どうも皆様、最近この作品のお気に入り登録者様の数が勢いよく
減っている現実に、涙と焦りが止まらない萃夢想天でございます!
やべぇよやべぇよ、どうしたらいいんだろコレ………(泣
まさかこんなにも大勢の方々に見放されるとは思ってもみなかったので、
だいぶ心を痛めております。ま、まぁ、更新遅れた自業自得なのでしょうが。
では気を取り直して。前回は縁がいよいよ計画を実行しようと動き出す
直前で、こころちゃんとご対面しておりましたね。私自身、彼女を本編で
どう絡ませるかをすっかり忘れておりました故、危なかったです。
ちなみに番外編での縁とのやり取りですが、あれはあくまで本編終了後の
「可能性」を描いただけですので、正式なカップリングではないものと
思っていただけると幸いです。正直アレ、何も考えずに書いていたので。
それでは、どうぞ!
自らを『
上がっていき、周囲に福の翁の面や般若の面などをまとわせ、人里の民家の屋根辺りで滞空する。
その様子を地上から眺めている縁は、勝手に罪を着せられた挙句、勝手に弾幕ごっこの開始を
告げられた事に、戸惑いとともに「面倒な事になった」という呆れにも似た思いを抱いていた。
かつての縁であったならば、彼女からの挑戦も状況次第では受け入れてもよかったのだが、
現在彼は様々な方面から追われる身となっている。つまり、派手な事は極力避けねばならない。
弾幕ごっこは美しさを競うことを原則としている為、鮮やかな弾幕や轟音を是とする。
よってそんなことをしていれば、間違いなく(良くも悪くも)注目を集めることになるのだ。
そのような事態だけは避けなければならないと、縁は彼女との決闘を断る方針を定める。
(ここで弾幕ごっこをしたところで何になる? 今の
加えて里の人間たちの注目を集めてしまえば、里の管理者だけでなく、異変解決者が………)
顔を覆い隠す布の下で、現状を緻密に計算して答えを出した彼は、上空で待機している少女に
断りを入れようとその口を開きかけた時、彼よりも速くこころがそこへ釘を刺していた。
「怖気付いたのか?」
相も変わらぬ無表情で言い放たれた言葉に、縁は自身の奥底に染みついた何かに反応する。
それは、かつての自分に、まだこう成り果てる前の『道具』でしかなかった頃の自分に
課せられ続けていた、そして今なお褪せることなく残り続けている紫の道具としての矜持。
己が唯一無二の主君に道具として重宝されていた頃から続く、「敗北は許されない」という
無意識下での厳命がまだ生きており、今のこころの発言に反発すべく自身の体を動かした。
如何なる理由があろうと、敗北は許されない。
全ては偉大な主人たる、八雲 紫を護るために。
『……………是非も無し‼』
内に沸き起こる怒りとともに、縁はこころからの挑戦を、弾幕ごっこによる決闘を受諾。
彼の一言でその意を理解した彼女は、手始めにと己の周囲を旋回する能面を射出する。
飛来してくる能面の速度は、縁が過去に経験している多くの弾幕と比べても速くはなく、
むしろ遅い部類であるため、苦労することなく回避。その勢いのままこころを倒すべく
自身も空間結合で地表と自分の足下を直結させて、滞空というより空中で立つという
荒業を披露。これにより、縁とこころの両者空中に浮かんだままの決闘が成立した。
(……………さて。誘いに乗ったはいいものの、どう動くべきか)
空中にいながら空間結合させた地面に足を下ろし、空の上で大地に立つ妙技を成し得た
縁は、眼前で無表情のままこちらを見つめる対戦相手を見やり、今後の対応を思案する。
彼は本来なら、戦いの中で相手の力量や性質、癖や特徴などを解明しながら対策を練る
やり方をとっているため、このように制限時間のある戦闘などは苦手とするところだ。
しかしながら、相手の力量を測れずとも早々に幕を下ろさねばならないとする彼には、
悠長に策を講じている暇も時間もなく、よって自身も力押しの強硬策に出るしかない。
早期決着を結論付けた彼は、出し惜しみをする必要がないとばかりに、スペルを宣言する。
『始まったばかりだが、終わらせよう_________線廻【アトランティスの螺旋階段】』
スペルカードの宣言の直後、彼の背後に六つの空間の裂け目が出現。さらにそこから
黒い筒状の物体が顔をのぞかせる。幻想の世界にあってはならない、現代科学の結晶が。
