管理会』なんて大層な肩書きがあるのだ。 化け物を倒しなのはちゃんを助けられるはずだ!

 

「無理だ、ここで俺が彼女を助けたら物語が崩壊してしまう」

「そんな理由で女の子を見捨てるのか?!」

「彼女は死なない」

「何で言い切れる!」

「彼女がここで『魔導師となりジュエルシードの回収を手伝う』プロットは決して変わらない。 これは世界そのものの意思だからだ」

 

 なのはちゃんが魔法を使えるようになってこのピンチを乗り越えるのは分かった! だからって彼女の身に何も起こらないとは限らないだろ!?

 

「オレはなのはちゃんを助けるぞ!」

「勝手にしろ、転生者であるお前が関わるのは構わん」

 

 オレがなのはちゃんの所に向かって走り始めた時、拳君の言葉が聞こえた。

 

「ただの子供に成り果てたお前にアドバイスだ。 この状況の鍵は化け物に捕まったフェレットモドキ、『ユーノ・スクライア』だ。 化け物から救出し、高町 なのはに託せればもう誰も傷つくことはないぞ」

 

 サンキュー拳君! 流石ツンデレショタ、ピンチにはちゃんとアドバイスをくれるぜ!

 

 冷静になった今なら分かる、拳君は間違ったことなど一言も言っていない。 拳君はこの世界の人間ではない、だからこの世界に転生した都君ならこの世界のバランスを崩すことにはならない! イレギュラーにはイレギュラーをぶつけるのが一番だと拳君は言っていたのだ! 『オレ』と言う最大のイレギュラーは目の前にあるイレギュラーに唯一対応出来る存在。

 

 都君には悪いが、ちょいとばかし無茶をさせて貰うぜ。 この体がボロボロになってしまうかも知れないが、構わんな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私の名前は高町 なのは、小学3年生です。 今日は昼間にみつけたフェレット? 見たいな動物が傷だらけで倒れていたので助けて病院まで連れて行きました。 その時、誰かに呼ばれた……ような?

 

 そしてその日の夜、また誰かに呼ばれたような気がしたの。 私が家を出ようとしたら私のお兄ちゃん、高町 恭也お兄ちゃんが引きとめに来たの。

 

 でも私は呼ばれた誰かの為に行かなくっちゃ、って言ったの。 そしたらお兄ちゃんが一緒に来てくれるって言ったの! 確かに夜はちょっと怖いし……お兄ちゃんが居れば百人力なの!

 

 私を呼んだ声の主さんは昼間助けたフェレット? が居る動物病院に来て欲しいって言っていたの。

 

 そこに着いたら謎の化け物がフェレットさんを掴んで暴れていたの! 動物病院も壊れていて、地面のコンクリートも割れてた。 きっとあの化け物がやったんだ!

 お兄ちゃんは私に逃げろ、って言って化け物に立ち向かって行った……! ダメ! お兄ちゃんも一緒に逃げよう!

 

 お兄ちゃんはあの化け物に殴り飛ばされて倒れちゃった……。 苦しそうに私に『逃げろ』って言った……

 

 でもお兄ちゃんとフェレットさんを置いて逃げるなんて出来ないよ! 何とかして化け物からフェレットさんを救出して、お兄ちゃんと逃げなきゃ!

 

 化け物が一歩一歩近づいてくる、私が化け物を睨んでいるとさっき見たいな誰かの声が聞こえる。

 

『逃げなきゃ駄目だ! ここは僕に任せて……』

「イヤだ! お兄ちゃんもフェレットさんも……私が助けるんだから!」

『そんな事を言っている場合じゃない! 君の命が……!』

 

 謎の声さんには悪いけど、私の決意は変わらない。

 

 一歩、再び一歩。 化け物は私に近づいてくる。

 

 遠くで誰かが叫んでいるけど、今の私には気にならない。 それよりもどうやって捕まっているフェレットさんを助けるかを考えなきゃ!

 

 一歩。 化け物は私の目の前に立っている。

 

 私はここで理解する、私は何て無謀な事をしているんだろう……。 お兄ちゃんが負けてしまうのに運動オンチな私なんかが何も出来るわけないのに……

 

 遠くからお兄ちゃんの声が聞こえる。

 

「逃げろなのは!! 俺の事はいいからこの事を父さん達に……っ!」

「逃げない! お兄ちゃんがヒドイ目に遭うかもしれないのに逃げるなんて出来ないよ!」

 

 私の決意は未だ消えない。 例え敵わなくても、お兄ちゃん達を助けるんだ!!

 

 捕まっているフェレットさんも大きな鳴き声を上げている。 逃げて、そう言っているのかな? ありがとう。 でもそんな優しいフェレットさんを置いておくことなんてますます出来ない!

