さて、特に申し上げる事もないので
早いところ書き上げると致しましょう!
それでは、どうぞ!
既に東の空から顔を覗かせていた太陽は、南の空高く昇っている。
冬を終えた今、春先のほんのり暖かな風が幻想郷中を駆け巡っている最中。
今日も今日とて変わらない、大きく明るい声がそこから聞こえてくる。
「ぎゃ~て~ぎゃ~て~! は~ら~ぎゃ~て~!」
元気いっぱいにお経をそらで歌っているのは、
そしてその両側頭部からは、犬と兎を足して2で割ったような耳が生えている。
髪と同じ系統の地味な感じの服装で、幼げな彼女の手には竹箒が握られていた。
竹の枝と寺社の境内に続く石造りの通路とが、リズムよくぶつかり合って音が生まれる。
そのリズムに合わせて響子はまたお経の同じ部分を元気よく大声で歌い始めた。
「ぎゃ~て~ぎゃ~て~! は~ら~ぎゃ~……………ん?」
ふと歌を歌うのを止めて、箒で通路を掃く音も止まる。
そしてそのまま首を動かして周囲を見回し、ゆっくりと上へと動かす。
彼女の人間離れした__________妖怪『山彦』としての聴力が何かを聞き取ったからだ。
ピクピクと可愛らしく耳を動かして、正確な音の発生源を探知して肉眼で確認した。
どうやらこの寺の参道で、誰かが弾幕ごっこをしているようだった。
その証拠に、晴れ渡る青空にかなりの数の弾幕が飛んでいっては弾けている。
だが突然それらの動きが止まり、弾幕の全てが初めから無かったかのように掻き消えた。
何が起こったのか気になったが、自分のすべき朝の
落ち葉掃きが終わっていないことを思い出し、再びお経を歌い始めながら再開する。
「は~ら~ぎゃ~て~♪ ぼ~じ~そわか~♪ 」
合っているようで微妙に違っているお経を歌いながら落ち葉を掃き始めて十数秒。
寺の重たげな木製の扉を飛び越えて、小柄な体躯の少女が凄まじい勢いで入って来た。
いきなりの事に驚いた響子だったが、誰かと会ったらまず挨拶をしなさいとこの寺の住職に
教えられた為、それを思い出して実行した。
「おはよーーございまーーーす‼‼」
今日も今日とて会心の出来だと自分で自分を褒めようとした響子だったが、
挨拶と同時にしたお辞儀から元の体勢に戻った時、相手の表情を見て再び驚いた。
目元には溢れんばかりの涙を浮かべ、時折しゃっくりのように泣きじゃくっていたのだ。
そんな顔をしたままで、水色の髪の少女は寺全体に響くような大声で叫んだ。
「助けて! あたいの友達が死んじゃう‼‼」
突然の助けを求める叫びにまたしても驚く響子だったが、相手をよく観察して
背後でパタパタと動いている三対の羽を見つけて、妖精であることに気付いた。
妖精というのは、非常に悪戯好きで騙されると厄介な相手だと知人から教わっている。
だからこそこれも悪戯なのだろうと考え、肩をすくめながら妖精に答えた。
「今は忙しいから、夕方ぐらいになったらまたおいで~」
「何言ってんの‼ あたいの友達が死んじゃうかもしれないんだってば‼」
「大丈夫でしょ、妖精は妖怪よりも復活は早いんだし~」
「妖精じゃないよ! 人間だよ………多分‼」
「へ~、そ~な………え? 人間?」
妖精の言った言葉に僅かな違和感を感じた響子は彼女の指差す方向を見てみる。
そちらはさっきまで弾幕ごっこが行われていた場所と方角が同じ事に気付いた。
もしかしたら、彼女の友人というのはこの寺に参拝に来る里の子供ではないか?
ここへ来る途中で彼女らの弾幕ごっこに巻き込まれ、大怪我をしてしまったのか?
