彩花/妖怪と魔法の物語   作:khiro

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9話 魔術師の真実

彩花「ごめん、道案内してて遅れた。」

 

貴史「別にいいよ。そんなに待ってないし。」

 

彩花「じゃあ何をしようか。」

 

貴史「王様ゲームしよう。」

 

彩花「南野君、王様ゲームって何かわかる?」

 

貴史「知ってるよ。王様の命令は絶対なんでしょ。」

 

彩花「まあわたしもやったことがないから詳しくは知らないけれど、多分2人でやるような遊びじゃないよ。」

 

貴史「え?そうなのか?」

 

貴史「まあ妹もいればよかったんだが、今日は留守なんだよな。」

 

彩花「そうか。王様ゲームはやめにしよう。」

 

貴史「そういえば麻雀の台もあるんだよね。麻雀やろうか?」

 

彩花「麻雀って4人でやるゲームだよ。」

 

貴史「え? そうなのか?」

 

彩花「それにわたし麻雀のルール全然知らないし。」

 

貴史「アニメでやってたじゃない」

 

彩花「アニメ見ただけじゃわかんないよ。」

 

彩花「トランプとかないの?」

 

貴史「うーん、トランプはないけど、こんなのならある。」

 

彩花「こんなの?」

 

貴史「皇帝、市民、奴隷」

 

彩花「Eカード!?」

 

貴史「どんなルールだったっけ?」

 

彩花「市民が8枚、皇帝と奴隷が1枚ずつ。カードは10枚を5枚ずつ分けて戦う。」

 

陣営は皇帝側と奴隷側。ともに3回ずつ交互に行う。

戦い方は片方が皇帝、片方が奴隷のカード1枚と、市民のカード4枚を持ち。どちらかが1枚のカードを選び、テーブルに置く。」

次にもう一方がカードを選び、置く。互いのカードが出たらあとは開く。」

勝敗は皇帝は市民より強い。市民は奴隷より強い。市民と市民なら引き分け。

 

そして奴隷。奴隷は持たざる者、猶予のない虐げられし最低のもの。

だが何も持たず、失うものがない。だから王を撃つ。

 

持たざる者の捨て身の怒りは一番怖いという。

このEカードでは奴隷は皇帝を撃つ。そういう設定。三すくみの関係だ。

 

彩花「そういう某アニメや映画にあったカードゲームなんだけど、自分でやってて楽しいのかな?」

 

貴史「いいよ。これにしよう。」

 

とはいえ、確率通りの結果というべきか、どちらも皇帝側がいつも勝つため結局は両者引き分けという結果に。

 

 

彩花「南野君、最近なんか変わったことない?」

 

貴史「特になにもないよ。」

 

彩花「そう。」

 

貴史「でも最近この近くに悪い魔術師がいるらしいね。」

 

彩花「南野君もその話題?」

 

貴史「色々な人が被害にあってるとか。これは魔法少女彩花ちゃんの出番かもね。」

 

彩花「魔術師って言ってもナイトメアと違って普通の人間だから倒すわけにはいかないよ。」

 

貴史「なんか、高梨さんの弟さんが何かやってるみたい。」

 

彩花「達也君が・・・。」

 

心配だな。あいつ本当に魔術師やっつけるつもりなの?

 

 

・・・

唯ちゃんが南野君の家に到着。ほぼ同時刻に祐樹君も一緒に来たようだった。

 

祐樹「こんにちは。」

 

唯「お邪魔しちゃったかな。」

 

貴史「いいよ。人数多い方がいいし。」

 

貴史「4人、これだけいたら王様ゲームできるね。」

 

彩花「まあ、そうだね。」

 

4人でも人数的には少し足りないけどね。

 

貴史「丁度4人だから麻雀もできるね」

 

祐樹「すまんが俺麻雀のルール知らない」

 

唯「あたしも」

 

彩花「王様ゲームやろうよ」

 

 

・・・

彩花「では準備いいね」

 

「王様だーれだ」

 

俺、祐樹は1番を引いた。

 

彩花「あ、わたしだ。」

 

彩花「じゃあ・・・、1番と2番がキス」

 

唯「それ王様ゲームの定番ね」

 

