今日は友人達とミラクルを起こして
久々に大爆笑しました。いいですよね、こういうの。
人との時間は、大切にすべきだと改めて思います。
だから何だって話ですよねスミマセンww
それでは、どうぞ!
「この人間、我が紅魔館の『執事長』として、これから生きてもらうわ」
レミリアの発言に、パチュリーと美鈴は驚愕する。
ソファで横になって眠っているこの少年を、この館で働かせる。
その言葉の意味を改めて理解した二人は、それ以上何も言えなかった。
「……この子も災難ね。姉に会いに来て、吸血鬼の館に永久就職する事になるなんて」
「笑えませんよソレ………。お嬢様、いくらなんでもそこまでは…」
「言ったはずよ美鈴。これは『私の決定』だとね」
「でも………せめて、一目だけでも」
「しつこいわよ。館への侵入を許したのは、そもそも誰?」
「あぅ……………私です……」
話し合い(?)が一段落着いたところで、小悪魔が紅茶を持ってきた。
彼女は三人に紅茶を淹れ、再び魔導書の整理に戻っていった。
淹れたての紅茶の香りを愉しみながら、レミリアは呟く。
「とにかく、明日咲夜には此処を半日離れるように言っておいたわ。
その人間がこの紅魔館の執事長を務めるに足る逸材かどうか、それまでに見極める。
パチェ、あなたは『あの子』の事をお願いね。少し荒れるかもしれないから」
「………本気なのねレミィ。なら私は何も言わない。でも、どうしてそこまで?」
「…………………『視えた』からよ」
レミリアの表情に影が生じる。
この表情を見せる時は、決まって必ずある人物の事を考えている時だと
パチュリーは知っていた。美鈴もまた同様に察していた。
故に二人は深くまで追求しなかった。その気遣いを悟ったのかレミリアも
また紅茶を飲み干し、席を立った。
そして振り返ってもう一度、座っている二人に声を掛けた。
「 明日、紅魔館の『
____________声が、聞こえる。
____________高音程の、女の子の声が。
____________楽しそうに、笑っている。
『あなたが、あたらしい『オモチャ』ね………』
『つぎは何してあそぼうかしら………あ、でも』
『カンタンに壊れちゃイヤよ……アハハハハ‼』
「__________ハッ‼⁉」
突然目が覚めた。
全身から滝のような汗が滲み出ている……嫌な気分だ。
何か夢でも見ていたようだが、全く思い出せない。
僕はそこまで思ってようやく、見知らぬ天井に気が付いた。
(一体ここは何処だ? 何で僕はこんな所で寝て_________痛ッ‼)
起き上がろうとして、腹部に鈍痛を感じた僕。
着ている服をめくって見てみると、痛む箇所が
他にも五、六ヵ所ほど痛々しい傷が出来ていて驚いた。と同時に思い出す。
昨日、真っ赤な館に赴いた事。そしてその前で門番と戦って、一度は勝利したが
内部に侵入して辿り着いた図書館のような場所で再び相まみえて、彼女の勁を
この身に喰らって吹き飛んだ事。その図書館で魔導書に囲まれて暮らしている
魔女と出会い、その配下の少女を人質に取ったが失敗して反撃を喰らった事。
それらを順番に思い出していく内に、真っ赤な内装の部屋の
扉が音を立てて開き、赤い髪の少女が入って来た。
僕が目を覚ましている事に気付くと、若干涙目になり後ずさる。
しかし震えながらも何とか一歩踏み出そうとする辺り、恐らくは彼女の
主人であるあのパチュリーという女性の命令なのだろう。
少女が震えを抑えつつ、口を開く。
「え、えと……あの、その…。お加減如何です………か?」
「…………えぇ。いつの間にか施されていた治療のおかげで、この通りですよ」
「あ……そ、そうですか。それは良かった……です」
顔を上げて、目が合っては下げ。
そんな行動を繰り返す彼女に、思わず微笑みをこぼす僕を見て
やっと警戒を解いてくれたのか、さらに近付いてくる少女。
「えっと、そう言えば…貴方を何と呼べばいいんでしょうか?」
「……そうですね、では『カルロス』とでもお呼びください」
「え?カルロスさん、ですか?でも確か昨日はお名前が………」
「ハイ、有りませんよ。偽名と言うヤツですので、特に深い意味は」
「あ、そういうことですか!」
段々と打ち解けていっているような気がするが
元々この少女がそういう性質だからだろう。いわゆる
『話してみれば分かる相手』というアレだろうか。
そんな彼女が何か考えるような表情になり、やがて答えが出たのか
嬉しそうな顔でこちらを見つめてきた。
「そうですよ‼ 『カルロス』という名はシャムストの語則では確か、
えっと……『神に背いた者』という解釈で書かれていたんですよ‼‼」
「は、はぁ………」
正直、どんな反応をすればいいのか分からない。
そんな僕の心境を表情から察したのか、彼女はシュンとしおれて
少し落ち込み気味になりながら言った。
「す、すみません‼ 話題逸れちゃいましたね……えっと、実はお嬢様から貴方が
目を覚ましたら伝えろという言伝を預かっておりまして………大丈夫ですか?」
「………その、お嬢様というのは、『吸血鬼』ですか…?」
「え?ハイ……そうですけど…。あの、それが何か?」
「……いえ、何でも。それでその言伝とは?」
「えっと、『私の元へ来なさい。貴方の望む全てを用意して待っている』……と」
「……………………」
僕の望む全て、だと?
