変身願望ブルゥス   作:アルファるふぁ/保利滝良

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土砂降りと血戦と

 

白っぽく変色したアスファルトに、黒い水玉が一つ、二つ

それが何度も何度も続き、その度に天から水滴が滴ってくる

雲が空を灰色に埋め尽くした 雨は地上にあるものを濡らしていく

殴り合う三つの影も、例外ではない

黒い影が左腕を振るった 斑模様の異形の顔面に、裏拳がめり込んだ

倒れる異形 濡れ始めた地面に転がる

銅色の影が躍りかかる 青島は右アッパーを繰り出した

黒い影が受け流す 清仁は左掌でその拳を弾き、あらぬ方向へ逸らした

銅色の異形はバランスを崩すことなく、蹴りを打つ 風を切った足刀が黒い怪人の頭を打った 問答無用のハイキックである

よろめいたところへ、もう一発打つべく青島が足を踏み締めた

しなる左足 キックがもう一度放たれる

だが清仁はそれを見切った 青島の足の到達予測地点へ両手を持っていき、掴む そして振り回す

ジャイアントスイングだ ぐるぐると回転がかけられる

回転の速度が限界まで上がったとき、清仁は手を放した 遠心力と腕力とで、銅色の異形が放物線を描いて飛んでいく

びしゃり 着地点のアスファルトで、水溜まりにもなっていない濡れ地が弾けた

三半規管の大暴走に、黒い怪人はふらつく

その腰へ、斑の怪人が飛びかかった アメフトを彷彿とさせる見事なタックル この怪人は、変身する前はスポーツをやっていたのかもしれない

派手に転んだ清仁へ、敵は馬乗りになる 拳を引いて、一発 顔の真ん中へパンチが当たる

両手で乗っかっている相手を突き飛ばし、すぐさま起き上がろうとする清仁

そこへ、銅の怪人の飛び膝蹴りが直撃した 脇腹に折り曲げられた膝が突き刺さる 再びダウン

そのままマウントポジションを取ると直感した清仁だったが、予想は裏切られた

銅色の異形は、腰に提げた二本の刀を引き抜いた それは管のようなもので本体と繋がっていた

その管が、脈打つ まるで刀に液体を送り込むように 清仁にはその現象に見覚えがあった

青島の持つ刀が両方とも横に割れる そこから溢れ出すのは、怪人の体液 凄まじい勢いで吹き出すそれは、ダイヤモンドカッターに使えそうだ

試し切りとばかりに、銅の怪人のすぐ隣の道路標識に、液体の刃が振られた

金属製の細い支柱がいとも簡単に断たれ、雨粒に濡れた右折禁止の文字がアスファルトへ落っこちた 落下したときに、耳を押さえたくなるような騒音が鳴った

それに目もくれず、銅色の怪人が刀を両手に突撃してくる

清仁は背後に一瞥をくれた

斑模様の異形が、すぐ近くで拳を振り抜こうとしている

体の向きを反転 伸びてきた腕を掴む そして力任せに放り投げる

ぶん投げられた斑の怪人 だが銅色の怪人は、飛んできたそれに左の刀を振り下ろした

斬り付けられた斑の異形は、真っ二つに別れてアスファルトに落ちた 一瞬の後、斑模様の怪人は、粉々に爆散した

爆炎を背に、銅色の怪人が右手の刀を振ってくる 黒い異形は横薙ぎの攻撃を前転でかわした

踵の一部が、すぱっと飛んだ まるで人参のへたのように斬り飛ばされたのだ

前転を終えて起き上がると同時に、背中のゲルブレードを抜き放つ そのまま両手に握り、構えた

うなじから延びた管が、ゲルブレードに体液を送り込む 刃が横に割れた そして、半透明の液体の刃が、ゲルブレードから吹き出す 黒い異形の必殺技、ゲルブレードスラッシャー

噴出する液体の剣を、黒い怪人が振った

噴出する液体の刀を、銅色の怪人も振った

それぞれの刃がそれぞれの得物を捉え、双方が半ばから切断された

だが青島には、もう片方のゲルブレードがある しかも、まだたっぷりと体液を吐き出したままのものが

ゲルブレードスラッシャーを二本同時に扱い、なおかつ体液を長時間吐き出させ続けるのは、清仁にはできない あの技はそれほどの消耗がある

そういえば 清仁思い出す

そういえば青島は、腕っぷしと身長を除けば、全てにおいて落ちこぼれの清仁よりも優秀なのだった

無論、持久力も

そして今、この戦いにおいて、怪人となった今は戦闘能力の差は著しく狭まっている 残る清仁のアドバンテージである体格差も、一撃必殺のゲルブレードの前では当たり判定を大きくするものでしかない

どうすれば勝てる?

清仁には、青島のゲルブレードスラッシャーに対抗する術がない

ならば、作るしかない

青島が刀を横に振った 清仁は跳んだ

足裏ギリギリのところを、液体の刃が通り過ぎた

清仁は、刃を出す刀を、刀自体を踏んだ

怪人の腕力なら、自分の持つ刀に別の怪人が乗っかっても、そのまま保持できる

そして清仁は、刀の上で、もう一度跳んだ

先程斬り飛ばされた踵は、孫の手状の器官に変化した 先端が、膝裏から足裏の先へと移動する

ゲルブレードの上で跳躍した黒い影は、新しい器官が生えた片足を敵に向けて、飛び込んだ

志田清仁渾身の飛び蹴りは、その足に生えた孫の手状の器官は、上手いこと銅色の怪人の頭部へ命中した

高圧電流が青島を駆け巡る 降り始めなので、雨水に電気が流れていってしまうことは、なかった

ブロークンサンダーのキック版 それをマトモに食らい、銅色の怪人は大きく吹っ飛ばされた

背中からアスファルトに叩き付けられ、青島は怪人の姿から戻った

清仁も、黒い異形から元の姿に、戻った

 

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