祐樹「1番俺」

 

貴史「俺2番」

 

祐樹「って、え・・・」

 

貴史「なんでお前とキスしなきゃいけないんだよ。」

 

祐樹「こっちの台詞だ!」

 

彩花「まあいいじゃない、ただのゲームなんだから・・・」

 

これ絶対彩花ちゃんがこのシチュエーション見たかっただけだろ。

 

祐樹「じゃあ」

 

俺は南野君とキスをした。

 

彩花「うーん・・・、いいねー・・・」

 

彩花ちゃんの目がときめいていた。

恐るべし。いつもこういうBL漫画を見てる奴みたいだからな。

 

 

続いて

 

「王様だーれだ!」

 

貴史「王様は俺だ」

 

王様を引いたのは南野君

 

貴史「2番が一発ギャグを披露する」

 

彩花「2番、わたしだ・・・」

 

私には一発ギャグはなかったのだが、さっきの不吉なおじさんのせいでこれが思い浮かんでしまった。

 

彩花「王様ゲームでー、一発ギャグを披露することになってしまったよ、でもそんなの関係ねえ~」

 

彩花「ずいぶん懐かしいギャグだな。」

 

 

続いて

 

「王様だーれだ!」

 

俺が引いたのは・・・

 

祐樹「王様、俺だ」

 

彩花「へえ、祐樹君がどんな命令を出すか」

 

祐樹「これしかないだろ。1番と3番がキス」

 

彩花「1番はわたし。3番は?」

 

唯「3番、あたし・・・」

 

唯「あやちゃん、いいの? 女の子同士でキスなんて。」

 

彩花「いいじゃない。ただのゲームなんだし。 それに唯ちゃんなら、別にいいかな・・・。」

 

貴史「おい、さっきの俺と中沢のときと反応が違うぞ・・・」

 

こうして彩花ちゃんが小原さんとキスをした。あの百合アニメみたいに。

 

 

「王様だーれだ」

 

唯「王様はあたしだ。」

 

唯「じゃあ、2番と3番がベットで添い寝」

 

祐樹「2番は俺だ。3番は誰だ?」

 

貴史「俺だ」

 

祐樹「またお前かよ。」

 

彩花「いいじゃない。男2人が添い寝・・・」

 

まあ添い寝くらいいいか。荒川君とだったらむしろ喜んでやってたが。

 

 

彩花「王様だーれだ」

 

今度の王様は彩花ちゃん

 

彩花「どうしようかな・・・。穏便にしようか・・・、過激なのを行くか・・・。」

 

やばい、彩花ちゃんの過激は本当に過激だ・・・。

 

彩花「1番が3番の下着を脱がす!」

 

貴史「な、なんだって・・・」

 

祐樹「下着って?」

 

彩花「決まってるでしょ。男の子ならパンツ、女の子ならブラとパンツの2セット」

 

彩花「わたしは今回も祐樹君と貴史君のどっちが下着を脱がせる展開を期待してるんだけど・・・」

 

なんと本音を言いやがった。

 

祐樹「で、3番って誰だ?」

 

すると、おそるおそるある人が手を挙げる

 

唯「3番、あたし・・・」

 

祐樹「なんだって? じゃあ1番は、ってもう言うまでもないか。俺は2番だから・・・」

 

貴史「1番は俺だ・・・」

 

貴史「高梨さん、これはさすがにまずいでしょ。命令変えたほうがいいって。」

 

彩花「唯ちゃん、ごめん。この可能性は考えてなかった。変えるよ。」

 

祐樹「いや、いまさら変えるべきじゃねえな。変えたらチキンだ。」

 

貴史「中沢、お前自分は関係ないからって何言ってるんだ!」

 

祐樹「何うらやましいじゃないかお前!」

 

唯「そうね。変えちゃダメよ。王様の命令は絶対よ。でも、ブラだけで勘弁して。」

 

貴史「お前、なんてことを・・・」

 

唯「さあ南野君、あたしのブラを脱がしなさい。」

 

祐樹「そうだな。王様の命令は絶対だ。」

 

唯「でもホックは自分で外させて。南野君、女の子のブラを外したことなんてないだろうし、壊れちゃうかもしれないから。」

 

