もしゃもしゃとハンバーガーを貪る清仁
自転車を漕がず、その場で食っている
こんな最高の気分の時に片手運転で事故を起こしたら最悪だ
だから今食べきってしまう
「・・・志田・・・?」
「ん?」
呼ばれた気がした
殺風景な公園を囲むように生えている街路樹、その一本
「青島!?」
友人の青島が、いた
「・・・お前、あれ、お前なのか?さっきのが?」
青島は、ショックを受けているようだ
目を見開いて、清仁を指差している
「お前なのか?あの、怪物が?」
「あ、青山・・・?落ち着け、俺は・・・」
あれ、さっきの、怪物
清仁は、青山が何を言っているのか理解した
見られた
「あれが・・・どうしてお前が・・・?」
怪人と化した清仁が、別の怪人を惨殺するところを、見られたのだ
「うぁ、あっ」
もし目の前の友人が、警察かどこかにこのことを言いふらしたら
いや、警察以外でも、他の人間に広めたらどうなってしまうのだろう
確かに清仁は、今の世の中に不満を持っている
だがこれ以下になってくれとは思っていない
「どうやって、お前・・・どこで、え?いったいどこで、その姿に・・・どうして?なぜ?」
青島の質問に、清仁は答えられなかった
ペダルを思い切り踏みつけた
一刻も早くこの場から逃げたかった
「あ、待て!志田、教えろ!志田ぁーっ!」
後ろから青島の声が聞こえる
無視した
偶然にも、松井県知事が見えた
無視した
駐車場で停めた車の中でふざけ合うカップル
無視した
無視した
無視した
無視した
そして家の目の前に来た
自転車を停め、玄関から転がり込み、一目散に自分の部屋へ
ベッドへ潜り込み、雷に怯える子供のように布団を頭から被った
そして震えた
「あ・・・あぁっ・・・あ"ーッ!」
自分の社会生活が、脅かされようとしている
異形に変身できることについては、問題ないだろう
だが清仁は、今まで沢山異形を殺している
異形と化した人間を
そう、人間を殺している
我慢しきれずに無数の一般人の前で戦ったこともあった
そんな黒い異形と清仁がイコールであると世の中に知れたら?
警察沙汰では済むまい
「う"ぁああああッ!!」
震える
涙を流す
鼻水が垂れる
言い様のない恐怖、周りの全てに圧迫されているような感覚
心臓が締め付けられ、喉が急速に乾き、脂汗が絶え間なく流れ出す
動悸が激しくなる
「ウブッ・・・オゲロォオッ!オボォッ!」
吐瀉物が溢れだした
体の震えが止まらない
頭のなかにはたった一つ
俺はこの世界で生きていけるのか?
翌日、焦点の定まっていない目で学校へ行った
誰も清仁を化け物と呼ばない
警察から家へ電話も来ない
おかしいことは何もない
だが、たった一つの変化はあった
青島だ
青島は欠席していた