「紫さまー、姉さーん。ご飯が出来ましたよー!」
……返事がない、寝坊か。紫様は最悪仕方なしとしても、姉さんはそこまで低血圧な方ではなかったと思うのだが。私の知らない数百年余りに、姉さんの生活習慣も変化を遂げたのだろうか。少しばかり寂寥感に見回れながらまずは紫様を呼びに行くことにする。が、やはり目覚めない。まぁ紫さまは元々そうなのだ、何時ものようにこの朝食は他に回そう。
次に姉さんを呼びに行ったのだが……いつの間に姉さんは猫になったのだ? 布団を頭から被り丸まるなんて橙のようなこと、少なくとも私はしたことがないぞ。全く、ほら起きろ姉さ……強っ。布団がちっとも剥げん、どれだけ温もりを大切にしているのだ。流石の私も軽く呆れるぞ。
「んぅ……あ、おはよ~。えーっと、今は……藍で良いんだっけ?」
「うむ。今の私は姉さんの妹であり紫さまの式神の八雲藍だ。姉さんも気軽に藍と呼んでくれ」
はーい、と気の抜けた返事をしつつ再び布団へと潜……るな! 私がいる以上、姉さんに不規則な生活はさせん。二度寝など以っての外だ、というか昨日だって「姉さん歓迎会」で酔い潰れてよく寝ていたじゃないか。幻想郷の主勢たちを集めてドンチャンと……だから今日からは早く起きろ!
「ふとん~……」
……少し可愛いと感じたのは内緒だ。
「ご馳走様でした」
「馳走になったよ」
「お粗末様だ。橙、後片付けは任せた」
「はい!」
ちょこちょこと食器を片付ける様が小動物萌えですねぇ、良妻賢母感漂う私の敵じゃありませんけど。私の愛らしさは万国万世万人万妖に共通する絶対概念ですから☆ なんせ神様にも人気な私ですしお寿司。油揚げ食べたいなぁ。
「で、それはそうとこちらはどなた?」
「おぉ、ずっと放置されていたから覚えてるもんだと思ってたよ。昨日も会っているけど……んじゃ、改めて自己紹介だね。ーーー伊吹萃香、鬼さ」
「あらあらどうもご丁寧に。私はこちら八雲藍の姉で、玉藻の前という良妻狐にございます。以後、よしなに」
昔取った杵柄で礼儀作法は完璧な私だった……あ、昔と言ってもそんなに変わりませんよ? 具体的に言うなら赤セイバーと青セイバー、もしくは赤い魔術師とロリ魔術師の胸くらい変わりませんから。えぇ断言しますとも。ちなみにあんな等高線の間隔が広い山と違って私は高尾山くらいはありますので、母性の象徴が豊かでないと賢母なんてやってられませんよ。百戦練磨の床上手を自称する私には必須な属性、それが乳……!
で、結局誰なんです? あ、八雲さんの友人? 昨日酔い潰れて泊まった? へー、よろしくお願いしますね。え、私と戦う? いやいや、私ってば超絶的にビーキーな性能を誇ってるんでやめた方が良いですって。伊吹さん見るからに強そうですし、私なんかじゃ粉砕・玉砕・大喝采! されて終わりですよ。私に出来るのはせいぜいが防御に徹するくらいですし、普通の鬼ならまだ倒せるかもしれませんが貴女クラスになるとねぇ。ほら、代わりに藍なんかいかが?
「……おい姉さん。勝手に私を売るな、それでも姉か」
「獅子は我が子を千尋の谷に突き落とす。そして狐は妹を鬼の供物として捧げるの」
「ははっ、お姉さんは自分に正直だねぇ」
お褒めに預かり恐悦至極、なーんちゃって。だからそんなに睨まないでよ藍、ゾクゾクしちゃうっ! ……あ、ごめん嘘。だから引かないでよー!
……え、あれ、もう終わり?
嘘……今回の話、短すぎ……?
だんだんとクオリティが下がるのが私クオリティ