東方紅緑譚   作:萃夢想天

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本作は、東方Projectの二次創作「幻想入り」の小説となっております。

複数のオリキャラが登場します。
加えて、作者の独自設定がある程度含まれています。
ちなみに、主人公は二人です。

作者の手際の悪さによる誤字や脱字、編集ミスなどや、
戦闘描写、残酷な表現に不快感を持たれる方は、ブラウザバックをお薦めします。
(↑どう考えても今更感)
以上の点がOKな方は、お楽しみください。




第零話 「名も無き狩人、夜に咲く」

______________________________________________________

 

 

 

______弾き合う、金属音。

 

__________絶え間なく響く、唸り声。

 

 

あぁ、全く……いつも通りで嫌になる。

此処の暗さも、狭さも、何もかもが、嫌になる。

 

両手を広げて届くか否か程の広さの独房に、今僕はいる。

別に、自分の意志で此処にいる訳ではない。僕には此処しか居場所が無いからだ。

 

かと言って、この退屈さを紛らわす手段は此処には一つしかない。

 

________不意に、音が止んだ。

 

 

やっと前の人達が終わったらしい。

……正確に言えば、前の人達の「どちらかが」だけど。

重たい扉の開く音と共に、二人の男に連れられながら少年が自分の独房(へや)へと戻っていく。

その身体には、おびただしい量の血糊がべっとりと付着していた。

そんな状態にも関わらず、少年は僕の目の前を通り過ぎていく。

 

________それが当然の反応だ、此処ではね。

 

僕らがいるこの場所は、普通ではない。

いつ、誰が建てたのか。全くもって謎でしかない。

此処に誰よりも長く居る僕ですらそうなのだ、他の皆は尚更知るはずもない。

 

 

______でも、あの人なら。

 

______________姉さんなら、知っていたかも。

 

 

 

五年前、このふざけた地下施設から唯一外に出た、姉さんなら………

 

あの日以来、一度も忘れた事は無い。

こんな馬鹿げた実験をいつまでも繰り返し続ける日常でも、あの人が安らぎをくれた。

異常としか言えない、死ぬことすら前提のような訓練の日々でも、あの人が癒してくれた。

 

 

 

 

______________でも、もういない。

 

 

 

 

 

監視役の男と、随分地位の高そうな女が前に話していたのを聞いた。聞こえてしまった。

聞かなければよかったと、何度も後悔した。

 

 

「………………れは本当な……⁉ 間違…………いのか⁉」

 

「そのよ…………ね。幾つ……不可解……………りまし……」

 

「………結果的に……は死ん………同じ…………ろうに‼」

 

 

距離があった為、断片的なワードしか聞き取れなかったけど、僕は理解した。

 

 

________姉さんは死んだんだ。

 

____________違う、殺されたんだ。

 

________一体、誰に?

 

__________決まってるじゃないか。

 

 

 

 

 

 

_________________吸血鬼に‼

 

 

 

姉さんが此処を出て行った前の夜の事は、よく覚えている。

いつもの優しいあの声が、微かに震えていた。

 

「……ホントに、行っちゃうの?」

「そうよ。だって、それが任務なんだもの」

 

「………嫌だよ、寂しいよ。行かないで、姉さん…」

 

「…大丈夫、私はすぐに帰ってくるから。待ってなさい、ね?」

 

「でも! ………でも…」

 

 

僕は姉さんと離れたくなかった。ずっとそばにいてほしかった。

怖かった、また独りになったしまうのが。

 

 

コツンコツンと靴を鳴らして、スーツを着た男達が僕らの独房(へや)の前に現れた。

顔には数えきれないほどの、様々な傷があった。

僕ら二人を交互に見た後、男達の内の一人が口を開いた。

 

 

「S1341…というのは、どちらかね?」

 

「…………私、です」

 

「…そうか。では、もう一人の方は?」

 

姉さんを識別番号で呼んだ男の後ろに控えていた、坊主頭の大男が

僕らに聞こえない程度の音量で、そっと耳打ちした。まぁ聞こえてたけど。

「こいつはC7110……出来損ないもイイとこですよ」

 

「そうか……。だが、いい目をしている……………惜しいな」

 

 

僕を出来損ない呼ばわりしていた大男を、立派なスーツの男は横目で見つつ言った。

そして別の男に命令して、姉さんを独房(へや)から連れ出した。

 

「残念だが、この任務は実力が必須。どんな目を持とうが、出来損ないでは意味が無い」

 

「では将校、S1341のみにやらせるのですか?」

 

「仕方あるまい。此処で最も強い狩人(ハンター)はこの娘なのだから」

 

 

そうして、姉さんは連れていかれて帰って来なかった……。

 

 

_________そして今、此処で一番強いのは僕だ。

 

 

姉さんと別れた日の夜を思い出していたら、閉ざされていた扉が開いた。

一日二回の食事の内の、二回目を食べてから約四時間ほど、かな?

 

丁度いい運動になりそうだ、と心の中でそう思っていた。

 

ゆっくりと動いていた扉が、全開になる。

 

 

少しだけ(と言っても僕らの独房(へや)からすればかなり)広い空間に足を踏み入れる。

この場所で行われる「訓練」のせいで飛び散った血飛沫で汚れた照明が点灯される。

 

部屋の真上にあるスピーカーから、いつもの声が響く。

 

 

 

「C7110の性能実験を開始する。標的(ターゲット)は五体、武装はナイフのみ」

「大体いつも通りだね…。さぁ、始めよう________⁉」

 

 

 

 

 

__________瞬間、目の前に亀裂が走った。




初めての投稿なので分からない事だらけでしたが、
やっと一歩踏み出したという感じです…………。


次回、東方紅緑譚

第壱話「名も無き狩人、緑の道と往く」

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