変身願望ブルゥス   作:アルファるふぁ/保利滝良

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見知った敵

 

今日も放課後が終わった

そう、今日もである

正体を青島に知られても、身の周りを含めた世間は全くと言っていいほど変化はなかった

自身の社会的立場が崩壊することを恐れた清仁は、神経質に周囲を観察した

だが、青島が欠席したこと以外は学校になんの変化もない

登下校の時に通る通学路も、相変わらずくすんだアスファルトと通り過ぎる一般人があった

つまり、清仁の周囲の世界は、清仁を怪人だと認識していないのだ

つまり青島は、清仁が怪人だと言いふらしたりしていないのだ

今日学校を休んだのも、もしかしたらそれが関係しているのかもしれない

 

 

 

前カゴに教科書などを詰めたリュックサックを突っ込んで、仏頂面の男子学生が自転車のペダルに足をかけた

「よっ、こい・・・せっ」

志田清仁である

彼はこの変わりない学生生活に安堵していた

誰も清仁が異形の怪人であることを認知していないと、わかったからだ

いかに最低かつ卑劣かつ凶悪かつクソッタレなスチューデントライフといえども、怪人として扱われて最悪害獣のように社会に抹殺されるよりかはマシなのだ

だが、一つ不安は残っていた

清仁唯一の友人である、青島のことだ

清仁が怪人であることを知ってしまった一般の人間は、彼だけである

青島の行動次第で、志田清仁の社会生活の存亡が別れるのだ

それを考えると、自然と寒気がした

この日青島は学校を休んだが、一刻も早く青島をなんとかしておく必要がある

どうするかまでは、考えていなかったが

「うんっ?」

考え事をしながらペダルを踏んでいると、目の前に人影があるのを見た

それこそが、現在の悩みの種である、青島だった

「青島?」

ブレーキをかける

青いシャツに茶色いジーンズを履いた青島

学校に行く様子ではない、完全な私服姿だ

「お前どうしたこんなところで・・・今日、学校あったんだぜ?サボってたのか?」

震えた声で話しかける清仁

だが友人は、低い声で口を開いた

「志田、ごまかすのはいいよ」

「ぬ・・・」

青島の様子がおかしい

そう感じた次の瞬間、青島の姿が変わった

「松井さんの言う通りだった、こんなに力が涌き出るなんて」

柔らかそうな皮膚は強固な外骨格へ

衣服は消え、表面には鮮やかな銅色

清仁よりよほど整った顔立ちは、醜い化け物のそれへと変化した

両腰に二振りの太刀

握り拳も、堅い表皮に覆われていた

「お前、それは」

見間違えるはずがない

それは紛れもなく、怪人だった

「俺は力を手に入れたんだ・・・強い、強い力を!」

怪人がくぐもった声を出す

「手始めに、死ねよ志田」

銅色の怪人が拳を握った

人間の清仁の目には止まらぬほどの速さで、距離を詰めてくる 目前に迫り来る指の第二関節

「・・・ッ!」

そして清仁もまた、その姿を異形に変えた

瞬間、脳天が揺れるような衝撃

殴られたのだ

後ろに二歩下がる、黒い異形

いきなり襲いかかってきた友人に対し、清仁はたじろいだ

がつっと音がした 耳の後ろから聞こえた 後頭部に、再びの衝撃

そんな馬鹿な グラグラに揺さぶられる脳味噌で、清仁は必死に考えた

青島が変身した怪人は、すぐ目の前にいる

なら、後ろから攻撃してきたのは誰だ

振り向くまでもなく、別の怪人だろう

そういえば、と清仁は考えた ここは松井に会ったバイキングレストランから八キロ先の書店の近くだった

そして青島は、変身した直後に松井の名前を出した

同じ名前の人物がいる可能性もあった しかし、一番最悪な答えが、この場合一番正解に近いのだろう

松井は青島を焚き付け、ついでに他の怪人とタッグを組ませ、俺を確実に葬るつもりだ、と

 

 

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