六つもの砲台をその背後に装着した縁は、言葉もなく眼前に浮かぶ敵を殲滅すべしと
命令を下し、一斉に規則正しいリズムで砲火を放つ。そして彼は、相手の動きを観察する。
ところが、彼の予想に反する出来事が起こった。
『バカな‼』
次の瞬間、彼が布越しの視界に収めたのは、無数に放たれる弾雨の中を舞うこころの姿。
秒間数十発という速度で放たれ続けている六条もの光の雨の中、少女は驚愕に眼を剥く
こともなければ余裕の笑みを浮かべることもなく、ただ無表情のまま、弾雨を避けていた。
中心の二条がこころを追いやれば、彼女はそれを避けようと必ず上下左右のいずれの方向
へと動かねばならない。そうなれば残る四条の光が彼女の体を蜂の巣にしていただろう。
そんな縁の予想をあっさり裏切り、こころは降り注ぐ弾雨の中で、舞を舞うように軽やかな
動きでそれらを避け続けていた。数発で骨肉を穿ち命を絶つ鉛の雨は、一滴も当たらない。
のらりくらりと踊るように縁のスペルカードによる攻撃を回避し終えた彼女は、変わらぬ
無表情で縁を見つめる。如何なる感情も浮かべないその顔に、縁は内心で怖気を感じた。
『…………なるほど。では、避けられるのならば追い続けるまで』
現実を遅まきにだが受け止めた彼は、自分の第一スペルがブレイクされたことを衝撃と
ともに理解し、ほんのわずかだが揺らいだ自信を以て次なるスペルを宣言する。
『惚線【ロウパワー・ハイグラスパー】』
続いて縁が繰り出したのは、少量の球体状弾幕と、追尾性能が極めて高いレーザー系の
弾幕の双方を組み合わせたスペルカード。これはかつて、かの八坂 神奈子をも苦しめた。
今なお名が褪せぬ戦神として信仰厚い彼女すら一度は手を焼いたスペル、そう簡単には攻略
できまいと思い、這う蛇のように狡猾に動き回る弾幕を放ち、縁は勝利を目前と信じ込む。
ところが、またしてもこころは、縁の想定の遥か上をゆくこととなった。
「いざや天臨! 怒面【怒れる忌狼の面】‼」
迫りくる弾幕を見て回避は困難であると察知したのか、今度はこころもスペルカードを宣言。
それまで前頭部のやや左側に被せていた女の面を、祭りなどの行事の際に見かける狐の面へ
いつの間にやら挿げ替えた彼女は、回避行動から一転して縁のいる方へと一目散に飛んできた。
その目前には彼女を追ってきた縁の弾幕があるというのに、何故反転したのかと疑問に思う
縁だったが、彼の疑問は即座に解消されることとなった。スペルがブレイクされる形となって。
『なに!?』
進行方向を回避から一転、攻撃へと転じたこころに襲い掛かった追尾弾幕は、そのことごとくが
猛威を振るうことなく消え去っていった。否、消えたというより、打ち破られたが正しいのか。
縁へと向かっているこころは今、全身を狼の頭部を模した青白い弾幕が完璧に覆い尽くしている。
口を大きく開き、獲物へ飛び掛かり喉笛を裂かんとする餓狼の如きその様は、まさに"怒れる忌狼"
という名に相応しいものがあった。狼の頭に、牙に触れた縁の弾幕たちはその一切が区別なく消え
去り、相手の弾幕を飾る残滓となって里の上空へと消えていく。だが、散った弾幕の行方などを
気にしている余裕など縁にはなく、襲い来る忌狼から逃れるべく、慌てて回避行動に移り始めた。
中空をちょうど"M"字を描くようにして乱高下を繰り返し突貫してくるこころから、どうにか
ギリギリでの回避に成功した縁は、今度は反転して戻ってこないことに少しだけ安堵する。
しかし、依然こちらの不利に変わりはない。しかも相手の実力は未だに未知数、把握が出来て
いない状態なのだ。この事実を目の当たりにしたことで、縁はいよいよ焦燥に駆られだす。
『くっ…………』
このままではいつ追撃が来るか分からぬと、赤や黄色などの色鮮やかな弾幕を距離を稼ぐために
やたらめったらに射出する。それらは御面を漂わせているこころのいる場所へと正確に飛来して
いったものの、彼女が放射状に拡散していく青白い弾幕を二回連続で放ったことで相殺された。
距離を取って状況を立て直そうとしていた縁の目論見は潰えてしまい、相手にも僅かではあれど
時間を与えてしまった。これでは、迂闊に距離を開けることは愚策になると判断した彼は、
やむなく接近戦を仕掛けることを決意し、腰に帯刀された六色を抜き放ち、挑みかかる。