そう考えた響子の顔からは一気に血の気が引いていき、真っ青になりかけていった。
もしも本当にそうだったら、落ち葉なんて掃きながら歌っている場合じゃない。
手にしていた箒を投げ捨て、妖精に案内を頼んで怪我をしている人間のところまで
連れて行ってもらった。
気持ちの良い昼の日差しを浴びながら、声を漏らしつつ背伸びをする一人の少女。
ポキポキと背骨から小気味良い音を立てながら、肺の中にある空気を吐き出す。
水に濡れているかの如く瑞々しくツヤのある短めの黒髪に、
髪の色とは正反対の純白で染まっている船乗り帽と緑色の袖口のセーラー服を着飾っている。
下半身は太ももの真ん中辺りから下が見えるほどの丈のセーラー仕様のスカートに包まれ、
至ってシンプルなデザインの黒い靴を履いて境内を闊歩している。
そんな彼女があくびをしながら視線を落とすと、そこには竹箒が転がっていた。
穂先に少し落ち葉が引っかかっているのを見ると、使用されたものであることが分かる。
この寺社__________名を『
竹箒で掃くのは、仏道に入門してきたあの山彦の勤行だと村紗は知っていた。
「響子め、掃除サボってどこで遊んで…………歌ってるんだろうね全く」
凄く仕事熱心で物覚えも早いのだが、いかんせん気が散りやすいのが玉に傷だよなぁと
一人でこの場にいない響子へ駄目出しするが、突然寺の扉が開いて噂の相手が現れた。
早速注意してやろうかとそちらへ目線を向けるが、村紗の目はそこで大きく見開かれた。
「あ、あんた何してんの? 何担いで………それ人⁉」
「村紗! 良かった、助けて! この人心臓が動いてないの‼」
「は⁉ えっと、ちょっと待って。いきなり何なのさ‼」
今の状況に理解が追い着かない村紗は、響子に説明を求めるが拒否される。
響子
彼女は山彦という妖怪だ、耳の良さは妖怪の中でも群を抜いているはずだ。
きっと心臓の鼓動の音を聞いて、動いていないことを確認したのだろう。
「ちょ、それ一大事じゃんか! 早く竹林の診療所に連れてきなよ!」
「で、でも重いし………それに全身が凍ってるみたいに冷たいの‼」
「何よそれ…………」
「とりあえず堂内へ入れたらどうです?」
どうしていいか分からずにあたふたする二人の背後に、人影が現れる。
村紗と響子はその声の主を見つめ、その通りにしようと動き出す。
そこに現れたのは、『毘沙門天の代理』こと、『
一般的な女性よりも若干背丈が大きめの、スレンダーな体型。
頭頂部には何かの花弁のような物が置かれ、風で僅かに揺らめいている。
髪の色は全体的には金色だが、所々に虎のような黒色が混じっている。
服装はまるで『毘沙門天』を模しているようだが、女性用の物になっている為か
もはやその荘厳は面影は見られなくなってしまって、ファッションと化している。
村紗が手伝いながら響子と一緒に担いだ人間を寺の中の一室に運び込む。
綺麗な畳の上に担いでいた人間を慎重に横たわらせて、仰向けにさせる。
そこで初めて、村紗と寅丸は人間の異様な外見に気が付いた。
「な、何コイツ………顔を布で隠してる。まるで死人みたいじゃんか」
「確かに。まるでキョンシーのようだが…………それにしては奇妙過ぎる」
「は、運んだはいいけど、この後はどうするの?」
「どうするって………星、何か考えがあるんでしょう?」
「勿論です。まずは」
そこまで星が話してから、畳部屋の障子戸がスルスルと開く。
開いた戸の先で立っていた人物を見て、星が顔に笑みを浮かべる。
「ナズ! 良いところに来てくれました、少し頼みが__________」
「そこまでだご主人。私の方の話を優先させてくれ」
「え? ええ、いいですけど」
「では。ご主人は今朝方、私に何と言ったか覚えているだろうね?」
畳部屋の中にスタスタと歩いてくる人物の顔を見ながら星は頷く。
その返答を良しとしたのか、再びその人物が言葉を紡ぎ始める。
「ならばいいんだよ。ご主人は確かに『無くした宝塔を探すのを手伝ってほしい』と
確かにそう言った、それを覚えているのならば良いんだがね…………ねぇご主人?」
「な、何ですかナズ」
「ご主人は確かに『手伝ってほしい』と言った。それは間違いないね?