そりゃ当然だろうな。

小原さんは手を後ろに回し、Tシャツの中に手を入れた。そしてブラのホックを外す音がした。

 

南野君は眼をつぶりながら、小原さんのTシャツの中に背中に手を入れ、下着をゆっくり引っ張った。

南野君の手に、ピンクと白のかわいらしいデザインのブラジャーがぶら下がっていた。

 

唯「胸がすーすーする。」

 

彩花「唯ちゃん、今ノーブラ・・・」

 

唯「あたし、ブラ着けてないと落ち着かないのに。 あやちゃんの絆創膏貸してもらうよ。」

 

彩花「わかった。唯ちゃん、本当にごめん。」

 

唯「大丈夫。全然気にしてないから・・・」

 

唯「・・・あたし、もうお嫁に行けない・・・」

 

彩花「大丈夫だよ。このくらいの経験、わたしは何回もしてるから・・・。まあ大輔君を他の人に取られちゃった今、わたしもお嫁に行けないけど・・・」

 

むしろこれ、南野君と小原さんのフラグが立ったってことか?

 

 

「王様だーれだ」

 

続いての王様は

 

唯「やった、あたしだ!」

 

唯「さっきから全然なれなくってね、序盤に1回あっただけだし。」

 

小原さんはやけに嬉しそうだ

 

唯「イエーイ、握手握手」

 

と、気を取られて握手をしてしまった。 バカだった。

ちなみにこのときの小原さんはノーブラである。

 

王様に俺たちの番号を見られたのだ。こんな手に引っかかるとは。

 

唯「1番が2番の下着を脱がす!」

 

祐樹・彩花「えー!」

 

1番は俺、2番は彩花ちゃん。

まさかの倍返しだった。いや、元返しだが。

 

彩花「王様の命令だから仕方ないよ。」

 

祐樹「そうだな・・・」

 

彩花「でもわたし、今日はスポブラだから着衣じゃうまく脱がせないかも・・・」

 

彩花(スポブラというよりジュニアブラなんだよね。女子小学生が付けるかぶるタイプのブラ。わたしはおっぱい小さいからホック付きのブラはほとんど持ってない。)

 

結局彩花ちゃんはTシャツを脱ぎ、ブラジャー姿になった。

そして俺がピンク色のスポブラを脱がせた。彩花ちゃんの乳首は見ないようにして。

 

彩花「不幸だ・・・」

 

まあ彩花ちゃんはほぼ自業自得だけどな。

 

 

彩花「そういえばさっき、南野君の家に行く途中に変な人に会ったんだよね。」

 

祐樹「変な人?」

 

彩花(一発ギャグを披露したということは内緒にしておこう)

 

彩花「その人、祐樹君が住んでるいちごの家を探してたから案内したんだけど、何もしないで帰っちゃった。ただ親戚が住んでるって言ってた。」

 

貴史「親戚か」

 

彩花「変な人っていうより魔術師っぽかったな。ホストをやってるって言ってたけど。」

 

祐樹「ホスト?」

 

彩花「名前は・・・、斎藤翔平って言ってたかな。」

 

祐樹「な、な・・・・」

 

彩花「祐樹君どうしたの?」

 

祐樹「いや、なんでもない・・・。」

 

彩花「その反応はなんでもなくないよね。その人のこと知ってるの? もしかして祐樹君の親戚?」

 

祐樹「今は話せない。 後にしよう。」

 

 

・・・

彩花「わたしがさっき会った人の名前に何か心辺りあるみたいだね。」

 

彩花「斎藤翔平って男の人、あなたの知り合いなの?」

 

祐樹「俺が4歳までの名前が、斎藤祐樹って名前だったのは言ったよな。」

 

彩花「斎藤・・・っていうことはもしかして祐樹君と何か関係あるの?」

 

祐樹「斎藤翔平、俺とお母さんとお姉ちゃんを捨てた、俺の実の父親だ。」

 

彩花「祐樹君のお父さんだったの?」

 

祐樹「ホストって言っていたなら間違いない。あの男もホストをやっていたからな。」

 

祐樹「まあ魔術師かどうかはわからないけど。まさかこの街にいたとはね。まあ別に意外でもないか。元々ここに住んでたわけだし、離婚してもこの街を離れたとは聞いていない。。」

