南野君がかつての育ての母親と和解してから数日後
彩花「祐樹君、今日は南野君とお弁当を食べたらどう?」
祐樹「南野君とか?」
彩花「祐樹君に他にも友達ができてほしいな、と思って」
ということで、祐樹君と南野君の2人と、すぐ近くで私と唯ちゃんの2人が2組でいた。
彩花「なんていうか、男の子2人がお弁当食べてるのを見てると、こっちも幸せ。」
唯「あやちゃんならそうだよね。あたしもだけど。」
彩花「あの2人、仲良くなれるかな。」
唯「ねえ、あやちゃんは今好きな人はいる?」
彩花「もちろん大輔君だよ、もうフラれたけど。」
唯「荒川君のこと、今でも好きなんだ。」
彩花「うん。」
彩花「バレンタインの日に大輔君に告白してフラれてから、好きな人ができたことはないな。」
彩花「多分、わたしが大輔君以外の男の子を好きになることはないよ。」
唯「じゃあ一生独身でいるつもり?」
彩花「そうだろうね。大輔君とは永遠に結ばれないただの幼馴染の関係でいればいいと思う。」
唯「それじゃあ、あやちゃんが幸せになれないじゃない。」
唯「いいよ。片思いを続けられたら、両思いになるより幸せだって、わたしは思ってるから。」
彩花「それに今は、自分が付き合うより、他の人の恋愛を見て、他の人の幸せを見てるほうが好きだな。主に二次元の男の子同士の恋愛。」
彩花「2人の男の子が幸せなら、わたしも幸せ。」
唯「さすがあやちゃんだね。あたしにもその感情はわかるけど、あやちゃんほどじゃないな。」
彩花「きっと大輔君にフラれたのがよっぽどショックだったのかな。あれ以来わたしは恋をするのが怖くなったのかも。」
彩花「ものすごく傷ついたし。だからもう自分は傷つきたくない。だから自分が恋するより、他の人の恋愛を見てたいんだと思う。」
・・・
夏休みのこと。
私の隣の家に、あの人が帰ってきた。
中2のバレンタインに告白して、フラれた、私の幼馴染。荒川大輔。
彩花「久しぶり。帰ってたんだ。」
大輔「ああ、部活が休みだからな。」
大輔「お前泣いてるのか?俺がいなくて寂しかったか?」
彩花「・・・泣いてないよ。」
はっきりフラれたとはいえ、私は今でも大輔君のことが好き。あきらめられるわけがない。
きっと一生彼のことを好きでいるだろうと思ってる。彼より好きな人ができるわけがない。
フラれただけでなく、生まれてからずっと一緒で、小学校のころから隣の家に住んでた大輔君が自分のそばから離れてしまったことも悲しかった。
だから久々に大輔君と会えて涙が出そうになったのは嘘ではない。
そのあと、私は祐樹君のいる孤児院の近くに向かっていたところだった。
そこで祐樹君と合流し、公園に向かっていた。そこで見かけたのは
大輔「なんだ、彩花と中沢じゃねえか。」
祐樹「荒川君?なんでここに?」
大輔「部活が休みだから故郷に帰ってるんだよ。それよりなんでお前が彩花と一緒にいるんだ?中学まで全くといっていいほど面識なかっただろ?」
祐樹「高校に入学してからいろいろあって、友達になったんだ。」
大輔「お前ら、まさか付き合ってるんじゃないだろうな?」
彩花「付き合ってないよ。」
大輔「本当か?」
大輔「お前、今でも俺のこと好きだよな?」
彩花「うん。大好きだよ。」
祐樹(彩花ちゃん・・・)
祐樹「ちょっと待った!」
大輔「なんだ?、中沢」
祐樹「確かに俺は別に高梨さんと付き合ってなんかいない。だがなんで荒川君がそんなこと気にしてるんだ?」