それはつまり『自分も探すから協力してほしい』って意味合いで合っているね?」
「勿論です」
「だったら何で今朝から一度も宝塔を探そうとせずに、見知らぬ人間を勝手に
寺の中にまで上げて、更には得意気に話を始めようとしていたんだね? んん?」
「えっと、それは…………」
話が続く内に、星の身長がみるみる縮んでいくように見える。
それほどかしこまっている彼女を小さな身長であるのに見下ろしている少女。
バッサリと切り揃えられた鼠色の短髪に、まさしくネズミのような耳が生えている。
少しくすんだような深緑色のような色合いの独特な形状の服を着ている。
そして彼女のスカートの裾からは、まさにネズミと同じような尻尾が突き出されて、
その先には小ネズミの入った小さなバスケットのような籠が引っ掛けられている。
少女と言われるほどの身長からは想像がつかないほどの重圧を感じさせる笑みのまま
畳の上でいつの間にか正座している星の背後へとゆっくりと歩み寄っていた。
「弁明があるなら聞くが?」
「う………………ひ、人助けですよ、これは」
「人を助ける前に放置されている宝塔を助けようとは思わんのか。
見知らぬ他人は思いやれて、毘沙門天様の宝具は気にもかけないというのか」
「いえ! 決してそのような事は‼」
「無いと言い張るには説得力が足りていないぞご主人」
「うう………………」
「この者は私が診るから、ご主人は宝塔を見つける。意義は?」
「ありません!」
声を張り上げながら答える星を一瞥して、
慌ただしくその場を離れた彼女の後ろ姿を見ながら、村紗は感心したように呟いた。
「しっかしまぁ…………これじゃどっちが『ご主人』か分からんね」
「私の主人は他でもない寅丸 星だけさ。だが、ついでに覚えておくといい」
「何を?」
「真の知恵者とは………人の上に立つ者ではなく、人の上に立つ者を育てる者だよ」
自信ありげに片目だけウィンクしながら、その少女『ナズーリン』が微笑む。
だが彼女はすぐに微笑みを掻き消すと、眼前に横たわる人間を観察し始めた。
「さてと、この者を最初に見つけたのは君だね?」
「う、うん。妖精の子がいきなり飛び込んできて、『友達が死んじゃう』って。
最初は悪戯かとも思ったんだけど……………行ってみたら本当にこの人が倒れてて」
「なるほど。しかし、何故妖精が?」
「分からないけど、多分弾幕ごっこの巻き添えだと思うんだ。お昼前に落ち葉を
掃いてたら、綺麗な弾幕がいっぱい飛んでいくのが見えたから」
「ふむ………ん? 何だこれは」
「どうしたの?」
「いや…………この人間、というか人間か怪しいが彼は________」
話を聞きながらも処置するための腕を止めずに衣服を丁寧に脱がしていって、
ナズーリンはやっとこの人間の症状を理解し、響子と村紗に伝えた。
「____________凍傷だ。肉体がほとんど凍っているぞ」
「は? 凍傷?」
「もう冬は過ぎてるよ?」
「そんなのは分かっているさ。だがこれは紛れも無く凍傷なんだよ」
男の凍り付いて冷たい身体を素手で触診しながら、改めてそう呟く。
響子の言う通り春先なのに凍傷と言うのはおかしいし、なにより全身が凍傷に
なるほど凄まじい寒さは、先の冬でもナズーリンは一度も体験してはいない。
明らかに異常な事態であることを認識した彼女はすぐに判断する。
「凍傷の者をむやみに動かしてはいけない。ご主人の采配が珍しく良い方向に
流れ着いたのは本当に幸運だったが………船長、風呂の湯を沸かしてくれるかな?」
「
「確かに本職に診せた方が確実だ。だが、その場合ここの評判はどうなる?」
「評判?」
「そうだ。いいかい? ここは『妖怪と人間の共存』を
そんな場所から、妖精と何者かとの弾幕ごっこに巻き込まれて凍傷を負った人間が
竹林の診療所に運び込まれれば、たちまち人里の誰もが知るところとなってしまう。
そうなれば、『所詮人と人ならざる者とは相容れない』と里の者達は考えるだろう。
突飛な考えかもしれないが、こうなる可能性が無い訳じゃない。だからこそだよ」
なるほどと更に感心したような呟きを漏らした村紗を余所に触診を続ける。
胸板を見る限り男であろうと判断して、触っては不味い部分を除いた結果、
残すところは顔__________布で覆い隠された部分のみとなった。
「さて、残るはここか」
「………ねえナズーリン、今更なんだけどさ」
「何だい?」
立ち上がって風呂を沸かしに向かおうとした村紗が立ち止まって振り返り、
顔の部分を触診しようとしていたナズーリンに思いついたことを問いかける。
「その人間さ、『姐さん』なら何とか出来るんじゃないかな?」
「多分出来るだろう。だが彼女は用事で朝から出かけているんだろ?