 

祐樹「俺は彩花ちゃんにあの男と関わってほしくないんだ。彩花ちゃんは俺が守る」

 

彩花「斎藤翔平って人はそんなに問題があるの?どうしてわたしに会わせたくないと思うの?」

 

祐樹「そりゃ問題あるだろう。あいつに何されるかわかんない。彩花ちゃんだって女の子なんだし。」

 

彩花「わたしは大丈夫だよ。これでも魔法少女なんだから。むしろ祐樹君こそ、能力者でもない普通の男の子なんだから、危険なことしてほしくないな。」

 

祐樹「俺だって彩花ちゃんにかっこいいとこ見せたいんだよ」

 

そのとき・・・

 

彩花「あ、電話だ。」

 

彩花「もしもし」

 

彩花「・・・え?」

 

彩花「わかった。すぐ行く。」

 

祐樹「南野君から電話で、達也君が大変だって。」

 

 

・・・

急いで現場に向かうと

 

貴史「高梨さんの弟さんが傷だらけで倒れてた」

 

彩花「誰にやられたの?」

 

達也「魔術師・・・」

 

達也「絶対に許さない。今度会ったらぶっ飛ばしてやる。」

 

彩花「とりあえず何があったのか話してよ。確か今夜はあんたが主人公のアニメ3クール分の話を聞かせてくれるとか言ってたよね? それ楽しみにしてたんだけど?」

 

達也「失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した・・・・。僕は失敗した・・・」

 

彩花「それシュタゲ三大トラウマの1つ? 中二病くさくてあまり真似したくないけど。」

 

達也「魔術師を退治しに行った。でも退治できなかった・・・。」

 

貴史「俺がさっき、倒れてる弟さんを目撃したときは既にこんなんだった。俺は詳細は知らない。」

 

彩花「そう。弟が世話になってごめんね。」

 

貴史「いいよ。こないだは俺の妹の相談に乗ってもらったんだし。」

 

達也「この件に関しては、多分あやお姉ちゃんがよく知ってると思う。」

 

彩花「ねえ、達也君。」

 

達也「なんだよお姉ちゃん。」

 

彩花「あんたの正義に対する意気込みは認めるけど、あんたはまだ中学生なんだから無謀な真似はしちゃいけないよ。」

 

 

家に帰り、彩花の部屋

 

あや「私がついていながらこんなことになっちゃって、悪いことしたわね。」

 

彩花「彩ちゃんは悪くないよ。全部達也君が自分でやったことなんだし。」

 

彩花「だけどいつから達也君と行動をともにしてたの?彩ちゃんが興味あることじゃないと思うんだけど」

 

あや「行動をともにしてたってほどじゃないよ。たまに臨時で手伝ってたってくらいで。」

 

彩花「そうなんだ。それで、何があったの? まあ少しは知ってるんだけど。」

 

彩花「最近この街で暴れてる魔術師を探してるって。その人を達也君が見つけちゃったみたいなの。」

 

彩花「で、達也君がその突き止めた魔術師に直談判して、何かされたってこと?」

 

あや「そういうこと。私は別行動を取っていて現場にはあとから呼ばれたから、その人に直接は会ってないんだけどね。」

 

彩花「どんな人だったか聞いてる?」

 

あや「確か、斎藤翔平っていう名前の、ホストの人。」

 

彩花「え?」

 

あや「心当たりあるの?」

 

彩花「うん。わたしも今日偶然会ったので。」

 

あや「あとこないだ唯ちゃんが言ってたいきなり一発ギャグをする男。都市伝説とは思えないけど。」

 

あや「それがその魔術師だったみたいなの」

 

彩花「やっぱり・・・」

 

彩花「その人、祐樹君のお父さんだよ。」

 

あや「そうなの? っていうか、彩花ちゃん、もう中沢君のこと下の名前で呼んでるくらい仲いいんだ。」

 

彩花「え? そんなんじゃないから。祐樹君・・・、中沢君はわたしのこと嫌いだって言ってるし。」

 

あや「嫌いは好きの裏返しだと言うね。まあ彩花ちゃんは友達はみんな下の名前で呼んでるから別にいいじゃない。」

 