祐樹「君は彩花・・・高梨さんに告白されたのに振ったんだろうが!幼稚園からずっと一緒だった幼馴染の女の子に告白されたのにあっさり振って、出会ってから1年も経ってなかった福原さんを選んだ。」
祐樹「荒川君はあや・・・高梨さんの彼氏でもなんでもない。なのになんで俺が高梨さんと一緒にいることに文句言うんだ?」
大輔「お前、今彩花って言いかけたな。やっぱり付き合ってるんじゃないか!」
彩花「付き合ってないよ。友達だから、名前で呼び合おうってことになったんだよ。」
祐樹「別に俺は高梨さんとは付き合ってない。だがいつかは高梨さんも君以外の、別の誰かと付き合うだろうし、結婚もするだろう。」
祐樹「なんで高梨さんと付き合ってもいない、はっきりと告白を断った相手が誰かと付き合うことに文句言うんだ?」
大輔「ああ、確かに俺は彩花を振った。だが彩花を他の男のものになんかしたくない。彩花はいつまでも俺のことを好きでいてほしいんだ。」
大輔「彩花は俺の大切な幼馴染だからな。それにかわいくて、やさしくて、パーフェクトな存在だった。」
大輔「幼馴染じゃなかったら女の子として大好きになって、結婚して一生大事にしてたぜ。」
大輔「だから彩花が別の男のものになることなんか絶対に許さない。恋人や妻にはなれなくても、幼馴染という関係でいてほしい。」
祐樹「君は自分が何を言ってるのかわかってんのか!高梨さんと福原さんで二股かけるつもりか。」
大輔「二股じゃねえよ。彩花を俺のところにつなぎとめておきたいだけ。」
祐樹「そんなこと、福原さんだって許さないだろうが。」
大輔「いや認めてるよ。俺は由紀だけを好きでいるといって、彩花のことも今までの関係でいることを彼女は認めている。」
大輔「もちろん俺と彩花が仲良くしたら由紀は気分悪いだろうが、彩花が別の男のものにしてはいけないという考えが、由紀とも一致してね、彩花だったら認めてくれることになったんだ。」
大輔「だがあくまでこれからもただの幼馴染であり、それ以上の関係になることはない。」
祐樹「貴様、それじゃ高梨さんはいつまでも叶わない恋をし続け、いつまでも荒川君のナンバー2で、誰とも恋人になれず、結婚もできず、ただの幼馴染としての関係を続けるだけ。」
祐樹「高梨さんに一生独身でいろっていうつもりか!」
大輔「その通りだよ。二次元の女の子は、主人公にフラれたら別の男を好きになっちゃいけないんだよ、一生独身でいるべきなんだ。」
大輔「彩花もそうだ。幼馴染の俺以外の男を好きになってはいけないし、好きになtれるわけがない。」
大輔「なあ、たまには彩花とデートしたいんで、お前は邪魔だから帰ってくれるか?」
大輔「彩花、いいだろ?」
彩花「うん。」
祐樹「ふざけんな。」
彩花「何、祐樹君?」
祐樹「ふざけんな。貴様、それでも高梨さんの幼馴染か。高梨さんの幸せを思っているのか!」
大輔「彩花は一生俺のことを好きでいることを、幸せだと思っているんだよ。」
祐樹「許さない。俺は君を許さない!」
祐樹「決闘だ!」
大輔「決闘?」
彩花「祐樹君、何言い出すの?」
祐樹「知ってるかどうかはしらんが、俺と高梨さんは2年前、どっちが荒川君と付き合うかを駆けて決闘をしたんだ。」
祐樹「俺は負けたけどな。やっぱり男同士で愛し合う夢は叶わなかったってとこかな。」
祐樹「だが今回は俺と君で、どっちが高梨さんと付き合うかで決闘だ。男同士の熱いバトルだ。」
大輔「悪いがその決闘は受けない。なぜなら俺は勝っても彩花とは付き合わないから。」
祐樹「そうだったか。ならば・・・」