この男の命がその帰りを待ってくれるほど悠長だったなら良かったんだが」
ナズーリンの是とも非とも取れない物言いに難色を示した村紗だったが、
どちらにせよ迷惑はかけられないと考え、そのまま風呂へと向かった。
村紗を見送りながら、ナズーリンは響子に拭くための布巾を催促する。
響子も頷いてその場を離れ、畳部屋には男とナズーリンだけとなった。
「しかしこの男………触ってみた感じでは紛れも無く人間なんだが、
どうしてか感覚的に見ればかなりの妖力とそれなりの神通力を宿している。
全く以て矛盾しているぞ。奇妙な存在を拾ってきたものだな…………さて」
軽く息を吐いて改めて真剣な面持ちになったナズーリンは男の顔に手を伸ばす。
実は彼女は、それとなく村紗と響子の二人をこの部屋から追い出したのだった。
(顔を隠しているのには間違いなく理由があるはずだ、しかも重大な。
どのような理由かは知りはしないが、良からぬ事でない確率の方が少ない。
もしもお尋ね者やそれに類する者であったならば、お縄をくれてやろう。
しかしその場合はここにこの男を運んできた響子が責任を感じてしまうはず。
だとしたらある程度傷を癒してからの方が都合がいいだろうな、お互いに)
まさに知略の申し子とも言うべき頭脳を駆使して、状況を整理する。
自分の考えや行動に何か不備や見落としが無いかを再び思い出し確認する。
繰り返し反芻して確認するが、落ち度は無いと結論付けて行動を再開する。
ナズーリンの少女のような手が、男の顔にかかっている布を掴み、持ち上げる。
そして彼女はその先にあった男の顔を見て________________絶句した。
「な…………んだ、これ…………は……⁉」
布の下には、本来あるべき顔がどこにも無かった。
正確に言えば、顔の輪郭はある。だが顔のパーツが何一つ無いのだ。
代わりにあったのは、ナズーリンとはあまり縁のない物だった。
「き、機械………か?」
「分かってる? 自分の状況」
「ええ、勿論です」
夜の月明かりに照らされている部屋の中で、一組の男女が話し合っている。
女性の方は無表情に近いが僅かに眉が吊り上がっていて、男は柔和な笑顔だった。
その男の表情を見て、女性の方も小さくため息をついて読んでいた本をしまう。
「今日が上弦の月、即ち半月なのよ?」
「分かっていますよ。自分の身体ですからね」
「……………だったらもう無茶はやめなさい」
「無茶などしておりませんよ。僕に出来る事をしているだけです」
男の方は心から満足しているように笑みを崩さず語る。
逆に女性の方は吊り上げた眉をさらに一段階上に吊り上げて話を続ける。
「普通の人間がここで生きることすら無茶なのに、あなたは尚更よ。
いくら外の世界で道理を越した苦行を生き抜いてきたからって…………」
「お優しいですね。僕なんかを心配してくださるとは」
「心配だなんてガラじゃないわ。私は資源を無駄にするのを嫌うだけよ」
「僕にはそれで充分ですよ。今までクズ以下の扱いでしたので」
「…………………………あと、
「僕の今までの人生とも呼べぬ時間の積み重ねは、この幻想郷での
楽しい日々を送るための供え物のようなものだったんですよ、きっと」
右手を心臓の位置に持っていき、皮膚や筋肉越しに伝わる鼓動を感じる男。
その仕草を見て何を思ったのか、女性は腰かけていた椅子から立ち上がった。
そして男に近付くと、両手で男の顔をガッチリと押さえ込んで無理矢理目を合わせる。