笑わせるなよ吸血コウモリもどきが。
僕の
笑えもしない。怒りすら通り越してしまう。
「あの……カルロスさん?聞こえてますか?」
「え、えぇ…大丈夫です。さて、では早速ですが案内を頼めますか?」
「え⁉ もう行くつもりですか⁉」
「女性を待たせるのは、あまり関心出来ませんよ。………頼めますか」
渋々といった感じで了承してくれた少女。
お嬢様とやらの元へ向かう道中で『小悪魔』という名前なのだと知った。
しばらく歩いていると、背中に薄い丸形の羽をピコピコ動かしながら
せっせと窓拭きやら床掃除をしている、僕の膝丈程度の身長の少女達を見かけた。
聞いたところ彼女らは、この紅魔館という館の主人が雇った『妖精メイド』だと言う。
妖精と言う存在を初めて見た僕は軽い衝撃を受けたが、
小悪魔が先を行ってしまうので、着いて行く為あまりじっくり見る事は出来なかった。
そして、とうとう着いた。
小悪魔が立ち止まり、僕に向かって話す。
「こちらが、レミリアお嬢様の寝室となっております。……どうかご無事で」
彼女が部屋の扉を開き、入るよう促しつつ僕を気遣ってくれた。
僕は彼女の優しさに心の内でお礼を述べながら、部屋に入った。
部屋の窓にはカーテンが掛かり、日光が入らないようにしている。
ベッドのシーツ以外がほとんど赤一色で塗り潰された室内。
その真ん中の椅子に、見た目の幼い少女が笑みを浮かべて座っていた。
「いらっしゃい、ようこそ私の館へ。歓迎するわ……咲夜の弟よ」
「……………君が、『レミリアお嬢様』か?」
「ええそうよ。貴方の最も嫌っている『吸血鬼』でもあるわ」
「_________‼‼‼」
その少女の口から出てきた言葉に、僕の肉体が反応する。
だが昨日の一件での傷が痛んで思うように力が出ない。
目の前に、僕の全てを狂わせた元凶がいるというのに………‼‼
「フフ、そうがっつかないで欲しいわ。私は貴方と話がしたいのだから」
そう言って彼女は僕に目の前の椅子に座るように促す。
僕は痛む腹部を抑えつつ、射殺すような目線だけは彼女に向けながら座る。
僕が言う通りにしたことに満足したのか、少女_______レミリアはさらに続ける。
「……そうね、まずはどこから話しましょうか?
私と咲夜との出会いからかしら?それともごく最近の事から」
「御託はいい。さっさと要件を話せ………それが目的だろう」
「…ええ。でも、人間の癖に少し生意気な口調ね」
「吸血鬼相手に、僕が敬意を払うとでも?」
「………まあいいわ。これから話す事に、貴方の『過去』はあまり関係無いもの」
「……何だと?」
レミリアはまるで実力を見せつけるかのように、その背の翼を大きく広げた。
それによって生まれた風圧が、僕の銀色の前髪を撫でていく。
そして両眼を煌々と光らせて、僕を見つめてまた呟く。
「貴方がかつて居た『地下施設』。あそこで貴方が受けていた訓練………。
それは、私達吸血鬼を駆逐するためのもの。まさに生き地獄のような日々を過ごしてきた」
「‼‼ 何故貴様がソレを_______」
「黙って聞きなさい。………そして、そんな生きる事自体が苦痛に
感じる毎日を変えたのが、貴方のお姉さん……今は私の従者の
『十六夜 咲夜』………ここまではいいわね?」
「………………」
「その沈黙は、Yesだと受け取っておくわ。
そして貴方達は二人で助け合い生きてきた、五年前までは。
丁度その頃ね、私が咲夜と出会ったのは。……睨まないでくれる?