 

 化け物がフェレットさんを掴んでいる手とは逆の手を振り上げた。

 

 思わず目を閉じる。

 

 そして叫ぶ、私達をピンチから救ってくれたヒーローの名前を。

 

「助けて拳君ッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大きな音が聞こえました。 コンクリートが砕けた音だと思います。

 

 きっと私は死んでしまったんだと思います。 だってそんな都合良く拳君が助けに来てくれる筈ありません。

 

 ごめんね、お兄ちゃん。 ごめんね、お姉ちゃん。 ごめんね、パパママ。

 

 それからごめんね、フェレットさん。

 

 私じゃやっぱり駄目だったよ…………

 

 

 

「うーん、幾らお望みのヒーローが登場しなかったからって勝手に死なないでくれ」

 

 あれ? 誰かの声が聞こえる。

 

「あなたはだぁれ?」

 

 私は声の主を知る為に目を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーそこには長い白髪を腰まで伸ばし、それぞれ色の異なる目を持つ、最近一緒にお弁当を食べる男の子が居ました。

 

「お、ようやく反応してくれたな。 なのはちゃん」

 

 男の子ーー都君は何故か私に覆い被さっていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 お、なのはちゃんが気が付いたみたいだ。 いやー、実は死んでました何てことになったらオレ、アリサちゃんに殺されると思ってたぜ。

 

 あり? なのはちゃん、顔を少し赤らめてどったの?

 

「な……何で……こんな体制に……?」

 

 ああ、そういやオレ今なのはちゃんに覆い被さっている体制だったな。 悪く言えば完全に襲う体制だ。 誤解されないうちに説明せねば。

 

「いや、あのよ? オレのボディは貧弱だから、お姫様だっこしたり抱えて逃げるなんて器用な真似出来ないからよ。 タックルする形で助けさせて貰ったわけよ」

「あ、そうなんだ……」

「わりわり、今どくよ」

 

 オレはなのはちゃんから離れ、化け物との距離を確認する。 どうらやオレの全力レスキューのおかげで化け物から少し離れることに成功した。

 

 位置関係を説明するなら、化け物、少し離れた所にオレとなのはちゃん。 その背後にはなのはちゃんのお兄さんが倒れている。 そしてオレらとは逆の方向、化け物から離れた位置に拳君が立っている。

 

 なのはちゃんのピンチは一先ず何とかなったが、根本的な解決は出来ていない。 このまま化け物がこちらに来れば、オレとなのはちゃんとお兄さんが順番にやられて行くだけだ。 ここから捕まっているフェレット君……もといユーノ君とやらを救出せねば!

 

「なのはちゃん、君はお兄さんの側に行って逃げる準備をしといてくれ」

 

 オレの提案をなのはちゃんはこう答える。

 

「いやだよ! 私がみんなを助けるんだ! それに霧刀君が危ないよ!」

 

 なのはちゃんの意志は固い、オレは何とかして納得して貰おうと試みる。

 

「状況は分からんがお兄さんが怪我をしているのかもしれない。 もしかしたら最悪あのフェレット君を見捨てなければならない」

「……! そんなこと……!」

「もしお兄さんの容態が悪いのならなのはちゃんはすぐに病院に向かってくれ。 頼めるか?」

「…………! …………っ! ……解った……でも!」

「?」

「無理……しないでね……?」

「ああ、死にはしないさ」

 

 あかん。 今のオレめっちゃ死亡フラグビンビンや。 な、なんにせよなのはちゃんはお兄さんの元に向かった。 オレは一人で化け物と対峙する。

 

 改めて化け物を見る。 さっきまでは二足歩行をしていたのにオレが現れてから四足歩行に変わっている。 その姿はオレを警戒しているように見える、まるで熊のようだ。 熊とは違って必要以上に伸びた爪、逆立つ体毛。 異常に発達した筋肉、そして化け物だと知らしめる禍々しいツノ。

 

 そして化け物の体長はゆうに2メートルを超え、立ち上がればもっともっとデカイのであろう。 そしてその化け物の前に立つオレ。 その構図はゾウか何か巨大な生き物に唸り続ける犬、ハッキリ言って無謀だ。

 

 それでもユーノ君を助けなければ。 オレは奴の右手にあたるであろう場所に捕まっている小動物を見た。

 

「待ってろよユーノ君、今そこから解放してなのはちゃんの元に届けてやるからな!」

 

 小動物は驚く、大方何故自分の名前を知っているのか? そう思っているに違いない。

 

 オレは構える、武術なんてやったこと無いが何時でも走れるようにする。 化け物もオレが格下の存在だと思ったのだろう、四足歩行から二足歩行に変わり、その巨大な姿を再び現す。

 

 オレと化け物は睨み合う、その時背後からなのはちゃんの声が聞こえる。

 

「お兄ちゃんは大丈夫みたい! 骨とかも変な所ないって! だから……」

 

 お兄さんが無事だとしり、オレは五感の全てを化け物に向ける。 ……なのはちゃんが何か言っていたような気がしたが、まあいいや。

 

 静かに睨み合うオレと化け物。 化け物が先に仕掛ける。

 

「グオォォォォ!」

 

 左腕をオレに向かって振り下ろす。

 

 ドゴォォォォン!!