本当なら使うどころか抜く気すら無かったはずのものを抜かされる現状に、ふつふつと沸き立つ
感情を刺激される縁だったが、空中を駆けることで接近していた彼の眼は、あるものを捉えた。
『薙刀、だと………おのれ、何処にそんなものを隠し持っていた‼』
接近していく中でこころが手にしたのは、自身の身の丈以上の長さはあろうという、薙刀だった。
彼女が放つ弾幕と同じく、青白い気のようなものをまとっているソレは、空中を走って迫りくる
縁へとその切っ先を向けている。そして数秒の後、六色の壊れかけた刃と薙刀が激しく競り合う。
右手に握られた六色が空を裂き、一度離れて再び襲い掛かるも、こころが両手に握る薙刀の刃が
持ち主を守るべくヒビだらけの刃を受け止める。剣戟の音を響かせ、小さな火花が飛散していく。
『次から次へと、私の予想を超えていく……………お前は何者だ』
「お前も中々に強いな。音に聞こえた私の一太刀を受けきるとは、見上げた腕よ」
鍔迫り合いの状態にもつれ込んだ二人は、握りこぶし程度の距離で顔を突き合わせ言葉を交わす。
そしてそこから、数回に渡る剣戟を繰り広げ、両者は己が握る得物を存分に振るい、打ち鳴らす。
縁が六色を袈裟気味に振るえば、こころは彼の足を掬うべく薙刀を下段で振るってみせ、
こころが薙刀を横薙ぎに振るえば、縁はそれを刃で受け、迫り上げつつ斜めに払い捨てる。
このような過激な近接戦を繰り返し、もはや剣戟の音が幾度響いたかも忘れるほどに得物が
ぶつかりあった頃、縁もこころも、このままでは埒が明かないと判断し次の行動に移っていた。
『爆ぜろ。迫撃【オール・ポイント・ファイア】』
「ふふふ、侮るなよ。憑依【喜怒哀楽ポゼッション】‼」
互いの持つ武器の間合いからわずかに離れた場所で、二人は同時にスペルカードを宣言する。
縁は、自身の真下の地面に巨大な裂け目を生み出し、そこから携行迫撃砲を無数に召喚、配置。
回避か迎撃かを悩む暇など与えんとばかりに即時に一斉発射させ、こころを爆心地に定めた。
対するこころは、縁のスペルカードの正体を知ってか知らずか、自身の周囲を旋回している
御面の動きを止め、無数の弾頭が直撃する寸前に自らの体を発光させて、気を放出させている。
こころからすれば、縁からの攻撃に耐えるべく(あるいは相殺すべく)用いたスペルだったが、
彼女の発した光は閃光となって、直接的な視界を持たない縁の眼を、意外にも封じ込めていた。
視界を眩ます閃光に、ほんの一瞬だが動きを封じられた縁は、次の一手に遅れてしまう。
それが、決定打となった。
「とーおっ!」
回復した縁の視界に飛び込んできたのは、広げた扇子を両手に持ったまま回転しつつ、縁を
めがけて急降下してくるこころであった。その速度は、最初の御面の攻撃とは段違いだ。
『ぐうッ!?』
若干の高低差があったためか、こころの攻撃を受けて斜め下へ___________人里の地表へと
落下していった縁。それなりに大きな音を周囲に響かせたことで、既に音や弾幕の光に
引き寄せられた里の人々が両者を取り巻いていた。人の目が増えたことで喜びの感情を御面と
ともに表現するこころとは裏腹に、土埃を六色で振り払う縁は、上空のこころを睨んでいた。
(こんな、こんな事があるはずがない。私は、私がここまで…………)
完全に想定外だ、縁は心と呼べる空間で、上空からこちらを見下ろしているこころを睨む。
いや、睨んでいるというのは正しくはない。もしも彼の顔が布で覆われていなかったなら、
人としての顔があったのなら、その表情は歪み、瞳は恐怖を色濃く映していただろう。
主人の名において敗北は許されなかったかつての自分と、主人の道具であることを捨てて
確立された今の自分。どちらが強いかなど彼には分からないが、それでも以前の自分ならば
視線の先にいる相手に、こうも無様を晒すような戦い方はしなかっただろうと確信している。
それと同時に、彼の思考は徐々に侵食され始めていた。
これまで縁という存在は、心や感情というものを持たざるが故に、強さを誇示していた。
けれど現状はどうだ。どこからともなく湧いて出た相手に、しかも妖力も神通力すらも決して
強くはない相手に押され、地に伏されるなど。これまでの彼の経験上、ありえないことだった。
(これは、『コレ』はいったい何だ? 体温は正常値なのに、震えが止まらない………?)
