四月上旬、今日は母親の死の五周忌の日だ、なのでお墓の置かれている風見町の外れにある霊園に来ている
『星野友恵』と彫られている墓石の目の前に立ち柄杓で水をかけお供え物と花を置いて合掌する
「かあさん、今日も星野和希は元気です」
今は亡き母の墓前で報告をする、返事をするわけではないがこうでもしておかないと気が済まないのである、ちなみに星野和希とは俺の名前である
「親父はまだ見つかってないよ、もし生きてたとしても会おうとも思わないけど」
父親の星野喜一はというと母の死から酒飲みに明け暮れ、挙げ句の果てに家を出て以来消息を絶っている、俺を捨てたも同然だ
じゃあまたねと言ってその場を去る、その時視界の端で何か動いた気がするがこの霊園ではしばしば見られ今では慣れたことなので見なかったことにする
そしてしばらく歩きとある平原に仰向けになるように倒れこんだ
そしてしばらく一番星を眺めながらため息を吐くようにつぶやいた
「俺は、何のために生きてるんだろう・・・」
その時、空を切り裂くかのように流星群が現れた、それはやんでいた俺の心を照らしてくれるかのように眩かった
「すごい・・・」
しばらくしてやんだが、不安定な空模様の時に降ってくる夕立のようにまた降ってきた
しかし、俺はあるものに驚愕した
「え・・・?」
眩しいほどに光る星が現れたのだ、それは次第に光る大きさを増していく・・・いや、さっきの流星の一つが俺に向かって落ちてきているのだ
「あ・・・」
俺は動くことができなかった・・・いや、逃げなくていいと思った
逆に俺は恐怖の念は抱いていなかった、やっと母親に会えることができるからだ
そして眩しい光は俺を包み込んだ
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眼が覚めると、知らない部屋に寝かされていた
マンションの一室のようで三角のガラステーブルが俺の寝ているソファーのすぐ右手側にあった
「死んでなかったんだ・・・」
なんとなく母親が助けてくれたのだろうと思う、少しでも死んでいいと思った昔の自分を哀れに感じた
そしてふと右手を見た時ある異変に気がついた
「なんだこれ」
円と線で描かれた幾何学的模様がいつの間にか右手の甲に現れていた、それを引っ張ったり引っ掻いたりしてみるが皮膚に焼き付いた火傷の跡のように取れることはなかった
「不気味だな・・・」
ふとのどか乾いたのを感じて体を起こすが全身を針で刺されたような痛みが走った、やっとの思いで体を起こしたが立つことは出来なさそうだ
「み・・・ず・・・」
視界の端にある冷蔵庫に右手を伸ばした、その時俺の右手に呼応するかの如く冷蔵庫の扉が勝手に開いたのだ
「は?」
その中にある水の入ったポットをつかむように右手に力を込める、すると何も触れていないのに固く冷たい感触が右手から伝わってきた、さらにこっちに引き寄せるように右腕を縮めるとポットが浮遊したまま動き俺の眼前に止まった
「・・・」
そのポットを浮かせたまま台所にある透明なコップを浮遊させて引き寄せるイメージを働かせてみる、又してもそのイメージ通りにコップが浮遊した、そのコップに水を注ぎ左手に取りポットを元の場所に戻し空いていた冷蔵庫を閉めた
「あら、起きてたの?」
その時、リビングの端の方から女性が現れた
美しい黄金色の髪の毛を両側で分けてカールをかけたような髪の毛をしている
「私は巴マミ、貴方は?」
「俺は星野和希、あんたが助けてくれたのか?」
「助けた・・・と言うより、私のいたところに貴方が飛んできたのよ」
「へぇ・・・」
正直言ってあそこから吹っ飛んで助からないと思うのだが、それと同じぐらいのありえないことを起こしたのでそんなに猜疑に思わなかった
「それで酷い怪我だったから私が治したのよ」
「でも治したって、どうやって?」
「それはヒミツよ」
やっぱ怪しいわこの人、まぁ命の恩人にそんなこと考えちゃいけないわけで
「じゃあもう動けそうなので、俺は帰りますね」
「そう、また縁があったら会えるかもね」
巴さんの部屋から出た俺は右手を顰めっ面で見る
「飛べるのかな」
ふとそう思い『自分の背中に生える天使の様な純白の翼』をイメージした、すると瞬く間にエネルギーのようなものが背中に集約し純白の羽を作り上げた
「ホントすごいな、これ」
その翼の能力でそのまま家のある風見町に帰っていった