 

 再び轟くコンクリートが破壊される音。

 

 しかし化け物が振り下ろした左腕の先にはオレは居ない。 当然だ、オレは化け物が左腕を振り上げた時には既に行動していた。

 

 化け物はオレが居ないのを不審に思ったのか、辺りを見渡しオレの姿を探している。 そして数秒後、オレに気付く。

 

 オレは現在化け物の右腕にしがみ付いている。

 

 オレはしがみ付かながらユーノ君を助けようとして必死に化け物の手を広げようとする。

 

 化け物はオレを剥がすために腕を振る。 何度も何度も激しく降り続ける。

 

 オレは死に物狂いで化け物の腕にしがみ付き、振り払われないように力を込める。

 

 激しく揺れる体、激しく揺れる景色。 何が何だか分からない状況で、オレはしがみ付く事だけに集中した。

 

 何度やってもしがみ続けるオレに化け物は苛立ったのか、地面に叩きつけようとする。 ーー瞬間、ユーノ君を握っている手が少し緩むのを見た。 オレは迷わず手を伸ばし、ユーノ君を化け物の手から引っ張り出す。

 

 良し! 後はなのはちゃんに届け…………

 

 オレの眼前にはコンクリートが迫っていーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドゴォォォォォォォォォン!!

 

 

 

 ひときわ大きな音がしました。 化け物が右腕を振り下ろし、再びコンクリートを破壊してました。 今までとは比べものにならないくらいの力が込められていたんだと思います。

 

 そして……霧刀君は化け物の右腕にしがみ付いていたため、衝撃で私たちとは反対の方向に飛んで行きました。

 

 霧刀君が……助けに行かなきゃ! ーーどうして止めるのお兄ちゃん!

 

「駄目だなのは、今行ったらあいつと同じ目にあう!」

 

 離してお兄ちゃん! 霧刀君が……霧刀君が……!

 

 そんなやり取りをしていると化け物はこちらを向き、標的を私たちに替えたようです。

 

「くそ! こうなったらオレが囮に……!」

「それは駄目だよ!」

「我が儘言うななのは! 黙って逃げろ! あいつの意思を無駄にするな!!」

 

 ダメ! 化け物の前に立とうとしないで! お兄ちゃんまで……! 私はそんなのイヤ!

 

「グオォォォォォォォォォォォォォォ!!!」

 

 化け物が吼えました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてその咆哮に続いて男の子の声が聞こえました。

 

 

 

「勝手に勝利の雄叫びを上げてんじゃねぇ……よ!」

 

 ボロボロになった霧刀君が立っていました。

 

 霧刀君生きてたんだね! でも身体中から血が出てて、立っているのだってすごく辛いのに……待ってて! 今助けに……!

 

「受け取ってくれー! なのはちゃんーーーーー!!」

 

 霧刀君が何かを呟いたあと、私に向かってナニカを投げました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「勝手に勝利の雄叫びを上げてんじゃね……よ!」

 

 オレは殆んど死に体になった体にムチを打って立ち上がる。 オレの右手にはさっき救出したユーノ君を握っている。

 

 オレはユーノ君に話しかける。

 

「ユーノ君……今から……君をなのはちゃんに届ける……君には何か……逆転の秘策があるんじゃないか……?」

 

 オレは息を切らしながらユーノ君に聞く。

 

「は、はい……でも……どうやって? 貴方はもう走れる体では……」

 

 オレは目に入った血を拭い答える。

 

「一歩も歩けないからって策がないわけじゃない。 今から君をなのはちゃんに届ける。 オレは君を信じている、なのはちゃんを助けてやってくれ」

「……はいっ! 僕に任せてください!!」

 

 オレはその言葉を聞き、構える(・・・)

 

 そしてなのはちゃんに向かって叫ぶ。

 

「受け取ってくれー! なのはちゃんーーーーー!!」

 

 オレはユーノ君を思いっきり投げる。 なのはちゃんに向かって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして……オレは倒れる……なのはちゃんがユーノ君を受け取るのを見て……

 

 意識が落ちる前、拳君の声が聞こえた……

 

「よくやった、少しは見直したぞ。 これで彼女は『デバイス』を手にし、ジュエルシードを回収する。」

 

 デバイスってなんやねん……

 

「安心して眠れ、彼女はもう大丈夫だからな」

 

 そっか……なら……いいか……な……………………。 でも……日曜……の約束……守れそうにないな……。 また約束守れねぇみたいだ……………………また(・・)……? またって何……ーーああもう考えられねぇ…………

 

 意識を手放す。 その時拳君の声が聞こえた。

 

「お疲れ様だ、都 霧刀」

 

 拳君の優しい声を聞き、オレは意識を手放した。

 

 




一万文字って何だよ……
そりゃ二日かかるよ……

今回も誤字脱字等のミスがありましたらコメントしてください。
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