祐樹「負けたほうが高梨さんをあきらめるってことで決闘だ。」
大輔「どう違うんだ?」
祐樹「俺もこの決闘に勝ったら、高梨さんと付き合うかどうかはわからない。だが負けたらいさぎよく手を引こう。」
祐樹「もし荒川君が負けたら、君は高梨さんから手を引け。君の中でのナンバー2なんて屈辱的なポジションで一生高梨さんを拘束するのはやめろ。」
大輔「おい、彩花、中沢の奴こんなこと言ってるけどどう思う?」
彩花「祐樹君、残念だけどそれはダメだよ。大輔君の言うとおり、わたしは大輔君以外の男の子を好きになることはないよ。」
彩花「もちろん祐樹君にもいつまでも友達としていてほしい。だからこんな決闘、わたしは望んでない。」
祐樹「彩花ちゃんは、一生叶わない恋をし続けて、一生独身のままでいいっていうのか?」
彩花「うん、いいよ。わたしはいつまでも大輔君のことを好きでいる、それだけで幸せだから。」
祐樹「・・・」
大輔「そういうことだ。残念だったな。お前も彩花にフラれたってことだな。」
俺は彩花ちゃんのことを別に好きでもなんでもない。ただの友達としか思ってない。
俺は今まで荒川君が好きだったし、その前も男のことしか好きになったことがない。俺が女の子を好きになるわけがないのだ。
だが彩花ちゃんにはいつかは幸せになってほしい。一生荒川君への叶わない恋をし続けることなんてあってはならない。
それが俺を助けてくれた、彩花ちゃんのためにできることなんだ。
彩花ちゃんは荒川君と2人きりになることになり、俺はそのあと北野君と会った。
圭一「さっきの荒川君の話、僕もちょっと聞いた。」
祐樹「聞いてたのか。」
祐樹「荒川の奴、高梨さんに告白されて見事に振ったっていうのに、高梨さんを他の男に取られたくないとか言い出したんだよ。」
祐樹「しかも幼馴染じゃなかったら結婚してた、だからこれからもただの幼馴染の関係でいてほしいとか無茶苦茶だ。」
祐樹「失恋した高梨さんに新しい恋を見つけるチャンスも潰そうとしてるんだ。高梨さんに一生独身でいろって言ってるんだ。酷いだろ?」
圭一「うん。僕もあれは酷いと思った。僕の大好きだった荒川君は、あんなこと言う人じゃないと思ってたのにな。」
圭一「僕は高梨さんのおかげで彩未ちゃんと恋人になれたんだ。いわば高梨さんは僕たちのキューピッド。」
圭一「だから高梨さんも幸せになるべきだ。今度は僕は高梨さんの恋を応援する、そう決めたんだ。」
圭一「そりゃ荒川君のことは忘れられないだろうけど、いつまでも叶わない恋をし続けて不幸になることなんて見たくない。」
祐樹「北野君もそう思うか。じゃあ決まりだな。2人で高梨さんと決闘だ。」
圭一「決闘!?」
圭一「高梨さん」
彩花「北野君」
圭一「これ、僕と中沢君の果たし状だ。」
彩花「果たし状?」
祐樹「俺たちは高梨さんに、いや高梨さんと荒川君に決闘を申し込む。」
祐樹「1年半ぶりだな。あのときは高梨さんの方から決闘を申し込まれたけど。」
彩花「決闘?なんのために」
圭一「もし高梨さんが勝ったら、一生荒川君を好きでいていい。でも僕たちが勝ったら、高梨さんは新しい恋を探してもらう。」
圭一「今回は荒川君と高梨さんVS、中沢君と僕の、2対2の団体戦だ!」
彩花「団体戦って、わたしが荒川君と決闘のチームを組めってこと?」
祐樹「そうだ。荒川君はたとえ恋人にはできなくてもいつまでも高梨さんを好きでいてほしいと思ってるし、高梨さんもそれを受け入れてる。互いの考えは一致してるんだ。」