あや「それと達也君、他にももう1人会ったみたいなの。」

 

彩花「もう1人? 新しい登場人物?」

 

あや「うんうん。彩花ちゃんもよく知ってる人。」

 

彩花「え? わたしの知ってる人?」

 

・・・

高梨達也の今日の回想

 

この日、僕はある廃墟で斎藤翔平と会った。

 

斎藤「俺は斎藤翔平だ。何のようだ?お前の名前を聞こうか」

 

達也「高梨達也、中学2年生だ。」

 

斎藤「達也か。いい名前だな。だがお前の近くに和也という名前の者が近づいたらトラックに轢かれて死にそうだな。一方で南という名前の者が近づいたらお前は怠け者になりそうだ。」

 

達也「嫌なこと言うな。タッチみたいなことリアルであるか。しかも怠け者に南ちゃん関係ないし。」

 

斎藤「お前は何しに来た。魔術をかけてほしいのか、魔術を解いてほしいのか?」

 

達也「お前を倒しにきた!」

 

斎藤「倒すだと? 戦闘の申し込みは10万円するぞ。」

 

達也「お前が今やってることをやめさせに来たんだ。人間関係を壊すことばかりしやがって。」

 

斎藤「何を言ってる。俺はお前たちの望んだ通りにしてる。つまりその後は自業自得、身から出た錆、因果応報だ。」

 

達也「自業自得だと?ふざけんな。」

 

斎藤「まあ、お前はつまり俺に母さん助けて詐欺、もとい父さん助けて詐欺、もとい振り込め詐欺、もといオレオレ詐欺をしてはめたというわけか。お前もなかなかの詐欺師だな。」

 

斎藤「だがお前は中学生だろ。中学生がこの場所までたどりつけるとは思えん。警察にでも頼まれてやったのか?」

 

達也「誰にも頼まれてない。全部僕の正義感だ。」

 

斎藤「お前みたいなガキの正義なんか下らないな。どうした?震えてるぞ、高梨。」

 

達也「震えてない。」

 

斎藤「これは自慢話じゃないが、俺の前妻は6年ほど前に白血病の女子小学生のドナーになって命を助けたそうだ。」

 

斎藤「彼女の両親から感謝されたそうだがそれなら金を取ればよかったのにな。」

 

斎藤「1人の命を救ったんだ。1億、いや100億は取れたはずだぞ。なのに前妻はそいつからなんの恩返しもされないまま今度は自分がガンになって死んだ。元も子もないな。」

 

斎藤「そいつ、今生きてたら中学生か高校生くらいかな。いつかそいつに会ったら金を取ってやろうと思う。」

 

達也「お前最低だな。本当にそう思ってるんなら。」

 

斎藤「当然だろ。お前だって俺の仲間になれば魔術だって手に入るぜ。」

 

斎藤「このガキには俺が相手するまでもない。○○よ、お前が相手してやれ。」

 

僕はこのとき初めて自分がしていることが危ないことを実感した。

そうだった。敵は1人とは限らない。2人か3人、いやもっといるかもしれないんだ。

 

僕は初めて恐怖感を感じた。しかしだが次の瞬間、恐怖感が吹き飛ぶ衝撃の人物が現れる。

 

「○○だ。・・・って。お前は・・・高梨達也・・・」

 

僕はこの人を知っている。といってもそれほど深い仲ではない。どちらかといえば、この人については僕の姉、高梨彩花がよく知ってるだろう。

 

斎藤「なんだ。知り合いか?」

 

「いえ、ただの幼馴染・・・ですらありません。幼馴染の弟だから、つまり赤の他人です。」

 

斎藤「他人だと?」

 

この人に他人と言われるなんて。

 

「これも自慢話じゃないが、俺は中2のバレンタインデーのとき幼馴染の女子が俺に手作りチョコを贈って告白してきたんだ。」

 

「『わたし、男の子としてあなたのことが好きです! 付き合って下さい!』って言われちゃったよ。」

 

「俺は断ったな。俺は他に好きな人がイたから。今の彼女のことだけどな。そしたらそいつ泣いちゃった。」

 