初めて感じた、脅威。初めて感じた、恐怖。
それらは総じて、無縁であった彼にとっては、言い知れぬ感情の発露を実感させていた。
周囲が一気に騒がしくなっているにもかかわらず、こころを睨むことを止めて俯く縁。
そんな中、急に黙り込んでしまった彼に向けて、上空にいたこころが何気なくポツリと呟く。
「
その一言は、縁だけでなく、
「真面目に戦う気持ちが感じられないぞ?」
直後にもう一言付け加えられたが、縁も縁の中の者たちも、そちらは聞こえてすらいなかった。
それまで一度たりとも感情を表に出したことのない縁が、目に見えて動揺を発露させている。
肩は上下に忙しなく揺れ動き、布に隠されてこそいるが、その視線は何者も捉えてはいない。
明らかに様子が急変した縁を、もしも彼のことをよく知る者が見ていればさぞ驚いただろう。
しかしこの場にそんな者など一人たりともおらず、まして今は、弾幕ごっこの最中である。
「憂面【杞人 地を憂う】‼」
動揺を隠せずに立ち上がる事すらも忘れている縁は、相手からすれば格好の的でしかなく、
こころにとってもそれは同様である。だからこそ、そこで攻撃の手を緩める理由は無かった。
悲嘆に暮れる老爺の面を被ったこころは、地面から青白いオーラと共に、自身が付けているものと
同じ面を地面から無数に噴出させる。そしてそれは当然、茫然自失の只中にいる縁の真下からだ。
『_______________がああッ‼』
地面が青白く発光したことに気付いた時にはもう遅く、下から上へと噴き上がる弾幕の奔流に
全身を嬲られた縁は、そのまま空高くへと放り出されていき、そのまま再び落下していく。
だがそこでようやく意識を取り戻した彼は、能力で空中に立つことに成功し、こころを見やる。
相手がまた立ち上がったことに残念がるどころか、むしろ闘気を立ち昇らせるこころ。
そんな彼女をどうにか打倒すべく、また、自身が証明不能な謎の感覚に侵された原因であろう
彼女とこれ以上戦う意味を見出すべく、彼は自らの思考回路をショート寸前まで稼働させた。
(駄目、だ。思考回路が正常に機能していない! こんなことが、あるはずが!)
ところが、やはり彼は答えを見出すことができず、己の不具合か故障を可能性として考慮するも、
それに該当する部位は検知されておらす、自分の体が正常に作動していると証明している。
では、何故? 私は何故、あの女に勝てない? あの女を見ると、体が震えるのか?
焼ききれんばかりに思考回路を回し続けるも、空回りするばかりで回答は一向に浮かばない。
それは当然であった。彼が自分の中に『心』が芽生え始めていることに、気付いていないのだ。
如何に優秀な頭脳を有していても、計算式の要である部分が「+」か「-」なのかを知って
いなければ、正しい答えを導き出せるはずがないのだから。これが人間なら話は違っていた。
人間は答えが分からずとも、「予測」が出来る。「予想」が出来る。
だが、機械には、人形には、道具には、ましてそれら全ての成り損ないなら、分かるはずがない。
(何故だ、何故私は…………何故だ、何故だ何故だ何故だ!)
もはや錯乱したように同じ事を自問自答し続けている彼を見て、同じく中空に浮いているこころは
何かを確信したという雰囲気を漂わせ、棒立ちになったまま動きをみせない彼に再び語り掛けた。
「楽しみながら戦う、戦いながら楽しむ。それが弾幕ごっこだ、知らないのか?
どこの誰だか知らないけど、弾幕ごっこを楽しもうとしないと、後悔するぞ?」
こころが語ったその言葉は、またしても縁の核心を突くようなものであることは言うまでもない。
心を知らぬものに、楽しむことなど到底できはしない。だが、それは少しずつ芽生えている。
もしかしたら、知る事ができるかもしれない。こころにとって、縁はかつての自分を見ている、
まるで映し鏡をみせられているような気分だったのだ。だからこそ、彼に語り掛けてしまう。
こころ自身もまた、かつては感情というものを誰彼構わず奪い、それを自分のものにすべく
騒動を巻き起こしたことがあった。今では多くの者に支えられ、感情を一から学んでいる
真っ最中である。そんな彼女は縁を、昔の自分を見ているようで見ていられなかった。
そして、それと同時に、彼の中に芽生えるであろう感情を、知りたくなってしまっていた。
故に、今が弾幕ごっこの最中であることを、彼女は忘れてなどいない。
「_____________【仮面喪心面 暗黒能楽】‼」
いかがだったでしょうか?
下書きだと結構な量書く予定だったんですが、文章にしてみると案外
少なかったりするんですよね。いや、単に文章力が下がっただけか………。
本当に昔の自分に脱帽です。よくもまぁ八千だの九千だのをさらさらと
書いてましたね。ほんとスゴイ。いや、今なんて七千もいかないでやんの。
それでは次回、東方紅緑譚
第八十四話「緑の道、愛裏切り哀救う」
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