これも『運命』なのよ。今更どうにか出来る事では無い、でしょう?」
「………それで?」
「フン……とにかく、その後貴方は咲夜の______姉の事を何も知らず生きてきた。
またその逆も然りだけどね。今の咲夜は貴方を知らないのよ、何故だか分かる?」
「………『名前』、か?」
「正解。知識は中々のようね。私は貴方の姉に『名前』を与えた。
それによって彼女は大幅に変わったのよ。……名とは、その人間個人の証と同じ。
名を与えると言うことは、その名の存在を生み出す事と同義である以上、咲夜が
今までの自分の記憶を無くしてしまっていても仕方が無いことなの。」
僕の聞こうと思っていた事の一つを先に話されてしまった。
姉さんが僕を忘れているという疑問が、今解消された。
そして、慧音さんから予め聞いていたレミリアの『程度の能力』についても
大方の力については今の話で把握することが出来た。
「……それを話すために呼んだのか?」
「まさか、今のは確認よ。『貴方の求める者』と
これから『貴方が求める物』とのしっかりとした違いのね」
「………?」
彼女の言わんとする言葉の意味が理解出来ないまま、
言葉は続けられる。だが、先程よりもレミリアの表情が
切迫しているようにも見えた。………気のせいだろうか?
「貴方最初に言ったわよね、『要件を話せ』って。
少し回り道し過ぎたようだし、やっと『安定して』きたから本題に移るわ」
そう言って彼女は椅子から立ち上がり、姿を消す。
当然の出来事に驚いた僕だったが、すぐに呼吸を整え部屋を見回す。
「………へぇ、流石に美鈴と互角に闘っただけはあるわね」
「…それはどうも。で、どういう事ですかコレは」
今僕の頸椎部分に、レミリアの手が掛かっている。
吸血鬼の腕力並びに握力で握られたら、いくら僕でも即死するだろう。
まるで脅迫。そのままの体勢でレミリアは再び語り出す。
「うん、いいわ。素質は充分にあるわね…………合格よ」
「…何だと?」
「だから、合格よ。試験を受けるための審査に、貴方は合格したわ」
いきなり何を言い出すのだろうか。
状況が何一つ理解出来ない僕に、彼女が怪しく語りかける。
「……貴方が咲夜の弟である事を知った時、私は確信したわ。
よく聞きなさい、今から貴方に一つの試験を課すわ」
「試験だと?」
「ええ。その試験を無事にクリア出来れば、貴方は望むものを全て
貴方の望む形で手に入れられる。____咲夜ではない、貴方の姉を返してあげるわ」
「‼‼ 本当か⁉」
レミリアの提示してきた言葉に、僕は歓喜した。
姉さんを取り戻せるかもしれない。また元に戻れるかもしれない……。
______また、元に?
何故だろう、僕は姉さんと共に帰り、共に暮らす事を考えて
この館までやって来たと言うのに………何故なんだろう。
___________帰りたくない。
何でこんな事思ってしまうのだろう。
「ただし、私の出した試験をクリア出来なければ………忠誠を誓ってもらうわ」
「……………………」
僕の最も憎む存在に忠誠を尽くすという屈辱。
何としても避けなければならない。そして、姉さんをこの手に取り戻す。
だが、何故かこの部屋に来る前ほどの決意を固める事は出来なかった。
「……いいだろう。上等だ、やってやるよ」
「フフ、良い返事ね。いつまで保つのか楽しみだわ」
「………それで?試験の内容は?」
僕と姉さんの自由の懸かった試験の内容。
それは余りに単純明快で、尚且つ困難なものだった。
「試験の内容は至って単純よ……。ただ、半日その場所に居ればいいだけ」
「……?」
「________私の妹、『フランドール・スカーレット』のいる部屋にね」
試験の開始は、午前10時だった。
そして今、午後の5時を30分ほど回っている。
この日、僕は忠誠を誓う事になった。
______________『フランお嬢様』に、絶対の忠誠を。
次回、東方紅緑譚
第十話「緑の道、白玉楼なる真殿楼」