祐樹「だが俺と北野君は高梨さんにいつまでも荒川君への報われない恋を追い続けてほしくない。」
祐樹「そりゃ幼稚園のころからずっと好きだった幼馴染だし、簡単にあきらめられないのはわかる。それは俺の荒川君への想いも同じだしな。」
祐樹「でも俺たちは高梨さんに一生独身でいてほしくない。幸せになるべきだ。」
圭一「高梨さんに荒川君をあきらめてもらう、いや荒川君に高梨さんをあきらめてもらうには、決闘するしかない。」
祐樹「荒川君にも果たし状を渡してきたわ。自分に彼女がいるくせに、高梨さんを他の男に渡さないなんて、その幻想を俺がぶっ殺す。」
彩花「わかった。受けるよ。」
大輔「果たし状?」
祐樹「決闘をしよう。」
祐樹「荒川君と高梨さんVS、北野君と俺の、2対2の団体戦だ!」
祐樹「荒川君が勝ったら、荒川君は高梨さんを好きにしていい。俺たちが勝ったら、君は高梨さんをあきらめろ。」
大輔「あきらめるも何も、俺は勝っても彩花とは付き合わないぞ。」
祐樹「高梨さんを愛人関係として拘束するのをやめろって言ってるんだ。」
祐樹「俺たちが勝ったら高梨さんには新しい恋を見つけてもらう。そして荒川君以外の、他の男と恋におちて結婚させるんだ。」
祐樹「それは俺じゃなくていい。むしろ俺も高梨さんと付き合いたいわけじゃない。」
祐樹「だが高梨さんに荒川君への一生叶わない恋をさせ続け、高梨さんを一生恋人なしの独身のまま余生をおくらせることなど、この俺が許さない。」
祐樹「高梨さん自身もそれを望むなら、俺がこの手で引導を渡すまでだ。」
大輔「そうか、そこまでやるなら受けてやるよ。俺はともかく、彩花がお前らに負けるわけないからな。」
大輔「俺は彩花のことを、恋人として見ることは出来ないけど、大好きだ。だから俺の彩花への愛を、この決闘で見せつける。」
祐樹「見せつけてもらおうか。ただの幼馴染としか思ってない愛が、どの程度のものか。」
こうして1年半前に続いて、小原唯が審判のもと決闘が行われる。
今回は高梨彩花以外は無能力者のため、他の3人にも魔力を注入する。
チーム荒川大輔&高梨彩花VSチーム中沢祐樹&北野圭一による団体戦。
対戦カードは抽選で決定。
その結果、第1試合は荒川大輔対北野圭一、第2試合は高梨彩花対中沢祐樹となった。
先にHPが切れたら負け。2勝したチームが勝利、もし1勝1敗なら勝者同士で決勝戦を行う。
第1試合 荒川大輔対北野圭一
大輔「今まで俺たちはいつも底辺の争いをしてきたな。小4のときお前が転校してきてから、テストの点に、運動会に。」
大輔「それが今は中の上、いや頂上決戦と言ってもいい。俺もお前もよく成長したな。」
圭一「そうだね。僕の最高の友達で、最大のライバル。だから絶対に負けられない。」
大輔「俺は由紀と付き合ってるけど、幼馴染じゃなかったら彩花のことを好きになってたよ。」
大輔「彩花だって幼馴染じゃなかったら俺のことを好きになってたんだ。」
大輔「俺の彩花への想いはお前なんかには止められない。」
圭一「幼馴染だから付き合えないなんて、そんなふざけた愛じゃ僕には勝てないよ。」
こうしてスタートした第1試合。
荒川君もさすがの強さだったが、1年半前高梨さんに勝利した実力が上回り、北野君の勝利。
圭一「勝ったとはいえ、なかなかの強さだった。これが荒川君の、高梨さんへの想いなのか。」
圭一「なんだよ。バレンタインに告白されて振ったくせに。」
第2試合 高梨彩花対中沢祐樹