「まだ終わってないじゃない、まだ生きているじゃない。
魔術以外で初めて興味を持った対象であるあなたに死なれたら、困るわ」
「そんな事言われましても、世の中どうにもならない事もありますよ」
「らしくないのは自覚出来てるわ。でも妹様だって、小悪魔だって…………」
自分から目を合わせにいったにも関わらず、目を逸らしてしまう女性に
魅力的と言わざるを得ないような表情で男が女性に詰め寄った。
「それだけの方々に思ってもらえた時点で、僕の人生は充実しているんです。
残りの人生が一週間だというのなら、今まで通りに一週間過ごすだけですよ」
「……………その後は?」
不安げに尋ねる女性の腕を優しく掴みながら、男が質問に答える。
「後なんてありませんよ。終わる時には必ず終わるんです」
「…………………………………」
掴んだ女性の腕を優しく顔から引き剥がしながらも決して視線は逸らさずに、
むしろ端正に整っている女性の顔に自分の顔を近づけながら逆に問いかける。
「いずれ終わりは来ます。ただ、それが早いか遅いか…………それだけです」
「だとしても早過ぎるでしょ」
「まぁ早いとは自分でも思ってますけどね………………それでも僕は
短い自分の人生に充分満足しているんです。皆さんに会えましたしね」
「………………………………」
「まぁ、でも………………」
少しだけ視線を地面に落としながら、男は寂しげに呟いた。
「姉さんと昔みたいに話したかったっていうのが、心残りですかね……」
「………心残りなら、生き抜いて実現してみなさいよ」
「いえ、止めておきます。僕の人生で、これ以上の幸せを求める事は欲深く
傲慢な事でしかないと思いますので」
「いいじゃない、人間なんて欲の塊よ」
「だからこそ、最期くらいは欲も何も無く逝きたいんです。
皆さんとの、お嬢様達との幸福だった数週間の思い出だけを持って……」
「…………………………」
女性は男の晴れやかな表情を見て、何かを悟ったように後ずさる。
そのまま腰かけていた椅子に再び座って、本を手に取って読み始めた。
しばらく二人の間には無言の沈黙が流れたが、やがて男が仰々しくお辞儀を
して部屋の扉へと向かって歩き始める。
扉の前に立った男が向き直って、女性に挨拶をして退室する。
「おやすみなさいませ、パチュリーさん」
「ええ、おやすみ紅夜」
小さく音を立てて閉まった扉の向こうから足音が遠ざかっていく。
それを確認したパチュリーは吊り上げた眉や目を普段通りの位置に戻し、
本を読むことに集中して読み始めた。
夜空に浮かんでいる半月を見上げながら、確固たる意志を持って呟く。
「死なせはしないわ、どんな手を使っても必ず死なせない」
自分自身の心に刻みつけるように呟いた魔女は、再び本を読みふける。
やがて彼女達を見守っていた半月が西の空に沈み、東の空が明るんできた。
こうしてまた一日が過ぎ、新たな一日が始まる。
いかがだったでしょうか。
縁の正体が明らかになりかけている時、
その裏で紅夜もまた秘められていた事が明るみに………。
早いとこ次の章まで持って行きたいんですがね。
ご意見ご感想、またはご指摘等もお待ちしております。
それと、縁と紅夜のイメージ画も募集しております。
自分で書くのが一番いいのですが、画才が無くて…………。
それでは次回、東方紅緑譚
第弐十八話「動かない大図書館、紅き夜に降る雨」