この作品を読み続ける人はマゾ疑惑出てきます
私が書き出せる限りの社会とか個人とかの嫌な部分を見続ける訳ですので・・・
命を賭けたバトルシーンが一番爽快という嫌な小説です
まあ現実に当てはまらないとは限らないのですが・・・
今日も、つまらない授業を六時間きっちり受けた
清仁が学校の玄関を出ると、無数の雨粒が天から降り注いできた
空気は途端に湿気を孕み、辺りは霧が出たのか白くなっていく
校門の前には屋根があるので雨宿りができなくもないが、雨のせいかとても肌寒い
傘もなしに帰宅するのは風をひく可能性があるだろう
「参ったな・・・」
グレーの雲に埋められた空を見上げながら、清仁は呟いた
天気予報を見逃した彼は、今日の夕方から雨だということを知らなかった
なので傘は持ってきていない
体は丈夫なので別段このまま帰っても構わないが、濡れるのはできるなら避けたい
夜更かしで体調が悪くなってきているし、そうでなくとも制服が濡れたら乾くのに苦労する
清仁は首筋を掻いて、ため息をついた
「お、志田~どうした?」
声を掛けられたので振り向くと、青島がこちらに歩いてきた
「ああ、雨具を忘れててな」
「ありゃ~それは困ったな」
同情するような顔をしてから、青島はそう言った
「お前、余分に持ってないか?」
「悪いけど、今持ってる傘だけだよ」
ダメ元で雨具を貸してもらえるか聞いてみたが、失敗に終わった
清仁は再びため息をついた
「わかった、ありがとう」
「おう、じゃ、もう行くわ」
別れの挨拶もそこそこに、青島は去っていった
「弱ったな・・・」
清仁はもう一度空を見上げた
しかし雨雲は一向に散る様子もなく、むしろ先より多くの雨粒を落としてきている
仕方ないので、雨宿りがてら考え事をすることにした
暇潰しの道具がないので、それ以外にすることもないのだが
いつもの不機嫌そうな面のまま正面玄関前のベンチに腰を降ろす
古びたベンチは大きく軋むが、学年の中でも重い方の清仁の体重を支えた
清仁は、現代社会が嫌いだ
産まれた時から数十のワクチンをぶちこまれ、
悪ガキにいじめられるリスクを負って小学校に行き、
中学校で高校試験のために血を吐き、
高校で毎日のように文字通り死ぬ程勉強し続け、
大学に入らなければ一人暮らしもままならない給料の仕事しかできず、
よしんばキャンパスライフへ向かっても小中高ともう飽き飽きするほどしてきた勉強をまだやらされる
そして就職した先には、上司にこき使われ会社に残業代をピンハネされ同僚とうまく付き合わなければならない
それらの要素を蔑ろにすると首が飛ぶ
会社を辞めさせられるという意味でも、死の暗示という意味でも
成る程自殺するサラリーマンが続出するのも納得だった
さて、これが彼の行く末なのか?
苦労に苦労を重ねて待つ先には更なる想像を絶する苦労だけなのか?
彼にはわからなかった
戦時中よりマシなのはわかっている
しかし、これなら戦場で命を輝かせる方が格好いいのではないだろうか
清仁には段々わからなくなってきた
それなのに、政治家共はやれ外国だやれ環境だと騒いでいる
うんざりだった
「・・・ん?」
ふと周りを見回すと、一人の少年が辺りをウロウロしていた
歳は十歳も無いだろう、背も清仁の腹くらいしかない
どうやら、誰かを待っているようだ
「ちょっとごめんね、そこの君」
清仁は声をかけてみることにした
「寒くない?」
「・・・寒い」
「そうか」
少年のその一言を聞くや否や、清仁は制服の上着を脱いだ
そして、少年の肩へかけた
「無いよりはマシだろ」
「うん・・・」
「誰かを待っているのか?」
「うん・・・」
清仁の質問に、少年は素直に答えた
「じゃあベンチで待ってようぜ、屋根の外彷徨くよりは良い」
そう言うと、清仁はベンチを指差した
数分後、少年の母親が少年を迎えに来た