祐樹「これで俺が勝てば俺たちのチームの勝ちだな。」
彩花「負けないよ。わたしは今でも大輔君のこと好きだから。」
祐樹「君は本当にそれで満足なのかよ。もうフラれたっていうのに、永遠に叶わない恋を追い続けて一生独身でいるなんて、それが幸せなのかよ。」
彩花「幸せだよ。大輔君が幸せなら。わたしが大輔君以外の男の子を好きになることなんて永遠にないよ。」
1年半前も対戦した両者。そして1年半前に続いて彩花が勝った。
彩花「これがわたしの大輔君への想いだよ。たとえ叶わない恋でもいい、一生彼氏がいなくてもいい。大輔君だけを好きでいたい。」
彩花「それを他の誰かに止めさせはしないよ。」
彩花「これで1勝1敗。」
圭一「ということは僕と高梨さんで決勝戦だな。」
彩花「だね。1年半前のバトルは北野君に負けたから、今回はリベンジするよ。」
祐樹「何言ってるのかい。今の高梨さんは1年半前とは違う。」
祐樹「あのとき高梨さんは誰よりも荒川君のことが好きで、この恋が報われることを信じていた。あのときは僕が勝ったとはいえ高梨さんには、荒川君への想いは完敗だった。」
祐樹「だが今の高梨さんにそのときの強さはない、あるはずがない。」
祐樹「高梨さんは荒川君にはっきりフラれて、この恋が報われないことがもうわかってる。いくらフラれても荒川君のことが好きだと言っていても、そのときよりは気持ちは冷めてるはずだ。」
祐樹「一生荒川君のことを好きで、報われない恋をし続けて独り身のまま余生を過ごすなんてできるわけがない。」
祐樹「僕と中沢君は高梨さんにそんな悲しい人生を送ってほしくないから戦うんだ。今の思いは、僕たちのほうが上だ。」
彩花「悲しい人生なんかじゃないよ。今、わたしがそれを証明してみせる。」
決勝戦 高梨彩花対北野圭一
1年半前同様激戦になった。彩花は決して敵わないとわかっている荒川君への恋のために、圭一は彩花の幸せを望むために戦った。
今回は圭一、そして祐樹のほうが想いは強いと思われた。
しかし勝利したのは彩花だった。
祐樹「負けた・・・」
彩花「勝ってよかった。同じ相手に2度も負けられない。」
圭一「なんでだ。高梨さんはどうしてフラれた男をそこまで好きでいられるんだ。」
圭一「フラれた男を一生好きでいて、一生独身でいるなんて、普通の女性ができることじゃない。」
彩花「わかってるよ。ずっとわかってたから。幼馴染は、恋人にはなれないんだと。」
彩花「ずっとわたしの片思いで、大輔君はわたしのことをただの幼馴染にしか思ってくれなかった。もし大輔君に本当に好きな人ができたら、取られちゃうんだろうなって思ってた。それでもいつか、大輔君はわたしのことを女の子として好きになってくれると思ってたけど、時間は待ってくれなかった。大輔君にはわたしよりも好きな人ができて、彼女にしたいと思う相手ができてしまった。」
彩花「それでもわたしは、ずっと大輔君のことを好きでいたい。もう叶わない恋だとわかっていても。それは1年半前から、10何以上前からずっと変わってないよ。」
彩花「むしろ想いが弱かったのは祐樹君と圭一君の方だったんじゃないの?」
彩花「わたしが一生彼氏なし、旦那なしでいたって、あなたたちには関係ないでしょ。それがわたしにとって不幸な人生になったって、あなたたちには関係ない。」
祐樹「そんなわけないだろ。俺は高梨さんに幸せになってほしいと思ってる。」
彩花「そりゃ祐樹君や圭一君ならそう言うよね。でも他人の幸せのために戦っても勝てないよ。想いはそこまで強くないの。心のどこかには、どうせ他人事だと思ってるの。」