「そのチョコが豪華な手作りチョコだったよ。これは本気だなって思った。そしてそのチョコがすごく美味かったわけだよ。これは惜しいことしたかな、って思ったけど付き合う気にはなれなかったな。ただの幼馴染にしか思えなかった。」

 

「あ、この話はお前にしないほうがよかったかな?」

 

「雑談はこのくらいにして、達也、お前は俺たちの目的を聞いたな。今度はお前の番だ。お前の目的はなんなのだ?」

 

達也「だからお前を・・・、お前たちを倒しに来た。もっと言うと、殴りに来たんだ。それで僕はお前の親分がやってることをやめさせる。」

 

「達也、お前は魔法少年か?」

 

達也「魔法少年ではないけど、正義の味方だ。」

 

「達也よ。俺たちがやってることをやめさせたければ、殴るのも蹴るのもとりあえずは無駄だ。それより魔法の力を得るのが手っ取り早い。」

 

達也「魔法なんかなくたって、僕はお前を倒す!」

 

だが僕のパンチはよけられ、あっけなく敗北した。

 

斎藤「殴られたくはない、殴りたくもない。お前にはこの妖怪をプレゼントしよう。」

 

こうしてそいつは僕に魔術をかけた。僕はその場に倒れこみもがいた。

 

斎藤「今回の件からお前が得るべき教訓は、人を見たら魔術師と思えということだ。人を疑うというのを少しは覚えるのだな。」

 

斎藤「家族か友達に助けを呼ぶことを薦めるよ。俺たちはその間にとんずらすることにしよう。」

 

斎藤「しかし高梨という名字の奴にはろくな奴がいないな。ブラックリストに登録しておいたほうがいいな。」

 

斎藤「いい教訓になった。ではさらばだ。」

 

 

読者の人のほとんどはもうお分かりだろう。

斎藤翔平の仲間として僕の前に登場した相手、それは・・・

 

「このガキには俺が相手するまでもない。荒川よ、お前が相手してやれ。」

 

「荒川大輔だ。・・・って。お前は・・・高梨達也・・・」

 

僕の二番目の姉、高梨彩花の幼馴染で、1年半前の姉が中学2年生のバレンタインの日に、僕の姉に告白されたのに振って、

ぽっと出の転校生を選んだという、荒川大輔の姿がそこにはあった。

 

僕もこの人とは知り合いではあるが、姉の幼馴染など友達とは思ったこともない。

彼にとっても、幼馴染の弟のことなんか友達とは思ってなかったようだ。

 

彼には2人の兄がいるが、僕の一番上の姉、高梨彩とは学年が違うこともあり、荒川家の兄弟と一緒にでかけたことがある程度の思いでしかない。

家が隣同士だったとはいえ、交流があったのは二番目の姉だけだった。

 

 

・・・

彩花「わたし、今日斎藤翔平って人が大輔君と一緒にいるところを見た。そのあと大輔君に道案内を押し付けられて・・・」

 

貴史「そんなことがあったんだ。」

 

彩花「思えば大輔君があの斎藤翔平って人と一緒にいた時点でおかしいと思うべきだったんだ。彼が知らない人に親切に道案内するとは思えない。」

 

彩花「大輔君は斎藤翔平の関係者で、わたしをハメて道案内を押し付けたってことか。それだとわたしも狙われてるんだな。」

 

貴史「荒川大輔って人のことよく知ってるんだな。俺は会ったことないけど。」

 

彩花「そりゃ幼稚園に入る前から仲良しの幼馴染ですから。12年以上は一緒にいるから、彼のことならわたしが一番知ってるつもり。まあ祐樹君も同じくらい大輔君と一緒にいるけど。」

 

貴史「中沢君とも幼稚園から一緒なんだよね?」

 

彩花「そうだけど、わたしは幼稚園や小学校じゃ中沢君とあまり話したことなかったから知らないの。高校生になって、1人ぼっちだった祐樹君と仲良くなったくらいだから。」

 

貴史「それにしても弟に対する心配はまた友達に対する心配とは違うんだな」

 

彩花「まあ大切な家族ですから。南野君が妹さんにするように。」

 

貴史「じゃあ、またな。」

 

彩花「今日はありがとう。」

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