圭一「そんなの高梨さんだって同じだ。いつも高梨さんは自分よりも他人の幸せを願ってたよな。」
彩花「そうなんだけど、わたしもまだまだだよ。やっぱり他の人の幸せを見ると、うらやましくなっちゃう。」
彩花「大輔君と恋人になれた由紀ちゃんのことも嫉妬してるもん。」
彩花「正直言うと、わたしは大輔君にフラれるならまだ圭一君か祐樹君に取られたかったな。なんで由紀ちゃんなのって、今でも思ってるの。」
彩花「なんていうか、男の子に大輔君を取られるより、女の子に取られたほうが悔しいのかもしれない。他の女の子に大輔君を渡したくなかったって気持ちあったし。」
圭一「それは僕も同じだな。高梨さんなら荒川君をあきらめられたのに、なんで福原さんなんだって。」
祐樹「俺も同じだけど、いまさらそんなこと言ったって仕方ない。荒川君は福原さんを選んだんだ。」
・・・
少し前に唯ちゃんとこんなことを話した
唯「あやちゃんが中沢君のお嫁さんになってあげたらいいんじゃないかしら?」
彩花「え?」
唯「そしたら中沢君がかつて失って、手にすることができなかった家族を持つことができる。」
唯「命の恩人である中沢君のお母さん、そして中沢くんに恩返しするには丁度いいと思うんだけど。」
彩花「それは無理だよ。祐樹君の気持ちもあるでしょ。」
唯「中沢君の気持ちね。確かにそれもあるけど、それよりあやちゃんの気持ちはどうなの?」
彩花「わたしの気持ちって?」
唯「あたしはあやちゃんはもう中沢君に恋してるんだと思ってたんだけど。」
彩花「それはないよ。わたしは祐樹君に恋してなんかいないよ。」
彩花「わたしは大輔君以外の人を好きになることなんてない。」
そうだ。わたしは大輔君以外の人を好きになることなんてできない。ずっと恋してた幼馴染なんだから、たとえフラれても大輔君のことを一生好きでいる。
かなわない片思いでも、それがわたしにとっての幸せなんだから。
・・・
彩花「本当のこと言うとわたし、やっぱり男の子に生まれたかった。男の子だったら、大輔君といつまでも友達としていられたのに。」
彩花「異性の幼馴染なんて、いいことないよ。幼馴染は、恋人にはなれないんだもん。」
祐樹「俺だって荒川君にフラれたんだから、結局同じだよ。あいつにとっては幼馴染は、恋人とも友達とも見てくれないんだ。」
祐樹「でもきっと、男の子同士のほうがこれからもうまくやっていけたと思う。」
やっぱり高梨さんは、荒川君のことが好きなんだ。はっきりフラれても、一生かなわない恋でも。
後日
圭一「中沢君は、高梨さんと付き合う気はないのか?」
祐樹「ないよ。だから言っただろ。高梨さんは荒川君が好きなんだよ。」
圭一「そうじゃなくて、中沢君自身は、少しでも高梨さんに恋心とかあるのかと思って。」
祐樹「俺が女の子を好きになることなんかないよ。」
そうだ。俺は高梨さんのことを、好きでもなんでもない。
彩花「わたし、祐樹君と将来をともにできる相手を探してあげるよ。」
祐樹「そうか」
それがわたしの命の恩人である中沢君のお母さん、そして中沢くんに恩返しなのだと思ってる。
彩花「わたし、今は男の子同士で恋愛してるのを見守るのが好きだな。まあ前からだけど。好きな人が幸せだと自分も幸せ。」
彩花「というより、大輔君にフラれちゃったから、自分が恋するのが怖いだけなのかも。だから他の人の恋を見てるだけで幸せになりたいと思ってるのかな。」